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H2A 6号機の打ち上げ失敗原因判明、設計からの総点検へ 18

ストーリー by Oliver
失敗とはそこから学ぶためにある 部門より

tamago915曰く、"読売新聞の記事によると、宇宙航空開発機構 (JAXA) は2月17日、昨年11月に打ち上げが失敗したH2A 6号機について、ノズルの内壁が燃焼ガスによって損傷したことによるものとの調査報告を公開しています。また、朝日新聞の記事によると、JAXA はこれを受け、2月18日に、品質・信頼性の向上の観点から、設計の基本にさかのぼった全体の総点検が必要との見解を報告しています。
ロケットの打ち上げは大きなリスクが伴い、失敗から学ぶことは絶対に必要です。そして、失敗を失敗のままで終わらせないためにも、今後は大きな成果を期待したいところです。報告書の新しい組織図ですが、各プロジェクとは独立した点検チームを配置し、点検チームごとに情報交換を行っていくことで、高い品質を保とうという姿勢が見られます。民間企業、とくにメーカーなどでは同様の組織を持っているところもあると思いますが、こういった情報交換、情報共有は機能するものなのでしょうか?"

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  • 監視の難しさ (スコア:5, 参考になる)

    by hokuto (16888) on 2004年02月21日 2時43分 (#500082) ホームページ
    シャトルの空中分解事故は、NASAの管理体制のほんの小さな綻びから生まれた事故です。

    NASAは当然ながら、プロジェクトを外部から監視するチームを設けていました。
    そしてそのチームは、空中分解の原因となった外壁の破損を事前に察知していました。

    しかし、その報告は予算や日程の都合などの理由によって、報告を受けた運用チーム側で握りつぶされてしまったそうです。
    そしてその報告は上層部に届くことなく、件の事故が起きてしまいました。

    これだけ聞くと運用チームが単純に悪いということになりそうですが、実際には運用チームはベストに近い仕事をしていました。
    限られた予算、迫る期日の中で最高の仕事をし続けるため、数多くの提言を無視せざるをえなかった。
    その中の一つが、不幸にもシャトルに致命的な損傷を与えていた……
    これはある種、不可避な事故でした。


    同じように、H2Aも事故の原因は事前に判明していた不具合でした。
    ノズルの削れを改善するための釣鐘型ノズルも開発が進んでいました。
    しかし、その完成を待たずに応急処置のみで飛ばした結果があれです。

    正直なところ、JAXAには既に「不具合を見つけるための監視体制」は整っていると言えます。
    足りなかったのは、「そこからの報告をプロジェクトに反映させる体制」です。

    いくら監視体制が充実しても、それが運用チームに伝えられても、予算を掌握する上層部にそれを報告するのが憚られるような、そんな組織では監視体制は何の意味も持ちません。
    「グダグダ言わずに従え。さもなくば予算を削るぞ。」といった高圧的な態度をとれるような仕組みが残る限り、この手の問題は解決しないでしょう。



    とはいえ、これを解決するのは至難の業、というか、まだこれを解決した組織は無いように思えます。
    JAXAにはあまり神経質になりすぎずに、とりあえず運用ノウハウの蓄積を頑張ってほしいと思っています。

    H2Aロケットの早期打ち上げ再開を、心から願っています。
    /* あと、予算増加も。 */
    • by tada (5086) on 2004年02月22日 19時34分 (#500875)
      何かもう、仰有るとおりで、付け加えるべき言葉が何もありません。

      このストーリー、論点は面白いのですが、サイエンスセクションでないのが悔やまれます。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      なんでも、イラク派兵に反対の(女子高生の)請願書が話題に上ったりなんかしているそうですが、
      こういう事こそ若い人が(肯定的な)請願書なりを持ってったら面白いんじゃないかなとか考えててしまいました。
      (つーかそのての話で否定的で無いのって寡聞にして知らんので。)

      つまり、「(若い)私たちにもっと夢を見させろやゴルァ」てな感じで。
      予算上げろでもいいし、天気がヤバイでもいいし。
      資源の乏しい日
  • 某弊社の場合 (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2004年02月21日 2時27分 (#500081)
     失敗から学ぶように、問題発生時の原因究明→対策→再発防止までは綺麗にまとまっているのですが、現場への反映が当該部署のみで他部署へは要約文の通知のみとなり、結局同様の問題があっちこっちで発生するしょ~もない事態になっています。
     しかも結構こまめに上記行程を実施する事がフォローされるので、現場がその手順自体に慣れてしまって形骸化しているのが笑えます。
    「あ~この失敗か。この用紙に、この事例を参考にして書いて、偉い人の説教を聞けば済むよ」
  • まずは人材 (スコア:2, 興味深い)

    by jizou (5538) on 2004年02月21日 1時13分 (#500066) 日記
    ロケットを作る技術の難易度が、どれくらいのものか想像はつかないのですが、
    中心になる技術や意志をもった人材がいない状態で、
    組織の組み替えだけやっても、問題は解決しないと思います。
    細分化するほど、情報交換もやりにくくなりますし。

    基本に戻るのはいいけれど、初期のテストは何をやっていたんだろう。

    早く打ち上げ再開して欲しいんだけどなぁ...
    • 元々H2Aが計画されたのは「H2ではコストが高いのでコストダウンを計る」と言うお題目があって積極的な部品の海外調達などをやって開発したのですから、

      開発にかけるコストも圧縮していてそのツケが回っただけなのでは?

      それを考えると、設計の根本から見直さないといけない事態は予想されたのでは?

      # 「安物買いの銭失い」と言う言葉が頭に浮かぶのはわたしだけでしょうか?

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      • by NFD (3178) on 2004年02月21日 2時06分 (#500078) ホームページ
         以前、テレビで放送されていた話なのですが(うろ覚えでニュースソースは覚えていません。申し訳ない)、ロケット発射以前の燃焼実験でノズル内壁の損傷が認められたものの、その原因が分からずじまいで、応急策として内壁の厚さを増すことで問題解決を図ろうとしたようです。その結果は「打ち上げ失敗」でした。

         問題の根本原因を突き止めずに、問題を完全につぶさないまま、結果的に適当にごまかしたことにより物づくりとして最悪な結果を残しました。このような高い性能と高い信頼性が必要なものにごまかしは一切利きません。

         「物づくり」の原点を見失った「心」、つまり、物づくりの原点を見失った人間が生み出した最悪の結果として大きな教訓を残しました。

        # 第一期ホンダ F-1 チームの本田宗一郎氏の「完全主義」と中村良夫氏とのぶつかり合いを今になって見たような気がします。
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        • Re:まずは人材 (スコア:4, 参考になる)

          by skimsr (9280) on 2004年02月21日 3時03分 (#500083) ホームページ 日記
          >ロケット発射以前の燃焼実験でノズル内壁の損傷が認められたものの、その原因が分からずじまいで、応急策として内壁の厚さを増すことで問題解決を図ろうとしたようです。その結果は「打ち上げ失敗」でした。

          今回の事故の原因となった固体燃料ロケットSRB-Aのノズルは,流体力学的に優れた特性をもつ釣鐘状のベル型ノズルではなく,製造の容易さと低コスト性を重視した直線状のコニカル・ノズルが採用されました。これはH-IIロケットでも採用され,H-IIではこのノズルによる事故はおきていません。H-IIAではこのノズルを小型化したため,より高圧化した内圧にノズルが耐えられなかった,というのが,内壁損傷の原因だそうです。

          旧NASDAも製造メーカもこの問題は認識しており,開発中の改良型「SRB-A2」では釣鐘状のノズルを採用しています。SRB-Aでは内壁を補強する事で対応しましたが,それはH-IIAロケットの開発スケジュール・予算・リスクをバランスさせた結果でしょう。今回はこの判断が裏目に出た結果となりました。

          # ソースは松浦晋也著「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」 [bk1.jp]

          つまり,(上で挙げたソースを信じるなら),原因は分かっていたが,判断を誤った(甘かった)という事でしょう。しかしその判断は多様な評価軸によるものであり,単に「物づくりの原点を見失った」から為された訳では無いと思います。
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          • Re:まずは人材 (スコア:3, 参考になる)

            by skimsr (9280) on 2004年02月21日 4時12分 (#500095) ホームページ 日記
            自己レスれす。

            >H-IIAではこのノズルを小型化したため,より高圧化した内圧にノズルが耐えられなかった,というのが,内壁損傷の原因だそうです。

            これはSRB-A開発時の話です。正確には,開発時の試験において想定以上の内壁損傷・剥離が確認され,その原因はノズルの小型化による高圧化であった,という事です。これに内壁を補強する事で対処しました。

            JAXAの報告書 [www.jaxa.jp]を読むと,打ち上げ時にはノズル内壁の損傷は起きるもので,今回はそれが許容範囲を超えた。その原因として:

            • H-IIA 6号機のノズル内壁(CFRP)は,他号機のCFRPに比べて,ある特定の条件下(層間剥離が発生しやすい条件)で層間剥離が起きやすいという傾向がみられた。
            • 層間剥離の影響によりCFRPの剥離・脱落が助長された可能性がある。この脱落により,内壁の表面後退量が急激に増加した(ノズル内壁が急激に削り取られた)事が考えられる。

            表面後退量を増大させる原因は複数存在するようなので,今回の場合,「CFRPの層間剥離の起きやすさ」の影響で,ノズル内壁の表面後退量の増大が想定値を超えてしまった(という可能性がある),という事でしょうか。
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            • by Anonymous Coward on 2004年02月21日 10時57分 (#500173)
              それ以上にアレなのは、製造時において行う品質チェックでは全く問題が出なかったコトです。当然ですが製造前、製造後に行われるX線撮影による検査も超音波による検査もパスしています。

              それなのに派生する事があるというコトは振動燃焼(0はあり得ない)の発生によって発生するノズル側に掛かる各種外力ぎ(熱・圧・流速)の揺らぎが当初想定していた設計値以上に大きいと推測するしかないため、構造重量に大きく寄与しないと考えられる断熱材を増やす事で対処したと。

              この考え方は決して間違ってはいないと考えますよ。
              ただし万全では無かったというところでしょう。

              やっぱりAC。
              親コメント
        • Re:まずは人材 (スコア:3, 参考になる)

          by OddEye (18936) on 2004年02月21日 3時16分 (#500087)
          > 問題の根本原因を突き止めずに、問題を完全につぶさないまま、
          >結果的に適当にごまかしたことにより物づくりとして最悪な結果を
          >残しました。このような高い性能と高い信頼性が必要なものにごま
          >かしは一切利きません。

          どんなに信頼性の要求されるものでも、この規模になると妥協一切
          なしではプロジェクトが進まなくなってしまうでしょう。
          実際、ある程度順調にいっているシステムでも、いくらか妥協は
          あるはずです。システム管理者の方や、SEの方は実感できるかと
          思います。ポイントは、妥協したらしたで、それによるリスクが許容
          できるかどうか、定量的に数字を出して判断することです。
          今回のトラブルは、またすぐに再発するだろうとかで、看過できない、
          といったところでしょうか。

          #泥くさい運用で弱点をカバー、というのはよくあること。
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    • by Anonymous Coward
      つか、実際のところはテストのやり過ぎで部品が疲弊した訳だが…。
  • by Anonymous Coward on 2004年02月22日 6時31分 (#500638)
    こうも簡単に原因がわかってしまうのはなぜでしょう? 肝心のモノは未だ深海でよこたわっていますよね? 「もしかしたら」なんて部分をのこしたまま大金税金つかってつくったものをのせるなんて気が知れない、組織解体したらいいんじゃないでしょうか。
    • >こうも簡単に原因がわかってしまうのはなぜでしょう? 肝心のモノは未だ深海でよこたわっていますよね?

      『簡単に』原因が分かったのかどうかはともかく:

      • テレメタリデータによる原因の推定
      • 推定された原因に基づく各種試験を実施
      • 製造時にとっておいたノズル内壁のサンプルを調査・試験

      等々の結果,ある程度信頼できる原因が推定できた,という事だと思います。

      現物を深海から引き揚げて観察する事で,H-IIA 6号機に実際に何が起きたか(特に,固体燃料ロケットSRB-Aのノズル内壁がどう損傷しているのか)について知る事ができ,推定された原因の信頼度を上げる事ができるでしょう。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2004年02月22日 12時12分 (#500723)
    もっと利益優先の事業体にした方が結局は成功率が上がると
    思う。失敗すれば損失は膨大ですから。
    • こういう話が出てくると利益利益とおっしゃる方が毎度いらっしゃいますが
      宇宙開発自体がまだ技術開発や科学研究の側面が強い事業であることから考えると
      ある程度利益率は無視しないと成立しません。

      仮に利益最優先の事業体が宇宙開発を実施するならば
      1)失敗に備えて充分な保険をかける
      のが妥当ですが、これはよく考えたら現状でも可能なはずの選択肢で、それができないのは
      1a)予算の使途が限定されており保険に回せない
      1b)そもそも保険にまわすだけの予算がない
      のですから利益が云々という側面ではなく予算規模と予算の出所(による縛り)に問題があるわけです。

      次に有効な手段は
      2)リスクの低いミッションのみを実施する
      つまり、実績が豊富で枯れた技術だけで可能なミッションを受注しするという方向性です。
      しかしロケット打ち上げ自体がハイリスクミッションですから
      2a)ロケットを打ち上げない
      というのがこの方向性の究極の解となるでしょう
      なるほど一発成功したらそれ以降一切打ち上げなければ「成功率」は100%を維持できるでしょうが
      そんな数字に何の価値があるでしょう?

      すなわち、「どこかから縛りの少ない予算を大量に獲得する」か「規模を大幅に縮小する」のいずれかが伴わなければ
      利益主導の企業体にしたところでたいした効果はないということです。

      利益率だの見かけ上の成功率だのを最優先にするというのはそういうことです。
      真にJAXAに求められるのはそのどちらでもないと思うのですが、いかがでしょう。
      親コメント
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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