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パッケージ型が非再販というのは少し意外だが、物であるが故に存在する在庫管理のリスクが電子書籍には無いのだから、電子書籍が非再販というのは当然だろう。書店からしてみれば、再販制度で在庫管理のリスクを軽減する代わりに、販売価格を維持するという制度だしね。出版側から見れば、制度の趣旨が違うのは言うまでもないが。
だから、委託販売制度と再販制度はセットで運用されているけれど、別物なんだって。
販売店に対する販売業務委託契約であれば、価格決定権は委託側にあるし、在庫リスクも委託側にあるから問題ないはず。しかし、書籍の委託販売制度というのは、売れ残り買取契約付の販売契約で、厳密には委託販売ではなく、在庫リスクは書店側にあるんだよね。それなら、自分で買い取った商品だから自由に価格を付けて販売できるかといえば、再販制度で価格を縛っているわけです。そんなに価格維持が重要ならば、販売業務委託契約に切り替えればいいだけの話なんだけどなあ。
販売業務委託契約にしてしまうと、出版社にリスクが集中しすぎて、出版社がもうからない。リスクがあるから、売れそうもない本は出版できなくなるし、出版できないこと自体が言論の自由や文化の保護と見地から問題になる。物の在庫が発生することによるリスクを何処がどの程度持つかというのが、委託販売制度と再販制度の肝である。よって、著作物の公開だけなら低コストで誰でもできるネットの時代の問題ではない。出版という形にこだわるにしても、電子書籍なら、売れただけ手数料を取られる契約も可能だしな。電子書籍の価格維持が問題なら、それこそ、販売業務委託契約にすべきだろう。
販売業務委託契約だと、大手は有利な条件で書店と契約できるけれど、中小の出版社だと不利な契約になる可能性がある。ましてや、書店側の規模が大きい場合、出版社側の利益が少なくなる可能性がある。簡単に割り切れる問題ではないんだよ。
それこそ、中小は、在庫リスクのない電子版に積極的になるべきだよね。電子版なら(広告費等を除いて)大手と対等に戦える。
うーん。売れる本を作って金を稼ごうとしている出版社なら、確かにその通りなんだけど。
中小の出版社の中には、再販制度+委託販売制度をキャッシュフローを生み出す源泉として使用している所があるとの話だ。前に聞いた話では、こういう感じ。
・書籍の場合は色々難しい面があるけれど、雑誌の別冊(ムック)の場合は、刷った本を取次に持ち込むと売価の7割を仮払いしてくれる。清算は数ヶ月後ね。売価2000円、刷数2万部だとすると、2800万円。
・そういう種類のムックだと、原価は売価の2割って所。印税や宣伝広告費、社内経費は極限まで削るからね。なので、差引2000万円の金を数ヶ月間自由に出来る。
・前のムックの決済が来るまでに次のムックを出せば、2000万円の金をずーっと自由にする事が出来る。
・こういう種類のムックでも全く売れないという事は無いから、ある程度は出版経費は回収出来る。ある程度売れれば出版経費を丸々回収出来るだろうし、思ったよりも売れた場合は増刷で稼ぐ事も可能。
ボクも結構買ったけど、CQ出版のトラ技specialってムック、その裏事情はこういう事じゃなかったのかな、って思ってる。トラ技の記事を再編集して作ったムックだから、編集コストはあんまり掛からないだろうし、CQ出版は元々印税が激安な上に再編集版だから、ムックの分の印税は雀の涙だと思うよ。だからトラ技specialは結構美味しかったと思う。
再販制度+委託販売制度が電子出版で無くなるとすると、こういう芸当が出来なくなるから、困る所が出てくるんじゃないかな。
>電子版なら(広告費等を除いて)大手と対等に戦える。戦える、ではなく戦う場所が与えられる、です。
> リスクがあるから、売れそうもない本は出版できなくなるし、
「委託販売制度と再販制度」があるとごく僅かな人しか買わないことが予想できる数万円以上の学術書が発行できる理由はなんですか?
再販制度があろうとなかろうと、「ほとんど売れそうもない」ということは出版社にとってリスクなんじゃないですか?
今のシステムのうち、出版社が取次に本を持ち込んだときの仮払いだけ無くなったらどうなるんでしょうね?
「委託販売制度と再販制度」があっても高額な学術書は出版出来なくなるんですかね?
もし出版できなくなるんであれば、文化を守るのに 「委託販売制度と再販制度」は何の役にも立っていませんね。
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皆さんもソースを読むときに、行と行の間を読むような気持ちで見てほしい -- あるハッカー
物ではなく情報なので対象外 (スコア:0)
パッケージ型が非再販というのは少し意外だが、物であるが故に存在する在庫管理のリスクが電子書籍には無いのだから、電子書籍が非再販というのは当然だろう。書店からしてみれば、再販制度で在庫管理のリスクを軽減する代わりに、販売価格を維持するという制度だしね。出版側から見れば、制度の趣旨が違うのは言うまでもないが。
Re: (スコア:0)
だから、委託販売制度と再販制度はセットで運用されているけれど、別物なんだって。
Re: (スコア:0)
販売店に対する販売業務委託契約であれば、価格決定権は委託側にあるし、在庫リスクも委託側にあるから問題ないはず。しかし、書籍の委託販売制度というのは、売れ残り買取契約付の販売契約で、厳密には委託販売ではなく、在庫リスクは書店側にあるんだよね。それなら、自分で買い取った商品だから自由に価格を付けて販売できるかといえば、再販制度で価格を縛っているわけです。そんなに価格維持が重要ならば、販売業務委託契約に切り替えればいいだけの話なんだけどなあ。
Re:物ではなく情報なので対象外 (スコア:1)
販売業務委託契約にしてしまうと、出版社にリスクが集中しすぎて、出版社がもうからない。リスクがあるから、売れそうもない本は出版できなくなるし、出版できないこと自体が言論の自由や文化の保護と見地から問題になる。物の在庫が発生することによるリスクを何処がどの程度持つかというのが、委託販売制度と再販制度の肝である。
よって、著作物の公開だけなら低コストで誰でもできるネットの時代の問題ではない。出版という形にこだわるにしても、電子書籍なら、売れただけ手数料を取られる契約も可能だしな。
電子書籍の価格維持が問題なら、それこそ、販売業務委託契約にすべきだろう。
Re: (スコア:0)
販売業務委託契約だと、大手は有利な条件で書店と契約できるけれど、中小の出版社だと不利な契約になる可能性がある。ましてや、書店側の規模が大きい場合、出版社側の利益が少なくなる可能性がある。簡単に割り切れる問題ではないんだよ。
Re: (スコア:0)
それこそ、中小は、在庫リスクのない電子版に積極的になるべきだよね。
電子版なら(広告費等を除いて)大手と対等に戦える。
Re:物ではなく情報なので対象外 (スコア:4, 参考になる)
うーん。売れる本を作って金を稼ごうとしている出版社なら、確かにその通りなんだけど。
中小の出版社の中には、再販制度+委託販売制度をキャッシュフローを生み出す源泉として使用している所があるとの話だ。前に聞いた話では、こういう感じ。
・書籍の場合は色々難しい面があるけれど、雑誌の別冊(ムック)の場合は、刷った本を取次に持ち込むと売価の7割を仮払いしてくれる。清算は数ヶ月後ね。売価2000円、刷数2万部だとすると、2800万円。
・そういう種類のムックだと、原価は売価の2割って所。印税や宣伝広告費、社内経費は極限まで削るからね。なので、差引2000万円の金を数ヶ月間自由に出来る。
・前のムックの決済が来るまでに次のムックを出せば、2000万円の金をずーっと自由にする事が出来る。
・こういう種類のムックでも全く売れないという事は無いから、ある程度は出版経費は回収出来る。ある程度売れれば出版経費を丸々回収出来るだろうし、思ったよりも売れた場合は増刷で稼ぐ事も可能。
ボクも結構買ったけど、CQ出版のトラ技specialってムック、その裏事情はこういう事じゃなかったのかな、って思ってる。トラ技の記事を再編集して作ったムックだから、編集コストはあんまり掛からないだろうし、CQ出版は元々印税が激安な上に再編集版だから、ムックの分の印税は雀の涙だと思うよ。だからトラ技specialは結構美味しかったと思う。
再販制度+委託販売制度が電子出版で無くなるとすると、こういう芸当が出来なくなるから、困る所が出てくるんじゃないかな。
Re:物ではなく情報なので対象外 (スコア:1)
>電子版なら(広告費等を除いて)大手と対等に戦える。
戦える、ではなく戦う場所が与えられる、です。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
> リスクがあるから、売れそうもない本は出版できなくなるし、
「委託販売制度と再販制度」があるとごく僅かな人しか買わないことが予想できる
数万円以上の学術書が発行できる理由はなんですか?
再販制度があろうとなかろうと、「ほとんど売れそうもない」ということは
出版社にとってリスクなんじゃないですか?
Re: (スコア:0)
極端に言えばそういう場合に卸と小売はリスクを取らないので、メーカーにはリターンの機会すらなく、リスクを全部かぶることになります。
個別に見れば、書店は売れなさそうな本を版元の希望の値段では売ってくれないしまず版元の希望の卸値で仕入れてくれません。
結局は薄利多売の方向に持っていくしかなくなります。
取次も同じで売れ無さそうな本は少数しか仕入れてくれません。
しかし両制度によって商品が売れ残っても損をしないですむので書店は売れない本でも仕入れてくれますし、
取次は簡単に出版社に金を貸して(売れそうにない本でも代金を先に払って)くれます
最終的に返す必要のある金であっても、企業にとって現金が手に入ることの重要性はわかると思います。
というわけで書店と取次のリスク低減が版元のリスク低減に繋がるわけです。
Re: (スコア:0)
今のシステムのうち、出版社が取次に本を持ち込んだときの
仮払いだけ無くなったらどうなるんでしょうね?
「委託販売制度と再販制度」があっても高額な学術書は
出版出来なくなるんですかね?
もし出版できなくなるんであれば、文化を守るのに 「委託販売制度と再販制度」は
何の役にも立っていませんね。