NASA、SpaceXとの有人月着陸システム契約を一時停止 19
弾力 部門より
NASAのHLS契約はSpaceXのほか、Blue Originを中心とした「国家代表チーム」とDyneticsの3者が候補になっていたが、NASAの今年度予算が要求額の4分の1しか認められなかったこともあり、4月にSpaceXのみが選定された。
しかし予算が縮小されたとはいえ、2者と契約する意思を示していたNASAがSpaceXのみを選定した過程に問題があったとして、Blue OriginとDyneticsが米会計検査院(GAO)に抗議している。Blue OriginがGAOに提出した文書(PDF)によれば、単独契約により競争や冗長性が失われること、SpaceXの独占により米国内の宇宙産業が危険にさらされること、NASAが予算の縮小をSpaceXのみに伝えていたことなどを問題として挙げている。
NASAの民間開発プログラムでは従来、複数契約で競争と冗長性を維持し、弾力性を確保してきた。NASA次期長官のビル・ネルソン元上院議員は、HLSプログラムでどのように弾力性を確保するのかマリア・キャントウェル上院議員から質問され、「競争は常に良いことだ」と答えている(キャントウェル氏のプレスリリース)。
GAOは100日以内に2社による抗議の是非を決定する。そのため、NASAではGAOの決定が出るまでSpaceXとのHLS契約を保留にする一方で、持続可能な月探査輸送サービス(LETS)の開発に向けた情報提供依頼書(RFI)を4月28日に発行した(NASAのニュース記事)。