そういう点では、デファクトスタンダードである Microsoft Office Suite のドキュメントと全く互換性の無い (いかに変換をかけても埋めようの無い差のある) ODF は経緯を気にしていないことになるように思いますが、どうなのでしょうね。そして、それを満場一致で可決した JTC1 は経緯を考えていないのでは、と。村田氏に「細かく見ていたら通る訳がない」ものと言われてしまっていますし。
仕様が ISO などで標準化されているだけでなく、オープンソース実装がある程度のシェアを
確保して「これぞ参照実装」という地位を獲得していなければ、標準化団体よりも実装者による
支配の方が強くなってしまう。これは避けられないのではないでしょうか。
たとえば PDF は ISO で標準化されたりしているらしいですが、Adobe Acrobat という支配的な
実装が存在します。Acrobat で開けないファイルは、たとえ ISO の標準に準拠していても
世間は PDF と認めてくれないでしょう。また Acrobat で作ったファイルを表示できなければ、
PDF のレンダラーとして世間は認めてくれないでしょう。
ODFは満場一致で賛成 (スコア:5, 興味深い)
これだけ読むとODFがすばらしく優れているように感じますが、実際はなんでもいいから文書フォーマットの標準化をとにかく急いで完成度を不問にした結果みたいですね。
はっきり言ってしまうと、ODFの仕様書は規格といってしまうにはいまいちなデキです。
コメントが短すぎたり、別の規格を参照する過程で解釈が分かれる部分などが散見されます。
おそらく規格どおりに作成しても互換性は保たれないので、ところどころでOpenOffice.orgの実装を参照しなければまともなオフィススイートはつくれません。
OOXMLの仕様書はサンプルを多く載せているのと外部参照を減らしているので多少はましな印象ですが、規模が巨大なためすべてを実装するのは体力がないと辛いです。
ということで、OOXMLの仕様書は私企業版にとどめておいて
ODF-OOXML間の厳密な変換方法を規格化すると少し楽しい未来になるんじゃないですか。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:1, すばらしい洞察)
> 対して、OOXMLは現時点で19カ国が反対を表明したそうです。
「標準規格を定めてみんなでそれを使おう。」
と各国がODFを(完成度の問題に目をつぶって)担いだ後で、
「標準規格をみんなで使いたいのか。よし、うちの製品の規格を公開してやるから、お前らで標準規格に認定して、それを使えや。by MS」
という流れだからねえ。心情的な問題も多少はあるんでなかろうか。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:1, すばらしい洞察)
そんなことはないと思いたいが、そうすると他の真っ当な理由があるはずで、ぜひともそのへんが知りたいところだが…
使い手としては中身が問題で、誰が作ったとかどういう経緯でできたとか、そんなことはどうでもいい。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:2, すばらしい洞察)
そういう「標準化に対する理念」を失って、企画書のフォーマットさえ整っていたら何でも追認するような団体こそ必要ないものです。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:1, すばらしい洞察)
そういう点では、デファクトスタンダードである Microsoft Office Suite のドキュメントと全く互換性の無い (いかに変換をかけても埋めようの無い差のある) ODF は経緯を気にしていないことになるように思いますが、どうなのでしょうね。そして、それを満場一致で可決した JTC1 は経緯を考えていないのでは、と。村田氏に「細かく見ていたら通る訳がない」ものと言われてしまっていますし。
とりあえずオープンなものを、ということで 1 つの仕様書内ですら整合性がまともに取れていない ODF が通ってしまっているのは、まさに「企画書の体裁さえ整っていたらなんでも追認する」状況ではないですか。OOXML に対しては前例ができたので、とりあえずまともに評議しようとしている、と。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:1, 興味深い)
それは、全く経緯を無視した指摘ですよ。その時点では、MSの文書は全くのブラックボックスだったのですから、互換性のとりようがありません。
今こういう議論ができる事自体が、JTC1の英断のおかげだと言う事を忘れてはいけませんよ。そういう意味では、意図が狙い通りに反映されている、と言えるでしょうね。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:2, 参考になる)
MS Office文書の仕様は一部が開発者向けに公開されています。
(たとえば "Rich Text Format (RTF) Specification" [microsoft.com])
ですから全くのブラックボックスとはよくある誤解です。
非公開なのはそれぞれの機能に割り振るコードとか実装に深く関係する部分です。
そうでなければOffice互換ソフトなんて一から作れるわけないでしょ。
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:1, 参考になる)
ODFにお尻を叩かれてやっと動く会社ですから。
おかげで、ワードファイルが肥大化して破損した場合、
なんとかできるようなユーティリティはHTMLやtexのようには存在しません。
それに、標準化した後に独自拡張とかも考えてたりしそうですしね。
実際、外部のメーカーが互換ソフト作っても内部規格変更の度振り回されてるでしょうし。
# MARQUEE機能とか作ったら笑うけど…
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:0)
ISOがOOXMLにお墨付きを与えた後で、MSが公開または非公開で独自
拡張をバシバシ入れてきたらどうなるんでしょう。
MS-Officeの圧倒的なシェアの前に、ISOは成す術なし?
もしかして振り出しにもどる?
Re:ODFは満場一致で賛成 (スコア:5, 興味深い)
日本の EPWING の例が浮かびました。(実装が先行した後、JIS X4081 として規格化されましたが、その後も仕様が拡張されています。最新の規約を入手するには、法人のみ会員になれる EPWING コンソーシアム [epwing.or.jp]に入会する必要があります。JIS の規格から得られる情報だけでは最新の EPWING タイトルを読めないことが多いので、個人が開発している EPWING ビューアは、開発者の独自解析に頼っていると聞きます)
オープンソース実装のない標準規格は画餅 (スコア:2, 興味深い)
確保して「これぞ参照実装」という地位を獲得していなければ、標準化団体よりも実装者による
支配の方が強くなってしまう。これは避けられないのではないでしょうか。
たとえば PDF は ISO で標準化されたりしているらしいですが、Adobe Acrobat という支配的な
実装が存在します。Acrobat で開けないファイルは、たとえ ISO の標準に準拠していても
世間は PDF と認めてくれないでしょう。また Acrobat で作ったファイルを表示できなければ、
PDF のレンダラーとして世間は認めてくれないでしょう。
なおかつ、オープンソースソフトウェアが持続的に成長して行くためには、実装すべき仕様は
簡潔である必要があります。複雑怪奇な仕様を、単に標準として認知させるためのアリバイとして
企業丸抱えのオープンソース実装が名目上存在する、という状況ではまずい訳です。