8月18日ラスベガスで SCO は Linux 開発者による違反を主張する発表を行った。 Microsoft PowerPoint 形式のスライドはここ(GZIP圧縮したもの) [webfarmhosting.com] か ここ(無圧縮のもの) [webfarmhosting.com] PDF (Adobe Acrobat)形式のものは ここ [vangennip.nl]、ウェブブラウザで読めるように変換したものはここ [webfarmhosting.com]にある。WebFarmHosting.com および vanGennip.nl に 私の貧弱な DSL 回線からこれらのファイルを取り払ってくれた事を感謝する。
SCO は発表の内容を IDG ニュースサービスの記者 Bob McMillan に非公開条項無しで公表した。Bob はそれについてのコメントを私に求めた。彼の記事はここにある [infoworld.com]。
まず SCO が言うところの「コピーされた」ソフトウェアに関して見てみる事にする。SCO はスライドショーで彼らが持つ「コピーされた」コードの最良の例を示すだろうと思われる。しかし、私は最初の二つの例に関して、一つは完全に SCO の所有物で無く、もう片方も正等なライセンスの下で Linux で使用されていると断定できた。これが SCO の提示できる最良のものならば、彼らは敗訴するだろう。
スライド 15 は Unix System V から Linux へ "故意に読みにくくしたコピー" を見せると主張する。SCO はさらにこのスライドのコードをギリシャのフォントに切り替えてそれを読みにくくしたが、それは容易に読むことができた。SCO の連中がフォントの変更という非常に容易に読み解けるような手段以外に仕方がなかった事には失笑を禁じえない。彼らが私のコンピュータのセキュリティに関わっていないのでほっとした。
このスライド中で示されるコードは、しばしば頭文字を取って BPF と呼ばれるインターネットのファイアーウォールソフトウェアの Berkeley Packet Filter のものだ。SCO は BPF を所有しない。これは米国政府から資金を受けた Lawrence Berkeley Laboratory によって作成され、それ自体も、スタンフォード大学とカーネギーメロン大学によって開発された "enet" とよばれるより古いバージョンに由来する。 BPF は カリフォルニア大学バークレー校で作られた 4.3 BSD システムで初出する。SCO はその後、このソフトウェアを Unix System V にコピーした。
BPF は BSD ライセンスの下にある。このライセンスは 1996年にコードを合法的に Unix System V にコピーする事を SCO に許可している。しかし SCO はコードを所有するわけではないので、彼らは他人がそれを使用する事を妨げる権利を持たない。
したがって、この場合 SCO の "パターン認識チーム" は Linux と SCO のBPFの実装が類似していると正確に推論した。しかし、私は google.com のウェブ検索によって数分で BPF の起源を見つけることができた。 なぜ "パターン認識チーム" は同じ事ができなかったのだろうか? 彼らが単にチェックすらしなかったと考えるのは無理があるだろう。SCO が System V の BPF のソースコード のコピーから研究室の著作権表示を見落としたか、あるいは、おそらくチームは知っていたのだろう。
Linux 版の BPF は故意に読みにくくしたコードではない。それはオリジナルソースコードを共有せず、研究室の製品のドキュメントに慎重に従った Linux 開発者 Jay Schulist による BPF のクリーンルームでの再実装である。スライド 15 で示される System V と Linux 版の BPF は同じ仮想マシンにおけるインターネットのパケットを許可したり、拒否したり、交換したり、経路の再選択したりするためのフィルタの命令セットの実装コードだ。仮想マシンのドキュメントはフィールド名を規定している。したがって、Schulist と研究室の実装コードは似ているように見える。Schulist が研究室のコードをそのまま使用する事を選択しても、適法だったろう。しかし Linux 版の BPF は完全に Linux 開発者のオリジナルだ。SCO が Linux 版の BPF に関して何かを主張する権利は存在しない。
スライド 10 から 14 は Unix System V からのメモリ割り当ての関数と、Linux での非常に良く似たものへの対応を示す。このうちの幾つかはギリシャ語のフォントを使用することによって SCO により故意に読みにくくされた。私は普通のフォントに切り替え そのテキストを元に戻した。
これらのスライドには幾つかの C 言語の構文エラーがあるのでコンパイルできない。したがって、これらのスライドは Linux の何れのソースコードも完全に表示したのではない。しかし、われわれはこれらのスライドが参照するコードを見つけた。それは AT&T が著作権を持つコードの中にあって、BSDライセンスの下で二度オープンソースとして公開された。一回目は AT&T の一部門である Unix Systems Lab によって、二回目は現在は SCO と名乗る企業 Caldela によって公開された。Linux 開発者は BSD ライセンスの下でこのコードを使用する法的権利を持つ。SCO の企業秘密や著作権の侵害は起こっていない。
我々がこれまでに見つけたこのコードの最古の版は 1968年に出版された Donald Knuth の The Art of Computer Programming にある。Knuth はおそらく より古いの研究論文をもとに活動していた。彼は C 言語では書いておらず、したがってコード自体は異なるがアルゴリズムは同じだ。スライドで示された実装コードは 1973年に AT&T にいた Dennis M. Ritchie もしくは Ken Thompson によって書かれた。もとは dmr/malloc.c という名前だった 1973 年版の関数は このファイル [perens.com] で見ることができる。このコードは Unix バージョン 3 のもので、コンパイル可能な形式で存在する最も古いバージョンである。ネット上では、このシステムの完全なソースは ここ [tuhs.org]で見ることができる。2002年、Caldera は このコードをこのライセンス [tribug.org]でオープンソースとして公開した。Caldera とは、もちろん現在 SCO と名乗る企業の事だ。このライセンスは Linux 開発者が問題のこのコードを使用することを非常に明白に許可する。なぜ Caldera が Unix ソースコードを公開したかに関する経緯を記述した情報はここ [oreillynet.com]にあり、SCO 訴訟に関連した情報を含んでいる。
問題のコードは技術的な理由により Linux カーネルの最新の開発版から削除された。他の場所で提供されている関数と重複していて、そのために このコードは決して含まれなかった。このコードは販売されなかった SGI のシステムと、きわめて特殊なシステムを対象としたもので、主流の Linux カーネルでは使用されなかった。
他力本願 (スコア:0)
ペレンス氏がまとめてます (スコア:0)
Re:ペレンス氏がまとめてます (スコア:0)
ついでに和訳 (スコア:2, 参考になる)
Bruce Perens, Perens LLC <bruce@perens.com [mailto]>
Linus Torvalds と オープンソースコミュニティの支援を受けて。
この資料を再版しても良い。この資料を必要に応じて引用、翻訳、改行位置などの変更をしても良いが、故意に私の意図を誤って伝えるような編集をしてはいけない。
8月18日ラスベガスで SCO は Linux 開発者による違反を主張する発表を行った。 Microsoft PowerPoint 形式のスライドはここ(GZIP圧縮したもの) [webfarmhosting.com] か ここ(無圧縮のもの) [webfarmhosting.com] PDF (Adobe Acrobat)形式のものは ここ [vangennip.nl]、ウェブブラウザで読めるように変換したものはここ [webfarmhosting.com]にある。WebFarmHosting.com および vanGennip.nl に 私の貧弱な DSL 回線からこれらのファイルを取り払ってくれた事を感謝する。
SCO は発表の内容を IDG ニュースサービスの記者 Bob McMillan に非公開条項無しで公表した。Bob はそれについてのコメントを私に求めた。彼の記事はここにある [infoworld.com]。
まず SCO が言うところの「コピーされた」ソフトウェアに関して見てみる事にする。SCO はスライドショーで彼らが持つ「コピーされた」コードの最良の例を示すだろうと思われる。しかし、私は最初の二つの例に関して、一つは完全に SCO の所有物で無く、もう片方も正等なライセンスの下で Linux で使用されていると断定できた。これが SCO の提示できる最良のものならば、彼らは敗訴するだろう。
スライド 15 は Unix System V から Linux へ "故意に読みにくくしたコピー" を見せると主張する。SCO はさらにこのスライドのコードをギリシャのフォントに切り替えてそれを読みにくくしたが、それは容易に読むことができた。SCO の連中がフォントの変更という非常に容易に読み解けるような手段以外に仕方がなかった事には失笑を禁じえない。彼らが私のコンピュータのセキュリティに関わっていないのでほっとした。
このスライド中で示されるコードは、しばしば頭文字を取って BPF と呼ばれるインターネットのファイアーウォールソフトウェアの Berkeley Packet Filter のものだ。SCO は BPF を所有しない。これは米国政府から資金を受けた Lawrence Berkeley Laboratory によって作成され、それ自体も、スタンフォード大学とカーネギーメロン大学によって開発された "enet" とよばれるより古いバージョンに由来する。 BPF は カリフォルニア大学バークレー校で作られた 4.3 BSD システムで初出する。SCO はその後、このソフトウェアを Unix System V にコピーした。
BPF のコードは研究室のウェブサイト内のここ [lbl.gov]にある。1993年に刊行された設計についての論文はここ [lbl.gov]にある。
BPF は BSD ライセンスの下にある。このライセンスは 1996年にコードを合法的に Unix System V にコピーする事を SCO に許可している。しかし SCO はコードを所有するわけではないので、彼らは他人がそれを使用する事を妨げる権利を持たない。
したがって、この場合 SCO の "パターン認識チーム" は Linux と SCO のBPFの実装が類似していると正確に推論した。しかし、私は google.com のウェブ検索によって数分で BPF の起源を見つけることができた。 なぜ "パターン認識チーム" は同じ事ができなかったのだろうか? 彼らが単にチェックすらしなかったと考えるのは無理があるだろう。SCO が System V の BPF のソースコード のコピーから研究室の著作権表示を見落としたか、あるいは、おそらくチームは知っていたのだろう。
Linux 版の BPF は故意に読みにくくしたコードではない。それはオリジナルソースコードを共有せず、研究室の製品のドキュメントに慎重に従った Linux 開発者 Jay Schulist による BPF のクリーンルームでの再実装である。スライド 15 で示される System V と Linux 版の BPF は同じ仮想マシンにおけるインターネットのパケットを許可したり、拒否したり、交換したり、経路の再選択したりするためのフィルタの命令セットの実装コードだ。仮想マシンのドキュメントはフィールド名を規定している。したがって、Schulist と研究室の実装コードは似ているように見える。Schulist が研究室のコードをそのまま使用する事を選択しても、適法だったろう。しかし Linux 版の BPF は完全に Linux 開発者のオリジナルだ。SCO が Linux 版の BPF に関して何かを主張する権利は存在しない。
スライド 10 から 14 は Unix System V からのメモリ割り当ての関数と、Linux での非常に良く似たものへの対応を示す。このうちの幾つかはギリシャ語のフォントを使用することによって SCO により故意に読みにくくされた。私は普通のフォントに切り替え そのテキストを元に戻した。
これらのスライドには幾つかの C 言語の構文エラーがあるのでコンパイルできない。したがって、これらのスライドは Linux の何れのソースコードも完全に表示したのではない。しかし、われわれはこれらのスライドが参照するコードを見つけた。それは AT&T が著作権を持つコードの中にあって、BSDライセンスの下で二度オープンソースとして公開された。一回目は AT&T の一部門である Unix Systems Lab によって、二回目は現在は SCO と名乗る企業 Caldela によって公開された。Linux 開発者は BSD ライセンスの下でこのコードを使用する法的権利を持つ。SCO の企業秘密や著作権の侵害は起こっていない。
我々がこれまでに見つけたこのコードの最古の版は 1968年に出版された Donald Knuth の The Art of Computer Programming にある。Knuth はおそらく より古いの研究論文をもとに活動していた。彼は C 言語では書いておらず、したがってコード自体は異なるがアルゴリズムは同じだ。スライドで示された実装コードは 1973年に AT&T にいた Dennis M. Ritchie もしくは Ken Thompson によって書かれた。もとは dmr/malloc.c という名前だった 1973 年版の関数は このファイル [perens.com] で見ることができる。このコードは Unix バージョン 3 のもので、コンパイル可能な形式で存在する最も古いバージョンである。ネット上では、このシステムの完全なソースは ここ [tuhs.org]で見ることができる。2002年、Caldera は このコードをこのライセンス [tribug.org]でオープンソースとして公開した。Caldera とは、もちろん現在 SCO と名乗る企業の事だ。このライセンスは Linux 開発者が問題のこのコードを使用することを非常に明白に許可する。なぜ Caldera が Unix ソースコードを公開したかに関する経緯を記述した情報はここ [oreillynet.com]にあり、SCO 訴訟に関連した情報を含んでいる。
このコードの別のバージョンはカリフォルニア大学が著作権を持つ BSD Unix システムの一部として米国陸軍のために作成され、オープンソースとして公開された。そのコードもまた BSD ライセンスの下にあり、1984年に公開されたファイルはここ [pdp11.org.ru]にある。このコードがどのようにして大学に属するようになったかを考えるのも面白いだろう。
1990年代の初め、AT&T の Unix Systems Labs (通称 USL) は BSD システムに含まれるこのコードおよび他のコードに関して、 BSD システムを販売している企業である BSDI とカリフォルニア大学を訴えた。SCO のしている主張は AT&T の主張と非常に良く似ている。AT&T は訴訟に負けた。
AT&T は適切な著作権表示無しにコードを公表したため、問題のコードの著作権を失っていた事が訴訟中に判明した。著作権法の改正があり、全ての成果物が標準で著作権によって守られるため、現在ではそうではない。しかし、当時の裁判官の判断は:
裁判官の判断から AT&T の コードが著作権を主張可能となるようなベルン著作権条約の改定があった 1996年までの間、コードは基本的にパブリックドメインにあった。それ以前、あるいは その間に Unix から派生して作られたコードはおそらく著作権に関する問題を持たないだろう。AT&T は大学から権利が無い多くのコピーを取っていた事も見つかり、AT&T はこれによって和解した。和解において、大学は幾つかのファイルに AT&T の著作権表示を追加する事と、システム全体を BSD ライセンスの下で配布し続ける事に同意した。AT&T は大学の訴訟費用を払う事に同意した。訴訟の詳細はここ [bell-labs.com]にある。
この訴訟の対象となった AT&T のコードは SCO の現在のシステムに残っている。SCO の「パターン解析チーム」はこのコードを見つけ、Linux のコードと類似したものであると正確に結論を下した。 しかし、彼らはコードが一般に合法的にコピーできるように公開されたのかどうかをチェックする手段を講じなかった。
問題のコードは技術的な理由により Linux カーネルの最新の開発版から削除された。他の場所で提供されている関数と重複していて、そのために このコードは決して含まれなかった。このコードは販売されなかった SGI のシステムと、きわめて特殊なシステムを対象としたもので、主流の Linux カーネルでは使用されなかった。
スライド 20 では、SCO は Linux に含まれる IBM、SGI、およびその他の Unix のライセンスを持つ人々が触れた全てのコードは基本的に SCO が所有すると主張している。それらの寄贈コードは 1549ファイル、110万行以上で Linux のリリース 2.2 から 2.4 までの間に開発されたコードの 2/3 にもなる。しかし、SCO は如何にして他の企業や個人が著作権を所持する それら全てのコードを所有する事ができるのか? スライド 6 で説明された SCO の法的な理論は、AT&T Unix ライセンスによって、それらの企業が作成し、 Unix ソースコードに組み込んだ全ての派生物はそれらの企業から AT&T および後に SCO に帰属するというものである。スライド 6 の重要な点は:
SCO の理論の下では、もし、Unix のライセンスを持つ人々が作成したコードが一度でも Unix に触れたならば、それらは全て SCO が所有し その作成者に対して いかなる目的のためであっても それを使用する権利を認めないことができる。SCO の法的理論は役に立たない。何故なら成果物が SCO が著作権を持つ いかなるコードも含まない場合、それは派生物ではないという事実を彼らは無視するからだ。これはスライド 20 をみると IBM が作成したジャーナリングファイルシステム、JFS に対して SCO が所有権を主張している事で特に明白だ。Linux で使用される JFS のバージョン はもとは OS/2 オペレーティングシステムのために開発されたものであり、後に Linux に移植された。これは System V における JFS の実装とコードを共有しない。 SCO の主張は彼らの言及する他の製品:RCU Read Copy Update、後に IBM に買収された企業である Sequent によって開発されたマルチプロセッサシステムでプロセッサが干渉するのを防ぐソフトウェア に関しても同様の誤りを犯している。Sequent は RCU を Unix から派生したオペレーティングシステムである Dynix 上で開発していた。彼らは後に Dynix から RCU を削除し SCO が所有するあらゆるコードから分離し、Linux にそれを追加した。 同様に、 SGI の XFS the eXtent FileSystem は Unix から派生したオペレーテイングシステムである IRIX から分離され、Linux に移植された。
SCO の論点では 一旦著作権を取得したソフトウェアを分離する事はできず、Unix のライセンスを持つ人間が作成し、漠然と Unix に基づくものにであれ SCO Unix であれ それらに触れた あらゆるコードは作成された瞬間から完全に SCO のものとなり、SCO から許可を得ない限り、作成者であっても他の目的のために使用する事はできないという事になる。SCO の主張は知的財産権の適用範囲についての一般的な理解に反する。それが法廷で通用するとは思えない。
SCO のこの文書に対する反応は 我々は Unix を所有しており、それが何に見えるか知っているつもりだ と それは彼の言い分だ。 というものだ。しかしながら、私は自分の発言を信頼してくれといっているのではない。私は大部分が私の管理下にない利用可能なウェブサイトへのリンクを証拠として提示した。それを検討し、自らの結論を出す事を望む。
Links
英語不得手なんで、Excite 翻訳 [excite.co.jp]の助けを借りました。#382715 [srad.jp]氏と#383304 [srad.jp]氏 には先の誤訳を指摘して頂いた事を感謝。