H2A 6号機の打ち上げ失敗原因判明、設計からの総点検へ 18
ストーリー by Oliver
失敗とはそこから学ぶためにある 部門より
失敗とはそこから学ぶためにある 部門より
tamago915曰く、"読売新聞の記事によると、宇宙航空開発機構 (JAXA) は2月17日、昨年11月に打ち上げが失敗したH2A 6号機について、ノズルの内壁が燃焼ガスによって損傷したことによるものとの調査報告を公開しています。また、朝日新聞の記事によると、JAXA はこれを受け、2月18日に、品質・信頼性の向上の観点から、設計の基本にさかのぼった全体の総点検が必要との見解を報告しています。
ロケットの打ち上げは大きなリスクが伴い、失敗から学ぶことは絶対に必要です。そして、失敗を失敗のままで終わらせないためにも、今後は大きな成果を期待したいところです。報告書の新しい組織図ですが、各プロジェクとは独立した点検チームを配置し、点検チームごとに情報交換を行っていくことで、高い品質を保とうという姿勢が見られます。民間企業、とくにメーカーなどでは同様の組織を持っているところもあると思いますが、こういった情報交換、情報共有は機能するものなのでしょうか?"
監視の難しさ (スコア:5, 参考になる)
NASAは当然ながら、プロジェクトを外部から監視するチームを設けていました。
そしてそのチームは、空中分解の原因となった外壁の破損を事前に察知していました。
しかし、その報告は予算や日程の都合などの理由によって、報告を受けた運用チーム側で握りつぶされてしまったそうです。
そしてその報告は上層部に届くことなく、件の事故が起きてしまいました。
これだけ聞くと運用チームが単純に悪いということになりそうですが、実際には運用チームはベストに近い仕事をしていました。
限られた予算、迫る期日の中で最高の仕事をし続けるため、数多くの提言を無視せざるをえなかった。
その中の一つが、不幸にもシャトルに致命的な損傷を与えていた……
これはある種、不可避な事故でした。
同じように、H2Aも事故の原因は事前に判明していた不具合でした。
ノズルの削れを改善するための釣鐘型ノズルも開発が進んでいました。
しかし、その完成を待たずに応急処置のみで飛ばした結果があれです。
正直なところ、JAXAには既に「不具合を見つけるための監視体制」は整っていると言えます。
足りなかったのは、「そこからの報告をプロジェクトに反映させる体制」です。
いくら監視体制が充実しても、それが運用チームに伝えられても、予算を掌握する上層部にそれを報告するのが憚られるような、そんな組織では監視体制は何の意味も持ちません。
「グダグダ言わずに従え。さもなくば予算を削るぞ。」といった高圧的な態度をとれるような仕組みが残る限り、この手の問題は解決しないでしょう。
とはいえ、これを解決するのは至難の業、というか、まだこれを解決した組織は無いように思えます。
JAXAにはあまり神経質になりすぎずに、とりあえず運用ノウハウの蓄積を頑張ってほしいと思っています。
H2Aロケットの早期打ち上げ再開を、心から願っています。
/* あと、予算増加も。 */
Re:監視の難しさ (スコア:1)
このストーリー、論点は面白いのですが、サイエンスセクションでないのが悔やまれます。
Re:監視の難しさ (スコア:0)
こういう事こそ若い人が(肯定的な)請願書なりを持ってったら面白いんじゃないかなとか考えててしまいました。
(つーかそのての話で否定的で無いのって寡聞にして知らんので。)
つまり、「(若い)私たちにもっと夢を見させろやゴルァ」てな感じで。
予算上げろでもいいし、天気がヤバイでもいいし。
資源の乏しい日
Re:監視の難しさ (スコア:0)
南日本新聞(鹿児島の新聞)なんかにはちゃんと記事になって載ってるんですけど…。総じてこっちではロケットが「壮大な無駄遣い」だと思ってる人は少ないんじゃないかな。
全国紙(たとえば朝日と読売、毎日は取ってな
Re:監視の難しさ (スコア:0)
男女共同参画の予算9兆9千億円 [mainichi.co.jp]
にくらべたらJAXA [www.jaxa.jp]なんて雀の涙。
上記二つに比べたら誤差の範囲。
仮に
某弊社の場合 (スコア:3, 参考になる)
しかも結構こまめに上記行程を実施する事がフォローされるので、現場がその手順自体に慣れてしまって形骸化しているのが笑えます。
「あ~この失敗か。この用紙に、この事例を参考にして書いて、偉い人の説教を聞けば済むよ」
まずは人材 (スコア:2, 興味深い)
中心になる技術や意志をもった人材がいない状態で、
組織の組み替えだけやっても、問題は解決しないと思います。
細分化するほど、情報交換もやりにくくなりますし。
基本に戻るのはいいけれど、初期のテストは何をやっていたんだろう。
早く打ち上げ再開して欲しいんだけどなぁ...
Re:まずは人材 (スコア:1)
開発にかけるコストも圧縮していてそのツケが回っただけなのでは?
それを考えると、設計の根本から見直さないといけない事態は予想されたのでは?
# 「安物買いの銭失い」と言う言葉が頭に浮かぶのはわたしだけでしょうか?
Re:まずは人材 (スコア:1)
問題の根本原因を突き止めずに、問題を完全につぶさないまま、結果的に適当にごまかしたことにより物づくりとして最悪な結果を残しました。このような高い性能と高い信頼性が必要なものにごまかしは一切利きません。
「物づくり」の原点を見失った「心」、つまり、物づくりの原点を見失った人間が生み出した最悪の結果として大きな教訓を残しました。
# 第一期ホンダ F-1 チームの本田宗一郎氏の「完全主義」と中村良夫氏とのぶつかり合いを今になって見たような気がします。
Re:まずは人材 (スコア:4, 参考になる)
今回の事故の原因となった固体燃料ロケットSRB-Aのノズルは,流体力学的に優れた特性をもつ釣鐘状のベル型ノズルではなく,製造の容易さと低コスト性を重視した直線状のコニカル・ノズルが採用されました。これはH-IIロケットでも採用され,H-IIではこのノズルによる事故はおきていません。H-IIAではこのノズルを小型化したため,より高圧化した内圧にノズルが耐えられなかった,というのが,内壁損傷の原因だそうです。
旧NASDAも製造メーカもこの問題は認識しており,開発中の改良型「SRB-A2」では釣鐘状のノズルを採用しています。SRB-Aでは内壁を補強する事で対応しましたが,それはH-IIAロケットの開発スケジュール・予算・リスクをバランスさせた結果でしょう。今回はこの判断が裏目に出た結果となりました。
# ソースは松浦晋也著「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」 [bk1.jp]
つまり,(上で挙げたソースを信じるなら),原因は分かっていたが,判断を誤った(甘かった)という事でしょう。しかしその判断は多様な評価軸によるものであり,単に「物づくりの原点を見失った」から為された訳では無いと思います。
Re:まずは人材 (スコア:3, 参考になる)
>H-IIAではこのノズルを小型化したため,より高圧化した内圧にノズルが耐えられなかった,というのが,内壁損傷の原因だそうです。
これはSRB-A開発時の話です。正確には,開発時の試験において想定以上の内壁損傷・剥離が確認され,その原因はノズルの小型化による高圧化であった,という事です。これに内壁を補強する事で対処しました。
JAXAの報告書 [www.jaxa.jp]を読むと,打ち上げ時にはノズル内壁の損傷は起きるもので,今回はそれが許容範囲を超えた。その原因として:
表面後退量を増大させる原因は複数存在するようなので,今回の場合,「CFRPの層間剥離の起きやすさ」の影響で,ノズル内壁の表面後退量の増大が想定値を超えてしまった(という可能性がある),という事でしょうか。
人材に尽きると思うけど… (スコア:1, 参考になる)
それなのに派生する事があるというコトは振動燃焼(0はあり得ない)の発生によって発生するノズル側に掛かる各種外力ぎ(熱・圧・流速)の揺らぎが当初想定していた設計値以上に大きいと推測するしかないため、構造重量に大きく寄与しないと考えられる断熱材を増やす事で対処したと。
この考え方は決して間違ってはいないと考えますよ。
ただし万全では無かったというところでしょう。
やっぱりAC。
Re:まずは人材 (スコア:3, 参考になる)
>結果的に適当にごまかしたことにより物づくりとして最悪な結果を
>残しました。このような高い性能と高い信頼性が必要なものにごま
>かしは一切利きません。
どんなに信頼性の要求されるものでも、この規模になると妥協一切
なしではプロジェクトが進まなくなってしまうでしょう。
実際、ある程度順調にいっているシステムでも、いくらか妥協は
あるはずです。システム管理者の方や、SEの方は実感できるかと
思います。ポイントは、妥協したらしたで、それによるリスクが許容
できるかどうか、定量的に数字を出して判断することです。
今回のトラブルは、またすぐに再発するだろうとかで、看過できない、
といったところでしょうか。
#泥くさい運用で弱点をカバー、というのはよくあること。
Re:まずは人材 (スコア:0)
ところで。。 (スコア:0)
Re:ところで。。 (スコア:1)
『簡単に』原因が分かったのかどうかはともかく:
等々の結果,ある程度信頼できる原因が推定できた,という事だと思います。
現物を深海から引き揚げて観察する事で,H-IIA 6号機に実際に何が起きたか(特に,固体燃料ロケットSRB-Aのノズル内壁がどう損傷しているのか)について知る事ができ,推定された原因の信頼度を上げる事ができるでしょう。
利益をあげられる体質が必要だ。 (スコア:0)
思う。失敗すれば損失は膨大ですから。
Re:利益をあげられる体質が必要だ。 (スコア:1)
宇宙開発自体がまだ技術開発や科学研究の側面が強い事業であることから考えると
ある程度利益率は無視しないと成立しません。
仮に利益最優先の事業体が宇宙開発を実施するならば
1)失敗に備えて充分な保険をかける
のが妥当ですが、これはよく考えたら現状でも可能なはずの選択肢で、それができないのは
1a)予算の使途が限定されており保険に回せない
1b)そもそも保険にまわすだけの予算がない
のですから利益が云々という側面ではなく予算規模と予算の出所(による縛り)に問題があるわけです。
次に有効な手段は
2)リスクの低いミッションのみを実施する
つまり、実績が豊富で枯れた技術だけで可能なミッションを受注しするという方向性です。
しかしロケット打ち上げ自体がハイリスクミッションですから
2a)ロケットを打ち上げない
というのがこの方向性の究極の解となるでしょう
なるほど一発成功したらそれ以降一切打ち上げなければ「成功率」は100%を維持できるでしょうが
そんな数字に何の価値があるでしょう?
すなわち、「どこかから縛りの少ない予算を大量に獲得する」か「規模を大幅に縮小する」のいずれかが伴わなければ
利益主導の企業体にしたところでたいした効果はないということです。
利益率だの見かけ上の成功率だのを最優先にするというのはそういうことです。
真にJAXAに求められるのはそのどちらでもないと思うのですが、いかがでしょう。