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作曲家の伊福部昭氏が死去」記事へのコメント

  • by pelorat (18874) on 2006年02月09日 22時03分 (#880698) 日記
     他の方も言及されている、「管絃学法」ですが、こちらも少しくアレゲ度ありです。

     一般的に「管絃学法」は、個々の楽器の性能を論じた「楽器法」、及び曲中での楽器の
    使用法・組み合わせを論じた「編曲法」で構成されます。
    従来に主流であったベルリオーズ、ワーグナー、ピストン各著の管絃楽法は、大まかな
    理論体系づけはされているものの、その内容の殆どが経験則によるものでした。

     伊福部氏の「管絃学法」に於いては、楽器法は各楽器の発音原理から始まり、
    弦楽器の絃の振動や管楽器の管内での粗密波の発生及び共鳴を図解します。
    編曲法に関しては更に、人の聴覚心理について、周波数による聴覚特性や閾値の違い、
    錯覚による隠蔽効果・選択作用等々を解説、果ては楽音をスペクトラム分解して特徴を分析、
    まるで現代の音楽圧縮や多チャンネル音響の解説を読んでいるかのようです。
     そしてその中に含まれる(音楽書としては)膨大な量の実地調査結果、グラフ、数式の数々。

    いままで伊福部氏御本人のプロフィールについてはあまり知らなかったのですが、
    理系出身とのことで、大納得です。

    今の音響学的な立場からすると当り前な内容なのかもしれませんが、
    50年前西洋音楽模倣が中心の日本のクラシック音楽界では異色の存在であったと思います。
    現在でもこういったアプローチの管弦楽法本は無いのではないでしょうか?

    御冥福を祈ります。

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