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鳥インフルエンザのワクチン製造に特許の壁 135

ストーリー by yourCat
正しい知識と身近な予防からはじめよう 部門より

MIYU曰く、"ベトナムで猛威を振るい、人間への感染ですでに6名の死者を出している高病原性鳥インフルエンザ (H5N1) ですが、世界保健機関 (WHO) は新たにタイでも2例の人間への感染を確認しました。28日に対策のための10ヵ国緊急国際会議が開催されます。
H5N1型ウイルスについては1997年に香港で死者が出た時点で、国立感染症研究所などが研究を開始しており、野生動物からの弱毒性の株の採取、逆遺伝学技術の利用などによりワクチン開発のめどが立っています。しかし、特殊な遺伝子操作技術や製造工程の部分で、米国を中心とした複数のベンチャー企業が特許権を所有しており、WHOの調整も難航しています。
ワクチンの製造には卵と時間が必要なため、特許の利用問題で製造開始時期が遅れる事態は避けて欲しいものだと思います。現在、遺伝子構造が違うウイルスも見つかっています。最悪の場合5000万人もの死者が予測されている病気に対して、企業特許・利益というものはどのような意味を持つのでしょうか。" (続く…)

"国立感染症研究所・感染症情報センター鳥インフルエンザ関するQ&Aによると、今のところ鳥インフルエンザに対する有効なワクチンは無く、現在使用されているヒトのインフルエンザワクチンでは鳥インフルエンザに対しては効果がないそうです。
A型インフルエンザの治療に用いられている抗インフルエンザウイルス薬が、鳥インフルエンザにも効果があると言われており、厚生労働省は養鶏業者らに感染防御策として抗インフルエンザウイルス薬の服用を指示しています。
(参考:Nature記事 Avian flu raises vaccine questions)"

似たような事例としてエイズのコピー薬解禁が思い出される。特許がなければ、現時点で製造法が確立していなかったかもしれない。新薬や治療法の研究開発費は膨れ上がり続けている。例外措置の乱発は、製薬会社に取っては死活問題となる。事は簡単には進まない。
なお、鳥インフルエンザについてはアサヒ・コムのQ&Aに簡単にまとまっている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 特許がなければ、現時点で製造法が確立していなかったかもしれない。新薬や治療法の研究開発費は膨れ上がり続けている。例外措置の乱発は、製薬会社に取っては死活問題となる。事は簡単には進まない。
    先週の情報で、新薬1つを開発するのに必要な研究費は年間800億円、1人の研究者が一生の内に開発できる薬の数は平均1つ。だそうですよ。さらに新薬が利益になるのは、他企業の後発品が発売されるまで間だそうです。その間に新薬を開発しないと収入がなくなるので、大変だそうです。
    • by Anonymous Coward on 2004年01月26日 7時57分 (#480881)
      大変そうなのは理解するが、それを100%は認めたくない気持ち。
      一部の薬は、アマゾンのシャーマンの知識からパクってたりしながら、それで特許を取ってたりしてるから。
      マーク プロトキン [google.co.jp]は、そういう、アマゾン先住民の知恵から作られた新薬の利益の一部を先住民保護に当てるべきだと主張してますね。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2004年01月25日 15時42分 (#480449)
      新薬の開発には金が掛かるから価格が高騰する。
      しかし薬に頼らなきゃならない人の大半は病気で
      マトモには働けないから金もあまり持っていない。

      金の無い奴から金を引き出そうとする市場構造
      そのものに無理がある。何らかの手段で外部の
      系から金を引き出さないとどうにもならない。

      #ちなみに新薬の売価の70%~80%が特許料だそうだ
      親コメント
  • by G7 (3009) on 2004年01月25日 13時39分 (#480348)
    >最悪の場合5000万人もの死者が予測されている病気に対して、企業特許・利益というものはどのような意味を持つのでしょうか

    「意味」を問われるならば答えは1つ。
    自由経済主義のもとでは、飢え死にする自由と同様に、病死する自由も有るよ、という話ですね。

    市場「原理主義」は、こうして今日も成就され続けているわけです。

    (この「市場原理主義」という言い回しは、たしか先日のNHKで耳にした記憶があります。)

    元々、人権とか人道とかいう思想とは、市場主義とは(控えめに言っても)無関係というか直交です。
    でもどちらも同じ生きた人間に降りかかる思想である以上、
    両者が衝突するシーンは幾らでも有り得る。今回もその一例。

    んーと。つまり、日本がもしもっと好景気なら
    特許料を血税から支払って涼しい顔してられたかもよ、という話です:-P
    (ただ、どれくらい金子が必要かは存じません。バブル景気でもまだ足りないかも知れないので。)

    今回は特に、日本もウイルスのターゲットに入ってしまっているようですんで、
    日本も「他人ごと」ではないです。つまり壁で苦しむ人間たちの中に日本も入る。
    …ただまあ、栄養状態が良ければ死ににくいし、
    それこそ特許料を払うことも日本(人)なら可能かも知れないんで
    相変わらず「他人ごと」なのかも知れないけどさ。

    ところで、

    >正しい知識と身近な予防からはじめよう 部門より.

    (スラドお得意の)冗談ですよね?
    まさか(時折見かけるような)マヂじゃないよね?

    ちなみに「特許の壁」で困ってる状況という奴は、
    「正しい知識」が有るにも関わらずそれを思うように使えない状況と言えます。

    #まあ、部屋の湿度を高く保つ工夫とかは、したほうが良いのは確かだけどさ。

    -----

    余談ですが、

    (読売記事より)
    >ばらばらに特許権を押さえられている

    これについては、深刻度は比較にならないものの、俺も少し悩んだことが有ります。
    電車の中とかで使うような首巻きつけ型の空気枕です。

    aという特長を持つA社の商品と
    bという特長を持つB社の商品とがあり、
    「aとbを兼ね備えた製品があれば、いい(俺の首が楽になる)のになあ」と思ったんですが、
    aもbも特許(とパッケージに自慢げに書かれてる)んですね。

    特許が俺(ら)の生活を豊かにするのか?

    この場合は、なまじaとbが(商業的な壁を乗り越えない限り)合体出来なくなってしまってるため、
    却ってaとbを兼ね備えた理想の枕の実現が阻害され、つまり「不便」になってるわけで、
    自慢されると却ってムカツクばかりです。

    aとbとが単純に優劣つければ済むようなものならば
    まだ良い(どっちかを買えば済む)んですが、
    aもbも搭載して欲しい場合って、困るんですよね。

    つまりですね、首に2つの枕を同時に巻けないし、
    よしんば巻けたとしても、全然楽にならないから無意味なのですね。
    よって、両方の製品を買うという選択肢は、無意味。

    俺たちゃ(大抵)、特許自体を買うんじゃなく、特許な案を搭載された製品を買うわけですから、
    その搭載のチャンスが事実上無い場合、我々の生活は一向に改善されません。
    (この場合は、aとbとが「同時に」搭載された商品の出現のチャンスです。)

    まあ株主相手には特許自体が自慢(や商売の種)になるんでしょうけど、
    だとすれば、特許を「製品のパッケージに」誇らしげに書くのは意味不明です。
    • Re:市場「原理主義」 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年01月25日 14時28分 (#480385)
      > 元々、人権とか人道とかいう思想とは、市場主義とは(控えめに言っても)無関係というか直交です。

      この考えには賛同するが、ならばなぜ直交している概念が衝突するんだ?
      親コメント
      • by miri (12057) on 2004年01月25日 21時43分 (#480644) 日記
        >> 元々、人権とか人道とかいう思想とは、市場主義とは(控えめに言っても)無関係というか直交です。
        > この考えには賛同するが、ならばなぜ直交している概念が衝突するんだ?

        直行すると認めるならば、人権や人道が市場主義と衝突しているんではなく、市場主義の下で人権とか人道につけられた値段が特許の値段と衝突しているんだと言えると思います。

        直行すると認めないならば、現在の社会の社会主義的側面と資本主義的側面が衝突しているのだと思います。

        #個人的にはこういうのはどんなに正確に書いたとして直ちに解が見つかる問題ではないと思う
        #ところで、資本主義と市場主義ってなんかちがうの?
        親コメント
    • by tsuya (14020) on 2004年01月25日 15時30分 (#480438) 日記

      長い上に主題らしきものも比喩でわかりにくいので、とりあえずサブジェクトに反応。

      「市場原理主義」という言葉は多くの場合、市場の効能を説く論者を批判するために、「市場が常に最善」「市場の失敗は存在しない」という主張をしているかのように見せる目的で使われますね。実際にはそんな主張をしてる人は最初から相手にされないはずだし、それを批判する人から市場よりも優れた制度が提案されることもまずありません。そもそも、完璧な社会制度なんて存在しえないことは明らかなのに。

      市場「原理主義」は、こうして今日も成就され続けているわけです。

      現状の市場をどう評価しているのかわかりませんが、少なくとも現在の市場は原理に完全に忠実ではありませんね。したがって市場原理主義は成就されてないと思います。

      親コメント
      • > (この「市場原理主義」という言い回しは、たしか先日のNHKで耳にした記憶があります。)

        たぶんNHKスペシャル「富の攻防」でしょうね。
        録画してなかった回がいくつかあるからDVD化しないかなー。
        --
        [udon]
        親コメント
      • by G7 (3009) on 2004年01月25日 23時06分 (#480688)
        >「市場が常に最善」「市場の失敗は存在しない」という主張をしているかのように見せる目的で使われますね。

        >それを批判する人から市場よりも優れた制度が提案されることもまずありません。

        「他に優れた制度が無いようだから、市場経済で我慢しとけ」と主張する連中をも、批判させて欲しいです(^^;
        #原理主義の話ではないですが。

        >少なくとも現在の市場は原理に完全に忠実ではありませんね

        システムの「全体」が原理主義に基づいてるかどうか?は、ここではあまり問題ではないと思います。
        或る場面における或る人々が原理主義ベースに振舞っているかどうかの問題、じゃないかと。
        親コメント
    • by ROSETTA (10941) on 2004年01月25日 17時45分 (#480531)
      私にはよく文意がわからなかったのですが、

      >正しい知識と身近な予防からはじめよう 部門より.
      (スラドお得意の)冗談ですよね?
      まさか(時折見かけるような)マヂじゃないよね?

      とあるのですが、鳥インフルエンザに対して正しい知識を持ち、その感染を予防する為に行動するのは「冗談」なのでしょうか?感染に対し、手洗い・うがいを推奨し、部屋の換気・濕度に気を配るというのは予防の為に薬を飲むのと同等かそれ以上に効果があることだと思います。

      医療の世界では、(特に何の病原菌がついてきてるか解らない救急の世界では)スタンダードプレコーションが守られてますが、これも冗談なんでしょうか?

      治療薬が手に入らないなら、その病気にならないように一次医療を充実させていくというのはbetterな選択だと思います。

      まぁ、編集者が感想程度につけてるのが部門名だと思うので、記事との関連性をつつくのもアレだと思いますが。
      親コメント
  • by shadowfire (6584) on 2004年01月25日 15時09分 (#480422) ホームページ
    アメリカの天然痘の件でしたっけ?
    「こっちは非常事態やねん、しょうがないねん」とか言って
    特許の話とかすっ飛ばして特効薬作っちゃったのは。

     
    --
    --------------------
    /* SHADOWFIRE */
  • by shinshimashima (9763) on 2004年01月25日 18時43分 (#480565) 日記
    なにやら特許制度が敵みたいないわれ方しているようですが・・・
    特許があるからワクチンが作れないってのはなんか違うのでは?
    今回の状況ですが、特許となる製法自体は現在では一般に知られているんですね(秘密ならばそもそも特許を無視した製薬自体不可能ですし、特許制度がないから製法は秘密ってことはあっても特許がないから秘密ってことは考えられないでしょう)
    また、特許使用料が支払えないというわけではなく、交渉に時間がかかるってのが問題なわけですよね。
    ならば特許問題ははとりあえず棚上げにしてとっとと作って投与してしまえばいいだけでは?

    で、特許を侵害して製薬したことに対する法的な問題ですが・・・
    刑事上の責任は緊急避難ってことでお咎めなし。
    民事上の責任については事後に正当なライセンス料を払えば済むこと。仮に民事裁判となってもこのような状況では賠償額は「正当な対価」を大幅に超えることは考えにくいでしょう。
    • 怒りにまかせて書いたら何が言いたいのかよくわからない文章になってしまっていた。

      言いたいのは以下の2点です。
      ・本当に緊急なら特許など棚上げしてしまえ。 >WHO
      ・特許じたいは有用である。特許があるから新薬は開発されるしその製法は広く知られる。緊急時には棚上げすりゃいいんだ。 >特許否定者
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2004年01月25日 21時34分 (#480637)
      相手はアメリカの企業と裁判所と弁護士なのが
      怖いですね。
      懲罰的賠償を求める裁判に投資家が群がるという
      いつものパターンが展開されたら少なくとも
      日本企業は勝ち目がないような気がします。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2004年01月25日 22時02分 (#480649)
      ならば特許問題ははとりあえず棚上げにしてとっとと作って投与してしまえばいいだけでは?
      ブラジルは2001年あたりにそれをやって
      アメリカによる経済制裁を食らいかけた。
      南アフリカ、タイ、インド、ドミニカ共和国、
      アルゼンチンも同じく圧力をかけられた。

      これらの件では最終的にはアメリカが引いて
      特許の棚上げも「強制実施権」としてWTOに
      認められたが今日もアメリカは強制実施権の
      範囲を狭めるべく頑張っている。

      そんなアメリカの議会でも炭疽菌騒ぎの時は
      特許を無視してでも薬を調達すべきだという
      話が出た。

      アメリカにも色々あるようだ。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2004年01月25日 14時14分 (#480376)
    21世紀は記憶されるのであった。

    # おおげさなような、そうでもないような
  • by Anonymous Coward on 2004年01月25日 16時14分 (#480479)
    特許料を支払えない国では、特許を無視して製造したりしています。
    こんなのは、命の問題ですから、特許なんて無視していいと個人的には思います。
    「研究の継続の為に特許料は必要だ」とか言っていますが、それは寄付や、国際的な基金を作って解決したら良いと思うのですがね。

    このように医学をビジネスと考えてボロ儲けしたい人々が、
    貧しい人々の生血を吸い上げて太っている構図は気に入りません。
    • by cyber205 (4374) on 2004年01月25日 18時35分 (#480563) ホームページ 日記
      >特許料を支払えない国では、特許を無視して製造したりしています。

      無視していいというか、本当に必要とされるエイズ治療薬に関しては。
      特許を無視して製造していいってことにWTOあたりで決まった [worldtimes.co.jp]らしいです。
      この決議で、唯一反対の票を投じたのが米国だそうで。
      まぁ、国内に特許を押さえるメーカーがありますからね。

      ロシアあたりはWTOに加盟してないためこういう例外規定は受けられず、
      こっちは本当に大変だそうです。
      親コメント
  • by greentea (17971) on 2004年01月25日 13時01分 (#480329) 日記
    A型インフルエンザの治療に用いられている抗インフルエンザウイルス薬が、鳥インフルエンザにも効果があると言われており、厚生労働省は養鶏業者らに感染防御策として抗インフルエンザウイルス薬の服用を指示しています。

    とあるけど、
    予防投与により薬に耐性を持ったウイルスが・・・なんてことは無いのかな?

    #抗生物質じゃないから大丈夫なのかな?
    --
    1を聞いて0を知れ!
    • Re:予防投与 (スコア:2, 参考になる)

      by y_tambe (8218) on 2004年01月25日 13時44分 (#480355) ホームページ 日記
      >予防投与により薬に耐性を持ったウイルスが・・・なんてことは無いのかな?

      出てくる危険性は無視できませんが、今の場合、背に腹は代えられないというのが現状ですね。
      現在、日本で認可されてる抗インフルエンザ薬はアマンタジン、ザナミビル、オセロタミビル(これが最近主に使われているタミフル:商標名)の3種ですが、このうちアマンタジンについては、実際にこれまでに耐性ウイルスの出現が確認されてます。

      しかし、鳥インフルエンザは今、世界的流行を起こしており、日本もその発生地域になっているわけで。非常事態にあると言っていい状況なのです。特にトリ→ヒト感染での死亡例を伴う被害が報告されている以上、「高リスク者を対象にした」予防処置は必要です。ワクチンがない以上、薬剤に頼ってでも行うというのは間違っていない方針でしょう。
      もちろん「高リスク群」に限った処置であって、その範囲の選定に十分な配慮が必要だと思いますが。
      親コメント
      • by MIYU (17727) on 2004年01月25日 19時05分 (#480576)
        日本政府が、JICAを通じてベトナムに抗ウイルス薬を供与するようです。
        輸送費含めて2000万円分(10万錠)、製品名タミフル。
        現地のWHO職員などはすでに服用しているそうなので、 多分病鳥の処分などに関わる「高リスク群」の人達用なのでしょう。
        日本では、厚生労働省によって 抗インフルエンザ薬の国家備蓄が検討 [tbs.co.jp]されていますが、どの位必要なのでしょうか ?

        インフルエンザ対策でもっとも重要なのはワクチン接種ですが、 現在、世界全体で一シーズンに製造可能なインフルエンザワクチンは 2億3000万回(地球人口の約4%)分で、 大部分は現在の人感染型ウイルスの為に確保されてしまうそうです。新型の分の確保は ・・・・ 。
        また、変異能力の高いインフルエンザウイルスに対して、ワクチンが有効に働いているのかという疑問も投げかけられているようです。 (参考:Nature記事「Flu vaccine futile ?」 [nature.com])
        人感染型ウイルスの出現は時間の問題だと思いますが、正直怖いです。

           # 世界規模の危険に対応できるのは 国連 ?
               資金を出すのは日本 [kantei.go.jp]だという事であっても
        親コメント
        • インフルエンザワクチンの有効性については、もう一つ、出来る抗体のタイプの違いの問題も絡んできますね。

          インフルエンザはヒトでは気道粘膜から感染します。このため、もっとも効率よく「予防するため」には、気道の粘液中に中和抗体が存在することが重要です。粘液中では分泌型IgAというタイプの抗体が主に働くので、インフルエンザに対する分泌型IgAが誘導できるかどうかが大きいと言われています。

          しかし現在使われているワクチンは静脈注射によるもので、IgGやIgMが主として誘導される。このために予防ワクチンとしての効力があまり高くないのだ、と考えられてます。
          ただし現在のワクチンでも、予防の効果は低いとはいえ、かかったときに重症化を抑えるには有効だと考えられてますので、重症化したときのリスクが大きい高齢者などへの投与が推奨されているわけです。

          IgA抗体が出来るワクチンシステムの研究(経気道ワクチンなど)も進んでいることですし、早くより有効なワクチンが出来てくれれば、と思わずにはいられませんね。
          親コメント
    • Re:予防投与 (スコア:2, 興味深い)

      by ted21century (11877) on 2004年01月25日 15時07分 (#480420)
      WHOが絡んでいますので,公衆衛生で結核治療とHIV治療に使われているDOTS [who.int]による投薬ポリシーが有効でしょう。
      対象者に対して直接目の前で服用することを指示したり,定期的な経過観察を義務づけているポリシーです。
      途上国では薬そのものを与えてしまうとヤミ市場に流れたり,対象者が飲まなかったりという状況が生まれやすいための対策です。
      親コメント
    • Re:予防投与 (スコア:2, 興味深い)

      by YOUPohwa (17275) on 2004年01月25日 18時00分 (#480541) ホームページ 日記
      こういう「いたちごっこ」になる問題は、(他に画期的な解決策があればその方がいいけど)「実害のない範囲で平衡を保つ」ということが重要になります。

      そもそも、人間が感染症にかかるのも病原体の活動が実害の出る範囲にまで活発化してしまうのが原因で、抗ウイルス剤をはじめとする感染症治療薬の働きは、この「平衡点をめぐる綱引きへの加勢」ということになります(抗生剤の一部には病原体の細胞自体を破壊するものもあるけど)。

      /*
      免疫系が対策を終了させてしまえば、たいてい綱を大きく引き戻すことができますが、その前に死んでしまうこともありますし、HIVのように免疫系の機能を破壊してしまう病原体もあります。
      */

      また、病原体の増殖速度は雪だるま式に加速するもの(とは限らないけど原則的にはそう)なので、あまりに病原体の勢力が強くなると「今更加勢しても大勢は変えられない」という状況になります。

      /*
      一方、治療薬を投与した環境下で耐性種が発生する確率は、病原体の個体数の平方根に近似した値に比例するはずなので、ここでもやはり早期治療は有効です。
      */

      で、耐性種の問題もやはり「耐性種の発生速度と人間側の対応速度」から生じる平衡の問題で、人間が対応するまでのタイムラグ期間に最も大きな被害が発生することになります。

      この辺を踏まえたうえで、「耐性種が発生するから抗ウイルス剤の類いはダメ」ではなく、「耐性種の発生速度をできるだけ抑える」「耐性種への対応時間をできるだけ短縮する」といったポリシーのもとで、「できる限り有効活用する」のがポイントになります。

      /*
      いずれにせよ、病原体の進化過程(実は人間のも)に人工的なチャチャが入っていることは確かなので、それが望ましくないといえば望ましくないのですが、薬を使わなければ死んでしまうかもしれないという具体的な危険を無視できるほどことだとは考えにくいと思います。
      */
      --
      yp
      親コメント
    • Re:予防投与 (スコア:1, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2004年01月25日 17時46分 (#480532)
      確かO157騒ぎのときもどこかの半可通が"抗生物質投与すると毒素が一斉に放出されてかえって危ない"とか言ってましたよね。
      スゲーin vitroな発想で生きた腸壁はそんなもんじゃない。
      問題なのは正確な知識に基づいて適切な投薬指導ができない医者や薬剤師が大杉!ってことと、云っても聞かない患者大杉!ってこと!
      (自称ではなく)ちゃんとした専門家が適切に指導し、それが徹底していれば何の問題もないと思う。
      親コメント
  • 結局、特許制度が、この社会において、この両者を両立できなくなりつつあるということですよね。

    この頃の企業の不祥事やら宗教対立の激化、環境やエネルギーも併せて考えると、特許や著作権制度や、そのベースである資本主義システム自体、ガタが来はじめているのかなとも思います。
    • by G7 (3009) on 2004年01月25日 22時47分 (#480677)
      >資本主義システム自体、ガタが来はじめているのかな

      ガタというよりも、時代遅れになってるような気がします。
      それ自体がイカレたわけじゃないんだけど、時代のほうが先に行ってしまってる。

      技術の進歩とか、流通の容易性(知的財産において顕著ですね)とかが、
      一昔前とは飛躍的に違っているわけで。

      そういや20世紀は、物(に限らぬが)流が革命的に改善された時代でしたね。

      おかげで、流れの鈍さを前提とするビジネス(モデル)は、破綻するか、
      たまたま(笑)法律が守ってくれるならばその法律にしがみ付いて残存を図るか、
      どっちかになっていってるわけで。

      で、技術が人類を幸せにしてくれるであろう期待値に対し、
      幾つかのビジネスモデルがブレーキをかけてしまってる、と。
      それがブレーキ(より昔に戻そうとする方向)だからこそ、人々は怒ってるわけで。

      #宗教対立とかはまた別の問題だと思う。
      親コメント
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Stableって古いって意味だっけ? -- Debian初級

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