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どうやってQWERTY配列は主流となったか」記事へのコメント

  • 私も、HCIやUI関係の文献等から「印字ハンマーが絡まらないようにした説」を信じておりましたので、興味深く拝読させていただきました。大変勉強になっております。

    しかしながら、これはいくつかの問題に切り分けるべきなのではないかと思います。
    ざっと考えますと、
    1. QWERTY配列の決定がどのような由来でなされたものなのか。
    2. Dvorak配列はQWERTY配列よりも優れているのか。
    3. Dvorak配列のほうが優れているなら、なぜ広まらないのか。
    ということが挙げられると思います。

    1.については、安岡先生のお調べになったことが、現在まで通説化していた
    • そうですね、「現代的なタッチタイプ」に限定した場合は、August Dvorakの配列の方がQWERTY配列より優れているのは、私はまず間違いないと考えます。ただし、August Dvorakの配列も、あくまで1930年代の機械式タイプライターの特性に合わせたものに過ぎません。現代のキーボード(ほとんどストロークがない)においては、むしろWilliam Wilson Nelsonが『Typewriter Reforms―The Combinational Keyboard』(Science Progress, Vol.16, No.62 (October 1921), pp.307-318)で提案した配列の方が、さらに優れていると私は考えます。あるいは機械式タイプライターに限ったとしても、Roy T. Griffithが『The Minimotion Typewriter Keyboard』(Journal of the Franklin Institute, Vol.248, No.5 (November 1949), pp.399-436)で提案した配列は、August Dvorakのアイデアを極限まで押し進めたものですから、当然、考慮する必要があります。それらで用いられている理論をさらに進めて、もっと優れたキー配列を考案することも可能でしょう。その意味では「QWERTY vs Dvorak」という2項対立はヘンです。

      ただし、「コンピュータのキーボードはなぜQWERTY配列なのか」という質問に対して「タイプライターがQWERTY配列だったから」というのは、実は答として不十分だ、と私はかねがね考えています。コンピュータに関してはやはりコンピュータで答えるべきで、この質問に対しては「EDSACの端末がQWERTY配列だったから」というのが、答の一部であるべきだと私は考えています。しかも、EDSACの端末に使われた『Creed Teleprinter』がQWERTY配列だったのは理由があって、DvorakもNelsonもGriffithも当時はその条件をクリアしえなかった。この点の方が遥かに重要だと私は考えているのですが、これについては別の日記できっちり書いた方がいいかな…。

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      • 回答ありがとうございます。

        Dvorak配列以外にも改良がなされてきたが、結局普及の糸口さえつかめずに、現代ではキー配列の改良努力そのものがほとんど放棄されているということは、存じております。

        ただし、「コンピュータのキーボードはなぜQWERTY配列なのか」という質問に対して「タイプライターがQWERTY配列だったから」というのは、実は答として不十分だ、と私はかねがね考えています。

        なるほど。しかし、私のようにHCIやユーザインタフェースという工学的見地から見ると、「最初が、なぜQWERTYだったのか?」ということよりも、「改良がいろいろ発明されたのに、なぜQWERTY配列が支配的であり続けるのか?」ということのほうに興味が行くんですね。これは、市場を見ている経済学者もそうだと思います。

        Dvorak配列以外の改良配列を無視して(Dvorak陣営の陰謀の下に、問題を二項対立化して)いるわけではなくて、Dvorakが2番手としてよく知られているから取り上げられているだけだと思いますよ。それに、Dvorakよりよい配列があるのなら、なぜそれがDvorakよりは流行らないのかと、結局同じ疑問が続いていきますから。

        で、教科書では、この改良型配列は慣習的に広まっているQWERTY配列を逆転できないという議論から、ユーザインタフェースは慣習による慣性が強いという解説になっていきます。この分野で一番有名な本、Donald A. Normanの『The Design of Everyday Things』やBen Shneidermanの『Designing the User Interface』も、この説を採用しています。印字アームが絡むという説もここらへんで定説化したのではないかなぁと思います。
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        • 「改良がいろいろ発明されたのに、なぜQWERTY配列が支配的であり続けるのか?」ってのは難しい問いなんですが、やはり私としてはどうやってQWERTY配列は主流となったか [srad.jp]にも書いたとおり、「生産者側の市場操作が成功したから」だと答えます。アメリカだと、19世紀末にはTypewriter Trustがタイプライター市場を、20世紀前半はAT&TとTeletypeを中心とするBell Systemがテレックス市場を、1960年代以後はIBMがコンピュータ市場を、それぞれおさえていたから、それらのキー配列がそれぞれの時代の主流となっていたに過ぎません。

          ちなみに日本では、1970年代にIBM支配が実質的に及ばなくなりました。FONTAC以後、日本電気・富士通・日立などが合同し、国内のコンピュータ市場を牛耳ったからです。この副作用として、日本のキー配列は2のシフト側に「"」が入ったもの(むしろTeletypeの名残り)になってしまい、アメリカのキー配列(2のシフト側は「@」)とは違うものになりました。しかも、現在の日本のキー配列は1972年に新しく作ったもので、それ以前には存在しなかったものですから、まあ「市場操作」の典型例です。とはいえ、そういうタイプの市場操作を、現代では「標準化」って言うんですけどね。

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      • コンピュータのキーボードはなぜQWERTY配列なのか [srad.jp]に加えてQWERTY直前のキー配列 [srad.jp]ってのも「別の日記」に書いてみました。よければどうぞ。
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