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重力波が確認される?」記事へのコメント

  • ビッグバンなどはそれなりに証拠が集まっているものの,その直前(*)に起きたインフレーションに関しては状況証拠はあってもなかなか直接的な証拠は無い,という状況です.

    *インフレーション宇宙論では,ビッグバンは宇宙の発生そのものではなく,インフレーション後の猛烈な再加熱に対し使われることが多い.ただし,インフレーション以前の宇宙の発生そのものに対し使われることもないわけではないので,注意が必要.

    そんな中期待されていたのが,今回の実験(等)で検出が目指されている宇宙背景放射(CMB)におけるBモード偏光です.

    初期の非常に小さな宇宙は,小さいスケールであるために時空構造にそれなりの量子ゆらぎを持っています.
    この状態でインフレれーションが起こると,小さなスケールであった時空の揺らぎが,インフレーションにより拡大され大きな構造へと変換されます.この大きな波長での揺らぎは重力波(=原始重力波)として存在することから,検出できればインフレーションがあった事の証拠となるわけです.

    ではこの重力波をどうやって検出するか?という時に有望なのが,CMBのBモード偏光です.CMBは光ですので,様々な要因で散乱されます.その中でも,重力波の四重極子成分による影響は渦状の偏光面の分布(Bモード)をもたらします.
    これ以外にEモードと呼ばれる偏光面も生じるのですが,こちらは通常の物質分布の疎密でも強く生じてしまうため(そのうえ原始重力波によるものは非常に弱い),より原始重力波の影響が見やすいBモードの検出をいくつかの施設が競っているような感じです(確か).

    従って,CMBの偏光を観測しながら,その偏光面が渦を描いているようなものが見つかれば「インフレーションによる初期揺らぎの拡大があった」という事の実験的証拠になるよ,と.
    実際には,銀河だの何だのの重力レンズ効果によってもCMBのBモード偏光が生じるので,それらの影響を取り除く必要があります.
    幸い,通常の重力レンズ効果によるBモードの視野角依存性と,原始重力波によるBモードの視野角依存性は違うことが理論的に示されているので,それを使って見分けることは可能です.
    で,今回の発表は,「多分それっぽいのが見えたよ」と.
    #微弱なCMBに乗っかっている,さらに超微弱な偏光面のわずかな変化なので,言い切るのは難しい.

人生unstable -- あるハッカー

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