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BBCが報じるところによると、研究のための脳のサンプルが大幅に足りず、研究を大きく妨げているとのこと(本家記事より)。 … ちなみに、日本では医科および歯科大学、もしくは献体の会に申し込むことで献体登録が可能となっている。
「献体」という言葉を広く解釈されて使っているのだろうと思うのですが、この言葉は法律によって規定されている言葉なので、いちおう指摘しておきます。 「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」(いわゆる献体法) [ron.gr.jp]では、献体の目的は「医学や歯学の教育のため」「正常な構造を明らかにするため」と制限されていて、研究目的の臓器提供や病気の解明のための病理解剖などはみなこれに含まれず「献体」とは呼びません。もし自分の体を研究用に提供したかったら、学生の解剖実習に使われる「献体」はあまり向いていないということですね。 通常は、研究者が自分の患者さんに直接依頼して、あるいは、自分のつてで同機関、他機関などに依頼して研究用試料を集めるのではないでしょうか。提供したい人は、かかりつけの医師を介して研究機関や研究者にコンタクトを取ってもらう感じでしょうか? # 建前上は、「献体」された遺体を研究目的に流用するのは違法ということに…。
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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」
献体とは? (スコア:3, 参考になる)
「献体」という言葉を広く解釈されて使っているのだろうと思うのですが、この言葉は法律によって規定されている言葉なので、いちおう指摘しておきます。
「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」(いわゆる献体法) [ron.gr.jp]では、献体の目的は「医学や歯学の教育のため」「正常な構造を明らかにするため」と制限されていて、研究目的の臓器提供や病気の解明のための病理解剖などはみなこれに含まれず「献体」とは呼びません。もし自分の体を研究用に提供したかったら、学生の解剖実習に使われる「献体」はあまり向いていないということですね。
通常は、研究者が自分の患者さんに直接依頼して、あるいは、自分のつてで同機関、他機関などに依頼して研究用試料を集めるのではないでしょうか。提供したい人は、かかりつけの医師を介して研究機関や研究者にコンタクトを取ってもらう感じでしょうか?
# 建前上は、「献体」された遺体を研究目的に流用するのは違法ということに…。
Re:献体とは? (スコア:5, 興味深い)
死体解剖保存法 [houko.com]では「医学の教育又は研究のためその保存を必要とするとき」は「死者の相続人その他死者と相当の関係のある引取者から引渡の要求が」あっても引き渡さなくてもいいとあります。しかし、臨床目的に使う事に対する規定はありませんし、消費してしまった場合の返却には触れていません。
インスリン依存性糖尿病の検査にはランゲルハンス島に対する抗体の有無が測定できると大変良いのです。昭和の昔は「いろいろな研究に大切に使わせていただきます」だけの同意で「何をどうやってその結果の収入は…」という同意無しに使わせていただいたのでしょうが、少なくとも国内では商業利用を臨床検査会社において認めてもらえないので、抗ランゲルハンス氏島抗体 [srl.info]は,患者血清を米国に送り、その血清を買ってきた膵臓に反応させ、抗体の有無を顕微鏡で調べる。という手順を実務上とることになります。抗GAD抗体が検査キットで測れるようになるとその必要性は薄れつつありますが、抗GAD抗体だけで自己免疫性1型糖尿病 [www.ne.jp]を定義できる訳でもないのです。さりながら、この「脱法行為」故にか?歴史の長い抗ランゲルハンス氏島抗体は健康保険の適応に成った事はありませんし成らないでしょう。
ゲノム研究も進みつつありますし、蛋白などの発現解析も献体で行われていますが、新規遺伝子の正常での発現の検討を思い立ったら、どうやって検討するかというと売り物のDNA [asterand.com]を買ってきて調べます。
ブロックであれば保存し返却が可能ですが、このように標本を一つの実験ごとに使い終わると無くなってしまう様な、研究方法が今後も増えてくるのです。
説明と同意をくぐり抜けるのは大変困難ですし、品質の均一性を担保するにも、商業化というのは必然(献血も日赤の製剤の一つというのも思い起こして下さい)なのですが、法律がその存在自体を見落としているので、日本での可能性は乏しくなります。
さらには、アルミホイルでくるんでいた冷凍庫の検体[pdf [pref.gifu.jp]]からのクローン再生の時代です。クローンに至らなくても、細胞を再生させて研究させるための試みのなかでiPS [jst.go.jp]がもてはやされて [nedo.go.jp]居ますが、この死体解剖法の死角をどうにも見落としているように思います。増やした細胞は皆お返しするのでしょうか?
すくなくても、以前の同意書にはそんな同意の説明はないのですから今後「検体を検査の材料として使わせて下さい」「酵素で溶かして遺伝子を抽出させて下さい」「細胞を培養していろいろ調べます」などなど、文言を連ねてとても読解不可能な「同意書」にご理解頂ける方からしか、ご協力賜われないような時代はもう来ています。
Re: (スコア:0)
どんな風に使われるのかぐらいは説明してもいいのではないですか?
「読解不可能な同意書」をなぜ「読解可能な同意書」にする取り組みをしないんですか?
少なくとも自分はそいういう分かりやすい説明が無い限り提供しようとは思わない。
現状を嘆く前にやることがあるのではないかと思えて仕方ありません。
Re:献体とは? (スコア:3, 参考になる)
善意を持って遇します、では済まなくなったので、具体的にどうしますという事を逐一同意を取り結ばないと[pdf [kobe-u.ac.jp]]、単に後に研究内容についてトラブルになるだけでもありません。民事刑事の争いに成ります。
雑誌への掲載や研究費の取得と言った些事まで「同意がなかった」とストップされるのです。一番傷が深いのはメディアスクラムで大学の事務関係が一切その1点に吸収されてしまうような事態です。
献体の同意を頂くのは死後数時間のうちです。「死因を明らかにする検査をします」という1点を説明をする時間を頂き文書を読んでいただく時間は取れるかもしれませんが、ご遺族には他にもなすべき事柄が幾つも山積しています。
医学生が系統解剖で授業にご遺体を寄せられる、あるいは広く理容師 [nicer.go.jp]さんや美学生 [yomiuri.co.jp]が正常の人体について学ぶということでは「教育に用います、そのときはこのような感じです」と説明をうけ、生前白菊会などにも入っていただきさらに実施の実態について理解を深めていただくことは可能と思います。これすら、医師以外の教育に使われるとはとがっかりされる例 [hatena.ne.jp]があるのですから気が抜けないのです。
さりながら、ご遺体の臨床や研究の利用方法の幅は多岐に渡りつつあるので、脳研究のために提供しますとか1点のご理解を取り結ぶにも文書を読む事務量は膨大になるのでしょうし、それを理解し同意し文書化する時間はお忙しいご遺族にはなかろうと思われます。
そこで実施可能性があるのは、生前から本人が「ある『利用』目的」に理解を深めるための会に入っていただき繰り返し先達がどのように遇されるかを目にする白菊会のような会への加入しかないのだろうなとは思います。
それでも、生前説明をうけた内容とギャップが生じるのは研究方法の変化(形態から生化学へ)があり、臨床への応用が可能になりつつある(臓器移植だけでなく再生医療の素材として)、また研究の成果から新薬が生じるとなると、経費だけではなく利潤も生じます。その分配についてすら「万が一」の係争に備える文書に目を通し理解した上での同意を取り結ばざるを得ないのが現在ですし、今後それは尚更疎かにはできない部分と存じます。
気管の器質は献体だが細胞は自分 [srad.jp]のという例はその気管が20世紀のうちに凍結された物なら実施可能性の説明と同意は不可能とご理解いただけるでしょうか。
Re:献体とは? (スコア:2, すばらしい洞察)
あるレベルを超えて難解な文章の内容を理解できないのはもちろん、ある程度より多量の文章の内容を把握できない人が大勢いるからでは。
ある文章を平易に書き下すことは比較的容易ですが、それではどうしても文章の量が増えます。
文章を平易にし、量も一定以下に保とうとすると、どうしてもある段階で、情報量を削る必要が出てくるのです。
しかし、あまりに情報量を削りすぎると、そもそもの同意書としての役割を担えなくなります。
アレゲ風に例えると、「初代ガンダム(マグネットコーティング後)」が理解できない一般人に対して、
「テレビアニメ機動戦士ガンダムの終盤、主人公アムロの操作に対して、搭乗機体ガンダムの操作追従性が追いつかなくなったことをうけて(ry」から説明したのでは冗長ですが、
若井おさむ氏に「連邦の白い奴です」と言っていただくというのは、わかりやすいけれど正確ではない、という感じでしょうか。