中国・重慶市で今年 8 月、公園をジョギングする 41 歳の男性を起点として COVID-19 アウトブレイクが発生したとの報告書を中国疾病予防控制センター (CCDC) が公開している
(
報告書、
Ars Technica の記事)。
第 1 感染者とされる男性は 8 月 11 日に旅客機でフフホト市へ行き、13 日に重慶へ戻った。帰路の中国南方航空 2752 便の機材は前日 12 日に重慶発フフホト行きの 2751 便で使われており、チベットからの乗客 4 名がフフホト到着後に SARS-CoV-2 陽性となっていたという。2751 便は 20 時に到着し、翌朝 9 時 59 分の 2752 便のため消毒は行われなかったとのこと。男性が感染していたのはチベットで流行していたオミクロン株 B.A.2.76 であり、男性の座席が 2751 便の陽性者 3 名の座席に近かったことなどから、機内で感染したと考えられているようだ。
男性は検査しなかったフフホト滞在中の 8 月 12 日を除き、8 月 9 日から 14 日まで PCR 検査で陰性だったといい、15 日は疲れを感じたものの発熱や咳などの症状はなかったという。翌 16 日朝、男性はマスクをせずに 6 時 54 分から 35 分間にわたって公園でジョギングしてから帰宅すると、前日喉からサンプルを採取したスワブによる検査結果が陽性だと判明していた。その後、公園利用者やスタッフ計 39 人の感染が判明。29 人はゲノムシーケンシングで男性と同じウイルスに感染していたことが確認されたが、5 人はさらに変異が加わっており、5 人はサンプルの状態が悪かったためシーケンスは実施されなかったそうだ。
報告書では B.A.2.76 の感染性が強いと説明しており、公園をジョギングする男性から感染したとすれば、屋外での感染防止についてこれまでの認識を変える必要もあるだろう。ただし、カナダ・サスカチュワン大学のウイルス学者 Angela Rasmussen 氏は Ars Technica に対し、全ゲノムをシーケンシングしたのかどうか明確でないとして男性起点説に、チベットからの乗客が重慶で感染した可能性もあるとして機内感染説に、それぞれ疑問を呈している。