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ダチョウの卵からワクチン大量生産、とかいう技術は今回は使えなかったんでしょうか
…などと考えると、素直にふ化鶏卵を使う方が、まだましじゃないかと。 今回の発表では培養細胞を使ってますけど、ここらへん、普通に実験室でやろうとすると、動物細胞培養のための培地なんかが高いんですよね。CO2インキュベーターもいるだろうし、おまけに効率よく増やそうと思ったら、培地中にトリプシンあたりを加える必要も出てくると思うので。 #インフルエンザウイルスは、培養細胞では、トリプシンを外から与えてHA開裂させないと増えにくいのです……ふ化鶏卵の中では特に何もしなくても鶏卵中のプロテアーゼが開裂させてくれるのだけど。 まぁこの辺りをどうデザインして最適化してるかが、製薬会社の腕の見せ所というか、企業秘密にあたる部分だと思いますが、ふ化鶏卵の系に比べて「早く、大量に」出来たとしても、決して「安く」はないんじゃないかなぁ、と思ったりして。
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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家
新技術なの? (スコア:0)
ダチョウの卵からワクチン大量生産、とかいう技術は今回は使えなかったんでしょうか
Re:新技術なの? (スコア:5, 参考になる)
ワクチンを作らせる技術ってのは、病原体(ウイルス)を増やす技術とほぼ同義です。ウイルスを作り、それを不活化した(壊した/殺した)ものを、ヒトに接種するのがワクチン(この場合、特に不活化ワクチンという)です。
この場合、このワクチンに対して、接種されたヒトの体内で免疫が誘導され、これが同時にワクチンの元となった病原体に対しても作用します。つまりこのヒトは、病原体に曝露されたときと同様、接種された抗原に対して「自ら能動的に、免疫を獲得した」ことになります。こういうのを「能動免疫」と呼び、この形で獲得された免疫は記憶され、二回目の曝露に対して速やかに免疫が誘導されてきます。
これに対して、他の動物やヒトが作った「抗体」を体内に取り入れた場合、これを「受動免疫」と呼びますが、その抗体が直接病原体や毒素を排除することは出来ても記憶はされません。なので感染防御のためにはあまり役に立たず、いわゆるワクチンとしては用いられません。
#まぁ受動免疫でも、新生児が自前で免疫を獲得できるようになるまでの間、母親由来の抗体を使って、身を守るときなんかには感染防御の役に立ってますけどね。
#でも医療上は通常、例えば毒ヘビに咬まれたときの毒素の中和とか、微生物が関わる疾患でも破傷風やボツリヌス中毒などのように病原体そのものよりも、それが産生する強力な毒素の方が問題になるようなケースで用いられるもの(いわゆる「抗血清」)です。
じゃあダチョウの卵で「ワクチン」は出来ないか、というと……一応出来ないことはないでしょうが、却って効率は悪いんじゃないかと。
…などと考えると、素直にふ化鶏卵を使う方が、まだましじゃないかと。
今回の発表では培養細胞を使ってますけど、ここらへん、普通に実験室でやろうとすると、動物細胞培養のための培地なんかが高いんですよね。CO2インキュベーターもいるだろうし、おまけに効率よく増やそうと思ったら、培地中にトリプシンあたりを加える必要も出てくると思うので。
#インフルエンザウイルスは、培養細胞では、トリプシンを外から与えてHA開裂させないと増えにくいのです……ふ化鶏卵の中では特に何もしなくても鶏卵中のプロテアーゼが開裂させてくれるのだけど。
まぁこの辺りをどうデザインして最適化してるかが、製薬会社の腕の見せ所というか、企業秘密にあたる部分だと思いますが、ふ化鶏卵の系に比べて「早く、大量に」出来たとしても、決して「安く」はないんじゃないかなぁ、と思ったりして。