不正が見つかった毎月勤労統計、手続きだけでなくプログラムにも不適切な部分があったことで問題が判明 113
COBOLが悪い訳ではない 部門より
厚生労働省の「毎月勤労統計」において2004年から2017年まで不適切な調査や統計処理が行われていた問題で(過去記事)、すでに発表されていた統計値を補正した再集計値が発表された(朝日新聞)。また、厚生労働省は1月22日付けで毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書を発表している。
統計の信頼性は重大な問題だが、経緯は少々複雑で、手続き上の問題もさることながら、初歩的な計算上のミスがあった(池田信夫氏の勤労統計問題の原因は「COBOLプログラムのバグ」)。
経緯としては、2004年に中小企業の抽出率を上げるのと同時に東京都の大企業(従業員500人以上)だけを対象とした抽出調査にしたが(大企業は本来全数調査)、システム更改時に抽出した調査結果を復元処理するのを忘れていたという。3分の1を抽出したら3倍に復元しないと全国平均がずれてしまう。統計調査に係るシステムの言語はCOBOLで、改修は外注ではなく内部で行っているが、「システム担当係でCOBOLを扱える者は1人又は2人に過ぎなかった」。バグがあっても、ダブルチェックが働かなかった。そして2018年にサンプルの入替方法の変更にともなう改修に併せ、復元処理を入れた。14年間気づかなかったバグに、システム更改時に気づいて(黙って)修正したようだ。その後、統計数値の上振れについて指摘されたという。
問題をCOBOLプログラムに押しつけるような印象の記事に対しては多数のツッコミも寄せられている。