水蒸気電解の効率は結構高い(こちらの電中研の報告 [denken.or.jp]によれば、「総消費電力に対する発生水素の高位発熱量」効率で98%)みたいなので、断熱と廃熱回収をがっちりやれば、sunfire社のプレスリリースにある効率70%("The power-to-liquids technology reaches system efficiencies of about 70 per cent.")も不可能ではないように思えます。
# ところで、ストーリーの「通常のディーゼル燃料の70%程度のエネルギー効率が得られる」ってこの部分の誤訳ではないですか
要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:0)
つまり全く得をしていない。
また例によって再生可能エネルギー前提なところがいかにもドイツらしいが、
それで国内需要をまかないきれるのか?
特に0.04%しかない空気中の二酸化炭素をどうやって効率的に集めるというのか。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:5, 参考になる)
得するかしないかではなく、大気中CO2という形で現在積み上げている負債を
いかにして返すかの問題で、すでに二酸化炭素の回収・貯蔵というのはそれ自体
がテーマとなっています。
そもそも、CO2増大による生活・産業を維持するエネルギーの増大がCO2を
人工的に固定化するエネルギーを上回るという状況において、その状況を
脱出して、CO2濃度の自然減にもっていくまでの期間を想定し、有効な手段
を選ばなければならないといいうのが前提なので、
この場合に比較するべきなのは、これまで炭素固定の選択肢として提案されてきた
(A)地下水に溶かして一定期間固定する
(B)CO2が再気化しないほどの海底に送り込んで固定する
といった方法と比べて、今回の
(C)ディーゼル燃料として再利用可能な状態で貯留する
という手段が効率がよいかです。
・内燃機関の置き換えが間に合わない分野で再利用する
・CO2濃度が自然減になる見通しがたつまで貯留し、その後再利用する
などの状況を想像すれば
(A)や(B)と比べて(C)が有利になる可能性はあると思います。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
(D)植林
あとREDD [affrc.go.jp]も大事。
育った木は建築材料として利用することにより、生産するときに大量のCO2を排出する鉄やセメントの消費を抑制することができます。
Jubilee
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
そんときゃフロンでも撒きましょう。
減らす意義があるかは知りませんが、
減らしすぎた場合の対処は可能です。
エネルギー本位制 (スコア:3, 興味深い)
SFモノだと
未来ではあらゆるものが合成できる。その合成のためのエネルギーをいかに獲得するかが問題である
という展開はよくあります。
今回の研究成果が示すことは、化石燃料を従来よりも効率よく合成できるということであり、
”エネルギーさえ確保できれば”南極でも山奥でも海の上でもディーゼルの補給が可能ということです
なんとなく未来の予感はしませんか
エネルギーを安定保管できる形に変換できる事が重要 (スコア:1)
損得ではなく、気体(水素)や電気で無い形で安定保管できる液体に
変えるという意味で自然エネルギーを有効活用できる可能性を広げた
のではないかな?
Re: (スコア:0)
同感です。
揚水発電と同じように
自然エネルギー(や原発など)で電力需要の低い時間帯に捨てられる電力を
保管しやすい形に変え需要の高い時間帯で使えるようにすることは得であると思います。
実用には課題があると思いますが人類に貢献する成果を期待しています。
Re: (スコア:0)
保管という観点を素人なりに考えてみると、レドックスフロー電池みたいに使えたりすると便利そう。
電解液に蓄えるんじゃなく作ったそばから別のタンクに追加していくんだし、アップサイジングは電池よりも楽になったりしないかな?
火力発電所とパッケージングした発電/燃料精製/CO2処理施設なんて夢も。
Re: (スコア:0)
逆パターンも行けるかな?
EVが増えて太陽電池を装備した充電ステーションが増えた時なんか、
自前のバッファー用バッテリーの容量を超えた時に電力を捨てずにディーゼルオイルを作れる。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
元記事にあたってないから、真偽は任せる。
日本だと鉄鋼や石化業界が掃いて捨てるほどのCO2出してるので、それ使えばいいんじゃね?
火力発電所のCO2でもいいし、新潟のガス田から排出されるCO2でも良い。
中東や東南アジアの油ガス井では、原油や可燃性ガスに付随して大量のCO2が排出されてるので、
産油産ガス国にとっても良いニュースだと思う。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
得したらとんでもない大事件じゃね。
Re: (スコア:0)
既存の自動車に使える形態にエネルギーを変換した、ということが主眼なのだから、得をしていない点を非難するのはお門違い。
自然エネルギーはどうやって平準化するか、ということも重要な課題なので、この考えはアリでしょう。
日本で言えば、水素に変換しようとしているのと同じだね。
※個人的には水素なんぞという使いにくいものに変換するのはアホだと思っているが。
一方、原料のCO2に関してはたしかに微妙だなぁ…。
おそらく、化石燃料発電とかで出たCO2の活用を目論んでるんだろうけど、その場合はCO2放出になっちゃうから良くないか。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:4, 興味深い)
重量あたりのエネルギー密度でいうと、水素は超便利なんですけどね。エネルギー密度を問題にしないなら、それこそゼンマイでも良かったわけで。ただ、生物界の答えは「糖」だったので、砂糖電池の実用化が一番バランスがとれているんでしょうが。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
ただ燃やすのに糖を使うなんて酸素が多い分すごく不利な気が。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
>水素
重量辺りエネルギー密度が効くからロケット燃料に使われるわけですが、自動車など日常生活空間で使う分には体積あたりのエネルギー密度の方が重要で、その視点では水素は箸にも棒にもかからないレベルになってしまうわけです。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
>水素 重量辺りエネルギー密度が効くからロケット燃料に使われるわけですが、
それは違います。水素が使われるのは推進剤となる噴射ガスの分子量が小さいからです。軽い分子を高速で噴射すると比推力が向上します。比推力は、まあ燃費みたいなものです。宇宙に持ち上げたあとの能率がよいから使われます。
地上からの打ち上げにも使いますが、たとえばH-IIA第一段の水素燃料エンジンLE-7Aの推力では自重を持ち上げることはできません。重力損失やら空気抵抗やらの大きい地表近くからさっさと離れるために、比推力は低いが推力の絶対値の大きな固体ロケットブースターSRB-Aを使います。燃料はゴムなど。アポロでは燃料はケロシンでした。
体積エネルギー密度が低いのはおっしゃるとおりです。ロケットでは極低温の液体水素を使っても比重がやたらに小さくてかさばります。常温で一応実用化したことになっているトヨタのミライでも70MPaという高圧タンクを使っていますね。普通のガスボンベより一桁高圧です。日常的な単位では、700気圧。切手の面積に1トン以上の力がかかっています。なかなかに扱いづらい素材のようで。分子量小さくてすぐ漏れるし。
Jubilee
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
ロケット燃料としてみた時の誤解について、ご指摘ありがとうございます。
地上で日常的に使用する交通手段の燃料としては筋が悪い、という点で同意いただけていれば、異論はありません。
Re: (スコア:0)
栓を付けて圧縮すればいいだけですよ。プロパンガスとか見たことない世代かな?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
プロパンガスとか見たことない世代かな?
なんだ、未来人か。
Re: (スコア:0)
ロケットは大気の酸素を当てにしないので、ここでの比較は不適当だと思う。
Re: (スコア:0)
水素や天然ガス(メタンガス)は圧縮しても常温では液化できないのは知ってますよね。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
理論上はそうなんでしょうけど、水素分子は小さく軽すぎて保管に要するタンクや吸蔵合金が重く、
自動車などに用いるレベルでは、実用上エネルギー密度が高いとは言いがたいのでは?
ロケットエンジンのように、大量の水素を短時間で使い切る用途なら良いのですけどね。
また、砂糖電池を否定するわけではないですが、生物界の方は水ベースの体液を用いることを前提として、
その体液に乗せて全身に搬送、個別の細胞ごとに糖を消費してエネルギーにする前提ですので、
一カ所で砂糖を消費し電気に変換したい砂糖電池と一緒くたにして考えるわけにはいかないのではないでしょうか。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
で、原発の電気で油をつくるのと、原発の電気でそのまま電気自動車を動かすのとではどっちがいいんだろうか?
(別に原発じゃなくても水力とかでもいいが…火力については
>例えると、火力発電所から発生した二酸化炭素を
>火力発電所の電力で車の燃料に変換するくらいなら
>火力発電所の燃料を直接車で使えるようにしたほうが効率がいいって話。
とはいいつつ、今でも電気自動車のエネルギーの元はほぼ火力ですよねえ。(日本は原発動いてないし)
)
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
エネルギー輸送費を考慮に入れても、火力発電の電力で電気自動車を動かしたほうが内燃機関よりも効率がいいんだがなあ、、
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
はて、http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax12.html#120420ここらの計算では、
火力→電池→モーターで動かすリーフよりも、ハイブリッドの方が効率いい、ってあるんだけどなぁ
Re: (スコア:0)
ハイブリッドが有利なケースだと、車体重量の関係でよりガソリン車の方が有利じゃなでしょうか。
一時停止がよく発生する生活道路だけに着目すると、モーター自体の特性的には有利なんでしょうが、
電気を持ち歩く・・・バッテリーの重量の関係で、しばらくはハイブリッド有利なのかな。
とはいえ、長距離移動など、電気自動車よりハイブリッドが有利なケースは、ガソリン車の方に軍配が上がる。
ハイブリッドはガソリン車と比較して車体重量が重くなりがちで、燃費差は値段なりの燃費の差があるかどうか。
エネルギー輸送費というかエネルギー密度というのは、重要ですね。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
自動車には液体燃料でしょう。
ジェリカンにガソリンなどの液体燃料を詰めれば砂漠の果てまで気軽に持っていける。
その自動車を国際商品として展開させたいならばその点は見逃せない。だから水素や電池式電気自動車は分が悪い。環境的視点が抜けているが、まあいいか。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:2)
>ジェリカンにガソリンなどの液体燃料を詰めれば砂漠の果てまで気軽に持っていける。
全く同感です。
東日本大震災みたいに町単位で災害に遭った場合、車を使えるかというのは重要な問題になると思います。
あのとき、秋田では一ヶ月くらい物流が麻痺したんですが、原因はガソリンスタンドの在庫がつきて、物流のトラックに給油できないことだったようです。
最悪、人間がタンクで燃料を持って行けるというのは、非常に重要です。
ガス欠した車(とか重機) まで、手軽に救援できるのであれば、帰ってこれないというリスクは低くなるので。
>環境的視点が抜けているが、まあいいか。
僻地のメガソーラーを使って、大気中の二酸化炭素を燃料化できるなら環境的にも有りだと思いますね。
ディーゼル燃料なら保管も楽なので、たとえば秋田みたいに春から秋まで晴天が続く土地なら、その期間で燃料を備蓄し、冬にそれを使ってコ・ジェネで電機と暖房という手段もとれますね。
Re: (スコア:0)
電気自動車ばっかりになったらマッドマックスどうなっちゃうんだろうね
Re: (スコア:0)
>つまり全く得をしていない。
それでもこれが「効率よく」行われるならばすごいブレークスルーですよ。
今までは生物の光合成(これでもエネルギー効率としては40%程度?)にかなう方法は無かったんだから。
Re: (スコア:0)
「風力やソーラーなどの再生可能エネルギー源により発電された電力を用い、水を摂氏800度まで加熱して酸素と水素に熱分解する。次に2段階の化学反応を経て水素と二酸化炭素からBlue Crudeと呼ばれる長鎖炭化水素を合成する。あとはBlue Crudeを精製することでe-dieselができあがる。」
この過程でどうやって40%以上の効率になると…?
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:4, 参考になる)
水蒸気電解の効率は結構高い(こちらの電中研の報告 [denken.or.jp]によれば、「総消費電力に対する発生水素の高位発熱量」効率で98%)みたいなので、断熱と廃熱回収をがっちりやれば、sunfire社のプレスリリースにある効率70%("The power-to-liquids technology reaches system efficiencies of about 70 per cent.")も不可能ではないように思えます。
# ところで、ストーリーの「通常のディーゼル燃料の70%程度のエネルギー効率が得られる」ってこの部分の誤訳ではないですか
まぁ、光合成のすごいとこは「太陽光程度の密度の光エネルギーを高効率で化学エネルギーに変換する」点にあって、電気のように使いやすいものとはもともと比較できないと思います。
それとオフトピ気味ですが、光合成の効率って何十%も無い気がします。この文献 [sciencedirect.com]によれば、C3植物で4.6%、C4植物で6%程度とあります。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
Re: (スコア:0)
うーん。ソーラーパネルの効率自体が低いですからねえ。(今せいぜい20%?)
バイオ(藻など)で油つくったほうがいいかもですねえ。
Re: (スコア:0)
太陽電池の効率の方がずっと高いですよ?
普通のパネルで~20%、多接合型なら~40%ぐらいです。
バイオから(アルコール等の)燃料への効率は1%台ととても低いですが、安く大規模なプラントを作りやすいのが利点。
もう一つは太陽光は電気エネルギーなので保存できないけど、バイオから燃料の場合は保存できるのが利点。
Re: (スコア:0)
ですよね。
例えると、火力発電所から発生した二酸化炭素を
火力発電所の電力で車の燃料に変換するくらいなら
火力発電所の燃料を直接車で使えるようにしたほうが効率がいいって話。
まあ自然エネルギーによる電力変動を吸収するのが目的だろうけど。
Re: (スコア:0)
根本的に移動体と火力発電所は違うので、火力発電所の燃料を直接車で使えるように
しても効率がよくなるとは限りません。
火力発電所で用いている重油や石炭を乗せて運搬するのは効率が悪くなります。
エネルギー密度で釣り合うのは、リチウム電池あたりからです。
あるいはガスタービンを想像するならば、火力発電所のように大きく・高速回転しな
ければ、効率はよくなりません。そんなものを走らせるわけには行きません。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
燃料の種類を用途に合ったものに変換する必要はわかるのですが、
電気に変換せずに直接化学的に転換するのと比べて有利なのかな?
重油→ガソリンみたいなのはあるのかわからないけど、
石炭→ガソリンとかなら実用化されてるよね。(経済的に見合わないことが多いイメージだけど)
Re:重油→ガソリン (スコア:2)
クラッキングですね、
Re: (スコア:0)
こういった技術が発展すれば、例えば水力資源が豊富だけど石油資源のない国(アイスランドとか)では
燃料の自給も可能になり経済的にも安定するのでは無いでしょうか。
Re: (スコア:0)
こういう国は森林資源が豊富だからバイオマスの方が有効かと。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
はて、アイスランドにまとまった森林ってありましたっけ?あと、あの国では地熱で全部賄っておつりが輸出できるはず。電力で液体燃料が生産できるようになったら。
もしかしてオーストリアあたりをイメージしていますか?だとすると、バイオマスの伝道師連中が伏せている大きな要素にも注意を払うべきでしょう。それはもちろん、人口密度です。
Jubilee
Re: (スコア:0)
電気エネルギーを燃料に変換できたら
備蓄や輸送が簡単になる、という利点があります
変換効率100%や、100%以上は、原理的にありえない訳で
変換効率だけで損得を論ずるのは、不毛です
Re: (スコア:0)
100%がないからこそ効率が問題なんだよ。
電力から水素への変換効率は高いが、輸送と保存に難がある。
炭化水素は安定しているが、工程が複雑でロスが大きい。
利用されるまで元のエネルギーのほとんどが離散しているのなら
意味が無いということ。
Re: (スコア:0)
無駄になりやすい自然エネルギーを、燃料にして「蓄える」というだけの話に何でそんなに食い付くのか。
Re:要は電力をそのまま化学エネルギーに変換したと。 (スコア:1)
『燃料にして「蓄える」』プラントが有効に稼動するためには、それだけ現在『無駄』になってるエネルギーを集積しなくちゃいけないんですが、集めるためのコストが「蓄え」られるエネルギーより大きいなら、やらない方が省エネですよね。
そこで「どっちがおトク?」ってのが問題になるんですが、まぁ解釈のしようにもよるので議論(?)も盛り上がろうというものです。