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ただし、「コンピュータのキーボードはなぜQWERTY配列なのか」という質問に対して「タイプライターがQWERTY配列だったから」というのは、実は答として不十分だ、と私はかねがね考えています。
ちなみに日本では、1970年代にIBM支配が実質的に及ばなくなりました。FONTAC以後、日本電気・富士通・日立などが合同し、国内のコンピュータ市場を牛耳ったからです。この副作用として、日本のキー配列は2のシフト側に「"」が入ったもの(むしろTeletypeの名残り)になってしまい、アメリカのキー配列(2のシフト側は「@」)とは違うものになりました。しかも、現在の日本のキー配列は1972年に新しく作ったもので、それ以前には存在しなかったものですから、まあ「市場操作」の典型例です。とはいえ、そういうタイプの市場操作を、現代では「標準化」って言うんですけどね。
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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson
QWERTY vs Dvorak (スコア:1)
しかしながら、これはいくつかの問題に切り分けるべきなのではないかと思います。
ざっと考えますと、
1. QWERTY配列の決定がどのような由来でなされたものなのか。
2. Dvorak配列はQWERTY配列よりも優れているのか。
3. Dvorak配列のほうが優れているなら、なぜ広まらないのか。
ということが挙げられると思います。
1.については、安岡先生のお調べになったことが、現在まで通説化していた
QWERTY vs その他 (スコア:1)
Re:QWERTY vs その他 (スコア:1)
Dvorak配列以外にも改良がなされてきたが、結局普及の糸口さえつかめずに、現代ではキー配列の改良努力そのものがほとんど放棄されているということは、存じております。
なるほど。しかし、私のようにHCIやユーザインタフェースという工学的見地から見ると、「最初が、なぜQWERTYだったのか?」ということよりも、「改良がいろいろ発明されたのに、なぜQWERTY配列が支配的であり続けるのか?」ということのほうに興味が行くんですね。これは、市場を見ている経済学者もそうだと思います。
Dvorak配列以外の改良配列を無視して(Dvorak陣営の陰謀の下に、問題を二項対立化して)いるわけではなくて、Dvorakが2番手としてよく知られているから取り上げられているだけだと思いますよ。それに、Dvorakよりよい配列があるのなら、なぜそれがDvorakよりは流行らないのかと、結局同じ疑問が続いていきますから。
で、教科書では、この改良型配列は慣習的に広まっているQWERTY配列を逆転できないという議論から、ユーザインタフェースは慣習による慣性が強いという解説になっていきます。この分野で一番有名な本、Donald A. Normanの『The Design of Everyday Things』やBen Shneidermanの『Designing the User Interface』も、この説を採用しています。印字アームが絡むという説もここらへんで定説化したのではないかなぁと思います。
Re: QWERTY vs その他 (スコア:1)
ちなみに日本では、1970年代にIBM支配が実質的に及ばなくなりました。FONTAC以後、日本電気・富士通・日立などが合同し、国内のコンピュータ市場を牛耳ったからです。この副作用として、日本のキー配列は2のシフト側に「"」が入ったもの(むしろTeletypeの名残り)になってしまい、アメリカのキー配列(2のシフト側は「@」)とは違うものになりました。しかも、現在の日本のキー配列は1972年に新しく作ったもので、それ以前には存在しなかったものですから、まあ「市場操作」の典型例です。とはいえ、そういうタイプの市場操作を、現代では「標準化」って言うんですけどね。