ICANN At-Largeの選挙権: ドメインオーナ限定 3
ストーリー by Oliver
腐りゆく青い果実 部門より
腐りゆく青い果実 部門より
ICANNのAt-Large Membership (一般会員)の有り方を探ってきた調査委員会が最終報告のドラフトを公開した。その中では、ICANN理事の3分の1をAt-Large Memberによる選挙で決め、その選挙での投票権はなんとドメインオーナのみ、という提案をしている。ICANN設立後初めての選挙だった前回への参加は「メールアドレスを持つこと」が条件で、世界中から3万人以上のネットユーザが参加し、18人の理事中5人を選出した。
参加条件が電子メールアドレスのみだと不正が働かれやすい上に、世界中で数億人といわれるメールユーザの2~3%が参加しただけで選挙が管理不能になるのは目に見えている、という報告書の論調は分からないではない。しかし、だからといって選挙権をドメインオーナという枠でくくっていいのだろうか。この形だと、すでに他の形で大きな発言力を持っている、大量のドメインを抱える企業やレジストレラが更に大きな声を獲得し、独自のドメインを所有しない末端のネットユーザが参加できなくなってしまう。ドメインに関するポリシーの決定権をNSIと米国商務省の魔の手からユーザの手に取り戻すのがICANNの誕生理由のひとつであったはずで、その現れとして誰もが参加できるのがAt-Large Membershipだったのに。
ICANNの果たすべき仕事をdefineせよ (スコア:3, 興味深い)
報告書全体を見渡してまず上がる問題は、一体何のためにICANNが存在するかを詳細にdefineしていないことである。これに関する記述は、Backgroundの第1段落に、ICANNの設立目的を引用しただけに過ぎない。これではICANNが現在どのような問題を解かなければならないかが具体的に伝わらない。
導入でつまずいているので、あとの議論が全て宙に浮いてしまっている。すなわち、具体的に問題を解くためにICANNの理事としてどのような人選をするべきかわからない。すると、理事を選出するためにどのような選挙人が適切なのかも見えてこない。「今度はドメイン所有者を選挙人に入れるぞ」といってみても、「ハァ、そうですか」という答えしか返せない。「それが正しいやり方なんですか?」という問いには、答えてくれない。
本気でこの報告書を読み手に理解させたかったら、ICANNが成すべき仕事を隅々までdefineし、それら各々をどのような人材が解くべきかを記述して欲しい。そうでなければ、この報告書はICANNをなんとか存続させるために仕立て上げられたものと理解せざるを得ない。
なお、敢えて「定義」ではなく'define'と書いたのは、'define'の意味が'to make something fine'であることによる。細かい部分まで全て決めることに'define'の本質があることから、この言葉を用いることにした。
NAIS Projectがいいレポート出してるのにねぇ (スコア:3, 参考になる)
NAIS Project(NGO and Academic ICANN Study)という、 ICANNとは独立したところがやはりAt Largeに 関しての分析と提案をして 最終レポートを出しました。 こちらのほうがはるかにきっちりやってるんだよね。
ALSCのレポートは、結局のところ かなり強引に話をつくってる。 例えば、At Large 理事を削る本当の理由は ccTLDに理事の座をよこせって要求があるからだし。 個人のドメイン保持者については At Large と別の形で要求があって、 そもそもそれは DNSO に Supporting Organization として入って DNSO の Names Council に 代表を出すという形が考えられるのだけど、 そうするとドメインについてのポリシー決定の 実質的な部分で個人ドメイン保持者が権限を持てる (DNSOには General Assemblyという、 誰でも入れるところがあるけどここは あんまり実質的な決定権はないようだ)ことになるので、 それを排除するためにも At Large を個人ドメイン保持者、とういことにしたい 人達がいるのだろうな、という気がする。
あと、「ドメイン保持者」に限るぞ、ということは、人数をかなり絞り込むから、 outreach にリソースを割く気はないってことだ (outreach の問題は、言葉の問題が大きくて、 言葉の問題に真面目に取り組む場合は 会員規模には依存しないコストがかかる)。 てことは、 日本でまたも政府主導でトップダウンの 票集めが行われることになるでしょう。 小泉あたりが「日本のITの発展と構造改革のためには ○○さんにいれましょう」みたいなことを ちょろっといえばそれですむから、 森政権下の前回で、 あちこちの会社でノルマを課して 会員登録させたのよりも楽だろうしねぇ。
訂正 (スコア:2)
DNSOの下に入るのは、Constituencyだった。すまぬ。