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SETI@home、アレシボでの再観測日程を発表」記事へのコメント

  • えー、タレコミだけではちょっとアレなので、訳してみました。
    何回かに分けます。ご一読ください。

    再観測レポートNo.1
    アレシボでギアチェンジ
    Amir Alexanderによる

    2003年3月10日:続く数日間、SETI@homeの主任科学者Dan WerthimerはチームメンバーEric KorpelaとPaul Demorestと共に、プエルトリコのアレシボヘ向かう。そこにある世界最大の電波望遠鏡サイトで、彼らはプロジェクトの短い歴史の新しい一章:もっとも有望な候補信号の再観測、を始める。

    今回のターニングポイントはアレシボ電波望遠鏡の上の止り木から宇宙を観測し始めて4年近く後にや
    • by k3c (4386) on 2003年03月11日 15時57分 (#276445) ホームページ 日記
      計画の確定へ
      アレシボには、SETI@homeで検出した200の最も有望な信号の方向のリストを携えていく。Dan Werthimerと彼のクルーは、限られた割り当て時間-全部で24時間-では200の方向全てを観測することは非常に望み薄だと考えている。しかし、彼らは時間をできるだけ有効に使い、可能なかぎり多くの方向を再訪すべく努力する。

      観測時間の使いかたを最適化するため、SETI@homeの科学者たちは電波望遠鏡の向きを支配する2つの独立した動きを考慮しなければならない。1つは地球の自転-24時間毎に、アレシボの方向は夜空に完全な1つの円を描く。これは人間の干渉なしにおこる自然な動きだ。2つめの動きは、電波望遠鏡の反射鏡の焦点で(グレゴリアンドームまたはラインフィードの)観測器の位置や角度を変えることで起こる(画像を参照)。この動きで、電波望遠鏡のオペレータは電波望遠鏡を空の広い範囲へ向けることができる。しかしこれは時間のかかる機械操作だ。例えば、望遠鏡を南の端から北の端まで動かすには7分かかる。天頂付近では観測の方向を変えるのはさらに遅く、2度で1分かかる。

      電波望遠鏡の向きを変えるのに要する数分間は、他の観測者にはそんなに長く感じられないかもしれない。宇宙のほんの数カ所を長期間観測するような科学的目的のほとんどにとっても、望遠鏡の方向を変える数分は費すに値するものだろう。しかしSETI@homeにとっては、観測器を一点から別の点へ動かす数分が時間の浪費だ。望遠鏡の調整に費す時間が短いほど、実際の観測に多くの時間が残され、多くの候補を再観測することができる。

      機械的に望遠鏡を調整する時間をできるだけ少なくするため、SETI@homeチームはまずどの候補信号を再観測するかを決定しなければならなかった。この目的のため、チームメンバーのPaul Demorestが、候補のリストをソートし、観測の間のデッドタイムを最短化するような最適化された順序を出力するコンピュータプログラムを書いた。しかし、最終的なリストは、最適な観測順序だけでなく、候補同士のランキングも考慮したものになる。SETI@homeチームは、最も有望な信号が観測され、時間の制限でリストを読み飛ばす必要がないようにしなければならない。結局のところ、不便な方向から出ているからという理由だけで本物の信号1つを逃したくはないから…。
      親コメント
      • by k3c (4386) on 2003年03月11日 16時00分 (#276448) ホームページ 日記
        一方、アレシボでは
        一方、SETI@homeの3日間の観測準備中に、アレシボでは他の変更が行われていた。まず何よりも重要なこととして、再観測の期間中、SETI@homeチームは通常使っているのとは違う観測器を使うことになる。通常用いているSETI@home受信機は「ラインフィード」と呼ばれる針状の機器の基部に取り付けられている。このアンテナは旧式で、最近ではほとんど使われていない。実のところこれはそもそも一年中ピギーバックで行われる調査向けにあつらえたものだ。

        再観測のためにDan Wertheimerと彼のチームはグレゴリアンドーム内のもっと新しい受信機を用いる。この球体様の構造物は巨大なアレシボ反射鏡の500フィート上空にぶら下がり、望遠鏡の最新かつ最も敏感な受信機たちを格納している。ドーム内のいくつかの受信機の中から、SETI@homeチームは再観測に最も適した機器として高感度の「Lバンドレシーバー」を選んだ。

        この機器を用いることで、Dan Wertheimerと彼のクルーは明白なアドバンテージを手に入れる。グレゴリアンドームは、SETI@home受信機が通常用いているラインフィードよりも焦点性能と解像度が良い。さらに、Lバンドレシーバーはより低温でノイズが少なく、それゆえSETI@home受信機より感度が高い。このことから、再観測中を通じてSETI@homeは有望な候補信号について、かつて観測したよりも詳細で正確な信号を得られる。

        同時に、観測方法を変えることで重要な問題が持ちあがる:グレゴリアンドームの高解像度のゆえに、ラインフィードよりも観測できるビームが細いのだ。ある一瞬において、ラインフィードでは8分の弧(0.08度)をスキャンできる。同じ瞬間に、グレゴリアンドームでは5分(0.05度)しか観測できない。

        このことから、グレゴリアンドームで観測できるビームが、候補信号と完全に同じ方向で観測されても、実存する信号を捉えそこなう可能性が出てくる。つまり、元々の候補信号が、ラインフィードの広い角度でのみ検出できる信号だったということがありうるのだ。この場合、候補信号はより狭いフォーカスの「グレゴリアン」ビームの観測範囲から洩れてしまう。

        問題を解決するため、SETI@homeの科学者たちは候補信号の方向にグレゴリアンドームを向けるだけでは不十分だと結論した。代替手段として、候補信号のエリアを5つのパスを用いて望遠鏡でスキャンすることにした。1つのパスに40秒かかるため、1つの候補に合計200秒を必要とすることになる。1つの候補信号あたりスキャンされるエリアの広さは1/6度かける1/6度の正方形になる。

        それぞれの候補信号の方向を単純に指すだけでなくスキャンすることは、再観測においてもう1つの利点をもたらす。それぞれの候補信号が一度ではなく、少なくとも二度、別々の観測において同じ方向から信号を検出したものであることを思い出してほしい。もちろん、これらは決してまったく同じ方向から来た信号ではない-ただ十分に近接しているため、別々の観測結果が見かけ上同じ信号を補足したものと考えられているものだ。1つの候補信号の周辺をスキャンすることで、SETI@homeの研究者たちは候補信号の位置に加え、それに非常に近接した信号の位置も確実にカバーできる。

        もうひとつ、候補信号の周辺をスキャンすることは、SETI@homeクルーが本当の信号と地球由来の電波干渉を識別する助けになる。もし信号がどの方向を向いても検出され続けるなら、それは地球上の電波源によるものである可能性が高い。しかし、もし信号が望遠鏡の向きによって強度を変えるなら、それはほぼまちがいなく、星々から来たものだ。

        SETI@homeチームはこれで観測の準備ができました。しかし本物の信号を検出したことはどうやって知るのでしょう?その答えが知りたければ、次の観測レポートを読んでください!
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2003年03月11日 22時57分 (#276643)
          > 同時に、観測方法を変えることで重要な問題が持ちあがる:グレゴリアンドームの高
          > 解像度のゆえに、ラインフィードよりも観測できるビームが細いのだ。ある一瞬にお
          > いて、ラインフィードでは8分の弧(0.08度)をスキャンできる。同じ瞬間に、グレゴリ
          > アンドームでは5分(0.05度)しか観測できない。

          原文が間違っているのですが、8分=0.08度ではありません。 1分=1/60度ですので、正しくは「8分の弧」は「0.13度」です。 同様に、「5分」も「0.083度」となります。
          (重箱の隅つつきですまん)

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