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H-IIロケット 7号機,廃棄処分の危機」記事へのコメント

  • あぁもったいない (スコア:2, フレームのもと)

    by Anonymous Coward on 2004年10月09日 23時04分 (#634335)
    > 現在 JAXA の財産目録上では打ち上げの予定がないため、
    > 「1円」の扱いになっていると言う。

    当事者じゃないから勝手なことを言うけれど、なぜ再利用あるいは転用できるようなもの作りができないのだろうか。
    • by bk (21915) on 2004年10月10日 0時34分 (#634408) 日記
      ロケット(此処ではペーロードも含めて)は打ち上げのコスト削減、
      より大きく重量のあるペイロード(荷物:主に人工衛星)を衛星軌
      道に投入するため、また軌道投入に必要な速度を稼ぐため、限界ま
      で軽く作られます。すなわち、回収用の不要な機材などを搭載する
      と重量が増し、本来の荷物であるペイロードに振り分けられる重量
      が低下します。また、軌道投入に不要な機材はそれだけでトラブル
      要因を増やすことにもなり、打ち上げ失敗の原因を増やすことにも
      なります。

      ところで、再利用可能な宇宙船(Reusable Launch Vehicle:RLV)
      としてはNASAのスペースシャトルなどが有名ですが、次世代のRLV
      として開発が進んでいたX-33(ローッキード・マーチン社)、X-34
      (オービタル・サイエンシズ社)などがありましたが、開発が中止
      されました。急激な加熱、冷却、加圧、減圧などが発生する再利用
      宇宙船においてはこれらに耐えうる素材も必要ですが、まだまだ現
      在の素材では難しいようです。(X-33は燃料タンクが破損して燃料
      が漏れました。)スペースシャトルも耐熱タイルの張替え、各種パッ
      キンなどの交換やメンテナンスなどに膨大なコストがかかっていま
      す。(金額などは失念してしまいましたが。)

      なによりも打ち上げコスト、メンテナンスコストが馬鹿にならない
      上、再利用可能なように頑丈にしっかり作り、なおかつメンテナン
      ス性を向上させるのは非常に難しいものです。頑丈に作れば重くな
      り、結果ペイロードへの重量割り振りが悪化します。打ち上げロケッ
      トの目的はただ一つ。ペイロードを軌道投入することですから、現
      在の多機能衛星のような巨大な重量物を搬送できなくなるのは本末
      転倒なのです。(日本の5番目のX線天文衛星として計画されている
      ASTRO-EII衛星は重量約1680Kgです。
      [isas.jaxa.jp])

      重量物を打ち上げるためにできる方法はいくつかあります。エンジ
      ン出力を上げる、重量を軽くする、多段化するなどですが、エンジ
      ン出力に関しては現在のLHLO(液体水素+液体酸素)エンジンは理
      論値近くの出力になっていますし、多段化するほどコストがかさみ
      ますから、現実的には軽量化が一番キクわけです。

      軌道投入のみの現在のロケットは、本来の目的に添った実にシンプ
      ルでストイックな設計を繰り返した結果なのです。いずれにせよ、
      ロケットの打ち上げ能力向上はペイロードである人工衛星に余裕を
      持たせ、更なる機能向上などを可能にします。再利用と現在のロケッ
      トはいまだ交点を持つには至っていないということです。

      #RLVもSSTOもできればよいけど、本末転倒じゃ意味がないです。

      X-33について(JAXA) [spaceinfo.jaxa.jp]
      X-33、X-34開発中止のときのAstroArtsの記事 [astroarts.co.jp]
      質量比と推力からロケットの速度を求める(余談が一番ためになる) [asahi-net.or.jp]
      --

      /* 息抜きの合間の人生 */
      親コメント
      • by KENN (3839) on 2004年10月10日 9時33分 (#634530) 日記

        JAXAのサイトにあるISSのFAQ [sfo.jaxa.jp]に、そのものズバリの「スペースシャトルの打上げ費用はいくらくらいですか」 [sfo.jaxa.jp]という項目があります。これによると、1回の打ち上げあたり4億5千万ドルだそうです。これとは別に、オービター製造時の初期費用が1機当たり18億ドル(エンデバーの場合)程度かかっているとのこと。

        ちなみに、アポロ計画の総費用は約204億43万6000ドル [planetary.or.jp]だそうです。仮にアポロと同じ間隔でシャトルを打ち上げようとすると、オービターは最低2機必要(シャトルは飛行後のメンテナンス期間が必要なため)で、アポロは7号から17号までが有人飛行だったので、計11回の打ち上げとなります。つまり、18×2+4.5×11=85.5億ドルとなります。

        まぁ、アポロの費用は無人の打ち上げ分を含んでいますし、そもそも物価が異なるので単純比較はできませんが、再利用が劇的なコストダウンにつながるとは言い難いと思います。

        親コメント
      • X-33/34 (スコア:2, 参考になる)

        by miyachi (13667) on 2004年10月12日 12時16分 (#635293)
        オフトピですが、X-33/34について一言と言うかフォロー。

        >次世代のRLVとして開発が進んでいたX-33(ローッキード・
        >マーチン社)、X-34(オービタル・サイエンシズ社)などが
        >ありましたが、

        X-33/34共に正確にはRLVではありません。
        正確にはRLV開発の為の実証実験機です。ゆえにXナンバーです。
        予定通り計画が進んでいたとしても衛星軌道には到達できない
        スペックです。つまりX-33/34は直接スペースシャトルの後継と
        はなりません。X-33の方は成功していればスケールアップを
        してベンチャースターとしてRLVとする予定ではありましたが。
        スペースシャトルの形状が似ているので近い存在のように思える
        かもしれませんが、かなり実情は異なると言う事です。

        X-33は先進的な機能の実験を、X-34は既存技術で低価格開発の
        実験を行う目的で行われたのですが、X-33ではカーボン複合材
        による液体水素タンクの開発遅れが問題となり、X-34では良く
        判っていませんが1回だけ母機と結合してテストを行った時に
        母機側の不具合が見つかり、それっきりお蔵入りとなりました。

        X-34の目標値は高度80kmで最高速度がマッハ8程度です。
        先日成功したSpaceShipOneや古いところではX-15と同程度の
        機体と言えるでしょう。SpaceShipOneより最高速度ではかなり
        勝ってます。

        両計画共に当初の予算も期間もオーバーしており、この計画が
        成功したとしてもRLV実機の実現まではまだかなりの開発期間が
        必要である事もあり、NASAとしてはスペースシャトルの後継機
        としては間に合わないか実現困難と判断して開発を中断したと
        思われます。耐熱材以前の段階で破綻してしまったと言う事に
        なるのでしょう。この段階で仕切り直しをしないとスペースシャ
        トルの運用期間終了に間に合わないとの予測したのでしょう。

        ちなみに予算規模はX-33では総額で9~10億ドル近かったのに
        対して、X-34では6000~9000万ドルでした。意外に安い?

        と細かな部分にこだわったコメントを書くのは過去にCG [p-island.com]を
        作ったせいでもあったりして(^^;かなりのオフトピで失礼!
        親コメント
      • 「再利用」の定義が微妙にずれているような気はするけれど。

         スペースデブリを軽減するという観点から再利用型の宇宙船を評価することはできないんですかねえ。使い捨て型だと、軌道まで一緒にゴミを打ち上げているような気がするのですが。
        --
        ---- 6809
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2004年10月11日 4時50分 (#634788)
          例えばH-II系の場合、デブリとして残るのは2段目です。
          (1段目以下は殆どの場合、軌道速度に達してないため海上等に落ちます)
          この場合、衛星の分離後に残った2段目にはデブリ増加の一因になっている
          ブレークアップを防ぐため、残留推進剤を全て排出するという作業があります。

          ロケットの段のような大きな物体の軌道は米NORADのレーダー等で捉えられて
          います(10cm以上の物体ならばOKでしたっけ) ので、監視して他の生きている
          衛星や船にぶつかる前に軌道をわずかに変えることで衝突をさける、といった
          管理を行っています。低軌道では数年とかの後落ちる事もあるみたいです。

          地上でも言える事ですが、ゴミの排出ゼロは究極的な願望にはなりうるけど、
          できることから努力する方が現実的だと思います。

          (でも、初めからゴミを持って行ってる気がする、みたいな考え方は…目的の
          軌道速度に達するまでちゃんと働いているわけですし、ゴミは確かに不要です
          が、衛星もそうであるように役目を終えるまではゴミではないわけで何とも;)
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        • by Anonymous Coward
          打ち上げ後に落ちて燃え尽きるようにしておけばいいんじゃない?
          #あ、1段目とか、速度が足りないから何もしなくても落ちてくるのかな・・・?
    • by rin_penguin (9144) on 2004年10月09日 23時12分 (#634346)
      当事者じゃないから勝手な想像で言うけど、あんなピーキーな代物には
      「再利用あるいは転用できる余地」なんて実装する余裕なさそうだが。
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    • Re:あぁもったいない (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年10月09日 23時15分 (#634347)
      そんなことしたら関係会社が儲からないからじゃないですか。
      親コメント
    • Re:あぁもったいない (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年10月10日 0時08分 (#634387)
      そういう物を作ったら、今度は「無駄が多い」って言われるんだよ。

      再利用、転用を捨てるというのが、結果的にコストパフォーマンスに繋がる事もある。
      親コメント
    • Re:あぁもったいない (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年10月10日 22時11分 (#634719)
      リサイクルは高くつくものです:-)
      親コメント
    • スカイラブみたいに外殻だけ使って、別の物に?

      強度的にどうなんでしょうね。サターン5型のサイズだからこそ意味のある転用だったとも思いますけどね。

      実際には、再利用のコストが高くて、メリットよりもデメリットの方が大きいのかも?

Stableって古いって意味だっけ? -- Debian初級

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