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たしかこの船は、耐久性に難がある鋼材を設計でカバーしたはず。カバーしきれなかったのか、他の部分に影響がでたのか。関連業界の人ならもっと詳しい情報をもっているのでしょうか。
世界初の船体用降伏応力47 kgf/mm2級高張力鋼の開発と実船適用 [mhi.co.jp] 「耐久性に難がある」とは何を指しているのかわかりませんが、降伏応力は現在主流の40 kgf/mm2鋼材よりも2割程度高いとされていますね。 図6に適用部位がありますが、写真で見る破損の基点はこの部位ではない(もっと下の船腹部である)ように見えます。
コンテナ船の大型化に対応した,47 キロハイテン を世界に先駆けて開発し,実船に適用した.その特徴は以下のとおりである. (1)高強度効果による薄手化と,鋼材の高靭性化を組み合わせ,万一の脆性き裂特性を高め,船体の信頼性を向上した. (2)高強度効果による重量低減により,貨物積載量を増加し,推進性能・燃費向上にも寄与した. (3)以上により,お客様のニーズである,安全性向上,環境負荷低減にマッチした製品の提供を実現した. 47 キロハイテンは,単なる高強度鋼板ではなく,適切な設計と組み合わせることで,軽量化と船体の信頼性向上を同時に達成しており,この考え方は,今後の超大型コンテナ船を開発・建造する上で,世界的な標準となっていくと考えている.
鋼材が試験時のスペック通りの強度を持っていなかったか、新規鋼材には問題なかったけど既存鋼材との溶接とかに未知の問題があったか、軽量化のために変更した構造の設計が間違っていたか、とか原因はいろいろ考えられるでしょうが、沈んでしまうと調べようがなくて困りますね。
# アジアの安い造船メーカーに、技術で対抗したい三菱重工にとっては痛い事故ですなぁ
一般にハイテンは疲労に弱いです。また通常の鋼材に較べて低温脆性の限界温度が高い(より高い温度で脆化する)と言う性質があります。またこの二つが重なり合うと当然疲労も大きくなるわけです。
従来はここが問題になっていましたが、MHIは「高強度効果による薄手化と,鋼材の高靭性化を組み合わせ,万一の脆性き裂特性を高め,船体の信頼性を向上」と言っている様に、それを特殊な技術でカバーしたものであると思われます。
船体にはハイテンを全部使えばそれだけ強いと言うわけでは当然ながらありません。場所によって軟鋼からハイテンまで使い分けます。その他に摩耗の特性が高い金属、溶接でよい金属、などを組み合わせて船体は作られています。正直MHIがこの辺りでしくじるとはちょっと考えられないので、何かイレギュラーなことが起きたのではないかと思われます。
また問題が発生した場合、これはMHIだけの問題ではありません。日本だけの問題でもないです。と言うのは、以前は国ごとで安全基準が異なったのですが、今は改正SOLAS条約と言うものでかなり統一されてきています。まだ発展途上ですが、2008年就航の船ならば、ほぼ最新の基準が適用されているはずです。これはシミュレーションプログラムまで規定されているような厳格なものなのですが、これをクリアしていて、構造的欠陥があると言う事になるといろいろとやばいですね。
三角波(ピラミッド状の波)を受けて前後が海面に浮けば潜水艦以外の船種は全て「折れる」か「転覆」します。潜水艦でも緊急浮上(船首を空高く上げる浮上方法)は船体寿命を縮める(最悪折れる)として嫌われています。船底の一点を持ち上げられ、前後は宙に浮くんですから、原子力空母だろうが波が相応に大きければ折れるか転覆します。それが商船規格のコンテナ船なんですから前後が浮けば折れます。折れない船なら、それは強度過剰で積載量が少なすぎ、実用的な輸送船にならないでしょう。転覆していない。即時に折れていない。ということから、構造規則は満たしているのではないでしょうか。荒天時に三角波が発生しやすい海域を航行していたという、航路選択のミスはあるかもしれませんが、それも、そういう海域を選ばないと燃費と期日が守れないのなら、止む得ない事故でしょう。
で、「三角波」を受けたって根拠はどこに?
現象としては「ノコギリ波」だと思う。
矩形波なら小波なのでそれはないはず。
もう、ほんとに大変なんすから・・・。えーと、コンテナ船を真っ二つに切ってしまって、これがホントの「ノコギリ波」。どーもすいません。
http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/443/443028.pdf [mhi.co.jp]逆。↑のとおり新しいハイテン鋼を一部に適用してた。
一部だけ強くても、その周辺部に応力が集中して、それまで以上に破壊が進むみたいなのは素人考えすぎるんだろうか。
そういうこともある。だからそうならないように設計する。設計がまずかったり、建造段階でなにかやらかしてたり、想定外の運用してたりするとダメだけど。
ハイテン鋼 [wikipedia.org]
一般的に強度が高いものほど延性が低下する傾向にあり、板材などをプレス加工した際には「割れ」などの成形不良が発生しやすくなる。このため、各メーカーが成形性と強度を両立させた高張力鋼の開発に尽力している。また、ヤング率は一般鋼と大差無いため、弾性変形によるひずみの発生が嫌われる部位には、安易に高張力鋼による薄肉化を適用出来ないのが実状である。
ハイテン鋼も万能ではないようですが、設計上の考慮は充分だったのでしょうか。
別コメのpdfの内容を適当に要約すると、船体の強度を上げるために板を厚手にすると、船体がしならないので相対的に弱い溶接部などから脆性き裂が生じる。そこで新開発のハイテン鋼材を使用して厚手化を回避したよ、との事。
"ヤング率は一般鋼と大差無いため、弾性変形によるひずみの発生が嫌われる部位には、安易に高張力鋼による薄肉化を適用出来ないのが実状である。"(Wikipedia)のに対して果敢に技術的挑戦をして失敗したって事ですかね。
「ハイテンは腰が抜け最悪折れる」ってのは古い自転車乗りの良く言ったお話。自転車のフレーム材としてもクロモリと比較すると耐性は低く金属疲労で破壊されやすいってのが一部では常識。とはいっても、他の材質がどうなのかってのも影響する話ではありますが。
船級協会などの検査をパスしているはずだし、荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。使用実績の浅い鋼材使ったために、造船、操船のノウハウが溜まっていないとか、見えにくい設計ミスの可能性もある。
でも、施工不良の可能性もあるんじゃね?船用としての使用実績が浅いということは、加工、造船した人たちのノウハウの溜まっていない気がする。造船所といっても船だけ造っている訳じゃないし、ハイテン綱の加工経験は少なくないとは思うけど。
>荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。
だからこそ三角波って話になるので。合成波で時間的にも空間的にも限定された範囲で、周りの波に比べて巨大な孤立波がいきなり発生する。
> だからこそ三角波って話になるので
なんで?三角波が発生する**可能性がある**だけでしょ.
幾つかある原因の候補の一つでしかないのに,”だからそこ”って主張は論理的におかしいです.
コンテナ専用船は LNG 専用船ほど設計、建造に高度な技術が要らないので、中韓の新興造船会社が安値で受注してしまいます。そのため、三菱重工は前々から付加価値の高い船に注力するといっていたはずです。そういうことで、新技術を開発、採用して、日本の船会社に納入した新鋭船が今回真っ二つということになって、厳しい事態と思われます。
今回の事故で、三菱の同型船にかかる保険の掛金が値上がりすると、船主に敬遠されて、益々三菱の船が売れなくなるでしょう。三菱は早く原因究明と対策をして、安全性をアピールしないと、造船部門の採算がますます厳しいと思われます。
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ナニゲにアレゲなのは、ナニゲなアレゲ -- アレゲ研究家
設計ミスかも (スコア:4, 興味深い)
たしかこの船は、耐久性に難がある鋼材を設計でカバーしたはず。
カバーしきれなかったのか、他の部分に影響がでたのか。
関連業界の人ならもっと詳しい情報をもっているのでしょうか。
Re:設計ミスかも (スコア:5, 参考になる)
世界初の船体用降伏応力47 kgf/mm2級高張力鋼の開発と実船適用 [mhi.co.jp]
「耐久性に難がある」とは何を指しているのかわかりませんが、降伏応力は現在主流の40 kgf/mm2鋼材よりも2割程度高いとされていますね。
図6に適用部位がありますが、写真で見る破損の基点はこの部位ではない(もっと下の船腹部である)ように見えます。
鋼材が試験時のスペック通りの強度を持っていなかったか、新規鋼材には問題なかったけど既存鋼材との溶接とかに未知の問題があったか、軽量化のために変更した構造の設計が間違っていたか、とか原因はいろいろ考えられるでしょうが、沈んでしまうと調べようがなくて困りますね。
# アジアの安い造船メーカーに、技術で対抗したい三菱重工にとっては痛い事故ですなぁ
Re:設計ミスかも (スコア:5, 興味深い)
一般にハイテンは疲労に弱いです。
また通常の鋼材に較べて低温脆性の限界温度が高い(より高い温度で脆化する)と言う性質があります。
またこの二つが重なり合うと当然疲労も大きくなるわけです。
従来はここが問題になっていましたが、MHIは
「高強度効果による薄手化と,鋼材の高靭性化を組み合わせ,万一の脆性き裂特性を高め,船体の信頼性を向上」
と言っている様に、それを特殊な技術でカバーしたものであると思われます。
船体にはハイテンを全部使えばそれだけ強いと言うわけでは当然ながらありません。場所によって軟鋼からハイテンまで使い分けます。その他に摩耗の特性が高い金属、溶接でよい金属、などを組み合わせて船体は作られています。
正直MHIがこの辺りでしくじるとはちょっと考えられないので、何かイレギュラーなことが起きたのではないかと思われます。
また問題が発生した場合、これはMHIだけの問題ではありません。日本だけの問題でもないです。
と言うのは、以前は国ごとで安全基準が異なったのですが、今は改正SOLAS条約と言うものでかなり統一されてきています。
まだ発展途上ですが、2008年就航の船ならば、ほぼ最新の基準が適用されているはずです。これはシミュレーションプログラムまで規定されているような厳格なものなのですが、これをクリアしていて、構造的欠陥があると言う事になるといろいろとやばいですね。
Re:設計ミスかも (スコア:5, 参考になる)
三角波(ピラミッド状の波)を受けて前後が海面に浮けば潜水艦以外の船種は全て「折れる」か「転覆」します。
潜水艦でも緊急浮上(船首を空高く上げる浮上方法)は船体寿命を縮める(最悪折れる)として嫌われています。
船底の一点を持ち上げられ、前後は宙に浮くんですから、原子力空母だろうが波が相応に大きければ折れるか転覆します。
それが商船規格のコンテナ船なんですから前後が浮けば折れます。
折れない船なら、それは強度過剰で積載量が少なすぎ、実用的な輸送船にならないでしょう。
転覆していない。即時に折れていない。
ということから、構造規則は満たしているのではないでしょうか。
荒天時に三角波が発生しやすい海域を航行していたという、航路選択のミスはあるかもしれませんが、
それも、そういう海域を選ばないと燃費と期日が守れないのなら、止む得ない事故でしょう。
Re: (スコア:0)
で、「三角波」を受けたって根拠はどこに?
Re: (スコア:0)
Re:設計ミスかも (スコア:1)
現象としては「ノコギリ波」だと思う。
Re: (スコア:0)
矩形波なら小波なのでそれはないはず。
マジレスされるのはお笑いセンスが足りないと反省 (スコア:1)
もう、ほんとに大変なんすから・・・。
えーと、コンテナ船を真っ二つに切ってしまって、これがホントの「ノコギリ波」。
どーもすいません。
Re:設計ミスかも (スコア:4, 参考になる)
http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/443/443028.pdf [mhi.co.jp]
逆。↑のとおり新しいハイテン鋼を一部に適用してた。
Re:設計ミスかも (スコア:5, 興味深い)
使ってるのは上甲板中央部付近の両側だけみたいなので、上が丈夫過ぎて下が持たずに折れて、上も耐えられなくなったとか想像した。あくまでも想像。
Re: (スコア:0)
一部だけ強くても、その周辺部に応力が集中して、それまで以上に破壊が進むみたいなのは
素人考えすぎるんだろうか。
Re: (スコア:0)
そういうこともある。だからそうならないように設計する。
設計がまずかったり、建造段階でなにかやらかしてたり、想定外の運用してたりするとダメだけど。
Re: (スコア:0)
ハイテン鋼 [wikipedia.org]
ハイテン鋼も万能ではないようですが、設計上の考慮は充分だったのでしょうか。
Re: (スコア:0)
別コメのpdfの内容を適当に要約すると、
船体の強度を上げるために板を厚手にすると、船体が
しならないので相対的に弱い溶接部などから脆性き裂が生じる。
そこで新開発のハイテン鋼材を使用して厚手化を回避したよ、との事。
"ヤング率は一般鋼と大差無いため、弾性変形によるひずみの発生が嫌われる部位には、
安易に高張力鋼による薄肉化を適用出来ないのが実状である。"(Wikipedia)
のに対して果敢に技術的挑戦をして失敗したって事ですかね。
Re: (スコア:0)
「ハイテンは腰が抜け最悪折れる」ってのは古い自転車乗りの良く言ったお話。
自転車のフレーム材としてもクロモリと比較すると耐性は低く金属疲労で破壊されやすいってのが一部では常識。
とはいっても、他の材質がどうなのかってのも影響する話ではありますが。
Re:設計ミスかも (スコア:1)
船級協会などの検査をパスしているはずだし、荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。
使用実績の浅い鋼材使ったために、造船、操船のノウハウが溜まっていないとか、見えにくい設計ミスの可能性もある。
でも、施工不良の可能性もあるんじゃね?
船用としての使用実績が浅いということは、加工、造船した人たちのノウハウの溜まっていない気がする。
造船所といっても船だけ造っている訳じゃないし、ハイテン綱の加工経験は少なくないとは思うけど。
Re:設計ミスかも (スコア:2)
>荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。
だからこそ三角波って話になるので。
合成波で時間的にも空間的にも限定された範囲で、
周りの波に比べて巨大な孤立波がいきなり発生する。
Re: (スコア:0)
> だからこそ三角波って話になるので
なんで?三角波が発生する**可能性がある**だけでしょ.
幾つかある原因の候補の一つでしかないのに,”だからそこ”って主張は論理的におかしいです.
Re: (スコア:0)
コンテナ専用船は LNG 専用船ほど設計、建造に高度な技術が要らないので、中韓の新興造船会社が安値で受注してしまいます。そのため、三菱重工は前々から付加価値の高い船に注力するといっていたはずです。そういうことで、新技術を開発、採用して、日本の船会社に納入した新鋭船が今回真っ二つということになって、厳しい事態と思われます。
今回の事故で、三菱の同型船にかかる保険の掛金が値上がりすると、船主に敬遠されて、益々三菱の船が売れなくなるでしょう。三菱は早く原因究明と対策をして、安全性をアピールしないと、造船部門の採算がますます厳しいと思われます。