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既に関連リンク先で強調されてますが、「重篤な有害事象」というのは、因果関係が全然なさそうでも、とりあえず記載したり、書いたりすることになっています。細かいですが「副作用」は因果関係があるが善悪は問わない場合に使い、「有害作用」は因果関係がある悪い作用に使い、「有害事象」とは因果関係不明で悪い出来事を漠然と指すときに使う用語です。
癌患者が脳梗塞になろうと、転んで骨折をしようと、喉にもちを詰まらせようと、自殺しようと、とりあえず臨床試験ではその通りにデータを集めますし、論文では発表します。およそ関係ない偶然の事象のように見えていても、それがごく稀に発生する真の意味での重篤な副作用であることはあるからです。無事発売された後であっても製薬会社もその辺の情報収集には敏感で、どんなときも絶対に文句を言わずに真摯にその情報を集めてくれますし、必要に応じて「関係ないかもしれませんが、こういう報告なら複数ありました」とか、迅速に情報提供もしてくれます。(余談ですがこれは先発薬のサポート体制であって、ジェネリック売ってるようなところは「副作用情報はほかに聞いて」で終わり。臨床医がジェネリックを信用したくない理由の1つです)
そうやって、「もしかして関連があるんじゃないの」という例が集まったら、更に慎重に検討を重ねます。その結果「タミフルと異常行動」のように、一旦は副作用と疑われたものの、やっぱり『報告バイアス』(有名になるから更に報告が相次いで、多いように見えていただけ)であって実際にはそんな副作用はなさそうだ、という結論になる場合もあります。もちろん「極まれな真の副作用」として確立することもあります。ただし大部分はそこまで検討する余裕や意義がないために、「因果関係は不明だが報告されている有害事象」として添付文書に記載され、臨床医だけに注意を促すに留まります。添付文書にはそんな情報が大量に書かれてます。臨床試験を中止したり、関連同業者に緊急に伝えるほどの意義がある情報なのか、論文出すまで数年公開を待っていい程度の情報なのかは、まあ関連する専門家が別個に判断しているのが現状です。ただ、この例では末期膵癌の消化管出血という有りふれた事象なので、よほど頻発しない限りは様子を見るのが当然と思います。
まあ朝日新聞レベルでここまで酷い記事は時々しか出ませんが、文芸ナントカとかが乱発してるような自称医療ジャーナリストが書いている医療告発系の記事はマトモなほうが例外なくらいに無茶苦茶なうえ、そういうのに洗脳された人に説明するのは非常に大変なので、あっちもなんとかならないもんか。
国際原子力事象評価尺度でレベル3まではevent(事象)と呼ぶことに決まっているのに、それに従って「事象」と呼んだら「事故を隠蔽した」と原発を叩いた、なんてことが以前ありましたが・・・。似てますね。
> 朝日新聞レベルでここまで酷い記事
五大紙の1つ毎日新聞さんの行状 [cocolog-nifty.com]もなかなかひどいですよ
まあ、アサヒるで有名な朝日新聞ですし…w
ギチギチに制限がかかったうえで、「ごくわずかでも作為を捻じ込もう、NGが出ない範囲で」という人たちが大変な苦労をなさっているので、治験関連というのは医学業界の中でもかなり変わった雰囲気があると思う。#あの「いかにも奇妙な空気」がイメージダウンに一役買ってるんじゃないかなー
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い
臨床試験は怪しくない (スコア:5, 興味深い)
すべての研究は論文で発表することが前提なので、
論文がアクセプトされるために、かなり細かいところまで正直に書きます。
研究デザイン、どこの施設でやった試験か、
患者の人数、年齢、性別、人種、原疾患、併存疾患、罹病期間、各種検査データなどの患者情報
何をどれだけどうやってどんな風に投与したか、
もちろん試験のスポンサーがいれば、それも書きます。
結果のところでは、すべての出来事を隠さずに記載します。
およそ関係ないと思われるものも含めてすべてです。
残念ながら結果が思わしくなくても「効果なし」と記載しますし、
副作用が起きたら何がどれくらいの割合でどんな患者群で起きたかも書きます。
もちろん統計学的解析を駆使したりして、見た目をごまかすことはできますが、
同業から見れば「苦しいことしてるなー」と思われてます。
試験に入る患者さんには、可能性がある有害事象をすべて伝えます。
時には死を早めるかもしれないし、あなたの善意があなた自身には何の見返りがないことも伝えます。
(もちろんいつでも試験から脱落可能であることも)
試験を開始するには倫理委員会をきちんと通さなければいけませんし、通さなければ論文はアクセプトされません。
とまぁ、隠れてごまかそうなんて無理です。
新聞社の医療面は所詮科学者でさえもない素人が書いているので、誤解を生む表現や間違いだらけです。
彼らは 専門家の常識≠世間の感覚 というのを理解していません。
専門家にとって当然のことを、さも新発見やスクープのように必要以上に祭り上げたりします。
さらにはダブルスタンダード、自分の過ちを認めない、と手に負えません。
ドラッグラグにしても、リスクを少しとり基準を緩くして何か起きたら「杜撰な許可基準~」とか言い出すのが目に見えています。
しかしながら、マスメディアとして国民への影響力はまだまだ絶大であることから、
正しい報道を行うよう、何かしらの働きかけを行わなければいけません。
しかしながら、このようなマスコミがまかり通るのが日本という国の限界とも感じます。
Re:臨床試験は怪しくない (スコア:5, 参考になる)
既に関連リンク先で強調されてますが、「重篤な有害事象」というのは、因果関係が全然なさそうでも、とりあえず記載したり、書いたりすることになっています。細かいですが「副作用」は因果関係があるが善悪は問わない場合に使い、「有害作用」は因果関係がある悪い作用に使い、「有害事象」とは因果関係不明で悪い出来事を漠然と指すときに使う用語です。
癌患者が脳梗塞になろうと、転んで骨折をしようと、喉にもちを詰まらせようと、自殺しようと、とりあえず臨床試験ではその通りにデータを集めますし、論文では発表します。およそ関係ない偶然の事象のように見えていても、それがごく稀に発生する真の意味での重篤な副作用であることはあるからです。
無事発売された後であっても製薬会社もその辺の情報収集には敏感で、どんなときも絶対に文句を言わずに真摯にその情報を集めてくれますし、必要に応じて「関係ないかもしれませんが、こういう報告なら複数ありました」とか、迅速に情報提供もしてくれます。(余談ですがこれは先発薬のサポート体制であって、ジェネリック売ってるようなところは「副作用情報はほかに聞いて」で終わり。臨床医がジェネリックを信用したくない理由の1つです)
そうやって、「もしかして関連があるんじゃないの」という例が集まったら、更に慎重に検討を重ねます。
その結果「タミフルと異常行動」のように、一旦は副作用と疑われたものの、やっぱり『報告バイアス』(有名になるから更に報告が相次いで、多いように見えていただけ)であって実際にはそんな副作用はなさそうだ、という結論になる場合もあります。もちろん「極まれな真の副作用」として確立することもあります。ただし大部分はそこまで検討する余裕や意義がないために、「因果関係は不明だが報告されている有害事象」として添付文書に記載され、臨床医だけに注意を促すに留まります。添付文書にはそんな情報が大量に書かれてます。
臨床試験を中止したり、関連同業者に緊急に伝えるほどの意義がある情報なのか、論文出すまで数年公開を待っていい程度の情報なのかは、まあ関連する専門家が別個に判断しているのが現状です。ただ、この例では末期膵癌の消化管出血という有りふれた事象なので、よほど頻発しない限りは様子を見るのが当然と思います。
まあ朝日新聞レベルでここまで酷い記事は時々しか出ませんが、文芸ナントカとかが乱発してるような自称医療ジャーナリストが書いている医療告発系の記事はマトモなほうが例外なくらいに無茶苦茶なうえ、そういうのに洗脳された人に説明するのは非常に大変なので、あっちもなんとかならないもんか。
専門用語の不勉強? (スコア:1)
国際原子力事象評価尺度でレベル3まではevent(事象)と呼ぶことに決まっているのに、それに従って「事象」と呼んだら「事故を隠蔽した」と原発を叩いた、なんてことが以前ありましたが・・・。似てますね。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
> 朝日新聞レベルでここまで酷い記事
五大紙の1つ毎日新聞さんの行状 [cocolog-nifty.com]もなかなかひどいですよ
Re: (スコア:0, オフトピック)
まあ、アサヒるで有名な朝日新聞ですし…w
苦しいことしてるなー (スコア:0)
ギチギチに制限がかかったうえで、
「ごくわずかでも作為を捻じ込もう、NGが出ない範囲で」
という人たちが大変な苦労をなさっているので、
治験関連というのは医学業界の中でもかなり変わった雰囲気があると思う。
#あの「いかにも奇妙な空気」がイメージダウンに一役買ってるんじゃないかなー