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磁気冷却、磁気ヒートポンプ
これって今は-250度以下の極低温状態で素材をさらに冷やすのに使ってるヤツだよね
常温でもコストがペイするなら使ってたはずでは
最近流行ってたネッククーラーの凝固点を圧力とかでコントロールすれば同じような事が出来たりするのかな
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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」
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磁気冷却、磁気ヒートポンプ
Re: (スコア:0)
これって今は-250度以下の極低温状態で素材をさらに冷やすのに使ってるヤツだよね
常温でもコストがペイするなら使ってたはずでは
Re:検索キー (スコア:5, 参考になる)
根本的な原理は同じですが,使う物質(というかスピン源というか)が違います.
極低温での断熱消磁では,スピン間にほとんど相互作用の無い核スピンなどが使われます.
極低温で使える自由度が少ないなか,極低温でも動くものということで核スピンが便利なのですが,個々のスピン源のもつ磁化が小さいためそろえるためには大きな磁場が必要になります.
なので,
極低温から,さらに極度に低い温度を目指せる
装置は大掛かり(超伝導マグネット使用)
という感じの冷却手段です.
今回の例のようなものは,この断熱消磁(と同じような原理)を室温からの冷却に使おうというものですが,そのまま核スピンの磁化を使うわけにはいきません.
というのも,温度が上がると熱によるスピンの揺らぎの影響が非常に大きくなるので,それに打ち勝ってスピンを揃えるためにはものすごく強い磁場が必要になるためです.
ではどうするかというと,良く用いられるのが「強磁性転移温度近傍の強磁性体」(等)になります.
この場合,使用するのは原子中の電子のスピンであり,もともとの磁化が核スピンに比べ桁違いに大きくなります.
(スピンはまあ回転に関係した量なので,重いものほど回転がゆっくりになる関係で磁化の大きさはざっくり重さ分の一になります.陽子は電子の1840倍ぐらい重いので,その分だけ磁化が小さくなります)
さらに希土類元素のf電子など,不対電子を多く持つ(&軌道角運動量も大きい)原子を用いることで,1原子当たりの磁化を格段に大きくします.
ただこれだけではまだ室温&普通の強さの磁場で使うには弱いので,もう一つ「原子の持つ磁気モーメント間の相互作用」を利用します.
強磁性体では,隣り合うスピン間に同じ向きを向けようとする相互作用が働きます.磁気転移温度よりも低い温度(=その物質が磁石になっている温度)だと何もしなくてもスピンが同じ向きに揃ってしまうわけですが,磁気冷凍ではあえて磁気転移温度よりも少しだけ上の温度で使用します.
この状態では,「スピン同士を同じ向きに向けようとする相互作用よりも,熱による擾乱が微妙に勝っている状態」ですので,磁場が無ければスピンの向きはバラバラです.
しかしここに少しの磁場が加わると,「磁場でスピンが同じ向きに向こうとする効果 + スピン同士を同じ向きにそろえようとする強磁性相互作用」が温度に拮抗(とか,温度に勝り始めたり)するため,ちょっとの磁場でスピンをドカッとそろえることが可能になります.
これを使うと,室温付近でも十分な冷却が可能になることが知られています.
ただし,この手法が最大の効果を発揮するのは「運転時の磁性体の温度が,強磁性転移温度より微妙に高い状態」に限られますので,広い温度範囲を一つの物質でカバーすることは難しくなります(温度が変わると,冷却効率がガクッと落ちる).
このため,ちょっとずつ組成を変えて転移温度の違う物質を積層したり,多段の冷却サイクルにして各段=動作温度の違う部分ごとに最適化した転移温度の磁性体を配置する,などの工夫が必要になります.
なのでこちらの装置は,
超伝導マグネット不要でコンパクトなものも可能
ただし冷却能力を上げるには,動作温度に合わせた磁性体等の開発が不可欠
という感じになります.
ここ2~30年ぐらいは結構各社いろいろ研究して,徐々に性能が上がってきているイメージ.
(中部電力とか三菱とか東芝もここ数年でいろいろ発表していた覚えが)
Re: (スコア:0)
最近流行ってたネッククーラーの凝固点を圧力とかでコントロールすれば同じような事が出来たりするのかな