「ヒトT細胞はサイトカインで刺激するとOct4などのstem-cellマーカーが発現誘導されるとする報告もある」ようです。 Modulating the differentiation status of ex vivo-cultured anti-tumor T cells using cytokine cocktails. (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23207483)
Reprogramming of Human Primary Somatic Cells by OCT4 and Chemical Compounds (http://www.cell.com/cell-stem-cell/retrieve/pii/S1934590910006375)
Generation of iPSCs from mouse fibroblasts with a single gene, Oct4, and small molecules (http://www.nature.com/cr/journal/v21/n1/full/cr2010142a.html)
Knoepfler先生のブログでも、「I’ve heard several reports now that labs can sometimes see some kind of either Oct4-GFP reporter activity or pluripotency gene expression in acid treated cells, but the scientists do not seem particularly encouraged」ていうのがありましたね。
ストレスによるOct4発現の誘導 (スコア:3, 興味深い)
私は海外の小さなラボで研究しているものです。ESやiPSは専門ではありませんが、マウスを自由に使える環境にあるので、生後一週間のマウスの脾臓細胞(FACS分離なし)を酸処理した後、B27入り培地(LIFなし)で培養してみました。すると処理条件によっては3日後にOct4をタンパクレベルで検出できました(Westernです。コントロールとして処理前の脾臓細胞から抽出したサンプルを使いましたが全く発現なし。)どうやら、sublethalのストレスによってOct4の発現が誘導されるというのは確かにあるようです。ただし、他の幹細胞マーカーは調べてません(抗体がないので)。また、ここから多能性幹細胞として機能するSTAP細胞あるいはSTAP幹細胞を作成するまでにはかなり遠い道のりがありそうです。
以下は私の想像ですが、当初の研究でOct4がストレスで誘導されるという結果が出て、そこからの希望的観測でストーリーを作り上げたのではないでしょうか。そこまでは仮説ですから構わないのですが、発表されたデータには捏造でなくともかなりのバイアスがあるようにみえます。
ちなみに私的見解ですが、STAPの再現は無理でも、ストレスによるOct4(や他の幹細胞因子)の発現誘導の意義とメカニズムを解析すると、何か面白いものが見えてくるかもしれませんね。
注記。上記の結果はあくまでPreliminaryな実験結果にすぎません。データの公表はできませんし、信用されなくても結構です。興味があれば、ご自分でお試しを。
Re:ストレスによるOct4発現の誘導 (スコア:2, 興味深い)
面白いですね。再現が取れるとよいですね。
慶応の吉村先生がブログの記事(http://new.immunoreg.jp/modules/pico_boyaki/index.php?content_id=347)でちょっとふれておられましたが、
「ヒトT細胞はサイトカインで刺激するとOct4などのstem-cellマーカーが発現誘導されるとする報告もある」ようです。
Modulating the differentiation status of ex vivo-cultured anti-tumor T cells using cytokine cocktails.
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23207483)
この論文の意味するところはわかりませんが、T細胞は刺激するとOct4を出しやすいのかもしれません。
系は違いますが、Oct4の過剰発現と低分子化合物の組み合わせで初期化というのはいくつか方法があるので、
Reprogramming of Human Primary Somatic Cells by OCT4 and Chemical Compounds
(http://www.cell.com/cell-stem-cell/retrieve/pii/S1934590910006375)
Generation of iPSCs from mouse fibroblasts with a single gene, Oct4, and small molecules
(http://www.nature.com/cr/journal/v21/n1/full/cr2010142a.html)
こんな技術と組み合わせると、all Chemical(酸+低分子化合物)で初期化(iPS化)っていうことが可能になるので
ちょっと面白くて有用だと思います(ノーベル賞か?っていわれる難しいかもですが。。)
継続してされるのならがんばってくださいね。
Re:ストレスによるOct4発現の誘導 (スコア:1)
Western blotのバンドを見せて頂いた訳でも、使われた抗体等を教えて頂いた訳でもないですので、
断定したことを私はいうことはできませんが、
コメントされていることを信用するならば「ストレスでOct4が発現する」ことは、起こりえそうですね。
ちなみにday 3で脾臓細胞は生存できていたでしょうか?(トリパンブルー等で生存の確認をされていますでしょうか?)
何かbiologicalなfunctionがあれば非常に面白いですが、
実験系によるアーティファクトな現象であるかもしれませんし、
私の専門ではないですが、法医学分野では、
死後現象(死体現象)として、様々な分子(またはmRNA等)の発現が確認されることもあるようなので、
生理学的分子生物学的に有意な現象なのか、疑問があります。
しかし、Oct4発現までは「バイアスがかかったもの」として論文を捉えることはできますが、
STAP関連の内容に関しては、バイアス程度で許されるものなのかは私個人としては懐疑的です。
Re:ストレスによるOct4発現の誘導 (スコア:1)
かなりの確率で実験系のアーティファクトである可能性はあります。それもあり、データの公開などはしません。似たような結果は他でも出てくると思いますし。
確かにバイアスだけではキメラマウスの存在は説明できませんね。
Re: (スコア:0)
Knoepfler先生のブログでも、「I’ve heard several reports now that labs can sometimes see some kind of either Oct4-GFP reporter activity or pluripotency gene expression in acid treated cells, but the scientists do not seem particularly encouraged」ていうのがありましたね。
ちなみに処理条件って、結局何がクリティカルと思われます?
B27のバッチでしょうか??
Re: (スコア:0)
B27は別のカルチャー用にラボにあった唯一のロットを使用しただけで、何とも言えません。
ただ、Oct4発現の検出というところまでは、特に難しいコツなどはいらない印象です。敢えて言えば、ある程度の細胞のみが生き残るぎりぎりのところの酸処理条件というところでしょうか?いくつかpHを微妙に変えた系を同時にやりました。
重要なのはここで検出されたOct4がリプログラミングの結果発現しているかは不明なことです。ただ発現が確認できたというだけです。LIFを入れた長期培養は試していませんが、上記の培養条件では一週間でほぼ全ての細胞がトリパンブルー陽性でした。
Re: (スコア:0)
ちなみにB27のロット番号きいたりしたら、まずいですよね?
Re: (スコア:0)
実施されたのはNature Protocol Exchangeで公開された手技に則ったものですか?
その場合、これが公開されていなければ(それ以前の情報だけでは)再現出来なかったとお考えですか?
Re: (スコア:0)
生物学素人のstwp懐疑派です。
7日で死滅したとはいえ、さしたるコツもなくoct4+までいくというのはどちらかといえば肯定的な材料に素人にはみえます。また、わざわざ実験されたのも、手間をかける意味があると思われたからだと思います。
にもかかわらず、否定的な見解でおられる理由を教えていただけないでしょうか。