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Anonymous Coward
on 2007年11月24日 18時16分
(#1255017)
鉄道でも台車や車軸のように、リダンダンシを持たせることができないsingle point of failureな場所と、それ以外を区別する発想は少しはあります。 ただ重量制限が航空機ほどきつくないので、何でもとにかく壊れないように頑丈に作るという発想なんですね。 必要性があまりなかったから、製造時とメンテナンスでうまく分担してコストと重量を最小化するという航空機の設計の考え方には到達しなかったわけです。 また、たいていの場合鉄道のコスト構造は人件費が大部分を占めていて、航空機ほど機材の減価償却費は大きくないということと関係しているのかもしれません。
コスト (スコア:5, 参考になる)
航空機のコストの見積りは他の分野と違ってメンテナンスのコストを非常に重視します。
一般的に、航空機の故障は、「故障しても破壊に至るまでに捕捉できれば良い」という発想があります。
例えば、強度に関しては、単純な方法で(材料を増やして)強度をあげると直接燃費に影響するため、安全率を低く設定する、その変わりに保守の段階で検出できるように設計する。
というように、航空機はメンテナンスによって得られる信頼性も、航空機自体のコストとして設計されています。
コインタッピングとくらべて圧倒的にコストが高い非破壊検査方法が「実績があったのに使われなかった」というのは確かにそうかも知れませんが、おそらくそれを採用するとCFRPなどの複合材がそもそも採用できるかどうかのギリギリなのでしょう。(だから最近まで採用されてこなかった)。
だから「実績があったのに使われなかった」というのは少し不平等な言い方だと思います。
Re:コスト (スコア:1, 興味深い)
だとすると、今までの材料での経験は新しい材料では通用しないっていうのはないかな。
検査する側も、経験が少ないからよくわからないだろう。
で、見逃した、と。
まぁ、検出器が人でなくても、同じことがいえるとおもうけど。
もっと、こう、イメージングや数値化できるほうがわかりやすくて、安全かもしれない。
Re:コスト (スコア:5, 参考になる)
その通りです。超音波探傷の人間バージョンです
CFRPの場合、ミルフィーユみたいな積層構造になっているので、欠陥がは
いると、「カスっカスっ」という感じ、ちゃんとしてると「コツっコツっ」という感じ
に聞こえます。
金属の場合、本当は疲労を捕捉しなきゃいけないのですが、金属疲労での破壊はある程度
見積りが可能ですし、塑性変形を伴うので異常があってもある程度表面からセンシング可能です。
一方で、CFRPなどの積層複合材は表面が固まったまま、中で剥離してできた欠陥が急激に成長
することが問題になります。
>だとすると、今までの材料での経験は新しい材料では通用しないっていうのはないかな。
>検査する側も、経験が少ないからよくわからないだろう。
たとえば、トンネルなどのコンクリート検査ではハンマーで叩く方法が用いられてき
ました。CFRPの成形をしている人なら経験はありますが、飛行機の整備をやってるひ
とがそういう経験を持っているかは分かりませんね。ただ、練習すればできるように
なる技術だし、彼らはそれが仕事です。
いずれにしても、航空機の設計者は技術的な見積りをしたけれど、検査現場が対応しき
れていないからリスクが増えたのか、設計者の見積り自体が根本的に甘すぎて潜在的な
リスクが大きいのかというのを区別して検証したいところですね。
Re:コスト (スコア:1)
この表現はよくわからない。
「故障」というのは、フォールト・トレラントが確保されていることが前提の故障だろうか?
「破壊」と言うのは、割れたり欠けたりする程度でなく、完全に千切れたりしてラダーなどが機能を失うことを言っているのだろうか?
すると、何らかの機能不全が起きる前にちびちび壊れるようになっていて、その段階で修理、交換するとか、そういうことだろうか?
でもそんなうまい具合に壊れてくれるものだろうか?
新幹線の車軸などは蛍光探傷(全般検査時)、超音波探傷(交番検査時)、さらに定期的に交換と、かなりコストかけているように思える。1本折れても代替が効かないからかもしれないが。
ラダーは複数系統あれば代替が効くだろうけど、主翼支持など主要部分はそうもいかないだろうな。
Re:コスト (スコア:5, 興味深い)
>でもそんなうまい具合に壊れてくれるものだろうか?
基本的にはそういうことになっていて、うまい具合に壊れてくれないと現実に困ったことになります。大げさな言い方をすれば、検査工程が機能しないと航空機の場合いずれ墜落しうる設計となってるけど、自動車の場合そもそも多少壊れたからといって致命的な事故がおきるような設計にはしません。
だから、航空機の検査とその他の機械の検査は意味合いが少し違うのです。メンテナンスをさぼったら致命的な事故になる自動車だったらリコールの対象になりますが、航空機はそもそもそういう設計手法をとっているということもできます。
事故で航空機メーカーが責められるとき、整備検査工程に問題があったと航空機メーカーがしばしば主張できるのは、設計段階から整備検査工程に安全性を担保していることを皆が理解しているからです。自動車メーカーだったらそんな主張は許されないでしょう。
Re:コスト (スコア:0)
> しばしば主張できるのは、設計段階から整備検査工程に安全性を担保していることを
> 皆が理解しているからです。
いや、多くの客はそんなこと理解してないと思うぞ。
ていうかあたしも初耳です。
もともと飛行機なんて大嫌いで31歳まで乗ったことなかったんですが、
この書き込み見て、沖縄県以外への国内移動は鉄道しか使わないことを心に決めましたわ。
#ちなみに人生で羽田→千歳1回、羽田←→那覇1往復しか乗ったことない。
Re:コスト (スコア:0)
でこのAC、
鉄道は鉄道で、事故を起こさぬ努力はするけれど、
事故が起きた場合に乗員乗客の命を守るという観点では
殆ど考慮されていないってことを知ったら、何に乗るんだろう。
Re:コスト (スコア:1, 興味深い)
三島駅でふざけててドアにはさまれて引きずられて死んだ高校生1人以外に
これまでに「乗客の」死者出してませんから。
飛行機と比べると安全度の桁が違いますし。
まあ、新幹線ってのはテロにはものすごく脆弱ではありますね。
今まで荷物チェックなんか受けたことないし。
Re:コスト (スコア:1)
最近は意外とテロのような兆候は新幹線から出てこない。
日航機の事故以来、国内での事故による死者は出ていない。これも立派な実績。
もちろん、ヒヤリとするようなインシデントは結構多い。特に管制にまつわる部分で。油断できない。日本の空は過密だし、手合図口合図に頼る部分が多い管制はいささか心許ないと常々おもう。
Re:コスト (スコア:0)
>これまでに「乗客の」死者出してませんから。
停車中に駅の公衆電話で電話することがふざけてることになるの?
いい加減な情報にプラスモデしないでほしい。
Re:コスト (スコア:0)
駆け込み乗車なんてふざけてるとしか思えないんだが...。
それともアレか? 駅員が押し込まなきゃいけない程の混雑で、
入りきらずにドアから溢れて引きずられたのか?
Re:コスト (スコア:0)
によると
>なお死亡した乗客は「こだま」の停車時間(当時「ひかり」を待避しており2分間停車していた)を利用して、
>駅ホームの公衆電話で電話していたため列車内に戻るのが遅れ、いわゆる「駆け込み乗車」をして、
> 当時は今ほど携帯電話が普及していなかったが、新幹線には車内公衆電話があり、
> わざわざ短い停車時間にホームに降りた乗客の行動を不可解とする意見もある。
2分停車で公衆電話を使おうとする高校生でしょう?
後半の理由もあるのでどう考えてもふざけていたとしか思えませんが…
(2分で電話して戻ってこられるか賭けをしていた んじゃないの?)
Re:コスト (スコア:1)
・塾通いか何かで新幹線を定期的に利用しており、帰宅時は新幹線の駅まで親に迎えに来て貰っていた
・車内公衆電話は通話料金が高いので、いつも一駅前?の三島駅で停車時間の間にホームから家に電話をしていた
ってことだったと思います。
まあ、あまり誉められた行動じゃないのは確かですが、ふざけて [goo.ne.jp]たわけではないでしょう。
#昔は停車時間の間に駅弁を買いに走るなんてのをよく見かけたものですが…最近は見かけないですね…
Re:コスト (スコア:1)
人間の反射速度とか筋力とか骨強度とかまともに耐えられるのはそれぐらいの速度まででしょうから
全力疾走中にこけると下手すりゃ死ぬ訳で
でも、移動距離辺りの事故率は徒歩の方が飛行機よりも高そうだなあ、死亡率も
Re:コスト (スコア:0)
あとは、地震とか空が落ちてくるとか心配になるでしょうから、
結局死ぬしかないんじゃないかな。
Re:コスト (スコア:0)
>殆ど考慮されていない
素人の素朴な疑問なんだけど、
飛行機がかなりシートベルト必須なのに、
「地を這う飛行機」である新幹線がシートベルト無い
(義務がないだけじゃなく装備すらされてない)
のは何故なんだろう?といつも首を傾げています。
ほんとに新幹線があれでOKだというなら、
(盆暮れには通路びっしりに人が座り込んだりしてます)
飛行機にだってつり革くらいつけていいんじゃないの?
Re:コスト (スコア:2, 参考になる)
http://www.koito-ind.co.jp/flying/index.html [koito-ind.co.jp]
によると、16G程度の加速度、時速48キロで衝突しほぼ瞬時に停止したときの加重に対応
とあります。
っていうかこの書き方も意味不明なんだけど、だいたい衝突が0.1秒くらいで完了すると
思うと、時速48キロからの衝突相当なんでしょう。
というわけで、航空機のシートベルトは、地上でタクシーしてるときの衝突への対応と
乱気流による上下運動への対応ができる、という性質のものです。
「地を這う飛行機」である新幹線がシートベルト無いのは、効果を発揮するケースが
想定しにくいというのがあります。
単に極低速での事故へ対応するシートを設けるなら、同じ理由で全ての鉄道にシート
ベルトをつけることになってしまう。
Re:コスト (スコア:0)
たぶん徒歩で街中歩いていて交通事故や通り魔の犯行で殺傷されるより。
ただ発生すると大事故になる確率が高いだけで。
間違いなく事故に遭う確率は高いので、
事故には遭っても自分だけ助かるという器用な生き方に自信があるなら
これからも頑張って鉄道だけ利用してください。
もっとも、鉄道事故だってそんな選択肢は乗客に用意されてませんけど。
どこで事故を減らすかに乗客が関与できん以上、
設計で減らそうがメンテで減らそうが客にとっては一緒でしょ。
それを交通手段の選択理由にするって無意味だと思いません?
あえて意味を見出すなら、それが有効に機能している
航空機の方法のほうが圧倒的有利って結論になるんですが。
Re:コスト (スコア:4, 興味深い)
ラダーを動かす油圧系統はリダンダンシが確保されていますが、ラダーそのものは1つしかありません。構造上、複数つけるのは難しい(双尾翼?)。
破壊というのは文字通りで、そのパーツは担当していた機能を果たせなくなる状態のことでしょうね。
原則として旅客機は、あなたのおっしゃるように「うまい具合に」壊れるように設計されています。早い段階で破損を検出し、修理・交換するわけです。重厚長大産業の現場に普及している3次元CADのCATIAは、元々航空業界で開発されたものです。
旅客機のメンテナンスとは金属疲労に対する戦いでした。元祖ジェット旅客機のコメットは金属疲労が元で落ちました。結論としては、金属疲労をなくすことは不可能であるから、検査を徹底した上で不良パーツはどんどん交換することになっています。
一方で経年劣化の避けられない金属をやめ、新しい材質を使うことも広く試みられてきました。軽くて丈夫なそれら新材質を使用すれば、より多く積めるし、検査や交換の頻度も減らせて、旅客機の運航コストを下げられることを期待しています。
ですが、残念ながらそう上手くはいかなかったみたいです。設計段階では、このように内部破損することは予見できなかったのでしょう。
鉄道と比較するのは不適当です。鉄道ってのはコストに優れているし、そもそも新幹線なんて国が作ってくれたんですから。でも、鉄道じゃ海を渡れません。
旅客機は世界的な過当競争の中、ギリギリのコストでやっています。JALは国営企業でなかったら大昔に破綻していたでしょう。ANAだって国が保護していた国内線を主戦場にしていたから、なんとかなったわけです。こうした措置はもうありません。
燃料高騰やテロ対策も相まって、航空会社はコストに大変にシビアです。航空機製造業者もコストに優れた飛行機を開発しなきゃ買ってもらえません。その辺を度外視したら、航空券が高すぎて客が乗りません。
Re:コスト (スコア:3, 参考になる)
ただ重量制限が航空機ほどきつくないので、何でもとにかく壊れないように頑丈に作るという発想なんですね。
必要性があまりなかったから、製造時とメンテナンスでうまく分担してコストと重量を最小化するという航空機の設計の考え方には到達しなかったわけです。
また、たいていの場合鉄道のコスト構造は人件費が大部分を占めていて、航空機ほど機材の減価償却費は大きくないということと関係しているのかもしれません。
それと、とりあえずその場で列車を止めてしまえば絶対安全という鉄道と、止めては絶対にいけない航空機の発想の差もあるんでしょうね。
鉄道は、何かあったら必ず止まるようなフェールセーフ設計にするということだけ考えられていて、そこで思考停止しているという主張も聞いたことがあります。
でもって細かく突っ込みを入れると
> 新幹線なんて国が作ってくれた
国鉄時代の新幹線開業区間の建設費は国鉄の自己負担です。
それがために国鉄の債務が膨れ上がって破綻して、結局国民負担に付け回されたという意味なら、確かに国が作ったことになるのかもしれませんが、
JRが新幹線保有機構から新幹線設備を買い取った時の価格は当時の実勢価格以上だったので、新幹線分は鉄道が全額自己負担しているともいえます。
整備新幹線は国が建設して保有していますが、JRは運行にあたって線路使用料を払っています。
国が空港を建設して、着陸料を払って航空会社が利用しているのと同じです。
航空機は鉄道のように経路上の路線を造る必要がないので、鉄道側の視点からはインフラも全部国持ちで「航空機はコスト面で有利」に見えます。
Re:コスト (スコア:1)
ある程度の安全マージンを定量化して歯止めをかけないと危ない領域に突っ込みそうな気配さえ。
新幹線は、規制もあるだろうけど、ある意味「自制」しているかのような高値安定。
飛行機野郎のベンチャー気質と、安全確実を旨とする鉄道マンの違いだろうか?
Re:コスト (スコア:3, 参考になる)
ヒコーキは空気を運ぶよりは多少の金を取ってでも人を乗せた方がいいわけです。ここに航空業界の抱える、根本的なディスカウント合戦のインセンティブがあるのです。
とはいえ今時の料金でも黒字運行するために、航空会社はなかなか努力してますよ。目に見えるところでは、パイロットは3人から2人になったし、フライトアテンダントはずいぶん減らしたし、機内の飲食物もだいぶケチってます。目に見えないところでは、ヒコーキ自体が燃費が良くて故障の少ない、経済的な機体になりました。一つの便を複数の航空会社で集客することで(共同運航便)、搭乗率を向上させて不採算路線を整理することができました。先物市場に乗り込んで、燃料を確保することまでやってます。などなど。
旅客機の安全性の確保は、法律や各種規制で細かく定められています。旅客機ではつまらんコンデンサの一つを交換するときでも、製造メーカの指定部品しか使えません。
ま、それを遵守するかは航空会社の気質次第です。我が国の航空会社は高いレベルで遵守していますが、他ではそうでもないところもあります。