パスワードを忘れた? アカウント作成
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。

異常プリオン毒性部分の構造を解明」記事へのコメント

  • プリオン→vCJD, BSEにいたるメカニズムについては、最近2つほど、大きな新知見が得られてます。

    その1
    Nature Science Update日本語版 [appliedbiosystems.co.jp]より。これまでBSEなどの疾患は、異常プリオンが蓄積して変異タンパク質の塊が生じることで、神経細胞死が誘導されて発症すると考えられていた。しかし、この凝集塊は神経細胞死の直接の原因ではないとする研究結果が報告されている。
    正常プリオンを持たないマウス(PrPノックアウトマウス)の脳に異常プリオンを投与したとき、異常プリオンの蓄積は見られたが脳の変成やマウス個体死は抑えられた。(Mallucci et al. Science Oct 31 2003: 871-874.)PubMed [nih.gov]
    この結果を受けて、神経細胞死は、正常プリオンが異常型に変化する「変換過程」で起きるもので、その後に見られる異常プリオンの凝集・蓄積は単なる症状の一つであるという説が唱えられている。アルツハイマーなど他の神経変成疾患にも同じことが言えるのかもしれない。

    その2
    Nature Science Upadte日本語版 [appliedbiosystems.co.jp]より。プリオンがタンパク質のみなのか、RNAやDNAなどの核酸を含むのかは、プリオン発見からの最大の論点であったが、現在ではタンパク質のみであるという説でほぼ合意されている。
    最近の研究では、宿主のRNAが少量の共存することで正常プリオンから異常プリオンへの構造変換が著しく促進されることが判明した。(Deleault et al. Nature 2003 Oct 16;425(6959):717-20.)PubMed [nih.gov]
    この反応は生体外(in vitro)でも起きることから、従来の「プリオン=タンパク質」説を否定するものではないが、生体でのプリオン病の発症過程を解明する上で重要な知見であり、またプリオンの診断にも有効だと考えられる。
    • Scienceの方の論文は細胞内のプリオンの局在性についての解析がなされて
      いないので結論まで採用していいかどうかは疑問だと思います.
      変異型を注入してそれが蓄積するのは分解されないのだから当然ですし,
      細胞死に至るメカニズムが分かっていないのでちょっと過程を端折りすぎ
      かな,とも.
      内因性の原因が必要というのは実験の示す通りですが.

      ただ,アルミニウムとアルツハイマーの関係のように,ある症状(の末期)
      の臓器に蓄積したからと言って原因とは限らない,というのは研究する者に
      とって心してかからなければならないところですね.

      Natureの方の論文は種特異性があるというのが驚きですね.
      短い配列の類似性なら他の種にもあるでしょうからリボザイムということに
      なるのでしょうか・・・
      実際にはスクレイピー型のプリオンの蓄積ではなく加熱による変成によって
      擬似的に変換を行っているので,RNAの構造の熱力学的性質とあわせてこの
      実験の妥当性については議論があるかもしれませんが.

      今回の研究は私も最初は今まで毒性の機構も明確でなかったのに,X線解析
      で判明した構造から毒性の原因を解明したのかと非常に驚きましたが,内容
      を読んでがっかり,という部分はありました.
      (研究ではなく報道にですが)
      --
      kaho
      親コメント
      • Scienceの方の論文は細胞内のプリオンの局在性についての解析がなされて
        いないので結論まで採用していいかどうかは疑問だと思います. 変異型を注入してそれが蓄積するのは分解されないのだから当然ですし,
        細胞死に至るメカニズムが分かっていないのでちょっと過程を端折りすぎ
        かな,とも.
        む。相変わらず鋭いですね。実を言うと僕も同じことを考えてました。
        正常プリオンの本来の機能はまだ判ってませんけど、その細胞局在については、おそらく細胞膜、それもラフト [riken.go.jp]に集積するのだろうと考えられてたはずです。プリオンはGPIアンカー蛋白ですから。
        一方、異常プリオンなど、神経変成疾患による神経細胞死については、小胞体関連細胞死 [watsonkun.com]の関与が唱えられてます。これは細胞内の小胞体の機能異常によるものです。小胞体は細胞内カルシウム調節や、分泌タンパク・膜タンパクの合成の場としての役割を持ってますが、細胞内カルシウム恒常性が破綻したり、タンパクの過剰な合成や異常なタンパク質合成、あるいはゴルジ体への輸送の阻害などによるミスフォールディング(おりたたみの異常な)タンパク質の小胞体への蓄積などによってアポトーシス(細胞の自殺)が誘導されます。
        実際、異常プリオンについても、小胞体関連アポトーシスを制御すると言われてるカスパーゼ-12が関与するという論文が、つい先日EMBO J.に載った [nih.gov]ばかりです。

        それで思ったのは、実は異常プリオンによる細胞死は、ラフト/カベオラを介したエンドサイトーシスで異常プリオンが細胞内に取り込まれること(もっと飛躍するなら小胞体内に蓄積すること)が大事で、正常プリオンがないとそのステップが働かないんじゃないか、ということだったりします。
        親コメント

物事のやり方は一つではない -- Perlな人

処理中...