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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン
行ってきました (スコア:2, 参考になる)
すごーい。おもしろーい(童心が大爆発)。
国立科学博物館の新宿分館は,思ったより大きな施設でした。オープンラボは,研究室や標本保管室をそのまま公開していて,そこにいる研究員の方が展示物の説明などをしていました。簡単なポスタ資料があちこちに貼ってありましたけど,説明資料は基本的に無し。けれども,大量の標本を直に見れるので,特に資料なんて必要無いと思いました(あればもっと嬉しかったですけど,でもまあ,あれだけ大量の標本・展示物について説明資料を改めて用意するのは,無理ですね,きっと)。研究員の方は親切に質問に答えて下さいました。
見学者は,親子連れ,大学関係者(学生さん)が多かったです。見学者の方で,特に年配の方で,かなり色々な質問を熱心にしていた方が多かったのが印象的。質問する側も説明する側も,みなさん楽しそうでした。
観た展示はどれも面白かったのですが,印象に残った展示と説明をひとつ紹介。ナウマン象の骨格標本を見ると,カカトが浮いていたので,「骨格標本だと,動物がカカトを浮かせて歩いているのがよく分かりますね」と言うと,説明員の方曰く「実は,本当にこうやって歩いているのかどうか,よく分からない」とのこと。なんでも,象の足は分厚い肉で覆われていて,その肉の中を骨が自在に動く(?)そうです。象が歩くときにカカトが地面についているかどうかは,外から観察しても分からない。そのため,データも無く,はっきりした事は分からないのだそうです。
標本を直に見て,素朴な疑問を抱き,それに答えてもらえること。こういう,役には立たないけれど,感心・感嘆できる知識を得る過程が,何より楽しいと感じました。ちなみに,人間の他にカカトをつけて歩くのは,猿のいくつかの種や,熊とかだそうです。
あと,電子顕微鏡を実際に操作させてもらえたのが面白かったですね(機械好きなので)。
昆虫標本と魚の標本は,虫と魚が苦手なので見ませんでした:-) 情けない…。イルカの解剖もやっていたそうなんですが,そちらは時間がなくて見れず(寝坊したので)。
記念(?)に,「日本の博物図譜」という本を購入してきました。江戸後期から明治にかけての,動植物のスケッチ図版が収録された本です。眺めるだけで楽しいです。
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午後からの「理科教科書をオモシロクする」シンポジウムにも参加しました。
話題提供者は4人。単に「理科教科書はこうあるべきだ」という話ではなく,理科(科学)という学問の面白さとはどういうものか,についてのプレゼンテーションのような印象をもちました。各人とも,お話はとても面白かったです。以下,ごく簡単に内容を書いておきます(私の理解なので,誤解があったらゴメンなさい)。
国立科学博物館の遠藤秀樹氏:「博物館がつくる教科書」
教科書に掲載された生物の消化管を説明する図と,実際の生物の解剖現場の写真とを見せて,理科教科書を書く人達がこういった現場を知らずに教科書を執筆する事で,現場のもつ「エネルギー」が失われてしまっているのではないか。その現場を知るものとして,博物館が新しい教科書つくりに貢献できるはずだ。
東京学芸大学付属高校の川角博氏:「理科の教科書は役に立つか」
実際に高校生相手の授業をもつ立場からの意見。理科教科書が役に立っていると答えた教師・生徒はともに約半分ぐらい。教科書の間違いを,読む側は見逃さないので,教科書の記述は厳密すぎるぐらいに正確でなければならない。生徒側は,もっと情報量の多い教科書を望んでいるようだ。教師側にとって,教科書というのは,何をどの順番で教えるのかという手順の参考として役に立っているようだ。
国立科学博物館の馬場悠男氏:「人類史研究は教科書に何をもたらすか」
ちょっと本筋から離れた脱線気味な話。人類史における最新研究動向の紹介。旧来の「猿人・原人・旧人・新人」といったおおまかな分類について,より詳細な進化の過程が判明しつつあり,それぞれ多様な種がいたという証拠が見つかっている。現在のヒトは,チンパンジー等に比べて発育が遅く,幼年期・思春期がある。また,ヒトの成長過程では,脳の発達よりも身体の発達の方が遅い。これは,未発達な身体という「行動の抑制」を課す事で,より長期間の学習を促がしているのではないか。この話から,脳・身体・性的な成長のバランスの話になり,そこからこじつけて,教育にもバランスが必要ではないか,という喩え話。
国立基礎生物学研究所の塚谷裕一氏:「教科書を越えて―現・生物学への誘い」
現在の生物学は,DNA・RNA・タンパク質などの機能を理解する事で全ての生物種に適用可能な統一原理が見つかるはずだという「セントラル・ドグマ」の考え方から,再び,生物の多様性こそが重要という考え方になりつつある。その考え方のもと,生物(植物)の分類ごとにモデル生物(植物)を設定し調べる事で,多くの新しい成果が生み出されている。生物学とは元来,博物学的なものであり,そのバックボーンとして大量の知識を必要とする。教科書のように掲載できる知識が限られている本では,その博物学的要素を伝えられない。いっそ誰にも暗記できないくらいに大量の知識を教科書に掲載してしまうのはどうか。副読本の利用も有効だろう。
シンポジウムの参加者には,教職の方も多くおられたようです。標本には見るものをわくわくさせる「力」があるのでもっと積極的に活用してはどうか,教科書の変革よりも先にまず教師の方が「科学者」としての自覚と能力をもたなければならない,といった意見が会場から挙がりました(これも,私の理解なので,誤解があったらゴメンなさい)。
みなさん,教科書云々というよりは,「どうすれば理科(科学)の面白さを伝える事ができるのか」という視点で話をしていたように思います。必要なのは,出来の良い教科書だけでは無く,大人側の,こういった視点・姿勢だと思いました。
という訳で,非常に面白い一日でした。
Re:行ってきました (スコア:1)
スコアが減っちゃった方,ごめんなさいー。
Re:行ってきました (スコア:1)
来年こそは行くぞー、と思いつつ、早数年・・・。
# +モデありがとうございました。(ぉ
Re:行ってきました (スコア:1)
多人数が押し寄せる中、研究員の方直々に対応、説明していただけたとは。
私の思い込み [srad.jp]が杞憂にすぎなかったことがわかり、感服しました。
シンポジウムの方も、会場の見学者を含めて活発な議論がかわされたようで、参加された方がうらやましいかぎりです。
次回には、できれば見に行きたいなぁ。
とはいえけっこう遠いんですよ。東京って。