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高部裁判長は「12月31日午後12時と1月1日午前零時は同じ時刻を一方の日から見た表現。この時刻を改正法施行日ととらえると、著作権は消滅している」と、文化庁の見解は日本語の解釈上おかしいと指摘。その上で「著作権侵害は刑事罰の対象にもなり、解釈は明確でなければならない」と述べた。
あくまで想像ですが、債務者は、単純に条文だけを確認して(あるいは、「公表後50年」という結論部分だけの理解で)、ある意味安易に(よくいえば「条文の文言に素直に」)PDと判断し、販売を決断したものと思われます。一方で、保護期間を公表後70年に延長する改正法が施行されたのは、2004年1月1日で、改正法の立法趣旨等の詳細は、施行より半年近くも前に(※施行後でしたらまた別論ですが)、コピライト2003年8月号等で解説されているわけでして、そこではしっかり「1953年公開作品の保護期間は(PDにならずに)20年間保護期間が延びる」と明記されてます(多分、コピライトの原稿は、法案提出時の説明資料の使い回しと思われ、つまり実質的な立法者意思なわけです)。これを読めば普通はPDになるとは考えないし、債務者が仮に上記記事をちゃんとチェックして、それでも「文化庁は間違ってる!」と判断したとは到底思えません(もしそうなら、なかなかのチャレンジャーでしょう)。なんかそれ考えると、何か正直者が馬鹿を見る的な印象を受けて、個人的には正直解せません。
(正直「素直に読めば…」ということまでは私も否定しませんので)
参考までに、(おそらく)現役官僚の手になる blog である bewaad institute のエントリ [bewaad.com]から、官僚のお一人の考えを引いておきます。
法解釈は究極的には司法府のそれのみが正統性を有し、それ以外の者によるものは乱暴に言えばそういう意見もある、というものに過ぎません。立法府が立法の際に「○○というつもりで作った」という解釈(立法者意思。立法者意思とは誰の意思かという根本的問題もあるのですが、それはさておき)ですら、司法府を拘束するものではありません。そうでないと、立法の不作為による事案の救済などできないわけですし。
とあり、裁判官が「立法者意思を無視」することは充分可能だという意見が、法案の作成者の側にすらあることが分かります。また、法哲学者の blog である「おおやにき」のエントリのコメント [zive.net]に、MORITA氏という方の
法律もコンピュータのプログラムと一緒で、書いた人が思った通りに動くのではなく、書いた通りに動くもの
というコメントがあり、おおや氏はこのコメントを肯定的に引用しています [zive.net]。
ということで、私は、裁判官が「立法者意思」を結果として無視することは、別にあっても構わないのだと理解しています。 # 私自身は法学徒ではないので、異論や補足がありましたら、 # 私にも参考になりますので、どうぞお願いします。
ただ、政府提出法案は、国会への提出までに省庁内部の議論や内閣法制局による審査を経るわけで、立法者意思が明確でないような条文は滅多になく、さらにそれが裁判で争われて立法者意思が否定されるような事例はごく稀なのでしょう。そういう意味ではたしかに「衝撃的」なのでしょうね。
今回の判決自体が法学的に見て妥当かどうかの判断は私の能力を越えますので、いまいち歯切れが悪いですが、ご参考まで。
自己フォローです。
すみません、そもそも本件は裁判ではなく、出されたのは「判決」ではありませんでしたね。失礼しました。
文化庁の見解について、「法的に誤ったものである以上、誤った解釈を前提とする運用を将来においても維持することが、法的安定性に資することにはならない。」と言われてしまっていますね。私と一緒に著作権法を勉強し直しましょう。>文化庁
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie
判決文へのリンクその他 (スコア:5, 参考になる)
35 :名無しさん@恐縮です :2006/07/11(火) 18:46:53 ID:HjiDVtpc0
決定文 [courts.go.jp]
36 :名無しさん@恐縮です :2006/07/11(火) 19:12:54 ID:3x1yc3jx0
この判決、ちょっとすごいぞ。
保護期間が昭和45年12/31までの著作物が
昭和46年1/1施行の現著作権法で保護されるという解釈が
そもそも間違っていて、
間違った解釈に基づく運用を保護する必要はないから、
今回は延長を認めないって議論だ。
運用期間が長いから、昭和45年から昭和46年への
切り替えが無効になることはないとおもうけど、
その切り替えがそもそも誤りとは、大胆な判決だ。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:5, 興味深い)
"本件改正法附則2条の適用関係に関する文化庁の上記見
解は,従前司法判断を受けたものではなく,これが法的に誤ったものである以上,誤った解釈を前提とする運用を将来においても維持することが,法的安定性に資することにはならない。"
と言いきっちゃってるんですから、なかなか胸のすくような判決ですね。
法の最終的な解釈を行うのは裁判所であるにもかかわらず、事件に際してしか解釈しないという日本の司法制度の特徴(欠陥ではない)が出ている例かと思いました。
------------------------- Excess and Obsolete
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:5, 興味深い)
個人的には産経新聞記事 [sankei.co.jp]での
に胸がすきました。一刀両断ですね。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:1)
おそらくキーポイントはこれですね。
文化庁の判断である「12月31日24時=1月1日0時」を否定せず、
一方で法の解釈に対して筋道を通したという点では、これを
債権者・文化庁側が覆すのは非常に難しいと思われます。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:3, すばらしい洞察)
そもそも12月31日午後12時は12月31日に入らないんじゃないでしょうか、午後11時59分59.99999....っていう限界時間までが12月31日だと思います。
それが一般的に理解されてる、とかいうので通じるなら、テレビとかでよくある26時から放送っていうのも通じているから、時効の次の日の午前2時に逮捕しても前の日の26時に逮捕した、とかいうのが通じてしまう気がします。
------------------------- Excess and Obsolete
関係ないけど (スコア:3, おもしろおかしい)
1分を128秒。1時間を128分に、1日を16時間。一週間を8日。1ヶ月を32日。という風にすればいいと思うんだが。
Re:関係ないけど (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:関係ないけど (スコア:0)
swatch.beat の立場が…。
#ネタにはネタなのでAC
Re:関係ないけど (スコア:0)
日、年の絶対量は自然のものなので変えがたい。
それなのに、1ヶ月を32日にしちゃうと365を割り切れなくて困るね。。。
妥協案としては
・週、月を使うのをあきらめる
・週、月を1日より細かい単位で定義
・どの月にも属さず、曜日も未定義の日をつくる
・複数の月、曜日に属する日をつくる
・なんとか自転軸を修正して四季をなくし、年という概念の意味を薄れさせる
・なんとか地球の 自転or公転 速度を変えて一年を2^n日にする
って感じかなぁ・・・
気候変動とか考えなければ最後のが一番美しいな。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:2, 参考になる)
午前12時? 午後0時?
http://jjy.nict.go.jp/QandA/12am-or-0pm-J.html
//Sinraptor
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:1)
午前12時、真昼間
午後0時、真昼間
午後12時、真昼間
あぁ、もっと寝たいよ。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:1)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
それはおかしい。
その考え方だと、1日のうち午後の時間帯の「時」は
12、1、2、3、4、5、…
と進む奇妙な数詞の並びになってしまう。
午前が
0(=午後12)、1、2、3、4、…、10、11、12(=午後零)
午後が
0(午前=12)、1、2、3、4、…、10、11、12(=午前零)
で区切るのが常識的ではあるまいか。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
>12、1、2、3、4、5、…
>と進む奇妙な数詞の並びになってしまう。
こういう0の概念がない人って結構いるよね…マジで。
説明しても「ハァ?」みたいな顔されるので驚く。
うっかりすると午後0時をいわゆる0時としたりされる場合もあって、
どうにもこうにも。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:1)
それだと31日は終了していない。民法の規定では「終了をもって」だからな。
ただ、判決文の
>しかも,著作権侵害が差止め及び損害賠償の対象
>となるのみならず,刑事罰の対象となること(著作権法119条以下)をも
>併せ考えれば,改正法の適用の有無は,文理上明確でなければならず,利用
>者にも理解できる立法をすべきであり,著作権者の保護のみを強調すること
>は妥当でない。
の「文理上明確でなければならず」って辺りがキモなんじゃ?
条文に明確に盛り込まなかった「文化庁の失態」を指摘された結果になった。
ただ、この判決って
>平成18年(ヨ)第22044号著作権仮処分命令申立事件
と「仮処分」だよな。
仮処分するべきか否かって判断でしょ。
1年前のは権利失効しているのだから、仮処分で止めてから裁判を継続する必要性までは無いと言う判断じゃないの?
最終的な結論が出るまで数年掛かるでしょ。
アパートとか借りている場合の賃貸契約だと、2年毎の更新であっても「継続して借りていた」と、日の終了と翌日の開始は一緒と扱われそうだけど。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
「法的」を「技術的」に置き換えて是非ともマイクロソフトに言ってやりたい。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:2, 興味深い)
そもそも(Re:判決文へのリンクその他) (スコア:1)
Re:そもそも(Re:判決文へのリンクその他) (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:そもそも(Re:判決文へのリンクその他) (スコア:1)
じゃなくて、13条3項で権利の目的とならない、でした。
#主文に関しては、著作物と言うには無理がありそうだが……。
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:1)
ただ、コピペだけだとな。引用じゃなく複製だよな。
あと、「2ch」だけじゃなく、対象のURLを記載したりリンク張った方が良いよな。2chは広いから。
法律屋のコメント (スコア:1, 興味深い)
>文化庁見解は要するに実質立法者の意思であって(中略)、今回これが否定されてしまったわけですので、個人的にはかなりの衝撃です。
だそうです。「やっぱり高部裁判長」という感じらしい。
しかしまあ、法の世界というのはよくわからんものですね。
Re:法律屋のコメント (スコア:3, すばらしい洞察)
同意。
というか、先のblogを読んでみても
(強調は引用者)
法律ってのは条文に書いてあることがまずは第一義じゃないかと思うんですが…。
別の箇所にこうとも書いてますが、「条文を素直に読んで解釈し実行した」人は「正直者」じゃないんですかね?
「立法者の意思」なんてもんは、条文に書いてなければ何の意味も無いと思うんですが(もちろん条文の解釈自体は判例という形で補完されていくにしても)
今回の件は「条文を素直に読めば」53年映画は著作権が切れると解釈できるわけで(少なくとも一般人のセンスではそう取れる)、それを「立法者の意思」とかいう正体不明のものに影響されて捻じ曲げようというのは少なくとも法治国家ではやっちゃいかんでしょう。
それを「かなりの衝撃」と言ってしまうのはほんと「法の世界ってのはよくわからん」ですね…。
Re:法律屋のコメント (スコア:3, すばらしい洞察)
Re:法律屋のコメント (スコア:2, すばらしい洞察)
参考までに、(おそらく)現役官僚の手になる blog である bewaad institute のエントリ [bewaad.com]から、官僚のお一人の考えを引いておきます。
とあり、裁判官が「立法者意思を無視」することは充分可能だという意見が、法案の作成者の側にすらあることが分かります。また、法哲学者の blog である「おおやにき」のエントリのコメント [zive.net]に、MORITA氏という方の
というコメントがあり、おおや氏はこのコメントを肯定的に引用しています [zive.net]。
ということで、私は、裁判官が「立法者意思」を結果として無視することは、別にあっても構わないのだと理解しています。
# 私自身は法学徒ではないので、異論や補足がありましたら、
# 私にも参考になりますので、どうぞお願いします。
ただ、政府提出法案は、国会への提出までに省庁内部の議論や内閣法制局による審査を経るわけで、立法者意思が明確でないような条文は滅多になく、さらにそれが裁判で争われて立法者意思が否定されるような事例はごく稀なのでしょう。そういう意味ではたしかに「衝撃的」なのでしょうね。
今回の判決自体が法学的に見て妥当かどうかの判断は私の能力を越えますので、いまいち歯切れが悪いですが、ご参考まで。
Re:法律屋のコメント (スコア:1)
自己フォローです。
すみません、そもそも本件は裁判ではなく、出されたのは「判決」ではありませんでしたね。失礼しました。
Re:法律屋のコメント (スコア:1, 興味深い)
> 立法者の意思
前者がかのoffice氏を有罪にした「文理的解釈」、後者が「法理的解釈」という奴ですね。
Re:法律屋のコメント (スコア:1, 興味深い)
と考えると、この件も丁度系-松下の件も、「厳密に法の解釈を行う」の点で高部判事の判断に一貫性があるのかな、と思いますね。
Re:法律屋のコメント (スコア:0)
同意。
著作権が切れそうな作品を20年延ばす意図があるなら
施行を2003年中にすれば済む話だったわけで。
ミスした挙句に屁理屈持ち出した文化庁を、
条文の合理的解釈を曲げてまで救う必要は無いと思います。
そもそも、法の施行を毎月1日に限る規則ってあるんでしょうか?
Re:法律屋のコメント (スコア:1, おもしろおかしい)
法律は意図したとおりではなく、書かれたとおりに適用されます。
条文としてリリースした以上、それが仕様なのです。
Re:法律屋のコメント (スコア:0)
Re:法律屋のコメント (スコア:1)
まあ、確実に高裁まで進むと思いますので、どうなるかは予断を許さないとは思います
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Re:判決文へのリンクその他 (スコア:0)
Re:判決文へのリンクその他 (スコア:4, 参考になる)
第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項又は第五十四条第一項の場合において、著作者の死後五十年、著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年又は著作物の公表後七十年若しくは創作後七十年の期間の終期(註:要するに著作権の保護期間)を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。