でも、究極の理論って立場は、P.W.Andersonの「More is different」で否定されているし。互いに相互作用を持つ多数の要素が集まった凝集体は、素粒子について想定している世界と対称性の異なる世界を作っているために、素粒子を支配する法則と異質の新しい法則が生まれる。というわけで、一般に科学は、それぞれの対象によって多くの階層に分かれて、それぞれの階層での境界面をのぞいて、独自の法則がそれぞれカバーしている。って考え方は、近年は学者の中では浸透してきているし、実は今では一般的だ。エネルギーレンジの違うものは違う世界のお話なんだと。
不要というより.. (スコア:2, 興味深い)
私が気になったのは、インテルのムーア氏が含まれていないこと。
「ムーアの法則」なぞという、”マーフィーの法則”に並ぶ程度の
科学的根拠しか無い、俗説のために半導体業界のどれほどの人が身を粉にして働いているのか御存じだろうか?
信者の方々からはきついお叱りを頂くことと思いますが...。
Re:不要というより.. (スコア:3, 参考になる)
既に本人もムーアの法則は死んだって言ってるんですけどご存知無いのでしょうか
名前が一人歩きしてるだけで本質的にはムーア氏どうこうではないような
信者がいるとしたらその半導体業界の中の人ですな
#片足だけ中の人
Re:不要というより.. (スコア:2, すばらしい洞察)
ということで、半導体業界の人の血と汗と涙の結晶とはいえ、目標値は達成されていると言うことで。経験則としてはそれなりに合っているので、法則としては(パラメーターとしては)それなりに意味があることだと思う。
いや、そんな物理法則はないっていえば、そりゃないんだけど。マーフィーみたいなものと違って、きちんと統計的な裏付けがあるし(しかも歴史的に積み重ねたデータ)、業界の努力の限界値ではないけど、そういったものを表していると思う。いや、それは・・・・とぐるぐる議論が回ってしまいそうだが、とにかく、
俗説というのはいいすぎ。
信者とは別の意味で、アンチ信者だと思う、それは。
「見事なパラメータ」だと思うよ。マーフィーの法則では歴史は動いていなし、人々に対する影響、経済的な影響はないと思うけど、ムーアの法則で人々は苦しめられ、業界は活性化し、多大な影響を受けているのは事実で、俗説といっちゃうのは、業界そのものを否定していると思う。マーフィーとは一緒にしちゃダメだよ。法則の是非はともかく、それによってもたらされるものが全く次元が違う。そんな暴言は、中の人に謝るべき。
問題は、ムーアの法則をかも物理法則のように思っている人が結構いることだと思うけどね。
で、おっしゃるように、大企業・メディアがキーわー出あるのはそう思う。ムーア博士が必要ないとランクインされてないのはそれほど氏自身がそれほどメディアに出ていないというか、氏そのものに興味を持っている人はいないということなんだろうなーと。
よく知らないが、インテル自身での氏の役職は今なんだろう?創始者の一人なんだから、氏自身の資産はウハウハなんだろうが、現時点でどれだけ影響力のあるポストについているんだろうか?
Re:科学的根拠 (スコア:2, すばらしい洞察)
みんな使っているし、大変便利なものです。
科学的根拠などというものは後出しで出てくるのです。
Re:科学的根拠 (スコア:2, 参考になる)
機械屋・材料屋として、これは看過できないよ。
ムーアの法則は、社会的要因が大きいため(多分)これを説明する
数理モデルは存在しない。
一方で、摩擦の法則についてはアモントン=クーロンの法則以来、
300年も研究されており、凝着理論から分子理論まで、現代科学の
対象として根拠づけられている cf. Sliding Friction, Persson(2000)
それでも、固体間の摩擦については未知の問題も多いわけだが、
流体潤滑における摩擦係数については、少なくともマクロスコピックな
連続体理論が適用できる範囲においては、解明されているといっていい。
つまり、未知の問題は残しつつも科学的な根拠づけの努力は続いており、
そういう一連の営みを科学・技術というわけだ。
また、摩擦係数と拡散係数とを並べたところからすると、摩擦係数について
の↑上の説明は、あなたには目から鱗だったかもしれない。この二つは
アインシュタインの関係式で結ばれているわけだが、ここでいう
摩擦係数も拡散係数も、ブラウン粒子への分子の衝突を起源とする、
分子論的な説明を与えられている。アインシュタイン以降も、
ランジュバン、久保、クラマースといった人々が理論を発展させている。
「測定可能であるが根拠づけが困難で科学と言えるのか疑わしい現象」
としてムーアの法則と並べられるのは、摩擦ではなく摩耗だと思うな。
摩耗は、マジでよくわからん。
Re:科学的根拠 (スコア:1, すばらしい洞察)
> > 科学的根拠などというものは後出しで出てくるのです。
Re:科学的根拠 (スコア:1, 興味深い)
クーロンが摩擦の法則を提出したときに、きちっと(その当時なりの)実験結果と
理論的考察のセットで提出しているんだよ。「よくわかんないけど、こんな法則が
あるから理屈は後で考えてね♪」というイメージじゃない、ということ。
ムーアの法則についても、それなりの根拠はあったようで、半導体製造にかかる
コストという社会的要因を考えている。
その意味では、どちらも「理屈は後づけ」ではないわけ。
でも、ムーアの方は先述したように理屈の方が社会的なものであり
科学といえるのか疑わしいことには変わりない、ということ。
Re:科学的根拠 (スコア:1, 参考になる)
>機械屋・材料屋として、これは看過できないよ。
「摩擦係数(粘性係数)・拡散係数は理論的に既に解決された問題」ってのは流体屋として看過できないよ。
って、元AC(機械屋・材料屋)の「粘性/拡散」は分子粘性/拡散で
流体屋のいう「粘性/拡散」は渦粘性/拡散なわけだが(流体の世界では分子のそれは無視できるくらい小さい)。
渦粘性/拡散というのが理論的に根拠づけられないのは、
その特性を決める「渦」の振舞が「渦と渦の相互作用」(これを2次のモーメントと呼ぶ)で決定づけられていて、
その「渦と渦の相互作用」の振舞は「渦と渦と渦の相互作用」で決定されていて、
その「渦と渦と渦の相互作用」の振舞は「渦と渦と渦と渦の相互作用」で決定されていて…
……
と、問題(方程式)が永遠に閉じない(n次のモーメントが(n+1)次のモーメントによって決定される)ため
(乱流問題に関するナヴィエストークス方程式をどう閉じるかって数学の難問の一つで
ポアンカレ予想と並んで「21世紀の未解決問題」にクレイ数学研究所があげた7つのうちの一つ)。
じゃあどうやって(地球シミュレータとかで)解いているかと言うと、
(あるいはもう一つ下か上の段階)という、n次のモーメントの振舞は(n-1)次(あるいはn次)のモーメントで決定されるという根拠のない仮説で計算してる。
でも上手く結果が出ている(というか現実にちかくなるように係数を調整する)のでOK、みたいなスタンス。
clubxさんの発言の意図がどっちの「摩擦係数/拡散係数」だったか知らないけど、
「解かれていない粘性/拡散問題」はあるって知っておいて欲しいな。
#AC
Re:科学的根拠 (スコア:1, 興味深い)
CFD屋とも一緒に仕事しているので、あなたの言いたいことはわかる。
ただ、あなたの書かれた未解決問題というのは、ナヴィエ=ストークスなりの
「基礎方程式が存在している」という時点で、既に科学的根拠を
一部でも持っているわけ。
摩耗の問題は巨視(連続体)的にも微視的(分子論)的にも、基礎方程式を
書き下せないことと比較してみたらいい。
で、分子レベルの摩擦も拡散も、そりゃ説明できないことだらけなんだけど、
「科学的根拠がない」とclubx氏があっさり断言したことに
噛みついてみただけなんだよ。
Re:科学的根拠 (スコア:1, 興味深い)
そういう意味ではある種の原理といっても差し支えないでしょう。これを原理と認めないのは研究者の美意識の問題で、その態度も無意味ではないですけどね。
Re:科学的根拠 (スコア:3, すばらしい洞察)
こういう物事をどういうアプローチで理解しようとするのか?どこまで理解しようとするのか?ってのは学者の中でも賛否両論というかつねに議論があって、まさに美意識の問題というのは確かにその通り。どちらの立場がより科学的か?といっていたら問題がまとまらない。どこかで、誰かがコメントしていたな。マクロスコピックがどうとか。そう、立場はいろいろなんっす。
そもそも、たとえば、物性の立場の人から見れば化学の立場は物事を正しく理解してないと思うわけだし。素粒子の立場から見れば物性屋は物理を理解していないわけで。
でも、究極の理論って立場は、P.W.Andersonの「More is different」で否定されているし。互いに相互作用を持つ多数の要素が集まった凝集体は、素粒子について想定している世界と対称性の異なる世界を作っているために、素粒子を支配する法則と異質の新しい法則が生まれる。というわけで、一般に科学は、それぞれの対象によって多くの階層に分かれて、それぞれの階層での境界面をのぞいて、独自の法則がそれぞれカバーしている。って考え方は、近年は学者の中では浸透してきているし、実は今では一般的だ。エネルギーレンジの違うものは違う世界のお話なんだと。
何でもかんでも、微細な立場から統一的に理解できないと、理解しようとする試みこそが科学だ!というのは、少なくとも近年ではあまり信じられてない。無論、そういう立場の人もいるし。自分の領域ではそれを信じて自分の理論を展開して、どんどんそれを押し広げているわけだが。だれも、素粒子の理論で多体の電子論を議論できるとは思ってないし、実際意味もない。
ともかく、だから、再現性ってのが科学的根拠っていうのは、非常に納得かなと。理論が正しいのか正しくないのか?理解が正しいのか正しくないのか?ってのは理解の仕方がいろいろあるので、結局は正しい答え(現象を再現できる)ってのが、つまるところ最重要なわけで。
そして、学問上でも応用上でも、その原理なり理論なりが、他の理論を誘発してさらなる世界の広がりを見せるのか?さらなる応用を生み出すのか?ってのが、その立場の評価な訳で、どちらの立場がより世間に認められるか?ってのが勝負になるわけですが。
応用上重要な原理は、立派な原理ですよ。はい。
Re:科学的根拠 (スコア:1)
Re:不要というより.. (スコア:0)
Re:不要というより.. (スコア:0)
Re:不要というより.. (スコア:1)
その当時は、現在の開発力とその速度/必要性から見ると大体これくらいの速度で進化し続けるのではないかという予測値だったんじゃないんですかね~
そして業界の人は最低でもそれを満たすべくがんばったと
ノルマってことは (スコア:0)
ってことは、ムーアの法則が無かったら、もっと進歩してたとか?
楽勝で達成できた年には「今年はココだけ小出しにして、残りは来年発表しよう」って感じで技術を繰り越してたりして…
Re:ノルマってことは (スコア:1)
そりゃそうでしょ。オーバースペックでもモノは売れませんから。
Re:不要というより.. (スコア:0)