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一眼レフからの撤退だけでも大ニュースです。ニコンとキャノンがほぼ寡占していた報道(特に一瞬を切り取らなければならないプロスポーツ)の分野でニコンが脱落することになります。そのほかの分野ではソニーのミラーレスの猛追を受けていたけれども、ここだけは原理的に一眼レフが有利で、まだソニーの浸食を受けていない領域でした。かつ、プロ向けなので儲かります。
一眼レフとミラーレスの最大の違いはファインダーです。光学で遅延がない一眼レフとは違い、ミラーレスはどうしても撮像素子や画像処理、表示の処理が入るため、遅延が発生します。日常レジャー用途やポートレート、スナップ写真などでは問題になりませんが、報道用の撮影では致命的になることがあります。
将来的に、ミラーレスでも連写性能が向上すれば、大量に撮影してその中から一枚を選択するという方法が実用的になるかもしれませんが、現状のミラーレスではまだ連写性能が足りません。
メカシャッターは故障の原因になることに加え、先幕メカシャッターの場合シャッターの振動によるブレがどうしても避けられないこと、先幕電子シャッターでシャッターブレを防ごうとすると玉ボケが汚くなる現象が起こることがある、などの理由から、出来ればとっとと捨てたいというのはキヤノンも10年くらい前から言っていました。一眼レフの光学ビューファインダーと違ってユーザーの情緒的なこだわりが湧く要素も別にありませんので、技術が許せば各社ともどんどん移行していくことでしょう。
現状、電子シャッターに残された最大の問題は読み出し速度で、
少し事実誤認があるようなので補足します。
>メカシャッターが最短1/4000秒くらいで露光を止められる
これは誤り。フォーカルプレーンシャッター(メカシャッター)の場合、露出時間を1/4000秒にすることはできるのだけど、それは縦走りする細いスリットを通る光量が1/4000秒相当になるという意味であって、実は1/4000秒でシャッターが開いて閉じるわけじゃありません。これは、フラッシュの同調速度を見ると、目安になります。フラッシュは瞬間発光なので、シャッター幕が全開していないと使えません。細いスリットが走っている間に発光した場合、画面の一部しか撮影できないからね。
というわけで、主なカメラのメカシャッター調べると、例えばフラッグシップ一眼レフのニコンD6とキヤノン1DX3は共に1/250秒です。つまり、センサーの上から下まで露光し終わる時間が、少なくとも1/250秒かかるってことになります。
そして、電子シャッターです。実はフォーカルプレーンシャッターと全く同じような動作になります。センサーをラインごとに順次リセットしていき、その後を追うように読み出してます。全面をリセットし終わった後に読み出し開始になる、つまりシャッター幕が全開してる状態がフラッシュの同調速度になる。データを高速に読み出せる機種なら、これが高速になることが分かりますね。
というわけで、ここ1年ぐらいの裏面積層センサー採用機の電子シャッター時フラッシュ同調速度。メカも併記しときます。 ソニーα1 1/200秒 (メカ1/400秒[メカシャッター界最速]) ニコンZ9 1/250秒 (メカなし) キヤノンR3 1/180秒 (メカ1/200秒) OMDS OM-1 1/100秒 (メカ1/250秒、マイクロフォーサーズ) フジ X-H2S 1/125秒 (メカ1/250秒、APS-C)
十分に高速ですね。参考までに、ラッグシップではないフルサイズ機のD750やEOS 5D4は1/200秒、6D2は1/160秒です。特にZ9はフラッグシップ機のメカシャッターと同等です。おそらくそれが前提条件で設計されてます。
それから、露光量という点では電子シャッターの方が緻密な制御ができるため、メカシャッターとは比べものにならないぐらいの高速シャッター速度にできます。メカシャッターでは細いスリットのサイズを一定に維持する必要がありますが、電子シャッターだと単なる読み出しタイミングの調整だけなので。例えば1/32000秒とかの露出時間にできます。瞬間を切り取るという点でも、シャッター幕が浮いていないという点で有利です(詳細は割愛)。
というわけで、ローリングシャッター歪み(通称コンニャク)については、裏面積層機なら実用上影響無いと考えて良いでしょう。Z9で気になるって言ってる人は、メカシャッターでも歪むことに気付いてないんだと思いますね。「フォーカルプレーンシャッター歪み」とも言われるぐらいで、昔からあるんですけどね…。
尚、裏面積層ではないカメラで最速の電子シャッターはおそらくオリンパスのE-M1markII以降の1/50秒ですが、高速な動き物に対しては気になる程度に歪みます。それ以外の普通の電子シャッターだと1/15秒とかの非常に遅いものもあって、静物専用になりますね。裏面積層センサーの登場が、フラッグシップのミラーレス移行を推し進めたのは間違いないでしょう。そして今後はメカシャッターレスがトレンドになりそう。
自分の知る限り、同調速度は、ゼンザブロニカの1/500秒が最速。すげー無理していたのか、壊れやすかった。そのためか、モデルチェンジするたびに、通常のシャッター速度ともども遅くなった。
同調速度云々はフォーカルプレーンシャッターだけに影響する問題です。同調速度1/500secのブロニカってレンズシャッターだから全速同調します。35mmレンズ交換式一眼レフの同調速度最速はトプコンウインクミラーS/ユニ/ユニレックスの1/500secですが、これもレンズシャッター機です。ただ、どの速度でも基本全閉→全開→全閉としなければいけないので最高速度を上げられず1/500sec程度がレンズシャッターのシャッター速度限界ですが。
# 35mmフォーカルプレーンシャッターだとフルサイズはミノルタα9xi/α9の1/300secが最速
レンズシャッター機であるハッセルブラッドH6D用(一部)レンズは、フラッシュ同調1/2000秒対応らしい。https://www.hasselblad.com/ja-jp/h-system/h6d-100c/ [hasselblad.com]そりゃお値段張りますわ。
ゼンザブロニカは、レンズシャッターではなく、フォーカルプレーンシャッターです。最高速度は1/1250秒で、同調速度が1/500秒。ハッセルブラッドに対して高速シャッターを売りにしていて、プアマンズ・ハッセルと呼ばれていました。安くなかったのに。
ゼンザブロニカ系(6×6cm判)はフォーカルプレーンシャッター機でしたが、後のゼンザブロニカETR系(6×4.5cm判)からレンズシャッター化し、続くゼンザブロニカSQ系(6×6cm判)・ゼンザブロニカGS-1(6×7cm判)もレンズシャッター機であったらしい。
フラッシュは瞬間発光なので、シャッター幕が全開していないと使えません。細いスリットが走っている間に発光した場合、画面の一部しか撮影できないからね。
大昔かつ例外で申し訳ないが、フォーカルプレーンシャッターの1/2000まで全速同調を謳っていたフラッシュは存在していた(オリンパス「スーパーFP発光」)もっとも、瞬間発光でなく、「ある程度長い時間光り続ける」ため、光量が少なく、表現の幅を広げるには至らなかったようだけど。
FP発光は今でも現役ですよ。 FPってのはフォーカルプレーンの略で、まさしくシャッター幕全開しないことへの対応策だね。
オリンパスとニコンについてはカメラの仕様にFP発光について書いてある。 キヤノンとソニーにはないな…。対応してないかもね。 まぁおっしゃる通り需要が薄そうなので、自社の対応フラッシュがないのかもしれない。
キヤノンはFP発光と言わずHSS(ハイスピードシンクロ)ですね。純正ストロボは対応してます。
SONYが裏面CMOSセンサーの試作を発表したとき、「そんなもん量産できるかよ、どんだけ製造に手間がかかるかわかってんのか」的なコメントをスラドで読んだけど、もはや全盛やんね。
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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー
一眼レフからの撤退だけでも大ニュース (スコア:0)
一眼レフからの撤退だけでも大ニュースです。ニコンとキャノンがほぼ寡占していた報道(特に一瞬を切り取らなければならないプロスポーツ)の分野でニコンが脱落することになります。
そのほかの分野ではソニーのミラーレスの猛追を受けていたけれども、ここだけは原理的に一眼レフが有利で、まだソニーの浸食を受けていない領域でした。かつ、プロ向けなので儲かります。
一眼レフとミラーレスの最大の違いはファインダーです。
光学で遅延がない一眼レフとは違い、ミラーレスはどうしても撮像素子や画像処理、表示の処理が入るため、遅延が発生します。
日常レジャー用途やポートレート、スナップ写真などでは問題になりませんが、報道用の撮影では致命的になることがあります。
将来的に、ミラーレスでも連写性能が向上すれば、大量に撮影してその中から一枚を選択するという方法が実用的になるかもしれませんが、現状のミラーレスではまだ連写性能が足りません。
Re: (スコア:0)
実際のスポーツフォトグラファーが言うには電子シャッターはむしろ革命的で、何しろメカ故障の心配がないのがいいんだってさ [kitamura.jp]
まあZ9の宣伝ページだから話半分で聞くとしてもねw
Re: (スコア:0)
メカシャッターは故障の原因になることに加え、先幕メカシャッターの場合シャッターの振動によるブレがどうしても避けられないこと、先幕電子シャッターでシャッターブレを防ごうとすると玉ボケが汚くなる現象が起こることがある、などの理由から、出来ればとっとと捨てたいというのはキヤノンも10年くらい前から言っていました。一眼レフの光学ビューファインダーと違ってユーザーの情緒的なこだわりが湧く要素も別にありませんので、技術が許せば各社ともどんどん移行していくことでしょう。
現状、電子シャッターに残された最大の問題は読み出し速度で、
Re:一眼レフからの撤退だけでも大ニュース (スコア:1)
少し事実誤認があるようなので補足します。
>メカシャッターが最短1/4000秒くらいで露光を止められる
これは誤り。
フォーカルプレーンシャッター(メカシャッター)の場合、露出時間を1/4000秒にすることはできるのだけど、それは縦走りする細いスリットを通る光量が1/4000秒相当になるという意味であって、実は1/4000秒でシャッターが開いて閉じるわけじゃありません。
これは、フラッシュの同調速度を見ると、目安になります。
フラッシュは瞬間発光なので、シャッター幕が全開していないと使えません。細いスリットが走っている間に発光した場合、画面の一部しか撮影できないからね。
というわけで、主なカメラのメカシャッター調べると、例えばフラッグシップ一眼レフのニコンD6とキヤノン1DX3は共に1/250秒です。
つまり、センサーの上から下まで露光し終わる時間が、少なくとも1/250秒かかるってことになります。
そして、電子シャッターです。
実はフォーカルプレーンシャッターと全く同じような動作になります。
センサーをラインごとに順次リセットしていき、その後を追うように読み出してます。
全面をリセットし終わった後に読み出し開始になる、つまりシャッター幕が全開してる状態がフラッシュの同調速度になる。
データを高速に読み出せる機種なら、これが高速になることが分かりますね。
というわけで、ここ1年ぐらいの裏面積層センサー採用機の電子シャッター時フラッシュ同調速度。メカも併記しときます。
ソニーα1 1/200秒 (メカ1/400秒[メカシャッター界最速])
ニコンZ9 1/250秒 (メカなし)
キヤノンR3 1/180秒 (メカ1/200秒)
OMDS OM-1 1/100秒 (メカ1/250秒、マイクロフォーサーズ)
フジ X-H2S 1/125秒 (メカ1/250秒、APS-C)
十分に高速ですね。
参考までに、ラッグシップではないフルサイズ機のD750やEOS 5D4は1/200秒、6D2は1/160秒です。
特にZ9はフラッグシップ機のメカシャッターと同等です。おそらくそれが前提条件で設計されてます。
それから、露光量という点では電子シャッターの方が緻密な制御ができるため、メカシャッターとは比べものにならないぐらいの高速シャッター速度にできます。
メカシャッターでは細いスリットのサイズを一定に維持する必要がありますが、電子シャッターだと単なる読み出しタイミングの調整だけなので。
例えば1/32000秒とかの露出時間にできます。瞬間を切り取るという点でも、シャッター幕が浮いていないという点で有利です(詳細は割愛)。
というわけで、ローリングシャッター歪み(通称コンニャク)については、裏面積層機なら実用上影響無いと考えて良いでしょう。
Z9で気になるって言ってる人は、メカシャッターでも歪むことに気付いてないんだと思いますね。「フォーカルプレーンシャッター歪み」とも言われるぐらいで、昔からあるんですけどね…。
尚、裏面積層ではないカメラで最速の電子シャッターはおそらくオリンパスのE-M1markII以降の1/50秒ですが、高速な動き物に対しては気になる程度に歪みます。
それ以外の普通の電子シャッターだと1/15秒とかの非常に遅いものもあって、静物専用になりますね。
裏面積層センサーの登場が、フラッグシップのミラーレス移行を推し進めたのは間違いないでしょう。
そして今後はメカシャッターレスがトレンドになりそう。
Re: (スコア:0)
自分の知る限り、同調速度は、ゼンザブロニカの1/500秒が最速。すげー無理していたのか、壊れやすかった。
そのためか、モデルチェンジするたびに、通常のシャッター速度ともども遅くなった。
Re: (スコア:0)
同調速度云々はフォーカルプレーンシャッターだけに影響する問題です。
同調速度1/500secのブロニカってレンズシャッターだから全速同調します。
35mmレンズ交換式一眼レフの同調速度最速はトプコンウインクミラーS/ユニ/ユニレックスの1/500secですが、これもレンズシャッター機です。
ただ、どの速度でも基本全閉→全開→全閉としなければいけないので最高速度を上げられず1/500sec程度がレンズシャッターのシャッター速度限界ですが。
# 35mmフォーカルプレーンシャッターだとフルサイズはミノルタα9xi/α9の1/300secが最速
Re: (スコア:0)
レンズシャッター機であるハッセルブラッドH6D用(一部)レンズは、フラッシュ同調1/2000秒対応らしい。
https://www.hasselblad.com/ja-jp/h-system/h6d-100c/ [hasselblad.com]
そりゃお値段張りますわ。
Re: (スコア:0)
ゼンザブロニカは、レンズシャッターではなく、フォーカルプレーンシャッターです。最高速度は1/1250秒で、同調速度が1/500秒。
ハッセルブラッドに対して高速シャッターを売りにしていて、プアマンズ・ハッセルと呼ばれていました。安くなかったのに。
Re: (スコア:0)
ゼンザブロニカ系(6×6cm判)はフォーカルプレーンシャッター機でしたが、後のゼンザブロニカETR系(6×4.5cm判)からレンズシャッター化し、続くゼンザブロニカSQ系(6×6cm判)・ゼンザブロニカGS-1(6×7cm判)もレンズシャッター機であったらしい。
Re: (スコア:0)
フラッシュは瞬間発光なので、シャッター幕が全開していないと使えません。細いスリットが走っている間に発光した場合、画面の一部しか撮影できないからね。
大昔かつ例外で申し訳ないが、フォーカルプレーンシャッターの1/2000まで全速同調を謳っていたフラッシュは存在していた(オリンパス「スーパーFP発光」)
もっとも、瞬間発光でなく、「ある程度長い時間光り続ける」ため、光量が少なく、表現の幅を広げるには至らなかったようだけど。
Re: (スコア:0)
FP発光は今でも現役ですよ。
FPってのはフォーカルプレーンの略で、まさしくシャッター幕全開しないことへの対応策だね。
オリンパスとニコンについてはカメラの仕様にFP発光について書いてある。
キヤノンとソニーにはないな…。対応してないかもね。
まぁおっしゃる通り需要が薄そうなので、自社の対応フラッシュがないのかもしれない。
Re: (スコア:0)
キヤノンはFP発光と言わずHSS(ハイスピードシンクロ)ですね。純正ストロボは対応してます。
Re: (スコア:0)
SONYが裏面CMOSセンサーの試作を発表したとき、「そんなもん量産できるかよ、どんだけ製造に手間がかかるかわかってんのか」的なコメントをスラドで読んだけど、もはや全盛やんね。