原文:
The ticking of the conference room's antique clock was deafening as the Hereditary President of the People's Republic of Haven stared at his military cabinet.
The Secretary of the Economy looked away uncomfortably, but the Secretary of War and her uniformed subordinates were almost defiant.
・Hereditary:これは素直に辞書通りの「世襲」で良いはずです。 ・時計の音が耳をつんざくよう:チクタク音が100デシベルを超えるとか?そんな時計を会議室に置きますか、普通? ・military cabinet:これも素直に「戦時内閣」とか「戦争内閣」で良いと思うのですが。戦略顧問団は少々違和感があります。 ・The Secretary of the Economy:これも素直に「経済相」で良いかと。矢口悟氏は財務長官としていますが、これは許容範囲。経済相/財務長官は後に国家経済あるいは国家財政に関する発言をしていますから。 ・the Secretary of War and her uniformed subordinates :「戦争と彼女の制服を着た部下の秘書」は明らかに間違い。大臣とその属僚、ですね。 ・defiant:確かに辞書には挑戦的はありますけど。世襲大統領にくってかかるとは、なんとも命知らず。
The Secretary of the Economy looked away uncomfortably, but the Secretary of War and her uniformed subordinates were almost defiant.
矢口氏の訳では「いたたまれなくなったように、財務長官が視線をそらす。しかし、国防長官も、彼女のわきで制服に身を包んでいる次官も、表情ひとつ変えようとはしなかった。」となっていますが、これはかなり意訳ぎみになっていると感じます。文面から素直に読むと「財務長官は心地悪くなって目をそらしたが、国防長官と次官はそこまで素直にはなれなかった。」あたりになるように思えます。
特に注目なのは"the Secretary of War and her uniformed subordinates"のところです。Infoseek翻訳では明らかにofのところで区切って訳しているため文意がデタラメになっています。これは確かにもっと賢くなってほしいです。
ですが"her uniformed subordinates"を前後の文脈無しに訳せば「彼女の制服を着た部下」となっておかしくはありません。本来ならば"her"と"uniformed subordinates"の間に何かの区切りは欲しいところで、これが(おそらく意図的に)省略されているために生じてしまった誤訳でしょう。
たとえばですがthe Secretary of Warを括って、herとuniformedの間にandを挟んで翻訳させてみると『「戦争の秘書」と彼女と制服を着た部下は』となって単語レベルの専門用語はともかく文意的には原文に近くなります。ただ、原文では「彼女」そのものはその対象から外れているようですからandでは彼女も含めてしまって問題があり、矢口翻訳のようにするのがやはり正しいと思えます。
このあたりの作者の筆がノッた文だとさすがに現状の機械翻訳では荷が重いのではないでしょうか。(将来的にはそれでもきっちり翻訳してほしいものの。)
機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:2, 参考になる)
原文:
The ticking of the conference room's antique clock was deafening as the Hereditary President of the People's Republic of Haven stared at his military cabinet.
The Secretary of the Economy looked away uncomfortably, but the Secretary of War and her uniformed subordinates were almost defiant.
infoseekの訳:
Hereditaryヘイヴンの人民共和国大統領が彼の軍のキャビネットをじっと見つめたので、会議室のアンティークの時計のカチカチいう音は耳をつんざくようでした。
Economyの秘書は落ち着かずに目をそらしました、しかし、戦争と彼女の制服を着た部下の秘書はほとんど挑戦的でした。
矢口悟氏の訳(ハヤカワ文庫):
会議室にある骨董品の時計が秒を刻んでいる音ばかりが鋭く響きわたっているなかで、ヘイブン人民共和国の世襲大統領は戦略顧問団の面々を見すえた。
いたたまれなくなったように、財務長官が視線をそらす。しかし、国防長官も、彼女のわきで制服に身を包んでいる次官も、表情ひとつ変えようとはしなかった。
・Hereditary:これは素直に辞書通りの「世襲」で良いはずです。
・時計の音が耳をつんざくよう:チクタク音が100デシベルを超えるとか?そんな時計を会議室に置きますか、普通?
・military cabinet:これも素直に「戦時内閣」とか「戦争内閣」で良いと思うのですが。戦略顧問団は少々違和感があります。
・The Secretary of the Economy:これも素直に「経済相」で良いかと。矢口悟氏は財務長官としていますが、これは許容範囲。経済相/財務長官は後に国家経済あるいは国家財政に関する発言をしていますから。
・the Secretary of War and her uniformed subordinates :「戦争と彼女の制服を着た部下の秘書」は明らかに間違い。大臣とその属僚、ですね。
・defiant:確かに辞書には挑戦的はありますけど。世襲大統領にくってかかるとは、なんとも命知らず。
翻訳は単語を機械的に置き換えればOKてなものでは無いでしょう。常識と言うものが不可欠ですね。機械翻訳に限らず、人間さんでもこういうワケワカな翻訳/通訳をする人はいますけれど。
ちょっとだけ擁護 (スコア:5, 興味深い)
矢口氏の訳では「いたたまれなくなったように、財務長官が視線をそらす。しかし、国防長官も、彼女のわきで制服に身を包んでいる次官も、表情ひとつ変えようとはしなかった。」となっていますが、これはかなり意訳ぎみになっていると感じます。文面から素直に読むと「財務長官は心地悪くなって目をそらしたが、国防長官と次官はそこまで素直にはなれなかった。」あたりになるように思えます。
特に注目なのは"the Secretary of War and her uniformed subordinates"のところです。Infoseek翻訳では明らかにofのところで区切って訳しているため文意がデタラメになっています。これは確かにもっと賢くなってほしいです。
ですが"her uniformed subordinates"を前後の文脈無しに訳せば「彼女の制服を着た部下」となっておかしくはありません。本来ならば"her"と"uniformed subordinates"の間に何かの区切りは欲しいところで、これが(おそらく意図的に)省略されているために生じてしまった誤訳でしょう。
たとえばですがthe Secretary of Warを括って、herとuniformedの間にandを挟んで翻訳させてみると『「戦争の秘書」と彼女と制服を着た部下は』となって単語レベルの専門用語はともかく文意的には原文に近くなります。ただ、原文では「彼女」そのものはその対象から外れているようですからandでは彼女も含めてしまって問題があり、矢口翻訳のようにするのがやはり正しいと思えます。
このあたりの作者の筆がノッた文だとさすがに現状の機械翻訳では荷が重いのではないでしょうか。(将来的にはそれでもきっちり翻訳してほしいものの。)
#機械翻訳って辞書や文法だけでなく生活や習慣を絡めないと、より以上には賢くならない気がします。人間が外国語を習う時もそうですよね。
Re:ちょっとだけ擁護 (スコア:2, 興味深い)
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会議室の旧式な時計のカチカチ音をたてることは彼の軍のキャビネットを避難所の人民共和国の遺伝性の大統領として凝視した耳を聾していた。 不快に見た経済の秘書しかし戦争の秘書および彼女の制服の部下はほとんど反抗的だった。
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やっぱりβはβでした(^^;。
こっちは統計翻訳だから訳文はだいぶ違いますね。
//Sinraptor
Re:ちょっとだけ擁護 (スコア:1)
> これは確かにもっと賢くなってほしいです。
この2つは御意。
> ですが"her uniformed subordinates"を前後の文脈無しに訳せば
それが機械翻訳の限界なのでしょうね。「前後の文脈無しに」は、常識が無い、に含まれるでしょうね。
> 「戦争の秘書」と彼女と制服を着た部下は』となって単語
> レベルの専門用語はともかく文意的には原文に近くなります。
まず、そう区切って訳していないのが間違いというか愚かしさの第一。warを戦争、subordinatesを部下と訳せるなら、戦争や事象や概念を示す語、部下が人間を示す語位は見ても良さそうなものですが。つまり、
『 秘書[人] of ( 戦争[概念] and 部下[人] ) 』
よりも
『 (秘書[人] of 戦争[概念] )[人] and 部下[人] 』
の方がよさげ、位は見て欲しいですね。どこぞの論文に、そんな話が書いてあった気がしましたが。
もう一つはThe Secretaryを秘書と訳す事ですね。定冠詞が付いている、単語がsecretaryではなくSecretaryとなっている、を見ていないのですから。"The Secretary of うんたら"なら、それは閣僚/高官(日本なら事務次官や局長)です。閣僚なのか高官なのかは、これは人が訳す場合にも難しく、間違える事もママある話です。アーチャーの「めざせダウニング街10番地」の後書きで訳者の永井淳氏がその難しさについて述べています。
> このあたりの作者の筆がノッた文だとさすがに現状の機械
> 翻訳では荷が重いのではないでしょうか。
うーん。この文章が特別難しい文章とは思えません。人が読む場合は、ですけど。
> 機械翻訳って辞書や文法だけでなく生活や習慣を絡めないと
それがボクが言う所の「常識」というやつです。
実際、機械翻訳の対象は、まあ"This is a pen"とか、「走れ、スポット」とか、そのレベルでしょうね。実装に対する印象としては、ここ20年、全然利口になっていない、です。最低でも、エキスパート・システム的な要素は入れないと、機械翻訳のレベルは今のままでは無いかと思います。
Re:ちょっとだけ擁護 (スコア:0)
> それがボクが言う所の「常識」というやつです。
この手の知識を機械が習得するための処理を、自然言語処理の世界では「世界知識」の獲得とかいいます。
最近はgoogleやwikipediaを使ってそういう情報を獲得しようという動きがありますね。
システムにとっての未知の固有名詞が何か(人名なのか地名なのか)程度はwikipediaからもってくることができるようです。
Re:ちょっとだけ擁護 (スコア:0)
何も省略などされていません。"her uniformed subordinates"はそのまま"her uniformed subordinates"であって「彼女の制服を着た部下」で意味は通じます(用語の問題はありますが)。いわゆる制服組のことを言っているのでしょう。
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:4, おもしろおかしい)
思いましたんで関西弁変換を付加しましたんや。
なにが「ちうわけや」じゃ、ボケ!!
なめとったらパチパチパンチするでぇ。
clausemitz
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1, 参考になる)
語尾に「…ちうわけや」と付けると、標準語の「…というわけだ」とは少し違ったニュアンスがあります。
ちょっと得意気に、少し相手を見下したような感じで、いかにも教えてやってるという感じがあるのです。
さらに、判りきったことを「…ちうわけや」と得意気に解説することで、
「わかっとるわ~!」というツッコミを期待するという使い方もあります。
普通の文章の語尾を「…ちうわけや」にしてしまうと、かなりの違和感です。
ちなみに「…というわけだ」に対応する関西弁は、
「…ちうわけや」「…ちうこっちゃ」「…ちうことなんや」などがあります。
「…ちうこっちゃ」は「まぁ、大した事じゃないんだけどな」みたいな軽いイメージを含みます。
「…ちうことなんや」が一番近いですが、これは真剣に話している場合にしか使いません。
他の方言を使う人も同じような感じだと思いますが、
意外と一対一対応では訳せなかったりします。
#「…ちうわけや」と聞こえるかもしれませんが、関西人は「…ちゅうわけや」と発音しているつもりでいます。
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1)
#955000 で解説してはるのは、おそらく大阪を中心としたエリアのもので、京都文化圏では「ちうわけや」の「t」音が落ちて「いうわけや」になります。
ちなみに、京都文化圏では尊敬表現についても、英語と同様に「迂遠/曖昧な表現で敬意を表す」という習慣が強く残っているので、「挑戦的やったいうわけや」の敬意表現は「挑戦的やったいうわけでんねん」ではなく、「挑戦的やったとまあ、そないに感じはってもおかしないんとちゃいますやろかなあ。どないおもいはります?」になります。御周囲下さい。
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:2, 興味深い)
しかも原文へのリンクなしのものも。ふざけるなっての。
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1)
右の「サポート技術情報の翻訳」で「英語(US)」にすると、原文が読めるみたいです。
# 流石に、英日機械翻訳後の怪文を、更に日英機械翻訳したものでは無い様子
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1)
「神託データベース」なんて言われても動揺しなければ、ま、なんとかなる。
# 英語が不自由なので
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Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1)
OracleのSQLマニュアルで SELECT が「選択」
に翻訳されてて「うーむ」と唸ったものです。
いあ、そこは翻訳しちゃダメだろう。
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:0)
機械翻訳でなくても、理解できないことが多い気も ... あちこち飛ばされたあげく ...
Re:機械翻訳はやっぱ役立たず (スコア:1)
先頭が大文字だからじゃないかな。
小文字にしてみたら、「遺伝大統領」って訳されたよ。
余計に変になった気もするが……