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6057 story

その電池、生物につき 72

ストーリー by Oliver
これでマトリックス回避 部門より

y_tambe 曰く、 "Nature Science Updateの記事によると、ドイツの大学研究者が大腸菌を利用した新しい電池を開発したそうだ(該当する論文
微生物を発電に利用しようという試みはこれが初めてではなく、ある種の微生物が作り出すメタンガスを燃やし、その熱でタービンを回して発電するバイオマス発電、あるいは酸素のない(嫌気的)環境である種の微生物が作り出す水素ガスを回収し、それを燃料電池に利用しようというアイデアはこれまでにもあったそうだ。しかし、これらは微生物からエネルギーを得る過程でエネルギー変換を必要とするため、効率の低下が避けられない問題であった。
この問題を克服するため、燃料電池と同様、途中のエネルギー変換を介さず直接発電させる「バイオ燃料電池」の研究開発がすすんでいるが、今回Uwe Schroederら、Ernst Moritz Arndt University in Greifswaldの研究グループは、大腸菌(Escherichia coli)の発酵のエネルギーを元に、使用する白金電極(負極)を導電性ポリマー(ポリアニリン)でコーティングすることで、従来の10倍以上の性能を持つバイオ燃料電池の開発に成功したそうだ。
・・・将来、こんな電池を搭載したスクーターノートPCも出てくるのだろうか。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • この方式も (スコア:3, すばらしい洞察)

    まだ元の記事を斜め読みしただけなので間違えているかもしれませんが、今回の研究
    も発酵で得られる水素を使っての発電ということなのではないでしょうか。
    これまでは発酵時の副産物が金属電極に沈積してしまうので長時間の発電ができな
    かったものが、コーティングすることでメンテナンス性が増したという内容に読めました。
    まだ論文の方は要旨も掲載されていないようなので自信ありませんが、10倍の効率
    化というのは稼働時間の増加を意味していて、エネルギー利用効率の方は同じなのかと。
    ということでまだまだ実用化されるほどの効率は達成していないなあ、という気がして
    います。

    微生物を使った発電というのは、培地や温度の管理が必要なので携帯用の電源とし
    ては考えられていないと思いますが、もっともっと効率が増したら大規模なプラントを
    建設して発電所にすることは不可能でないかもしれません。
    ただその場合は大量に出てくるゴミの問題を解決しないといけなさそうですが・・・

    それに、ちょっとデータがないのでいい加減なことを言ってしまうかもしれませんが、
    発酵によって得られる水素を用いたエネルギーを使うのは、CO2の排出量では化石燃料
    を使うよりかなり多そうだなあと思います。
    --
    kaho
    • Re:この方式も (スコア:4, 参考になる)

      by raijin (7091) on 2003年07月06日 23時00分 (#353276)
      電極をコーティングして付着物を防ぐという手法はポピュラー
      な方法なので、もしこの方法を使って10倍に伸びたというだけ
      なら科学的な新規性には乏しいと思います。

      #前職の時に電気化学式センサの改良で電極コーティング
      したことありました。
      親コメント
    • Re:この方式も (スコア:3, 参考になる)

      by y_tambe (8218) on 2003年07月07日 10時23分 (#353438) ホームページ 日記
      今回の研究 も発酵で得られる水素を使っての発電ということなのではないでしょうか。
      元の論文の方を読んでないし要旨もないので詳細は判りませんが、Nature Science Updateの記事を見る限りではそうではなくて、直接電流を得るようです。実際、細菌を培養するための培地は空気と接している場合、pH7で酸化還元電位(Eh)が+0.2〜+0.4Vですが、そこに細菌を接種して増殖させると0〜+0.2Vに低下します。一般に細菌の増殖に伴って培地の酸化還元電位は下がると。
      そもそも、発酵にせよ、呼吸にせよ、生物がエネルギーを得る過程は酸化還元反応なわけで、その終末電子受容体が例えば呼吸の場合は酸素原子になりますが、それをうまいこと電子を直接取り出そうというのが、バイオ燃料電池の一般的なアイデアのようです。

      微生物を使った発電というのは、培地や温度の管理が必要なので携帯用の電源とし ては考えられていないと思いますが、もっともっと効率が増したら大規模なプラントを 建設して発電所にすることは不可能でないかもしれません。
      Nature Science Update記事の最後や、あるいはタレコミからリンクしているHotwired記事にもありますが、この点でいちばん期待されてるのは酵母を使うことでしょう。それもビールや酒の製造に利用されているものを。究極的には「ビールを作りながら同時に発電」というのを目指しているんだと思います。
      #大量培養用のインフラもいちばん整っていると思いますし。

      ただ、今回のグループが酵母ではなくて大腸菌を使っているグループだというのも、おそらく一つのポイントなのだと思います。というのは、大腸菌は通性嫌気性と言って好気的環境下では呼吸(酸素を使った好気的呼吸)を行いますが、嫌気的環境下では発酵(混合有機酸発酵)を行い、それでエネルギーを産生して増殖できます。
      #嫌気的環境下ではさらに嫌気的呼吸(酸素分子を必要としないが終末電子受容体が酸素原子となる−NO3-などを用いる−エネルギー補足系)も行えますが。

      一方、酵母の方は好気的呼吸でのみエネルギー産生するものですから、多分、そこらへんの事情で大腸菌の方が一歩先んじたのではないかと。大腸菌を使う場合は、酵母のように「ビールを作りながら発電」とはいかないでしょうが、遺伝子組換技術には最も実績のある微生物ですから、他の有用物質を生産させながらとか、あるいは発電に特化した変異株を作ったりして、いろいろと応用ができるというのがメリットになるのではないかと思います。
      親コメント
      • なるほど。ちょっと斜め読みしすぎていました。
        呼吸の酸化還元反応を取り出すのは酵母では難しそうと自己フィルタしてしまっていましたが、
        実際取り出せているのでしたか。この技術に対してあまりにも不明でした。

        > Nature Science Update記事の最後や、あるいはタレコミからリンクして
        > いるHotwired記事にもありますが、この点でいちばん期待されてるのは酵母
        > を使うことでしょう。それもビールや酒の製造に利用されているものを。
        > 究極的には「ビールを作りながら同時に発電」というのを目指しているんだ
        > と思います。
        > #大量培養用のインフラもいちばん整っていると思いますし。

        これ、面白いですね。
        自分で発電した電力で生産管理する自律的ビール樽になったりするのでしょうか。
        もともとワインの研究から生化学が発展したのだからまたそこに戻っていくのも
        一興ですね。

        大腸菌を使うにしても、メタノールを組み替え大腸菌で製造する方法の研究もなされ
        ているようで、燃料電池の燃料としてのメタノールの需要とも関連して面白そうですね。
        --
        kaho
        親コメント
    • # あんまり知識があるわけではないですが...
      ただ、夢を見れるなら

      ・ゴミを処理してそれから発電できるようになる
          ->むしろゴミ問題にプラスになる
      とか

      あとCO2に関しては、化石と違って炭素が増加するわけではないので少しはましなのではないでしょうか
      --
      M-FalconSky (暑いか寒い)
      親コメント
  • バイオハザード (スコア:3, すばらしい洞察)

    by j3259 (7093) on 2003年07月06日 18時16分 (#353169) ホームページ 日記
    捨てられた電池とか、事故現場から大腸菌など微生物がドバーっと出てくるのはちょっと気持ち悪い気がしますね。
    危険そうな水素でも、燃えちゃえばそれで終わりの話だけど、バクテリアとかってしばらく残ってたり、広がったり、突然変異起こしたり、近所の生態系を崩したり近未来映画のような想像をしてしまいます。うまく囲えば有用な資源になりそうだけど。
    • by shiraga (14233) on 2003年07月06日 22時17分 (#353255)
      どういう株が使われているのかわからないし「安全です」と主張したいわけでもないですが、大腸菌なんて、そこら中にいます。
      あなたの腸内にも。

      例えばプールや海水浴場の水質検査に大腸菌濃度を測定することがありますが、それは大腸菌数自体を問題にしているわけではなく、それだけの大腸菌をまかなえる栄養分があること(水の汚れ)を問題にしています。
      この方法が有効であることの前堤として、「無害な大腸菌がプールや海水中に初めからある程度の数存在している」わけです。
      #それらの大腸菌が「すべて無害である」という意味ではありません。

      それに病原性を持つ大腸菌株なんてごく一部です。
      突然変異を起こしたり、病原性遺伝子が転移したりして病原性を持つ可能性はありますが、それは自然環境中でも同じ。
      この燃料電池の中で特に変異を起こす頻度が高いなら別ですが(その検討は必要でしょうね)、そうで無い限り、とりたてて騒ぐ必要はないと思います。
      親コメント
      • by shiraga (14233) on 2003年07月06日 22時26分 (#353260)
        ちょっと思いだしたので。
        「自家製ヨーグルト」を作る人も少なくないようですが、何度も植え継ぎを繰りかえすうちに、「乳酸菌よりも大腸菌が多くなる」なんてことは、ざらにあるようです。
        それでも「ヨーグルトらしきもの」は出来るみたいですが。(^^;
        #大腸菌の臭いを知っていれば、すぐわかるんですけどね。

        こっちの方が問題だと思いますけど。
        一度に大量の菌を食ってるわけだし。
        親コメント
      • 例えばプールや海水浴場の水質検査に大腸菌濃度を測定することがありますが、それは大腸菌数自体を問題にしているわけではなく、それだけの大腸菌をまかなえる栄養分があること(水の汚れ)を問題にしています。
        この方法が有効であることの前堤として、「無害な大腸菌がプールや海水中に初めからある程度の数存在している」わけです。
        いや、大腸菌は基本的にプールや海水に元からいるものではなくて基本的な生活圏はあくまで動物の腸管内です。
        水質検査で大腸菌を調べる [eniwa.co.jp]のは、それら腸管内にいるはずの菌が水中に出てくる、すなわち、し尿による水の汚染の判断材料にするためです。自然環境での生息数にばらつきがない(かつ低い)からこそ、水質検査の指標足り得るのです。

        もちろん大腸菌自体が危険だから調べるというわけではないというのは同じですが。
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    • 事故現場から (スコア:3, すばらしい洞察)

      by GSone (8994) on 2003年07月06日 18時25分 (#353174) 日記
      自動車事故なんかがおきて、この大腸菌燃料が漏れたりして、
      けがをした乗員にかかったりしたら大変なことになりそう…
      交通事故の死亡率が一気に上がったりして…
      親コメント
    • by raijin (7091) on 2003年07月06日 23時11分 (#353280)
      まず、他の菌が混入しにくい状況になる場合は、突然変異などによる
      病原性の獲得はかなりむずかしいのではないかと思います。
      非病原菌が病原性形質を取得するのが、どんな感じなのか
      わからないため、詳しくはいえませんが、シャトルベクターとなる
      菌がいないとか、病原性を取得することによって生存に有利になる
      状況がない限り,病原性を獲得した菌が主流になるとは思いにくい
      のですが....
      以下は妄想ですが、
      私が大腸菌などの菌を使って電池を作るとすれば、大腸菌の生存に
      必要な特定物質を欠損した菌を作成し、細胞膜から取り込み可能に
      しておいて、特定の環境下以外では生存不可能にしておくでしょう。
      親コメント
      • >>まず、他の菌が混入しにくい状況になる場合は、突然変異などによる
        >>病原性の獲得はかなりむずかしいのではないかと思います。

        まず、他の菌が混入しにくい状況になる場合は、突然変異などによる
        病原性を獲得した菌が主流になるのははかなりむずかしいのではないかと思います。
        親コメント
    • by KAMUI (3084) on 2003年07月06日 19時07分 (#353194) 日記
      それこそ「電脳炎」 [big.or.jp]のネタになりそうな・・・

      記事中のリンク先にある「電池」の写真からして,ねぇ(笑)
      親コメント
  • マトリックス駆動への (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Zepto (5428) on 2003年07月06日 17時25分 (#353156)
    第一歩ですね。(笑
    • by coco-natade (13903) on 2003年07月06日 20時41分 (#353226)
      「勝利を収めたマシンは、敗北者を徹底的に利用し始めた。
      太陽に代わる動力源をヒトに求めたのだ。
      生体電気、熱、運動エネルギーである。」
      (「THE ANIMATRIX - THE SECOND RENAISSANCE PART II」より)

       元ネタの「発酵」が無かったもんで、つい、ツッコんじゃいました…
      親コメント
      • Re:マトリックス駆動への (スコア:2, おもしろおかしい)

        by kamogawa (9923) on 2003年07月07日 9時15分 (#353417) ホームページ 日記
        マシンは太陽に代わる動力源をヒトの大腸に求めた。
        カプセルの中で全てのヒトはその大腸に発電用の大腸菌を飼わされている。
        そのため飼育された人間達は、常に下痢気味である。

         という嫌な画を想像してしまいました。ガクガクブルブル
        親コメント
  • by take0m (4948) on 2003年07月06日 23時47分 (#353306) 日記
    グリーンピースが反対運動を起こします。

    生物をエネルギー源として使うのは、奴隷と同じですからね。
  • by Anonymous Coward on 2003年07月06日 17時06分 (#353151)
    ついに右手による自己発電が実用化されるということですか!?

    #ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
  • 実装方法 (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2003年07月06日 18時58分 (#353191)
    座席に穴が空いてるんでしょうか
  • by sameshima (10060) on 2003年07月06日 21時37分 (#353241) 日記
    マイクロマシンでできた発電機の軸に
    ゾウリ虫を捕まえるフックをつけて
    通りがかったゾウリ虫をガシっと捕まえて
    ゾウリ虫に発電機を回転させる

    もしくは、ミドリ虫の体の回転で発電機を。。。
    • by shiraga (14233) on 2003年07月06日 22時30分 (#353261)
      ゾウリムシの方ではないかと…。

      それはさておき、ゾウリムシって界面活性剤(ようは洗剤)で細胞膜を取り除いて(もちろん死んでます)、細胞骨格だけにしても、ATPを入れてやれば泳ぐんですよね~。
      親コメント
      • by prelab (4066) on 2003年07月06日 22時51分 (#353269) 日記
        ふと思ったけどATPそのものでなんとか発電できないかしらねぇ。
        親コメント
      • by sameshima (10060) on 2003年07月07日 1時24分 (#353345) 日記
        >>細胞骨格だけにしても、ATPを入れてやれば泳ぐんですよね~。

        なんと。ATPモータになる?

        細胞壁の電位かなにかで
        何かにぶつかった時にバックする機能とかも残るのですか?
        親コメント
        • by shiraga (14233) on 2003年07月07日 1時40分 (#353351)
          お、よくご存じですね。
          外液のイオン(カルシウムだったかな?)濃度を適切な濃度にしてやると、回転方向、進行方向ともに逆転します。

          とか言ってますけど、学部時代の学生実習でやっただけなので、あまり叩くとボロが出るんですけどね。(^^;
          親コメント
          • by sameshima (10060) on 2003年07月07日 8時23分 (#353405) 日記
            >>回転方向、進行方向ともに逆転します。

            「単細胞なのにバックもできる凄い奴」と尊敬していました。

            #ミドリ虫も単細胞なのに、
            #赤い色の光フィルタと自身の回転と鞭毛(?)を制御して
            #光に向かって進んで行くというのも尊敬してます。

            鉄などの磁性体を取り込む遺伝と組み合わせて
            ATPで直接発電するとか。。
            親コメント
            • by SteppingWind (2654) on 2003年07月07日 11時01分 (#353460)

              単細胞と一口に言っても, プロチスタとモネラじゃ大違いですからね. ミドリ虫の鞭毛もモネラのモータ式鞭毛とは異なるリニアアクチュエータ式鞭毛ですから.

              けど基本的な動力変換エンジンはミオシンで数10億年変わっていないんですから, 凄いと言うか手抜きというか, うまく動けば何でもいいという設計思想が出ていますね.

              親コメント
  • by Wildcat (2067) on 2003年07月07日 3時02分 (#353373) 日記
    駄目なんでしょうか?

    # 安定供給は無理か?
    --
    (´д`;)
  • ドクは生ごみを選んで投入していたような気が。(記憶違いかも)
    #雷以上の電力を生み出すのはキツイよなぁ。でも未来の技術だから克服してるのかな。
  • by Anonymous Coward on 2003年07月06日 17時00分 (#353147)
    バイオコンピューターはまだなんでしょうかねぇ?
    この電池と相性良さそうなんですが。
    • Re:ボソ (スコア:2, すばらしい洞察)

      by T.Sawamoto (4142) on 2003年07月06日 17時08分 (#353152)
      相性がいいって…まさか、大腸菌にとって美味しそうな餌だとか?(^^;)
      親コメント
      • Re:ボソ (スコア:3, おもしろおかしい)

        by nu-u (12312) on 2003年07月06日 18時31分 (#353177) 日記
        作っている途中にバグ(ホントの虫の方)が発生しました(/_;)/

        ってことだったり(^_^;)
        親コメント
      • by G7 (3009) on 2003年07月06日 20時21分 (#353220)
        そっすね。両方を同じ場所に入れちゃったら、
        両者が生存競争(恐らくそれは人間のニーズに合わない)を始めかねませんし、
        同じ場所に入れないなら電線で繋がってるだけなんで相性もへったくれもないだろうし。
        親コメント
    • by zaucer (13280) on 2003年07月06日 20時05分 (#353214) 日記
      〉 バイオコンピューター

      バイオコンピュータに必要なのは電池ではなくエサなのでは?
      親コメント
    • Re:ボソ (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2003年07月06日 21時40分 (#353244)
      うちのカーナビ、バイオコンピューターなんだ。
      燃料には結構うるさくて金がかかるしコンピュータとしてはちょっと間違いが多いけどね、かーちゃんナビ。
      親コメント
      • Re:ボソ (スコア:1, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2003年07月07日 9時14分 (#353416)
        うちのかーちゃんナビは指示に従わないとうるさいくせに
        指示に従うと道を間違えております
        親コメント
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