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自動車の車体骨格やシャシー部品をこの樹脂材料だけで構成することは考えにくいです。おそらく、採用はドア、フェンダーまで、耐久性次第でフロントウィンドウを除くガラスと、骨格ならば一部の補強材まででしょう。
自動車の車体骨格に必要な特性は、衝突安全や耐久性にかかわる「強度」も必要ですが、同時に「剛性」も必要とされます。
これは、おおよそ縦弾性係数と製品形状で決まるのですが、樹脂の一般的な縦弾性係数は鋼板の1/100程度のようです。これにより、同じ形状で同じ性能を出そうとすると、厚さが数倍〜数10倍になってしまい、せっかくの比強度の良さが失われてしまいます。
これを補うためには、形状により剛性を出す工夫が必要です。
現在多くの車体に使われている鋼板の「プレス+溶接」に比べると樹脂成形部品の形状自由度は格段に高いですが、
[1] 大物部品に弱い 射出成形を行う場合、樹脂を送り込む圧力にまけない型締力を発生させなければなりません。 単純にいえば、部品の投影面積に比例して成形設備が巨大化します。 まして、成形後に再度プレス(それも部品全体を高圧下におく!!)が必要なら、なおさらです。
[2] 部材の接合が難しい 鋼板の「溶接」は、高速で丈夫な優れた接合手法です。 樹脂部品では、おそらくボルト締結になるかと思いますが、コスト面から不利です。
[3] 成形できる形状に限りがある 自由度が高いといっても、成形の為の様々な制限が無いわけではありません。 例えば、金型を使う以上、型抜きに伴う製品角度の制限は、かなりあります。 今回の成形工程の場合、急速に圧縮成形する必要があるため、これに伴う制限もありそうです。
という問題があり、「大きく作れず、小さい部品の組み合わせは高コスト、できる形状はベストから遠い」といったことになると思います。
また、強度について考えても、一般鋼板の270MPa級に大して、倍の強度の590MPa級の高張力鋼板がすでにかなり普及している(難成形の問題をクリアしつつある)ことを考えると、当面、今回の高強度樹脂材料が車体骨格の主役になることは、まずありえないと思います。
逆に、車体骨格や、エンジン周辺(エンジンがあれば、ですが...)を除けば、コストと成形性次第で採用がひろがる可能性はあると思います。
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ソースを見ろ -- ある4桁UID
自動車での需要は高そう (スコア:3, 興味深い)
今までは,その素材としてカーボンを利用していましたが,いかんせん価格が高いのがネックでした.
ですが,このプラスチックの登場で,格段の軽量化が見込めそうです.また,価格もぐっと下がりそうな予感.
不安というか,疑問があるのは,事故った時にどんな破損具合になるか,でしょうか.破片が強く飛び散るようであれば,周囲の方々を傷つけてしまうし,何より車内の人が安全じゃない気が…
自動車の車体骨格の主役にはなれない (Re:自動車での需要は高そう) (スコア:4, 参考になる)
自動車の車体骨格やシャシー部品をこの樹脂材料だけで構成することは考えにくいです。
おそらく、採用はドア、フェンダーまで、耐久性次第でフロントウィンドウを除くガラスと、
骨格ならば一部の補強材まででしょう。
自動車の車体骨格に必要な特性は、衝突安全や耐久性にかかわる「強度」も必要ですが、
同時に「剛性」も必要とされます。
これは、おおよそ縦弾性係数と製品形状で決まるのですが、樹脂の一般的な縦弾性係数は
鋼板の1/100程度のようです。
これにより、同じ形状で同じ性能を出そうとすると、厚さが数倍〜数10倍になってしまい、
せっかくの比強度の良さが失われてしまいます。
これを補うためには、形状により剛性を出す工夫が必要です。
現在多くの車体に使われている鋼板の「プレス+溶接」に比べると樹脂成形部品の形状自由度は
格段に高いですが、
[1] 大物部品に弱い
射出成形を行う場合、樹脂を送り込む圧力にまけない型締力を発生させなければなりません。
単純にいえば、部品の投影面積に比例して成形設備が巨大化します。
まして、成形後に再度プレス(それも部品全体を高圧下におく!!)が必要なら、なおさらです。
[2] 部材の接合が難しい
鋼板の「溶接」は、高速で丈夫な優れた接合手法です。
樹脂部品では、おそらくボルト締結になるかと思いますが、コスト面から不利です。
[3] 成形できる形状に限りがある
自由度が高いといっても、成形の為の様々な制限が無いわけではありません。
例えば、金型を使う以上、型抜きに伴う製品角度の制限は、かなりあります。
今回の成形工程の場合、急速に圧縮成形する必要があるため、これに伴う制限もありそうです。
という問題があり、「大きく作れず、小さい部品の組み合わせは高コスト、できる形状は
ベストから遠い」といったことになると思います。
また、強度について考えても、一般鋼板の270MPa級に大して、倍の強度の590MPa級の高張力鋼板が
すでにかなり普及している(難成形の問題をクリアしつつある)ことを考えると、
当面、今回の高強度樹脂材料が車体骨格の主役になることは、まずありえないと思います。
逆に、車体骨格や、エンジン周辺(エンジンがあれば、ですが...)を除けば、コストと成形性次第で
採用がひろがる可能性はあると思います。