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ざっと、第2回電王戦/第5局「三浦八段、相矢倉で完敗」|柔らかい手~個人的将棋ブログ [ameblo.jp]を見ただけですが、少しだけレポートします。序盤は、矢倉の一種、脇システムになりました。三浦先生の得意戦法でもあります。中盤は、後手の角を先手の金でいじめるなど、抑えこみを図りましたが、結果は残念なことになったようです。終盤は、一分将棋で苦しかったでしょうね。持ち時間のルールも、これからの検討課題だと思います。
矢倉の先手番、しかも三浦八段の十八番である脇システムでの完敗でしたから、見ていて衝撃的でした。終局後の三浦八段の「どこが悪かったのか正直よくわからない」というコメントが印象的で、この一局に関しては、大局観でコンピュータがプロを上回っていたように思います。
> 終盤は、一分将棋で苦しかったでしょうね。
一分将棋にはなっていませんよ。最後に5分ほど残った時間を使い切って投了しましたが、あれは読んでいたというより、心を落ち着けるための時間でしょう。三浦八段は時間の使い方は上手かったと思います。
中継の画面に出ていた、ボンクラーズの評価値は行ったり来たりでしたが、GPS将棋自身の評価値は中盤以降は最後までGPS有利と出ていました。検討室にいるプロは、互角か三浦八段が有利と評価する中、GPS将棋の評価値はどんどんGPS有利に傾いていきます。
終盤はプロでもコンピュータに敵わないのはすでに分かっていたことでしたが、中盤でもコンピュータの形勢判断の方が正しいとすると、もう人間の手には負えない領域まで来てしまった。人間の名人と対戦するなら、出し惜しみせず今年やっておくべきだった。1年後なんて言ってると、コンピュータの進化に追いつけないかもしれない。
今年名人クラスを出してたら勝ててたかもしれないけれど、負けた場合に言い訳が利かなかった。
来年に出すのなら、負ける可能性は多分もっと高まるだろうけれど、「いや、去年出てたら勝ってただろう」などと言い訳ができる。
コンピューターの正確さや読みが鋭いのは当然なんだけど、評価関数が正しいなら、それは人間でもマネできそうな気がする。とはいえ、評価関数も元は記譜なんだから、関数全体のパターン分析には、実戦で全く使っていない(ジャンクDNAみたいな)無駄な部分もあるだろうし、逆に、人間が理屈を理解していないだけで、新しい複雑怪奇な誘い方とかがあるのなら、どうせ身には付かないだろうから、そういう研究自体が無駄かもしれない。でも、希望的観測としては新戦法であって欲しいと思う。
ただ、得意戦法を統計的評価で丸裸にされて負けたのなら、対戦した棋士が、今後、人間相手の棋戦で不利になるかもしれない。そうなると、かなりの不公平感があると思う。
あと、もう、機械の方が強いことははっきりしたんだから、今後は対戦する完全版のプログラムを棋士に貸し出すべきなんじゃないかなぁ。
持ち時間に関しては公平だったと思う。コンピューター側は障害復旧も含めた持ち時間だったから、開発者が自主的に持ち時間を減らして実行したそうだ。
脇システム [wikipedia.org]のようにプロの研究がおそろしく進んでる戦形は、ソフト側は避けるのがセオリーと、多くの開発者は考えていたと思います。定跡を全く使わなかったポナンザ・ツツカナはもちろん、普通に定跡を使ったプエラαでさえ、脇システムは避けるようプログラムしていました。
逆転できないほどひどく悪くしてしまうとだめなので、そういう局面は避けるように対策したわけですが、結局対策したのは入玉・冨岡流・脇システムの3つだけでした。(開発者ブログ [cocolog-nifty.com])
特に三浦八段は脇システムのスペシャリストで知られていて、プロの中でもこの戦形に最も精通した棋士だと思います。GPSが脇システムに入っちゃった時、ポナンザ開発者の山本さんはこんな呟きをしていました。
三浦八段に脇システムとは・・ 多分GPSチームは三浦八段は脇システムの達人であること知らないんだろうな・・ [twitter.com]
結果として、脇システムを正面から受けて立って勝ったのですから、本当に驚くほかありません。
相手を特定した小細工が無しなわけだから、正面からぶつかってあっけなく粉砕されたって感じですな。負けたことよりも、負け方にビックリしました。
後手7五銀に先手が7六銀とぶつけた構想に驚きました。「やってこい」と胸を出したら思いのほか当たりが強くてそのまま押し出された印象です。8三金の角取りも直接的ですし、指し方があまりにも正直すぎたのではないでしょうか。
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie
将棋の内容 (スコア:2)
ざっと、第2回電王戦/第5局「三浦八段、相矢倉で完敗」|柔らかい手~個人的将棋ブログ [ameblo.jp]を見ただけですが、少しだけレポートします。
序盤は、矢倉の一種、脇システムになりました。
三浦先生の得意戦法でもあります。
中盤は、後手の角を先手の金でいじめるなど、抑えこみを図りましたが、結果は残念なことになったようです。
終盤は、一分将棋で苦しかったでしょうね。
持ち時間のルールも、これからの検討課題だと思います。
Re:将棋の内容 (スコア:5, 興味深い)
矢倉の先手番、しかも三浦八段の十八番である脇システムでの完敗でしたから、見ていて衝撃的でした。
終局後の三浦八段の「どこが悪かったのか正直よくわからない」というコメントが印象的で、この一局に関しては、大局観でコンピュータがプロを上回っていたように思います。
> 終盤は、一分将棋で苦しかったでしょうね。
一分将棋にはなっていませんよ。
最後に5分ほど残った時間を使い切って投了しましたが、あれは読んでいたというより、心を落ち着けるための時間でしょう。
三浦八段は時間の使い方は上手かったと思います。
Re:将棋の内容 (スコア:4, 興味深い)
中継の画面に出ていた、ボンクラーズの評価値は行ったり来たりでしたが、
GPS将棋自身の評価値は中盤以降は最後までGPS有利と出ていました。
検討室にいるプロは、互角か三浦八段が有利と評価する中、GPS将棋の評価値はどんどんGPS有利に傾いていきます。
終盤はプロでもコンピュータに敵わないのはすでに分かっていたことでしたが、
中盤でもコンピュータの形勢判断の方が正しいとすると、もう人間の手には負えない領域まで来てしまった。
人間の名人と対戦するなら、出し惜しみせず今年やっておくべきだった。
1年後なんて言ってると、コンピュータの進化に追いつけないかもしれない。
Re: (スコア:0)
今年名人クラスを出してたら勝ててたかもしれないけれど、負けた場合に言い訳が利かなかった。
来年に出すのなら、負ける可能性は多分もっと高まるだろうけれど、
「いや、去年出てたら勝ってただろう」などと言い訳ができる。
Re: (スコア:0)
コンピューターの正確さや読みが鋭いのは当然なんだけど、評価関数が正しいなら、それは人間でもマネできそうな気がする。とはいえ、評価関数も元は記譜なんだから、関数全体のパターン分析には、実戦で全く使っていない(ジャンクDNAみたいな)無駄な部分もあるだろうし、逆に、人間が理屈を理解していないだけで、新しい複雑怪奇な誘い方とかがあるのなら、どうせ身には付かないだろうから、そういう研究自体が無駄かもしれない。でも、希望的観測としては新戦法であって欲しいと思う。
ただ、得意戦法を統計的評価で丸裸にされて負けたのなら、対戦した棋士が、今後、人間相手の棋戦で不利になるかもしれない。そうなると、かなりの不公平感があると思う。
あと、もう、機械の方が強いことははっきりしたんだから、今後は対戦する完全版のプログラムを棋士に貸し出すべきなんじゃないかなぁ。
Re:将棋の内容 (スコア:1)
持ち時間に関しては公平だったと思う。
コンピューター側は障害復旧も含めた持ち時間だったから、開発者が自主的に持ち時間を減らして実行したそうだ。
Re: (スコア:0)
Re:将棋の内容 (スコア:2, 参考になる)
脇システム [wikipedia.org]のようにプロの研究がおそろしく進んでる戦形は、ソフト側は避けるのがセオリーと、多くの開発者は考えていたと思います。
定跡を全く使わなかったポナンザ・ツツカナはもちろん、普通に定跡を使ったプエラαでさえ、脇システムは避けるようプログラムしていました。
特に三浦八段は脇システムのスペシャリストで知られていて、プロの中でもこの戦形に最も精通した棋士だと思います。
GPSが脇システムに入っちゃった時、ポナンザ開発者の山本さんはこんな呟きをしていました。
結果として、脇システムを正面から受けて立って勝ったのですから、本当に驚くほかありません。
Re:将棋の内容 (スコア:1)
Re: (スコア:0)
相手を特定した小細工が無しなわけだから、正面からぶつかって
あっけなく粉砕されたって感じですな。
負けたことよりも、負け方にビックリしました。
Re: (スコア:0)
後手7五銀に先手が7六銀とぶつけた構想に驚きました。「やってこい」と胸を出したら思いのほか当たりが強くてそのまま押し出された印象です。8三金の角取りも直接的ですし、指し方があまりにも正直すぎたのではないでしょうか。