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> 立方晶ヒ化ホウ素は合成が難しいが全てじゃないのか?
熱伝導性がダイヤに匹敵とか言うのも、”欠陥がなければ”の話であり、2018年時点の各論文を見ると、350~1300W/mKとばらつきがあり、一定純度のものを安定して生成することもまだ出来ていない。(IC用途にはイレブンナイン:99.999999999%の純度を安定して生成できることが必要)
また、生成できた単結晶のサイズも、CVT法(化学気相輸送法:大量生産に向かない)のため、10mmサイズがやっと。https://www.materialstoday.com/nanomaterials/news/boron-arsenide-helps... [materialstoday.com]
一言で言えば、今の処、c-BAsは1920年代の鉱石ラジオ時代にいる感じ。シリコンでのCZ法とか、SiCでのレーリー法とか、そういうのを発明せねばならない。
並みいる新半導体材料をものともしないシリコンは偉大なんだな。
単結晶製造技術が重要というべき。航空機のタービンブレードとか。
新素材で嫁が作れるかどうかだな
それはシリコーン
Siの強みは微細化と低コストであって、単体性能は元々大したことないんだよね。無線向けの高周波用途なら昔からSiGeとかInPとかが使われてたし、最近のパワー向けにはSiCとかGaNが増えてきた。それでも微細なロジックなどの汎用向けにはSiに敵うものどころか、性能数桁下のライバルすらない。
例えば、1umプロセスで33MHz動作だった486が10倍の330MHzで動作する可能性があります、と言ったって誰も喜ばない。だから微細化できない新しい半導体材料は、微細化が必要ないパワー向けで戦うしかないのです。そして遠い将来のパワー向けではダイヤモンドが強すぎるので、なかなか大変ですね。
どちらにしても、今の半導体でSiが圧倒的に強いのも、最近のパワー向けでSiCとかGaNが普及してきたのも、高品質な製造技術に寄るところが大きいです。製造技術のニュースにも関心を寄せてもらえると嬉しい。
結晶の製造が安定しているから低コストってのはわかるけど、微細化は低コストだから微細化技術への投資が盛んで結果的にそうなってる部分もありそう。性質として微細化に向いてるっていうのはどういう性質に基づくものなんだろう?
微細化には欠陥の密度が極めて低いことも必要です。パワー半導体では大きな素子の一部に欠陥があってもオン抵抗が上がるとかで済むが、微細なロジック素子では動作しない製造不良になる。例えば欠陥密度が10%や20%高いぐらいならコストが上がるぐらいで済むけど、他の半導体技術ではSiに比べて数桁も欠陥密度が高いので、今のところ大規模ロジック向けに使える見込みはありません。
てことはSiの強みというか、高品位な結晶の製造技術が確立しているが故の強みで、Si自体には強みと呼べるものはほぼないって事か
"強みと呼べるものはほぼない"とまで言うと語弊があり(なにせ実用化できているのだから)、弱みもある、とは言えます。#4303046 [srad.jp]が紹介しているIEEE雑誌の記事に、その辺りを上手くまとめた文章が載っていました。"For one thing, "から始まる段落と、その前の段落を意訳すると、「半導体の特性としては理想に程遠い。 ・先ず、熱伝導にすぐれない。コンピューターの冷却システムに費用がかかる。 ・さらに、電子移動度は高いが、正孔移動度は低い。(ただし、半導体材料の大半で、電子と正孔のどちらかの移動度だけが高い) これらは、シリコンの半導体としての効率を下げる弱点となっている。」とのことです。これに対して、立方晶ヒ化ホウ素は、熱伝導がよく、電子移動度も正孔移動度のどちらも高い半導体になる物性を備えている点でシリコンより優れている、ことが測定できたそうですが、なんせ半導体として機能する結晶を生成できたわけではない(あくまで結晶のどこかの部分がそういう特性を示しただけのこと)ので、相当先が長いと考えられます。
…なお、ここまで読めば分かる通り、タレコミ文中にある”電子だけでなくホール(正孔)の移動度もシリコン並に高く”の一文は完全な誤りで、元のニュースイッチ記事の文にある”電子だけでなくホール(正孔)の移動度も同様に高く”の”同様”は、”(電子の移動度と)同様に高く”のように掛かっており、シリコンの正孔移動度が高いわけではありません。
シリコンより優れた正孔移動度を持つものとしては、例えばGe(ゲルマニウム)があり、以前からゲートのチャンネルに利用されてるほか、2nm世代に向けた産総研の研究 [aist.go.jp]などに名前が出てくるように、まだまだ研究が進められています。
そこを分離して考える必要はないよ。電気特性が優れていることと、高品位な単結晶を作れること、微細加工の製造技術が確立してることは全てSiの強みです。高品位な単結晶を作れることも、微細加工の製造技術が確立してるのもSiだからできたことです。
それに対して、新しい材料が電気特性だけ優れていても対抗できない。電気特性だけ見たら今回のストーリーの物より、ダイヤモンドとかCNT、グラフェンの方が優れている。
気になるのは、他の材料で高品位な単結晶の製造技術が確立したら、急速Siからその材料に移行する可能性があるのかどうか、かなぁ。単一のブレイクスルーで主要な半導体材料の変遷が起こるかどうか。他の材料が抱えている問題が高品位な単結晶の製造だけで、あとの課題は高品位な単結晶があれば自然と解決するなら、結晶製造技術の動向が半導体市場の劇的な変化を引き起こす。投機家だけじゃなくて企業の投資姿勢的にも大きな影響を持つ。
太陽電池とか、高純度の単結晶じゃないけど問題ないけどね
いや、問題大有りよ。”高純度ではない”と一括りに言うには差が大きすぎる。具体的には、PVであっても、 純度6N(99.9999%)が必要 [wikipedia.org]。確か論文で見た単結晶Cubic BAsは99.9%程度なので、純度として最低3桁(国内推奨値に対しては6桁?)も足りていない。PV向けシリコンにはアモルファス系もあるけれど薄膜部分だけで、材質の大半としてはやっぱりその6~9Nの単結晶シリコンが必要なわけで、問題ないというにはほど遠い。(参考資料 [iop.org]。c-Si:単結晶、a-Si:アモル
ちなみに99.9%を高純度とか言っちゃうと、水道水は高純度ということになる(気体を除けば蒸発残留物0.5g/L以下)。一般に純水と言われる蒸留水の電気抵抗と、さらに高純度の原発等に用いる超純水の電気抵抗が、それぞれ一桁も異なるという物性を考えれば、たった3N(99.9%)を6Nと一括りにすることが、どれほど不見識なことかが分かるだろう。
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー
半導体利用は、単結晶の製造方法の確立ありき。 (スコア:5, 参考になる)
> 立方晶ヒ化ホウ素は合成が難しい
が全てじゃないのか?
熱伝導性がダイヤに匹敵とか言うのも、”欠陥がなければ”の話であり、
2018年時点の各論文を見ると、350~1300W/mKとばらつきがあり、
一定純度のものを安定して生成することもまだ出来ていない。
(IC用途にはイレブンナイン:99.999999999%の純度を安定して生成できることが必要)
また、生成できた単結晶のサイズも、
CVT法(化学気相輸送法:大量生産に向かない)のため、
10mmサイズがやっと。
https://www.materialstoday.com/nanomaterials/news/boron-arsenide-helps... [materialstoday.com]
一言で言えば、今の処、c-BAsは1920年代の鉱石ラジオ時代にいる感じ。
シリコンでのCZ法とか、SiCでのレーリー法とか、そういうのを発明せねばならない。
Re:半導体利用は、単結晶の製造方法の確立ありき。 (スコア:1)
並みいる新半導体材料をものともしないシリコンは偉大なんだな。
Re: (スコア:0)
単結晶製造技術が重要というべき。航空機のタービンブレードとか。
Re: (スコア:0)
新素材で嫁が作れるかどうかだな
Re:半導体利用は、単結晶の製造方法の確立ありき。 (スコア:1)
それはシリコーン
Re: (スコア:0)
Siの強みは微細化と低コストであって、単体性能は元々大したことないんだよね。
無線向けの高周波用途なら昔からSiGeとかInPとかが使われてたし、最近のパワー向けにはSiCとかGaNが増えてきた。
それでも微細なロジックなどの汎用向けにはSiに敵うものどころか、性能数桁下のライバルすらない。
例えば、1umプロセスで33MHz動作だった486が10倍の330MHzで動作する可能性があります、と言ったって誰も喜ばない。
だから微細化できない新しい半導体材料は、微細化が必要ないパワー向けで戦うしかないのです。
そして遠い将来のパワー向けではダイヤモンドが強すぎるので、なかなか大変ですね。
どちらにしても、今の半導体でSiが圧倒的に強いのも、最近のパワー向けでSiCとかGaNが普及してきたのも、高品質な製造技術に寄るところが大きいです。製造技術のニュースにも関心を寄せてもらえると嬉しい。
Re: (スコア:0)
結晶の製造が安定しているから低コストってのはわかるけど、
微細化は低コストだから微細化技術への投資が盛んで結果的にそうなってる部分もありそう。
性質として微細化に向いてるっていうのはどういう性質に基づくものなんだろう?
Re: (スコア:0)
微細化には欠陥の密度が極めて低いことも必要です。
パワー半導体では大きな素子の一部に欠陥があってもオン抵抗が上がるとかで済むが、微細なロジック素子では動作しない製造不良になる。
例えば欠陥密度が10%や20%高いぐらいならコストが上がるぐらいで済むけど、他の半導体技術ではSiに比べて数桁も欠陥密度が高いので、今のところ大規模ロジック向けに使える見込みはありません。
Re: (スコア:0)
てことはSiの強みというか、高品位な結晶の製造技術が確立しているが故の強みで、
Si自体には強みと呼べるものはほぼないって事か
Re:半導体利用は、単結晶の製造方法の確立ありき。 (スコア:1)
"強みと呼べるものはほぼない"とまで言うと語弊があり(なにせ実用化できているのだから)、弱みもある、とは言えます。
#4303046 [srad.jp]が紹介しているIEEE雑誌の記事に、その辺りを上手くまとめた文章が載っていました。
"For one thing, "から始まる段落と、その前の段落を意訳すると、
「半導体の特性としては理想に程遠い。
・先ず、熱伝導にすぐれない。コンピューターの冷却システムに費用がかかる。
・さらに、電子移動度は高いが、正孔移動度は低い。(ただし、半導体材料の大半で、電子と正孔のどちらかの移動度だけが高い)
これらは、シリコンの半導体としての効率を下げる弱点となっている。」
とのことです。
これに対して、立方晶ヒ化ホウ素は、熱伝導がよく、電子移動度も正孔移動度のどちらも高い半導体になる物性を備えている点でシリコンより優れている、ことが測定できたそうですが、なんせ半導体として機能する結晶を生成できたわけではない(あくまで結晶のどこかの部分がそういう特性を示しただけのこと)ので、相当先が長いと考えられます。
…なお、ここまで読めば分かる通り、タレコミ文中にある”電子だけでなくホール(正孔)の移動度もシリコン並に高く”の一文は完全な誤りで、
元のニュースイッチ記事の文にある”電子だけでなくホール(正孔)の移動度も同様に高く”の”同様”は、
”(電子の移動度と)同様に高く”のように掛かっており、シリコンの正孔移動度が高いわけではありません。
シリコンより優れた正孔移動度を持つものとしては、例えばGe(ゲルマニウム)があり、以前からゲートのチャンネルに利用されてるほか、2nm世代に向けた産総研の研究 [aist.go.jp]などに名前が出てくるように、まだまだ研究が進められています。
Re: (スコア:0)
そこを分離して考える必要はないよ。
電気特性が優れていることと、高品位な単結晶を作れること、微細加工の製造技術が確立してることは全てSiの強みです。
高品位な単結晶を作れることも、微細加工の製造技術が確立してるのもSiだからできたことです。
それに対して、新しい材料が電気特性だけ優れていても対抗できない。
電気特性だけ見たら今回のストーリーの物より、ダイヤモンドとかCNT、グラフェンの方が優れている。
Re: (スコア:0)
気になるのは、他の材料で高品位な単結晶の製造技術が確立したら、
急速Siからその材料に移行する可能性があるのかどうか、かなぁ。
単一のブレイクスルーで主要な半導体材料の変遷が起こるかどうか。
他の材料が抱えている問題が高品位な単結晶の製造だけで、
あとの課題は高品位な単結晶があれば自然と解決するなら、
結晶製造技術の動向が半導体市場の劇的な変化を引き起こす。
投機家だけじゃなくて企業の投資姿勢的にも大きな影響を持つ。
Re: (スコア:0)
太陽電池とか、高純度の単結晶じゃないけど問題ないけどね
Re: (スコア:0)
いや、問題大有りよ。”高純度ではない”と一括りに言うには差が大きすぎる。
具体的には、PVであっても、 純度6N(99.9999%)が必要 [wikipedia.org]。
確か論文で見た単結晶Cubic BAsは99.9%程度なので、純度として最低3桁(国内推奨値に対しては6桁?)も足りていない。
PV向けシリコンにはアモルファス系もあるけれど薄膜部分だけで、
材質の大半としてはやっぱりその6~9Nの単結晶シリコンが必要なわけで、問題ないというにはほど遠い。(参考資料 [iop.org]。c-Si:単結晶、a-Si:アモル
Re: (スコア:0)
ちなみに99.9%を高純度とか言っちゃうと、水道水は高純度ということになる(気体を除けば蒸発残留物0.5g/L以下)。
一般に純水と言われる蒸留水の電気抵抗と、さらに高純度の原発等に用いる超純水の電気抵抗が、それぞれ一桁も異なるという物性を考えれば、
たった3N(99.9%)を6Nと一括りにすることが、どれほど不見識なことかが分かるだろう。