圧倒的に前者です。というか、B. nattoは種名として正式に採用されたことはなかったはず。
まず、国際細菌命名規約のApproved List of Bacterial Name [nih.gov] (1980年以前の学名を承認したもので、これ以前に遡る必要はない)に未収載です。国際命名規約では、これ以降に提唱されたものについてはIJSEM (International Journal of Systemic and Evolutionary Microbiology [sgmjournals.org])で発表されるか、他誌で発表されたものについてもIJSEMの正式発表名リストに収載されて初めて「正式発表名」になります。最新の正式発表名は、DSMZ [www.dsmz.de]で見れますが、そこにもB. nattoはありません。つまり「命名規約上では正式採用されてない」ということです。
Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:3, 参考になる)
#「枯草菌の仲間である納豆菌」ならよく聞くが。
話がずれるのですが、納豆菌の学名・分類について
・枯草菌の亜種としたもの(Bacillus subtilis var natto)
・バチルス属の独立した種としたもの(Bacillus natto)
の双方を見るのですが、最近の知見としてはどちらが優勢なのでしょうかね?
後者の立場で「納豆菌の仲間である枯草菌」がアリなら
「納豆菌の仲間である炭疽菌(Bacillus anthracis)」ってのも。
#それにしても、E-CELLのグループの印象が強かったのですが、
#こういうウェットな研究もしてたんですね・・・
Re:Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:3, 参考になる)
まず、国際細菌命名規約のApproved List of Bacterial Name [nih.gov] (1980年以前の学名を承認したもので、これ以前に遡る必要はない)に未収載です。国際命名規約では、これ以降に提唱されたものについてはIJSEM (International Journal of Systemic and Evolutionary Microbiology [sgmjournals.org])で発表されるか、他誌で発表されたものについてもIJSEMの正式発表名リストに収載されて初めて「正式発表名」になります。最新の正式発表名は、DSMZ [www.dsmz.de]で見れますが、そこにもB. nattoはありません。つまり「命名規約上では正式採用されてない」ということです。
で、次に実際の使用状況についてなんですが、いちばんメジャー処である、いわゆるバージェイ式分類(Bergey's manual [bergeys.org]に記載されたもの)にはB. nattoはありません。また、つい先月、日本細菌学会が(待望されてた)微生物学用語集の新版を発行したのですが、そちらにもB. nattoはありません。NCBIのTaxonomy browser [nih.gov]でも前者です(後者はシノニム扱い)。論文誌では国際命名規約に準じて表記することが多いのですが、たまにそうでもない雑誌があったり、あるいは正式発表名の候補として新名を提唱してるようなケースで、B. nattoが研究者の提唱する名前として論文には出てくることもある、といったレベルですね。日本人になじみの深いシノニムということもあり、日本の研究者にはまだ使っている人も結構いますけど。
じゃあ今後B. nattoが独立することがあるかというと、それもまずないと思います。以前は生化学的性状などを指標にした分類が行われており、そういう基準からは枯草菌と独立と言えないこともなかったわけ(そもそも、それで提唱されたものだったと記憶してます)です。ところが、現在は細菌の分類は遺伝子レベルで行われてまして、種間分類は定量的DNA-DNAハイブリダイゼーション [wikipedia.org]を用いて行われ、それによって一定の基準を満たすもの(70%以上の相対類似度があり、融解温度差が5℃以内)が同一種として分類されます。そういう定量的な基準があるもので、以前のように新しい生化学性状を見つけたので新種に分類する、というような方法で変更されることはないと。この分類法自体が見直されたら別ですけど、まぁそれでも枯草菌と納豆菌を別種とするような基準自体が難しいんじゃないかな、と。
ちなみに、この遺伝子レベルでの相似性を用いた分類には例外があります。例えばこれまで別種とされていた、炭疽菌(B. anthracis)とセレウス菌(B. cereus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と髄膜炎菌(N. meningitidis)、別属とされていた大腸菌(Escherichia colo)と赤痢菌属(Shigella spp.)が、この基準ではそれぞれ同一種ということになってしまいます。これらの違いってのは、遺伝子的にはともかくとして、医学的には重要なため、混同されると困るということから、これらには「危険名」といって、従来通り別々の学名が与えられてます。
typo (スコア:1)
#失礼しました
Re:Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:1)
>#「枯草菌の仲間である納豆菌」ならよく聞くが。
仲間という言葉が、「同じ分類に属する別の要素」って意味と「その分類に含まれる要素」という2つの意味を持つから表現も2つできる。
「納豆菌の仲間である枯草菌達」か「枯草菌の仲間である納豆菌」って事になる。
余計にややこしくしてしまおう (スコア:1, 余計なもの)
誤:枯葉剤
正:枯草菌(こそうきん) [wikipedia.org]
...スミマセン。
Re:Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:0)
「納豆菌とかの仲間ですよ」と言ってるだけでしょ
Re:Bacillus subtilis var natto / Bacillus natto (スコア:0)
知らない人が勘違いするような表現はだめでしょ。