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なんで、役所は単年度予算を死守したがるのでしょうか?
端的には憲法にそう書いてあるからでしょう。
日本国憲法第86条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
とある通りです。この「会計年度」を複数年度に読み替えるというのは、いくら何でも無理があるでしょう。また、この条文は、「年に一度は国民の代表が予算についてチェックする」ということでもあるわけです(本当にちゃんとチェックできているかはともかく)。そう考えると、単年度主義を一概にダメとも言いがたいのではないでしょうか。
ということで、まともに単年度主義を廃するなら憲法改正しかないということになるわけですが、流石にそれはハードルが高すぎるでしょう。また予算の全てについて単年度主義を見直すというのは、単に事務的な手続き変更をとっても膨大な作業になると思われ、本当にそこまでやるメリットがあるのかちょっと疑問です。現実的な解としては、参議院憲法調査会の報告 [sangiin.go.jp]に
「複数年度予算の編成については、財政民主主義の観点から単年度主義を維持しつつ、年度をまたがる手当が必要なものについては、現在法律で規定されている継続費等の制度を活用し、運用を弾力的なものにする」などの意見が出されました。
とあるように、研究費については「弾力的な運用」でカバーするのがよいのではないでしょうか。現に科研費の次年度繰り越しが(「正当な理由」があれば)可能になっているように。しかし憲法に書いてある以上、単年度主義が原則なのであって、無闇に例外を作らないというのは、それはそれで筋が通っていると思います。 # 「自分たちの得になることならいくらでも例外を作るくせに」 # という陰口もあるでしょうが、まあ、それはそれとして。
独法化に伴いいろいろな不利益(終身雇用廃止など個人的な不利益も含む)が有るにもかかわらず、 これで自由に研究できるならと、独法化を嫌々認めた人も多かった
真面目に独法化(大学の場合は国立大学法人化)に取り組んでいた大学人の方々には申し訳ないですけど、単にそういう能天気なことを考えていた方がいらしたとすれば、自業自得という印象は拭いきれません。制度導入当初の「口約束」(国会での附帯決議なんかも、実は「口約束」みたいなもんです)がそのまま守られるわけないでしょう。 # 実際にはなんか嫌な予感はしてたんじゃないのか、とも思います。
最初に独法化された組織は、そのほとんどが国の研究機関でした。独法化前には、予算の次年度繰り越しも可能だし、色々自由度も広がるし、研究所みたいなところには良い制度ですよ、みたいなことを行政改革推進本部あたりは言っていました。
しかし蓋を開けてみれば、予算の次年度繰り越しなんてしたら財務省が交付金を減らす可能性が高いよ、ってことで、ほとんど繰り越しなど出来ていないはずです。また、組織全体の運営の計画には大臣の認可が必要なので、結局は官僚による支配は残っています。やりようによっては、以前よりキツイ支配をすることも可能でしょう。 # ただし、事業運営の計画に大臣の認可が必要ということは、 # 究極的には国民によるガバナンスが効いているということでもあるので、 # こういうシステム自体が否定されるべきものというわけではありません。
で、「大学も独法化を」って話が出た頃には、こうした独法の(中の人にとっての)問題点は、わりとはっきりしていた筈なんですよね。まあ、文部科学省は「独法という制度は大学には合わない」と言い出して、結果「国立大学法人」という、新たなタイプの法人が出来たわけですが……
でも大学の先生方のほとんどは、自分の教え子たちが就職していたり、あるいはかつて所属したことがあったりする、研究機関の独法の現実にはほとんど無関心でしたね。法学部の先生方などはまたちょっと別かもしれませんが。
べつに独法の状況改善に協力すべきだったとは言いませんが、同じ轍は踏まないように情報収集くらいしなかったの? とか、議員と連携してもうちょっと条件闘争できなかったのかな? とは思っちゃいますね。 # 「条件闘争」と書いたのは、政治的に独法化回避は難しかっただろうな、と思うからです。 ## なにしろ独法化に消極的だった当時の文部科学大臣が ## 小泉首相に「叱られた」くらいですからね……
# ちょっと踏み込んで書いたのでAC
#980214 の AC です。
少なくとも,うち(…がどこなのかは書きませんが,独法化された国立系の研究機関です)のデフォルトで付く予算は基本的に繰り越しできてるみたいですよ.
なるほど、独法によって(というより所管する省によってなのかもしれません)取り扱いが異なるのですね。参考になります。
ただし一般的には,デフォルトで付く予算なんて外部から取ってきてる予算に比べれば小さいわけで
ということは、これは研究費に限った話ということでしょうか。人件費なども含めた額が外部資金より小さいとはちょっと思えませんので(それとも、やはりそういう独法もあるんでしょうか)。
繰り越せなかった時代は,書類手続きの関係で「3月上旬には全て使い切って書類を出せ」と言われ,予算が振り込まれる時期(しかも日程がハッキリしない)までは全く予算が無い状態だったそうで,
予算が振り込まれる時期がはっきりしないのは、ある意味しょうがないんですけどね。科研費などのいわゆる外部資金(民間の財団などからのものは除く)にしろ運営費交付金にしろ、国の会計から出ているものは予算案が国会を通らないと額も確定しませんよね。予算案が通ってから諸々の手続き等が始まるので、予算案の審議が伸びると会計が動き出すのも遅れていくということなんでしょう。昔は通常国会が空転しているとか聞いても「あっそう」としか思いませんでしたが、今は「また研究費の配布が遅れるんだろうなぁ」と、研究者の方々に同情してしまいます。
大学の現状を知らない方が、何を言っても説得力がありませんよ。
流行の「IT」と異なり、お金のかかる研究もあるのですよ。 アメリカやヨーロッパ、中国に人材を奪われるのが目的なら、現状でも良いと思いますけど。
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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」
単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:5, 興味深い)
むかしは最悪、成果が出なくても講義をしているだけでも首がつながっていましたが、今は「成果主義」の時代ですから、とにかくなんらかの「成果」を出すことが必須です。
追い撃ちをかけるように校費(だまっていても降ってくる資金。10年くらい前は50万/年は確実にこえていました)も強烈に削られて2〜30万/年、なにか研究をしようとしたらホラを吹いてでもなんかの資金をゲットしてこないと研究室の最低限の維持すらもできないのが実験系の現状です。
それとこれも予算にかかわることですが、スタッフを雇用することが困難になりました。人数は昔よりも増えたのですが、ほとんど任期つきのポジションしか用意することができません。こういうポストに来た人たちは着任と同時に次のポストのことを気にしていますし、自分の研究が最優先になり、研究室の運営にあまり関わってくれません。
#彼らからすれば当然のことで責めるわけ
#ではありません。
その結果として予算の処理や実験装置の保守管理などがなおざりになっていきます。昨今にぎわせている不正使用についてはケースバイケースで、許しがたい不正使用もあればこのような不正使用もあると思われます。
なかなか語りつくせませんが、こういう事情があることも気にとめた上で議論していただければ幸いです。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:2)
なんで、役所は単年度予算を死守したがるのでしょうか?
#まじ、意味分からんのだけど、、、、、
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:2, 参考になる)
端的には憲法にそう書いてあるからでしょう。
とある通りです。この「会計年度」を複数年度に読み替えるというのは、いくら何でも無理があるでしょう。また、この条文は、「年に一度は国民の代表が予算についてチェックする」ということでもあるわけです(本当にちゃんとチェックできているかはともかく)。そう考えると、単年度主義を一概にダメとも言いがたいのではないでしょうか。
ということで、まともに単年度主義を廃するなら憲法改正しかないということになるわけですが、流石にそれはハードルが高すぎるでしょう。また予算の全てについて単年度主義を見直すというのは、単に事務的な手続き変更をとっても膨大な作業になると思われ、本当にそこまでやるメリットがあるのかちょっと疑問です。現実的な解としては、参議院憲法調査会の報告 [sangiin.go.jp]に
とあるように、研究費については「弾力的な運用」でカバーするのがよいのではないでしょうか。現に科研費の次年度繰り越しが(「正当な理由」があれば)可能になっているように。しかし憲法に書いてある以上、単年度主義が原則なのであって、無闇に例外を作らないというのは、それはそれで筋が通っていると思います。
# 「自分たちの得になることならいくらでも例外を作るくせに」
# という陰口もあるでしょうが、まあ、それはそれとして。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
そういうロビー活動すらしないで、小手先で切り抜けようとせこい事をするから批判されるんだよ。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:5, 興味深い)
独法化に伴いいろいろな不利益(終身雇用廃止など個人的な不利益も含む)が有るにもかかわらず、
これで自由に研究できるならと、独法化を嫌々認めた人も多かった
で、いざ独法化したら、単年度予算は相変わらず
天下りの受け入れ先になりそうな悪寒
まったく、役人て奴は信用できんと、心から思いましたよ
それから、科研費の使用目的に対する細かい制限
これも、不正を誘発する温床となる
いや、ボールペン一本買うのにも、
本当にばかばかしい手続きが必要なのよ
で、この細かい制限の多くは、法律で決まっているのではなく
予算管理を任されている、事務次官の気分次第
つまり、責任回避と、自分は仕事しているぞ! アピールのため
必要以上に細かい規定を設けており、かえって不正を誘発している
実際に、役人相手にすると、本当にばかばかしいよ
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:5, 興味深い)
真面目に独法化(大学の場合は国立大学法人化)に取り組んでいた大学人の方々には申し訳ないですけど、単にそういう能天気なことを考えていた方がいらしたとすれば、自業自得という印象は拭いきれません。制度導入当初の「口約束」(国会での附帯決議なんかも、実は「口約束」みたいなもんです)がそのまま守られるわけないでしょう。
# 実際にはなんか嫌な予感はしてたんじゃないのか、とも思います。
最初に独法化された組織は、そのほとんどが国の研究機関でした。独法化前には、予算の次年度繰り越しも可能だし、色々自由度も広がるし、研究所みたいなところには良い制度ですよ、みたいなことを行政改革推進本部あたりは言っていました。
しかし蓋を開けてみれば、予算の次年度繰り越しなんてしたら財務省が交付金を減らす可能性が高いよ、ってことで、ほとんど繰り越しなど出来ていないはずです。また、組織全体の運営の計画には大臣の認可が必要なので、結局は官僚による支配は残っています。やりようによっては、以前よりキツイ支配をすることも可能でしょう。
# ただし、事業運営の計画に大臣の認可が必要ということは、
# 究極的には国民によるガバナンスが効いているということでもあるので、
# こういうシステム自体が否定されるべきものというわけではありません。
で、「大学も独法化を」って話が出た頃には、こうした独法の(中の人にとっての)問題点は、わりとはっきりしていた筈なんですよね。まあ、文部科学省は「独法という制度は大学には合わない」と言い出して、結果「国立大学法人」という、新たなタイプの法人が出来たわけですが……
でも大学の先生方のほとんどは、自分の教え子たちが就職していたり、あるいはかつて所属したことがあったりする、研究機関の独法の現実にはほとんど無関心でしたね。法学部の先生方などはまたちょっと別かもしれませんが。
べつに独法の状況改善に協力すべきだったとは言いませんが、同じ轍は踏まないように情報収集くらいしなかったの? とか、議員と連携してもうちょっと条件闘争できなかったのかな? とは思っちゃいますね。
# 「条件闘争」と書いたのは、政治的に独法化回避は難しかっただろうな、と思うからです。
## なにしろ独法化に消極的だった当時の文部科学大臣が
## 小泉首相に「叱られた」くらいですからね……
# ちょっと踏み込んで書いたのでAC
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:1, 参考になる)
>> ほとんど繰り越しなど出来ていないはずです。
少なくとも,うち(…がどこなのかは書きませんが,独法化された国立系の研究機関です)のデフォルトで付く予算は基本的に繰り越しできてるみたいですよ.ただし一般的には,デフォルトで付く予算なんて外部から取ってきてる予算に比べれば小さいわけで,実際に使ってる予算の大半は繰り越せないわけですが.それでも「全く繰り越せない」と「若干でも繰り越せる」の違いは大きいですね.
聞いた話では,繰り越せなかった時代は,書類手続きの関係で「3月上旬には全て使い切って書類を出せ」と言われ,予算が振り込まれる時期(しかも日程がハッキリしない)までは全く予算が無い状態だったそうで,年末くらいには翌夏あたりまでの出張予定を全て決定しないといけなかった&上記の期間は予算が無いのでマトモな買い物はできない状態だったそうです.
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:1, 参考になる)
#980214 の AC です。
なるほど、独法によって(というより所管する省によってなのかもしれません)取り扱いが異なるのですね。参考になります。
ということは、これは研究費に限った話ということでしょうか。人件費なども含めた額が外部資金より小さいとはちょっと思えませんので(それとも、やはりそういう独法もあるんでしょうか)。
予算が振り込まれる時期がはっきりしないのは、ある意味しょうがないんですけどね。科研費などのいわゆる外部資金(民間の財団などからのものは除く)にしろ運営費交付金にしろ、国の会計から出ているものは予算案が国会を通らないと額も確定しませんよね。予算案が通ってから諸々の手続き等が始まるので、予算案の審議が伸びると会計が動き出すのも遅れていくということなんでしょう。昔は通常国会が空転しているとか聞いても「あっそう」としか思いませんでしたが、今は「また研究費の配布が遅れるんだろうなぁ」と、研究者の方々に同情してしまいます。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
>問題点は、わりとはっきりしていた筈なんですよね。
うち、その先陣を切った国研なんでどうにもこうにも・・・
#単なる愚痴なんでAC
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
「ウリがいつまでたっても昇進できないのは、無能な教授が終身雇用で居座っているからだ。任期制にしる!」
と騒いでいたのはどこのどいつだっけ。
んでだ、
> 予算管理を任されている、事務次官の気分次第
> つまり、責任回避と、自分は仕事しているぞ! アピールのため
> 必要以上に細かい規定を設けており、かえって不正を誘発している
これに根拠はあるのか?
科学者が決めつけでものを言っていいのか?
おまけ
米国では研究費の大半がスポンサーから出ていることが多いので、契約の範囲なら流用も問題なかろう。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
んー、とりあえず身近にはいなかったなあ。
成果出せば昇進あるし、昇進してもあまり良いことないし。
ああ、でも使えない部下が一定年度で消えてくれるのはありがたいかも。
(とはいえある程度は行き先の面倒みにゃならんけども)
>これに根拠はあるのか?
>科学者が決めつけでものを言っていいのか?
以前大規模プロジェクトの打ち合わせに行ったときの昼食会で、
文科省の課長(だったかな?)の人は「必ずしも全てがそうでは無いん
ですが、規定が細かくなっていくのは責任の所在を明らかにしていく
うえでは良くあることです」ということは言っていた。
事務次官が悪いとはまったく言ってなかったけど。
#とりあえずAC
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
君の世界はそれで全部か。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
大学の現状 (スコア:1, すばらしい洞察)
大学の現状を知らない方が、何を言っても説得力がありませんよ。
流行の「IT」と異なり、お金のかかる研究もあるのですよ。 アメリカやヨーロッパ、中国に人材を奪われるのが目的なら、現状でも良いと思いますけど。
Re:大学の現状 (スコア:0)
あなたたちの研究費がどこから出てるか、一度でも考えたことありますか?
「人材を奪われる」とか言ってるけど、税金で養ってる大半の研究者は他国に行って使い物になるレベルじゃないじゃん。
ごく一部の役に立つかどうかわからん連中を養うためにガマンしろってか?
結果の出せない研究者は要らないね (スコア:1, すばらしい洞察)
失敗した時に、うやむやにしてる奴等、多すぎ。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
馬鹿が
家を出た子に対し、
生みの親だからという理由だけで
支配を続けようなんておかしいだろが
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:3, すばらしい洞察)
有効なロビー活動をできる影響力や資金を持っている人たちは
そもそも困っていないのだから
その人たちにとっては必要のないロビー活動なわけで。
ということだと思うんだけど。
それとは別に、国立大は新規に技官の採用がない、
というのが(実験系では)痛いらしいとは聞きますが。
Re:単年度予算とか科研費の使用用途とか (スコア:0)
>そもそも困っていないのだから
理系のOBでも各企業の取締役クラスの人はいるわけで、
ちゃんとOBの人たちにアピールしていけば影響力にはなるのではないかな。
日本の人材育成は大学に頼っている部分も大きいですし。
>それとは別に、国立大は新規に技官の採用がない、
>というのが(実験系では)痛いらしいとは聞きますが。
技官に残業代が付くのも厳しいと聞いてます。