パスワードを忘れた? アカウント作成
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。

それで、この株価水準で」記事へのコメント

  • はじめまして、isiと申します。

    掲題の件なんですが、
    素人ながら、すごく不思議に思えるんです。

    善し悪しは別にして、戦争は膨大な需要を喚起して経済を活性化させるんじゃないかと思っていました。

    たしか戦後の日本が回復するきっかけは朝鮮戦争による特需だ
    • まず最初に、ボクは経済の専門家ではなく単なる株屋兼趣味で経済史をやってるので、厳密にはどうかというのはさておき

      確か、一昨年の正月のNHKで論説委員が「世界的に戦争が発生しなくなったのでモノが余っている。だから長期的に見ると世界経済はデフレ化している」という趣旨のことを言っていました。確かにこういった説には一応の説得力があると思います。ただし、実際には、中国や東欧・中欧、ロシアといった旧共産圏諸国が自由主義経済化し、生産性が高まった結果とも言えるのではないかと

      さて、かつてクラウゼビッツは戦争は政治的問題解決の最終プロセスであると言いました(これが正しいかどうかは別として)。この政治的な問題には、人種、宗教、政体の違い、差別といった伝統的な問題、イデオロギーといった20世紀的な問題に加え、経済的格差も挙げられると思います。「すべての戦争は、経済的格差と構造的差別に起因する」と述べたのはボクの大好きな漫画家の遠藤浩輝の言葉ですが(正しいかどうかは別として)、一部の論者が述べるように戦争の原因の一つに経済的な効果を期待する、というものがあるのでしょうか

      少なくとも19世紀までの戦争の大多数は、経済的利益を追求するための戦争というのはたくさんありました。例えば近世以降の列強は、植民地の獲得のために前近代的な国家を侵略し繁栄の時代を築きましたし、20世紀にも一部にはそういう動きがあったかもしれません。しかしながら、近代国家同士の戦争で、経済的な利益を追求して戦争を行った例というのは、プロイセンのフリードリヒ大王がマリア・テレジアのハプスブルグ帝国から現在のポーランドの一部を奪ったシュレージェン侵攻以降ないのではないかと思います

      なぜならば、生産性が劇的に向上した近代においては、近代国家同士の戦争は経済的には割が合わなくなったというのがあると思います。近代の戦争は、それまでの戦争とは異なり(例外:30年戦争)基本的には会戦方式による戦闘が大半でしたが、ナポレオン戦争以降の戦争は領土内のあらゆる人員・施設を破壊する戦争に変貌しました。近代国家同士の戦争は、経済的に割が合わないほどの破壊をもたらし、経済を疲弊させるという認識が一般化したように思えます(例えば、19世紀においては普仏戦争以降ヨーロッパ諸国は第一世界大戦まで直接交戦することはなかった)

      第一次世界大戦と第二次世界大戦では、戦略爆撃理論が確立し戦争を短期間に終結させるためには、戦略的に生産設備やインフラストラクチャーを徹底的に破壊する考え方が確立し、第二次世界大戦の終わりには核兵器が登場したことによって第三次世界大戦は人類の終わりを意味する戦争と考えられるようになりました。冷戦という時期は、この政治的対立と滅亡への恐怖が微妙にバランスを取っていた時期でもありました

      一方で、ヨーロッパが普仏戦争から第一次世界大戦までの平和を享受した時代、あるいは第二次世界大戦から冷戦構造の崩壊までの長い「恐怖の総和」の時代には、もちろん戦争がなくなったわけではありません。前者には植民地獲得のための戦争がありましたし、後者にはいわゆる代理戦争というのが存在していました。しかし、多くの国家が直接対決を慎重に避け(キューバ危機など)、時には直接対決を匂わすことで大規模戦争を回避(第四次中東戦争など)してきました。

      こうして考えると、戦争には主に三種類のものが存在すると言えるのかもしれません。一つは大量破壊兵器を保有した近代国家同士が、直接対決する戦争。これを高強度戦争(HIW)としましょう。次に、近代国家と発展途上国家の間または発展途上国家同士の戦争。これを仮に中強度戦争(MIW)としましょう。そして、テロや反政府ゲリラによる小規模な内乱。これを低強度戦争(LIW)とします。

      近代以前の戦争は、基本的にはHIWとMIWは同じでした。絶対王政以前の時代には、そもそもLIWが多発し政体が極めて不安定な時代すらあったのですから、経済的利益追求のHIWやMIWというのも当然あったのでしょう。しかし、近代以降はHIWは数えるほどしかなくなり、代わってMIWが中心となりました。これさえも、冷戦終結後には人種や宗教を要因としたMIWが中心となり純粋な経済的合理性から戦争を決意したものというのはほとんどなくなったのではないかと思います

      >たしか戦後の日本が回復するきっかけは朝鮮戦争による特需だったと聞いた記憶があります

      朝鮮戦争では日本は(最近の研究は別としても)公式には交戦国ではありませんでしたし、戦場からは比較的近いが交戦地帯ではない場所で、アメリカから発注される膨大な物資の生産を行っていた時期に過ぎません。これが、仮に直接の交戦国であった場合なら、戦費の調達から戦争による生産設備・人的資源の枯渇といった様々な悪影響が出ていたでしょう。

      >戦争は膨大な需要を喚起して経済を活性化させる

      戦争に伴う需要の拡大は、基本的には政府部門の財政出動によるもので、民需の側から見れば原材料価格の高騰や貿易の中断などむしろ悪影響のほうが大きいと思います。例えばベトナム戦争の場合だと、政府の財政赤字が拡大しその後のアメリカ経済は80年代のある時期まで高インフレに苦しめられつづけました。

      コストを最小限にして、経済への影響を限定的にするためには、「短期決戦」を強力に推し進める必要があります。しかし、残念ながらテロに代表されるLIWは短期決戦に最も向かない戦争ですし(戦略目標がそもそもない、というか移動してる!)、それなりに強力な近代軍を保有する国家(イラン・イラク・北朝鮮)と戦争をすると短期決戦はそもそも不可能となります

      ・・・と寝不足気味で話が破綻しているような気がしなくもないというか、書きながら意識が遠くなってきたので、起きたら書き直します。

      おやすみなさい
      親コメント

コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

処理中...