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まず「低温低湿」環境と「高温多湿」環境で比較ってのがちょっと変な気がします。
ただ、多湿で故障するのは一般的な話しです。下記文献のように内部で使用するアルミの腐食による故障は、湿度比の4.5乗に比例するんだからアレニウスの式、温度+10℃で故障率2倍よりかなり高いので当たり前のような気がします。
光・マイクロ波半導体 品質/信頼性ハンドブック 故障モードとメカニズム [renesas.com]によれば、
(2)アルミ腐食のメカニズムアルミ(AI)は,電気化学のイオン化傾向が高く,非常に腐食しやすい金属です。この電気化学反応は,印加するバイアスの影響を受けるため,バイアス値が増大するにつれて腐食も大きくなり,印加するバイアスの極性により腐食のモードが異なります。これは,バイアス印加により発生する電界により,引き寄せられて反応するイオンが異なるためです。アルミ腐食に対する活性化エネルギーは,ばらつきがあり,0.5~1.0 eV程度が報告されています。1つの目安として,実使用環境を25℃,55%RH,活性化エネルギーを0.5 eV,湿度加速を湿度比の4.5乗に比例すると仮定すると,表3-2に示す値となります。85℃,85%RH試験の加速係数は100倍以上になります。すなわち,実使用10年は,85℃,85%RHで1000時間試験を実施することで確認できます。(4)耐湿性対策耐湿性の改善は,① チップ表面のパッシベーション膜(保護膜)② 樹脂の低吸湿化,密着性向上の2面から進めてきました。①に関しては,10年以上前に,パッシベーション膜がSiO2膜から,緻密で耐湿性の高いSiN膜へ改善されました。しかしながら,SiN膜化は,耐湿性は上がるものの,アルミ配線やウエハ自体に応力がかかるという問題があります。現在,通常のプラズマSiO2膜よりも透水性の低いSiO2膜の開発が進んでいます。②に関しては,表3-3に示すように低吸湿樹脂の導入により,1桁以上寿命が改善しました。
(2)アルミ腐食のメカニズムアルミ(AI)は,電気化学のイオン化傾向が高く,非常に腐食しやすい金属です。この電気化学反応は,印加するバイアスの影響を受けるため,バイアス値が増大するにつれて腐食も大きくなり,印加するバイアスの極性により腐食のモードが異なります。これは,バイアス印加により発生する電界により,引き寄せられて反応するイオンが異なるためです。
アルミ腐食に対する活性化エネルギーは,ばらつきがあり,0.5~1.0 eV程度が報告されています。1つの目安として,実使用環境を25℃,55%RH,活性化エネルギーを0.5 eV,湿度加速を湿度比の4.5乗に比例すると仮定すると,表3-2に示す値となります。85℃,85%RH試験の加速係数は100倍以上になります。すなわち,実使用10年は,85℃,85%RHで1000時間試験を実施することで確認できます。
(4)耐湿性対策耐湿性の改善は,① チップ表面のパッシベーション膜(保護膜)② 樹脂の低吸湿化,密着性向上の2面から進めてきました。①に関しては,10年以上前に,パッシベーション膜がSiO2膜から,緻密で耐湿性の高いSiN膜へ改善されました。しかしながら,SiN膜化は,耐湿性は上がるものの,アルミ配線やウエハ自体に応力がかかるという問題があります。現在,通常のプラズマSiO2膜よりも透水性の低いSiO2膜の開発が進んでいます。②に関しては,表3-3に示すように低吸湿樹脂の導入により,1桁以上寿命が改善しました。
他にもフォトカプラ・LEDなど光半導体は、部品の密閉が甘いと加湿状態で部品内部のアルミの酸化から輝度劣化し、CTRが急激に落ちてまともに動作しなりがちなので、可能ならCTRの下限に安全率4~5程度かけて設計したりします。たまに回収騒ぎになるので自衛自衛。。
あとは、湿度+塩水で薄膜抵抗の電食破壊で抵抗値狂ってしまうので、梅雨の季節の海の近くに置いた装置が、抵抗故障で火を噴いたりとか。湿度による故障には事欠きませんね。まあ、HDDに薄膜(低ノイズ・高価)なんて使わないでしょうけれど。
低温低湿での故障率を下げようという話なら分かるけど、湿度が高いと壊れやすいって言われても、ねぇ、って感想。あと、もう少し詳しく見ると、一番やばいのは結露。高湿状態で温度が安定してなくて、というのもあるんじゃないかな。つまり平均値としての温度・湿度だけではHDDにとっての環境要因を正しく捉えていないのではないかと。
冷蔵庫とかクーラーとか、ああいう系統の冷却装置(=ヒートポンプ)を使えば自然と低湿になるし、温度は完全にコントロールできるから低温低湿になる。問題は水冷や空冷で十分に冷やしきれない場合。この研究が言ってるのは、「たとえ高温でも湿度が低ければ大した問題にはならない」及び「たとえ故障率が上がっても水冷・空冷の方が経済的」だから、要するに「温度は気にする必要がない」ってこと。
もちろん、全く冷却しなければ目に見えて故障するだろうけど、そういうことじゃなくて、冷却方法が外気の送風だけ(今のトレンド。GoogleやMSも採用)の場合、ヒートポンプ系のきっちりした冷却に比べて確かに故障率が高くなるが、それは外気に含まれる湿気が原因で、冷却性能が低い(=温度があまり下がらない)のは、湿度を下げにくいことに比べれば大したことがない、ということ。具体的に言うと、冷却装置で低温低湿にした場合にくらべ、水冷で高温低湿(外気を入れずに水の管との接触で冷やす)にすれば5割増し、空冷(涼しい外気を入れて、温まった空気を外に捨てる)で高温高湿にすれば最大3倍程度の故障率になる。でも、壊れた部分を取り換える方が冷房の電気代よりは格段に安いから、データセンターは全部空冷でいい、という結論。
ちなみにここで言ってる空冷は
4. コストのかからない冷却手段を活用する「コストのかからない冷却手段」とは、大型の空調装置や冷房を使わずにデータ センターから熱を取ることです。たとえば、外部の冷気、水の気化、蓄熱体など、自然環境を使って機器を冷却できます。地域の条件を利用し、すべてのデータ センターでコストのかからない冷却手段を活用しています。機械的な冷房装置を使う必要をなくすことは、省エネとコスト削減を実現する最大のチャンスです。
4. コストのかからない冷却手段を活用する
「コストのかからない冷却手段」とは、大型の空調装置や冷房を使わずにデータ センターから熱を取ることです。たとえば、外部の冷気、水の気化、蓄熱体など、自然環境を使って機器を冷却できます。地域の条件を利用し、すべてのデータ センターでコストのかからない冷却手段を活用しています。機械的な冷房装置を使う必要をなくすことは、省エネとコスト削減を実現する最大のチャンスです。
のこと。https://www.google.com/intl/ja_ALL/green/efficiency/datacenters/ [google.com]
一応調査対象がデータセンターなんで空調は入っているはず。空調が入っているのであれば温度と湿度は一定のはず。少なくとも温度はほぼ一定でしょう。
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs
多湿では壊れる (スコア:5, 参考になる)
まず「低温低湿」環境と「高温多湿」環境で比較ってのがちょっと変な気がします。
ただ、多湿で故障するのは一般的な話しです。
下記文献のように内部で使用するアルミの腐食による故障は、湿度比の4.5乗に比例するんだから
アレニウスの式、温度+10℃で故障率2倍よりかなり高いので当たり前のような気がします。
光・マイクロ波半導体 品質/信頼性ハンドブック 故障モードとメカニズム [renesas.com]によれば、
他にもフォトカプラ・LEDなど光半導体は、部品の密閉が甘いと加湿状態で
部品内部のアルミの酸化から輝度劣化し、CTRが急激に落ちてまともに
動作しなりがちなので、可能ならCTRの下限に安全率4~5程度かけて設計したりします。
たまに回収騒ぎになるので自衛自衛。。
あとは、湿度+塩水で薄膜抵抗の電食破壊で抵抗値狂ってしまうので、
梅雨の季節の海の近くに置いた装置が、抵抗故障で火を噴いたりとか。
湿度による故障には事欠きませんね。
まあ、HDDに薄膜(低ノイズ・高価)なんて使わないでしょうけれど。
Re:多湿では壊れる (スコア:1)
低温低湿での故障率を下げようという話なら分かるけど、湿度が高いと壊れやすいって言われても、ねぇ、って感想。
あと、もう少し詳しく見ると、一番やばいのは結露。高湿状態で温度が安定してなくて、というのもあるんじゃないかな。つまり平均値としての温度・湿度だけではHDDにとっての環境要因を正しく捉えていないのではないかと。
Re:多湿では壊れる (スコア:2, 興味深い)
冷蔵庫とかクーラーとか、ああいう系統の冷却装置(=ヒートポンプ)を使えば自然と低湿になるし、温度は完全にコントロールできるから低温低湿になる。問題は水冷や空冷で十分に冷やしきれない場合。この研究が言ってるのは、「たとえ高温でも湿度が低ければ大した問題にはならない」及び「たとえ故障率が上がっても水冷・空冷の方が経済的」だから、要するに「温度は気にする必要がない」ってこと。
もちろん、全く冷却しなければ目に見えて故障するだろうけど、そういうことじゃなくて、冷却方法が外気の送風だけ(今のトレンド。GoogleやMSも採用)の場合、ヒートポンプ系のきっちりした冷却に比べて確かに故障率が高くなるが、それは外気に含まれる湿気が原因で、冷却性能が低い(=温度があまり下がらない)のは、湿度を下げにくいことに比べれば大したことがない、ということ。具体的に言うと、冷却装置で低温低湿にした場合にくらべ、水冷で高温低湿(外気を入れずに水の管との接触で冷やす)にすれば5割増し、空冷(涼しい外気を入れて、温まった空気を外に捨てる)で高温高湿にすれば最大3倍程度の故障率になる。でも、壊れた部分を取り換える方が冷房の電気代よりは格段に安いから、データセンターは全部空冷でいい、という結論。
ちなみにここで言ってる空冷は
のこと。
https://www.google.com/intl/ja_ALL/green/efficiency/datacenters/ [google.com]
Re: (スコア:0)
一応調査対象がデータセンターなんで空調は入っているはず。
空調が入っているのであれば温度と湿度は一定のはず。
少なくとも温度はほぼ一定でしょう。