心臓の幹細胞を心筋に分化 2
ストーリー by Acanthopanax
再生心筋 部門より
再生心筋 部門より
KAMUI 曰く、 "千葉大学の小室一成教授(循環病態医科学)らの研究グループが,これまでは再生しないと言われて来た「心臓」から幹細胞を取り出して,心臓の拍動を行う「心筋細胞」にまで分化させる事に成功したのを京都新聞の記事が報じている。
心臓の細胞の中に「Sca1」という幹細胞に特徴的なタンパク質を持つものがある事に着目。マウスの心臓を酵素でバラした上でこの細胞だけを取り出し,ホルモンの一種であるオキシトシンを掛けて培養した所,四週間後には自律的に拍動する細胞が現れたのを確認。心筋に特有なタンパク質を持つ事も確認出来た所から心筋細胞に分化したと考えられるという。
将来的には「心筋梗塞などで傷んだ心臓の治療」に役立つのではと期待されている……との事だがまだ先は長そうだ(^-^;"
アメリカでの話ですが (スコア:2, 参考になる)
Anversa教授らは、女性から心臓移植を受けた8人の男性の心臓を検証し、Y染色体(雄性細胞)を持つ細胞が女性の心臓内で増殖して筋肉細胞と血管に分化していることを見つけだし、その後の研究で、人間の心臓の中にも心臓の損傷を修復できる(だろうと思われる)幹細胞が有る事を確認したそうです。
2003年10月17日のWeb記事 [genomenewsnetwork.org]では、近いうちにFDA(米国食品医薬品局)に人間の心臓にI臨床試験を行う為の申請が行なわれる予定だ、と書かれていますが、「次のステップは心臓の組織を再生成するこれらの細胞を動員する方法を決定することだ」というAnversa教授の発言も掲載されています。
心臓治療の幹細胞臨床試験では、骨髄、血液、脂肪などからの幹細胞が使われていますが、それが新しい心臓筋肉を生成するのか、新しい血管の成長を促進するのか、それとも他の作用をするのか、その制御が出来ていないので発癌の危険性なども考慮しなければならない [srad.jp]そうです。 Bone marrow stem cells help mend broken hearts [nature.com]、 。 [mypress.jp]という一番最近のWebNatureの関連記事では、心不全の患者に対する自己骨髄幹細胞による治療が効果が有ったという事が報じられていましたが、やはり幹細胞がどう働いたのか解明されてはいないようです。
今回の研究のように心筋細胞に確実に分化させる事が出来ると安全性は高まるわけなのでしょうが、人間の細胞でも機序は同じなのでしょうか?
発癌の危険性について (スコア:1)
http://srad.jp/comments.pl?sid=177782&cid=541446
幹細胞と癌細胞 y_tambe氏のコメント:2004年05月04日(#541446)
確かに細胞の分化と増殖は相補的というか、一般的に分化した(特定の役割に就いた)細胞は増殖しにくく、未分化な細胞はよく増殖するという傾向があります。幹細胞はこれから分化する、未分化な細胞であり増殖能は一般的に高い方だと言えるでしょう。
癌細胞については、必ずしも幹細胞から出現しているというわけではなく、何らかの原因(紫外線や薬剤など)によって細胞の増殖や成長を制御するを遺伝子群に異常を来した細胞に由来すると考えられています。つまり、幹細胞の増殖能とは関係なく、分化した細胞本来が持っていた(分化する前には持っていたが分化の過程で抑えつけた)増殖能の、ブレーキが外れてしまった状態なのだと。そのような異常細胞が最終的に(1)増殖能の亢進、(2)細胞老化(senescence)の回避による細胞の不死化、(3)アポトーシス(異常細胞除去のための細胞自殺)の回避、のステップをすべてクリアして癌化に至るのだと考えられています。
幹細胞移植で発癌の危険性につながる腫瘍形成が見られるということには複数の報告があります。今後、いろいろな基礎実験から実際のリスクがどの程度なのかが明らかになっていくでしょう。 なお、その分子機構の解明も進みつつあり、例えばES細胞においてはE-Ras [naist.jp]と呼ばれる、Rasファミリーに属する癌遺伝子の発現が見られ、この遺伝子発現を抑制することでテラトーマ(良性の畸形腫)の発生を抑制することができたという報告があります。このような技術と組み合わせることで、将来的にはより安全な方法が確立されると思われます。
#リンクミスしたばかりなので、全文再掲