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ITERのホームページ見ると、ITERがあって次が原型炉(発電実証プラント)、となっているけど、実際に発電が行われるのは原型炉の次ということでいいんだよね?
ITERって、2001年に設計が完了して2019年に初プラズマ達成、2027年にD-T運転開始と非常にスローペースな足並みに見えるんだけど。 原型炉も同じようなペースだとして、2050年ぐらいに商用一号機の建設開始?何でこんな遅いの?
国際プロジェクトで調整が大変とか建設に時間がとか色々あるんだろうけどさ、だったら今のうちから原型炉の設計や用地確保に入っとくとか、やりようもあるんじゃないの? (もちろん、ITERの成果によっては設計に変更も入るだろうが、それにしたってある程度方向は見えているんだよね?) どうにも真面目に実用化を目指しているように見えないんだけど。
# ってここに書いても答えが得られるわけではないだろうが。
>何でこんな遅いの?
実は、核融合発電がものになるのかどうかは全くと言っていいほどわかっていません。高温・高密度のプラズマを作って核融合反応を起こすというところまで、そして一部の施設で投入したエネルギー(電力)とほぼ同程度の核融合による出力(熱)を得るところまではいっていますが、そこまでです。無理に火力発電で例えて言えば、「やかんから出る蒸気でかざぐるまが回ることは確認できた。でっかいボイラーと発電機をつなげば実用的な発電ができるかもしれない」とかそういうレベルです。
実用的な発電を実現するには、
・さらに高温・高密度のプラズマの実現・それを磁場
無理に火力発電で例えて言えば、「やかんから出る蒸気でかざぐるまが回ることは確認できた。でっかいボイラーと発電機をつなげば実用的な発電ができるかもしれない」とかそういうレベルです。
いやあ, そこまではいかない. せいぜい木を擦り合わせたり火打石を叩いて種火が出来たってレベルでしょう. しかも, 燃えやすい火口に火をつけるのがせいぜいで, 薪とか石炭には火を移せない状態.
この先, 継続的に燃料を供給して連続的に核融合を継続させるとか, 核融合反応で出来たエネルギを取り出すとかには現状のトカマク型は不利で, 非慣性方式だとヘリカル型とか(タンデム)ミラー型とかの方が筋はいいんだけど, こちらはまだまだ初期段階. また, 現在の燃料は自己点火条件の一番ゆるいD-T反応を使っているけど, Tが原子炉などを使って生成しないといけないうえに, 反応の結果として高速中性子を出すためエネルギ利用・変換効率も悪くなるうえに炉壁の放射化・中性子脆化の問題があるので実用化には難しい. 実用的にはD-He3反応を使うのがいいけど, これはD-T反応に比べて一桁ぐらい条件が厳しいし, He3資源が近場でも月面ぐらいにしかないので月面工場でも出来ないと大量には確保できない.(継ぎでD-D反応を使うという手も考えられますが)
なので, よっぽど画期的な技術が出ないと, 今世紀中に実用の芽が出るところまでたどりつけないんじゃないかと.
SteppingWindさんのコメントはさすがに誤りが多いので訂正しますね。
>>燃料を供給して連続的に核融合を継続させるとか... トカマク型は不利で、非慣性方式だとヘリカルとか(タンデム)ミラー型のほうが筋がいい
燃料供給における一連の技術(ガスパフ、中性ビーム入射、ペレット入射)はトカマク型での実験が先行しており、ヘリカルが特に有利ということはない。ミラー方式は原理上イオンの逃げる角度が存在するので、現在は発電炉としての応用はほとんど考えられておらず、燃料の投入云々以前の問題。ちなみにミラー方式の方が歴史は長いです。
>>核融合反応でできたエネルギを取り出すとかには現状のトカマク型は不利で...
エネルギーの取り出し方式は現状、トカマク、ヘリカル、ついでに慣性でも同じ手法(炉壁(ブランケット)で中性子を減速、熱に変換)で、加熱装置やコイルのない慣性核融合炉が被覆面積の関係で有利だと言われますが、ヘリカルとトカマクなら大きな違いはないでしょう。
>>D-T反応を使っているけど... 反応の結果として高速中性子を出すため、エネルギ利用・変換効率も悪くなる
核融合反応による生成物がヘリウム原子核や陽子、ガンマ線である場合に比べると、炉としてのエネルギー取り出しには中性子の方が有利。これは電荷がなく、閉じ込め磁場の影響を受けず、透過性の高い中性子なら炉壁の内部もブランケットとして使えるためで、電荷があり、磁場で閉じ込められる粒子からエネルギーを取り出す現実的な手法はまだ提案されていないのが現状。
(ところで、D-He3反応の支持者がネットではすごく多いのはなぜなんでしょうね?なにか発信源があるんでしょうか?)
炉内でのT生成の難易度や、炉材料への中性子の影響の問題が大きいのはそのとおりです。プラズマがどれだけうまく閉じ込められても経済的に成り立たないなら意味がありません。実現のためのハードルとしてはプラズマ閉じ込めと並んで大きな問題かもしれません。
ちなみに、核融合研究では、1. 投入電力を上回る熱出力が得られるであろう温度、密度のプラズマ(ただし、使用ガスはDTではなく、商用レベルには20倍程度の効率化が必要)の1分以上の保持(JT-60U)2. 温度や密度は劣るプラズマながら数時間のプラズマ保持(TRIAM-1M)3. DTガスを用いたプラズマ生成と保持、それによる核融合反応の確認(JETなど)などの成果がすでに出ており、iterやその次のDEMO炉では「商用レベルのプラズマを数カ月程度定常に保持し続ける」ことを目指した研究が行われる予定です。そんなわけで、種火ができたレベルよりはもう少し進んでるんじゃないでしょうかね。まぁ、この手の比喩に妥当性を問うのもなんですし、そもそも、元の比喩で言うなら核融合で風車を回したことは一度もないわけだったりしますが。
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ソースを見ろ -- ある4桁UID
何時ごろ実用化するの? (スコア:0)
ITERのホームページ見ると、ITERがあって次が原型炉(発電実証プラント)、となっているけど、実際に発電が行われるのは原型炉の次ということでいいんだよね?
ITERって、2001年に設計が完了して2019年に初プラズマ達成、2027年にD-T運転開始と非常にスローペースな足並みに見えるんだけど。
原型炉も同じようなペースだとして、2050年ぐらいに商用一号機の建設開始?何でこんな遅いの?
国際プロジェクトで調整が大変とか建設に時間がとか色々あるんだろうけどさ、だったら今のうちから原型炉の設計や用地確保に入っとくとか、やりようもあるんじゃないの?
(もちろん、ITERの成果によっては設計に変更も入るだろうが、それにしたってある程度方向は見えているんだよね?)
どうにも真面目に実用化を目指しているように見えないんだけど。
# ってここに書いても答えが得られるわけではないだろうが。
Re: (スコア:5, 参考になる)
>何でこんな遅いの?
実は、核融合発電がものになるのかどうかは全くと言っていいほどわかっていません。
高温・高密度のプラズマを作って核融合反応を起こすというところまで、そして一部の施設で投入したエネルギー(電力)とほぼ同程度の核融合による出力(熱)を得るところまではいっていますが、そこまでです。
無理に火力発電で例えて言えば、「やかんから出る蒸気でかざぐるまが回ることは確認できた。でっかいボイラーと発電機をつなげば実用的な発電ができるかもしれない」とかそういうレベルです。
実用的な発電を実現するには、
・さらに高温・高密度のプラズマの実現
・それを磁場
Re:何時ごろ実用化するの? (スコア:3, 参考になる)
いやあ, そこまではいかない. せいぜい木を擦り合わせたり火打石を叩いて種火が出来たってレベルでしょう. しかも, 燃えやすい火口に火をつけるのがせいぜいで, 薪とか石炭には火を移せない状態.
この先, 継続的に燃料を供給して連続的に核融合を継続させるとか, 核融合反応で出来たエネルギを取り出すとかには現状のトカマク型は不利で, 非慣性方式だとヘリカル型とか(タンデム)ミラー型とかの方が筋はいいんだけど, こちらはまだまだ初期段階. また, 現在の燃料は自己点火条件の一番ゆるいD-T反応を使っているけど, Tが原子炉などを使って生成しないといけないうえに, 反応の結果として高速中性子を出すためエネルギ利用・変換効率も悪くなるうえに炉壁の放射化・中性子脆化の問題があるので実用化には難しい. 実用的にはD-He3反応を使うのがいいけど, これはD-T反応に比べて一桁ぐらい条件が厳しいし, He3資源が近場でも月面ぐらいにしかないので月面工場でも出来ないと大量には確保できない.(継ぎでD-D反応を使うという手も考えられますが)
なので, よっぽど画期的な技術が出ないと, 今世紀中に実用の芽が出るところまでたどりつけないんじゃないかと.
Re:何時ごろ実用化するの? (スコア:1)
SteppingWindさんのコメントはさすがに誤りが多いので訂正しますね。
>>燃料を供給して連続的に核融合を継続させるとか... トカマク型は不利で、非慣性方式だとヘリカルとか(タンデム)ミラー型のほうが筋がいい
燃料供給における一連の技術(ガスパフ、中性ビーム入射、ペレット入射)はトカマク型での実験が先行しており、ヘリカルが特に有利ということはない。
ミラー方式は原理上イオンの逃げる角度が存在するので、現在は発電炉としての応用はほとんど考えられておらず、燃料の投入云々以前の問題。ちなみにミラー方式の方が歴史は長いです。
>>核融合反応でできたエネルギを取り出すとかには現状のトカマク型は不利で...
エネルギーの取り出し方式は現状、トカマク、ヘリカル、ついでに慣性でも同じ手法(炉壁(ブランケット)で中性子を減速、熱に変換)で、加熱装置やコイルのない慣性核融合炉が被覆面積の関係で有利だと言われますが、ヘリカルとトカマクなら大きな違いはないでしょう。
>>D-T反応を使っているけど... 反応の結果として高速中性子を出すため、エネルギ利用・変換効率も悪くなる
核融合反応による生成物がヘリウム原子核や陽子、ガンマ線である場合に比べると、炉としてのエネルギー取り出しには中性子の方が有利。これは電荷がなく、閉じ込め磁場の影響を受けず、透過性の高い中性子なら炉壁の内部もブランケットとして使えるためで、電荷があり、磁場で閉じ込められる粒子からエネルギーを取り出す現実的な手法はまだ提案されていないのが現状。
(ところで、D-He3反応の支持者がネットではすごく多いのはなぜなんでしょうね?なにか発信源があるんでしょうか?)
炉内でのT生成の難易度や、炉材料への中性子の影響の問題が大きいのはそのとおりです。プラズマがどれだけうまく閉じ込められても経済的に成り立たないなら意味がありません。実現のためのハードルとしてはプラズマ閉じ込めと並んで大きな問題かもしれません。
ちなみに、核融合研究では、
1. 投入電力を上回る熱出力が得られるであろう温度、密度のプラズマ(ただし、使用ガスはDTではなく、商用レベルには20倍程度の効率化が必要)の1分以上の保持(JT-60U)
2. 温度や密度は劣るプラズマながら数時間のプラズマ保持(TRIAM-1M)
3. DTガスを用いたプラズマ生成と保持、それによる核融合反応の確認(JETなど)
などの成果がすでに出ており、iterやその次のDEMO炉では「商用レベルのプラズマを数カ月程度定常に保持し続ける」ことを目指した研究が行われる予定です。
そんなわけで、種火ができたレベルよりはもう少し進んでるんじゃないでしょうかね。まぁ、この手の比喩に妥当性を問うのもなんですし、そもそも、元の比喩で言うなら核融合で風車を回したことは一度もないわけだったりしますが。