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書籍取次はちょっと特殊な問屋で、一般的な卸売り業者とはだいぶ異なる点がある。
もっとも大きいのは書店からの返本処理を受け付けているというところ。最終的には売れなかった分は出版社に戻っていくわけだけど、ほかのエリアの売れ行きやら、発売後の注文での対応やらで在庫と資金をプールしています。著者印税が売れるかどうかにかかわらず刷った冊数に応じて入るのは、間に取次が入ってまとまった数をまず買ってくれているから。つまり、出版社と書店が自転車操業するための銀行の役割も果たしてるわけです。
当たりはずれの波が大きい出版業界では、取次がいないと零細出版社はしょっちゅう資金ショートを起こすことになるはず。取次を中抜きするということは、在庫リスク含めて、そのへんのリスクをすべて出版社がかぶるということでもある。
角川書店は特定のジャンルでは業界を寡占していて自社売り上げだけで需要やらを正確に把握できるし、昔から「電撃組」と呼ばれる特約店制度で返本率を下げるといった店舗に対しての直接的な営業戦略をとっているので、流通センターを整備することで実現が可能になったと踏んだのでしょうが、よその出版社は大手といえどもそう簡単にはまねできないと思います。
> 著者印税が売れるかどうかにかかわらず刷った冊数に応じて入る
業界では「常識」ですが、某上場企業である出版社では、監査をする会計事務所から「売れてもいない分まで印税を支払うのはオカシイ」と難クセを付けられた。とはいえ、実売印税(アドバンスト=印税前払いなし)じゃ、誰も本を書いてくれなくなるので、仕方なく印税保証は7割ってことで会計事務所とは手を打った。でも、著者にとっては実質印税引き下げになる可能性が大きいわけで(=初版部数の7割を売り切れない本の方が多い。今や平均実売率は5割台の時代だからネ)、これを著者に納得してもらうよう説得した編集者は「余計なコトをしてくれるなよ、会計事務所!!」とグチりましたとさ。
無体財産権の実施許諾料は実売ベースによる算定が多いようですが、契約上または業界慣行で生産量基準で算定していても合理性がある限り問題ありませんし、単純に、販売リスク(印刷製本したが売れ残るリスク)を誰がどう負担するかという決めの話だけです。(御参考:知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針 [jftc.go.jp])出版社は販売リスクを負担する代わりに、支払う印税率を低めに設定することができるわけで、特に不当な契約になるわけでもない。お恥ずかしい話ですが、会計監査人は実態を無視して屁理屈を振り回すことが往々にして有ります。ろくに法的知識のないIFRSかぶれが自分勝手な解釈で言い張ったのかなあと思います。ごめんなさい。
監査法人のせいでー っていうのを使って実質的な印税支払額の値下げをしただけじゃないかな……。(よく管理系の部署が「監査法人がー」を使ってきたから、営業畑として監査法人に説明して撤回させたりしてた)
そんな内輪の「常識」を振りかざされても実際おかしいし。一社だけじゃなくて全出版社の会計事務所が一斉に指摘してくれればよかったんですかね。実際電子書籍に関してはだいたい横並びで実売だし。
「上場企業である」という所がポイントで。だから取次は、最大手でも上場できないという。
どうしておかしいと思ったか、元コメントと照らしてもう少し丁寧に説明した方がよいですよ
下請け(作家)と出版社(発注元)と考えたら、ロット発注して売れた分しか支払うなって言うのもおかしな話だと思うがロット発注って条件じゃなきゃ儲からないからって下請けメーカーは受けなかったかもしれないのだから
10000個発注するからって受けてもらった仕事を、後からやっぱ1個単位で発注しないしお金も払わないからって言うのが罷り通る業界ってあるのかな?
印刷屋と予算の都合だしな、初めから契約ないこともあるし、下積みや宣伝目的の場合は目的が違うから金もらえなくても作者側は文句言わないし
印刷した部数に対して印税が出るのと同様、印税率はだいたい1割っていうのも慣行だよね。これはセットになってると思う。よく考えると、著者の取り分が1割ってすごく少ない。印刷した部数全額出る代わりに印税率は低く抑えられているのは、相対的に、著者側にとってローリスクローリターン、出版社にとってハイリスクハイリターンになるしくみで、出版業というビジネスが成立する根幹になってる。出版はそういうヤクザな商売だから普通は上場とかしないんだけどね。
零細な出版社でも潰れずに生き残れてるのって、やっぱヤクザな商売だからじゃないですかね。漫画雑誌やラノベが乱立してるのも、相対的にローリスク・ハイリターンなカテゴリだからでしょう。特定のカテゴリで絶大な影響力を持ったのだって、富めるものがますます豊かになるってループの結果だろうね。音楽分野でも異様なまでの急成長を遂げた会社もあるし。
出版社にとってハイリターンってことは、作家にとっては交渉の余地があるってことになるけど、意外とこの手の話が出ないのは作家に口外しないという条件を飲ませてるからなのか?音楽業界ではギャラで揉めて移籍騒動になった鈴木あみが干されて消えたけど、出版業界では原哲夫や北条司の移籍があったりして、何か違いがあるんだろうか。
実売なら印税率は30%では?という普通の議論ができない会計事務所は恐しいな。
取次が押し付けたのを回収してるだけやったりしてな
>最終的には売れなかった分(ry
当たり外れが大きいといえばアニメ業界も零細企業多いけど、なんでそこまでリスク追いたがるのかね?大手にいたら自分の作りたいものが作れないってのはわかるけど、会社潰れても作れないんだよ仕様を満たせば腕一本で生きて行ける製造業の零細メーカー・工場はまだわかるけど、創作系のお仕事やってる人は訳解らん
当たり外れが大きいといえばアニメ業界も零細企業多いけど、なんでそこまでリスク追いたがるのかね?
そのリスクを軽減するのが、いわゆる製作委員会方式、というやつだから。加えていうと、ただこれはあくまで出資者側の話で、問題になるアニメ業界は単にその零細企業に落ちるお金が少なすぎる、という方。
長期的に一定の需要がある製品があればいいけど、この業界の製品は当たっても10年以上も売れ続けてくれるコンテンツは極めて稀でどんなに売れている製品でも徐々に売上が縮小していくから、リスクを負って新製品開発を続けるのでは?
あとアニメ業界もたいてい設立の経緯を見ると職人の暖簾分けのようなとこが多いし、「腕一本で生きていける」業界だと思われる。
普通にリスクと利益は比例関係に有るからだよ。だから腕に自信があればあるほどリスクも取り易い。逆に言えば腕に自信が無い所は他人のフンドシで相撲を取る事に汲々とする。
ストーリーにもあるオンデマンド印刷に移行すれば、零細出版社側のリスクを少しは下げられるのではないですか。会社の社内教育用に、電気関連の書籍を毎年同一タイトル数十冊~単位で買っていますが、中でもCQ出版はオンデマンド印刷を推進してくれて非常に助かってます。
昔ならまとめて在庫を買っておかないと、数年で在庫切れ>重版未定>絶版となっていました。最近は1,2年もすれば在庫切れなのですが、その後オンデマンドに移行するものが多く、ユーザ側も在庫を持たなくて済んでいます。通常版より若干印刷の質が劣りますが、洋書のペーパーバックと同程度だしこれで十分。最初から全量オンデマンドでもいいぐらい。
> 出版社と書店が自転車操業するための
まず自転車操業を当然の前提にしているのが根本的におかしい。マジでヤフオクのチャリンカー真っ青。
ずいぶん世間知らずですね
「リスク軽減」と称して流通が仲良くピンハネしましょうってのが日本の古き良き悪しき慣習なんですけどね。(出版業界に限らず)その「ヘッジコスト」がリスクに見合わないことなんて、商慣習が通用しない外資は一瞬で見抜くので中抜きされるわけですが。
ここまでAmazonに堂々と中抜きされたら、自力でヘッジできる出版社は指をくわえて見てるわけにも行かなくなったってところ。
この間、某出版社と交わした出版契約は、6ヵ月後に売れた分だけの印税という条件だった。もう、銀行の役割はないんじゃない?
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell
取次を使わない、ということの意味 (スコア:5, 興味深い)
書籍取次はちょっと特殊な問屋で、一般的な卸売り業者とはだいぶ異なる点がある。
もっとも大きいのは書店からの返本処理を受け付けているというところ。
最終的には売れなかった分は出版社に戻っていくわけだけど、ほかのエリアの売れ行きやら、発売後の注文での対応やらで在庫と資金をプールしています。著者印税が売れるかどうかにかかわらず刷った冊数に応じて入るのは、間に取次が入ってまとまった数をまず買ってくれているから。
つまり、出版社と書店が自転車操業するための銀行の役割も果たしてるわけです。
当たりはずれの波が大きい出版業界では、取次がいないと零細出版社はしょっちゅう資金ショートを起こすことになるはず。
取次を中抜きするということは、在庫リスク含めて、そのへんのリスクをすべて出版社がかぶるということでもある。
角川書店は特定のジャンルでは業界を寡占していて自社売り上げだけで需要やらを正確に把握できるし、昔から「電撃組」と呼ばれる特約店制度で返本率を下げるといった店舗に対しての直接的な営業戦略をとっているので、流通センターを整備することで実現が可能になったと踏んだのでしょうが、よその出版社は大手といえどもそう簡単にはまねできないと思います。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re:取次を使わない、ということの意味 (スコア:5, 興味深い)
> 著者印税が売れるかどうかにかかわらず刷った冊数に応じて入る
業界では「常識」ですが、某上場企業である出版社では、監査をする会計事務所から「売れてもいない分まで印税を支払うのはオカシイ」と難クセを付けられた。とはいえ、実売印税(アドバンスト=印税前払いなし)じゃ、誰も本を書いてくれなくなるので、仕方なく印税保証は7割ってことで会計事務所とは手を打った。でも、著者にとっては実質印税引き下げになる可能性が大きいわけで(=初版部数の7割を売り切れない本の方が多い。今や平均実売率は5割台の時代だからネ)、これを著者に納得してもらうよう説得した編集者は「余計なコトをしてくれるなよ、会計事務所!!」とグチりましたとさ。
Re:取次を使わない、ということの意味 (スコア:1)
無体財産権の実施許諾料は実売ベースによる算定が多いようですが、契約上または業界慣行で生産量基準で算定していても合理性がある限り問題ありませんし、単純に、販売リスク(印刷製本したが売れ残るリスク)を誰がどう負担するかという決めの話だけです。
(御参考:知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針 [jftc.go.jp])
出版社は販売リスクを負担する代わりに、支払う印税率を低めに設定することができるわけで、特に不当な契約になるわけでもない。
お恥ずかしい話ですが、会計監査人は実態を無視して屁理屈を振り回すことが往々にして有ります。ろくに法的知識のないIFRSかぶれが自分勝手な解釈で言い張ったのかなあと思います。ごめんなさい。
Re: (スコア:0)
監査法人のせいでー っていうのを使って実質的な印税支払額の値下げをしただけじゃないかな……。
(よく管理系の部署が「監査法人がー」を使ってきたから、営業畑として監査法人に説明して撤回させたりしてた)
Re: (スコア:0)
そんな内輪の「常識」を振りかざされても実際おかしいし。一社だけじゃなくて全出版社の会計事務所が一斉に指摘してくれればよかったんですかね。実際電子書籍に関してはだいたい横並びで実売だし。
Re:取次を使わない、ということの意味 (スコア:1)
「上場企業である」という所がポイントで。だから取次は、最大手でも上場できないという。
Re: (スコア:0)
どうしておかしいと思ったか、元コメントと照らしてもう少し丁寧に説明した方がよいですよ
Re: (スコア:0)
下請け(作家)と出版社(発注元)と考えたら、ロット発注して売れた分しか支払うなって言うのもおかしな話だと思うが
ロット発注って条件じゃなきゃ儲からないからって下請けメーカーは受けなかったかもしれないのだから
10000個発注するからって受けてもらった仕事を、後からやっぱ1個単位で発注しないしお金も払わないからって言うのが
罷り通る業界ってあるのかな?
Re: (スコア:0)
印刷屋と予算の都合だしな、初めから契約ないこともあるし、
下積みや宣伝目的の場合は目的が違うから金もらえなくても作者側は文句言わないし
そこは印税率も関係してるのでは (スコア:0)
印刷した部数に対して印税が出るのと同様、印税率はだいたい1割っていうのも慣行だよね。これはセットになってると思う。
よく考えると、著者の取り分が1割ってすごく少ない。
印刷した部数全額出る代わりに印税率は低く抑えられているのは、相対的に、
著者側にとってローリスクローリターン、出版社にとってハイリスクハイリターンになるしくみで、
出版業というビジネスが成立する根幹になってる。
出版はそういうヤクザな商売だから普通は上場とかしないんだけどね。
Re: (スコア:0)
零細な出版社でも潰れずに生き残れてるのって、やっぱヤクザな商売だからじゃないですかね。
漫画雑誌やラノベが乱立してるのも、相対的にローリスク・ハイリターンなカテゴリだからでしょう。
特定のカテゴリで絶大な影響力を持ったのだって、富めるものがますます豊かになるってループの結果だろうね。
音楽分野でも異様なまでの急成長を遂げた会社もあるし。
出版社にとってハイリターンってことは、作家にとっては交渉の余地があるってことになるけど、意外とこの手の話が出ないのは作家に口外しないという条件を飲ませてるからなのか?
音楽業界ではギャラで揉めて移籍騒動になった鈴木あみが干されて消えたけど、出版業界では原哲夫や北条司の移籍があったりして、何か違いがあるんだろうか。
Re: (スコア:0)
実売なら印税率は30%では?という普通の議論ができない会計事務所は恐しいな。
Re: (スコア:0)
取次が押し付けたのを回収してるだけやったりしてな
>最終的には売れなかった分(ry
Re: (スコア:0)
当たり外れが大きいといえばアニメ業界も零細企業多いけど、なんでそこまでリスク追いたがるのかね?
大手にいたら自分の作りたいものが作れないってのはわかるけど、会社潰れても作れないんだよ
仕様を満たせば腕一本で生きて行ける製造業の零細メーカー・工場はまだわかるけど、創作系のお仕事やってる人は訳解らん
Re:取次を使わない、ということの意味 (スコア:1)
当たり外れが大きいといえばアニメ業界も零細企業多いけど、なんでそこまでリスク追いたがるのかね?
そのリスクを軽減するのが、いわゆる製作委員会方式、というやつだから。
加えていうと、ただこれはあくまで出資者側の話で、問題になるアニメ業界は単にその零細企業
に落ちるお金が少なすぎる、という方。
Re: (スコア:0)
長期的に一定の需要がある製品があればいいけど、
この業界の製品は当たっても10年以上も売れ続けてくれるコンテンツは極めて稀で
どんなに売れている製品でも徐々に売上が縮小していくから、リスクを負って新製品開発を続けるのでは?
あとアニメ業界もたいてい設立の経緯を見ると職人の暖簾分けのようなとこが多いし、「腕一本で生きていける」業界だと思われる。
Re: (スコア:0)
普通にリスクと利益は比例関係に有るからだよ。
だから腕に自信があればあるほどリスクも取り易い。
逆に言えば腕に自信が無い所は他人のフンドシで相撲を取る事に汲々とする。
Re: (スコア:0)
ストーリーにもあるオンデマンド印刷に移行すれば、零細出版社側のリスクを少しは下げられるのではないですか。
会社の社内教育用に、電気関連の書籍を毎年同一タイトル数十冊~単位で買っていますが、中でもCQ出版はオンデマンド印刷を推進してくれて非常に助かってます。
昔ならまとめて在庫を買っておかないと、数年で在庫切れ>重版未定>絶版となっていました。
最近は1,2年もすれば在庫切れなのですが、その後オンデマンドに移行するものが多く、ユーザ側も在庫を持たなくて済んでいます。
通常版より若干印刷の質が劣りますが、洋書のペーパーバックと同程度だしこれで十分。
最初から全量オンデマンドでもいいぐらい。
Re: (スコア:0)
> 出版社と書店が自転車操業するための
まず自転車操業を当然の前提にしているのが根本的におかしい。マジでヤフオクのチャリンカー真っ青。
Re: (スコア:0)
ずいぶん世間知らずですね
Re: (スコア:0)
「リスク軽減」と称して流通が仲良くピンハネしましょうってのが日本の古き良き悪しき慣習なんですけどね。(出版業界に限らず)
その「ヘッジコスト」がリスクに見合わないことなんて、商慣習が通用しない外資は一瞬で見抜くので中抜きされるわけですが。
ここまでAmazonに堂々と中抜きされたら、自力でヘッジできる出版社は指をくわえて見てるわけにも行かなくなったってところ。
Re: (スコア:0)
この間、某出版社と交わした出版契約は、6ヵ月後に売れた分だけの印税という条件だった。もう、銀行の役割はないんじゃない?