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磁石にくっつく液体を発見 94

ストーリー by Acanthopanax
磁石の方に流れる 部門より

keis 曰く、 "時事通信社の有料ニュースによると、東京大学大学院理学系研究科の浜口宏夫教授らが磁石にくっつく液体を発見した(写真)。
これまでも金属イオン水溶液などの磁性流体はあったが、この物質は常温で液体であり化学的に極めて安定しているのが特徴。磁性イオン液体と名付けられたこの「塩化鉄(III)酸1ブチル3メチル・イミダゾリウム」、院生の林賢さんがイオン液体の融点が低い理由を調べる実験過程で合成し、その特異な性質に気付いたという。その原理を応用すれば医療・工学など多くの分野で活用できると予想されるが、浜口教授は「誰でも簡単に合成できる。特許を申請しなかったので、幅広く応用してもらいたい」と話しているそうだ。
ちなみに読売新聞の記事によると、最初から磁石に引かれる性質を想定してイオン液体を合成したとされている。"

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  • 微妙 (スコア:4, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年11月09日 23時56分 (#650253) 日記
    いや,これ,9月の分子構造で聞いてたんですが,ちょっと微妙.
    結局,S=5/2のFeCl_4^-を陰イオンとするイオン性液体で,そのスピンが
    磁場に引かれて溶液全体が動く・・・のですが.

    なにせその力が弱い.
    これは鉄のスピンが小さいのが原因で,S=5/2はたとえ1Tの磁場をかけたと
    してもそのエネルギーは約5K.室温の300Kに比べていかに弱いことか.
    そんなわけで磁石によってかかる引力はほとんどありません.
    報道の写真で液体が磁石にくっついているのは,他の非磁性液体と組み合わ
    せることで,かかっているのが弱い引力でも,もう一方の溶液には何の力も
    加わらないことから,その差が拡大されて見えているだけです.
    #某モーゼ効果の実演に使ってるのと似たような手法です.
    このイオン性液体だけでは例えば通常の磁性流体のように磁石にくっついて
    はなれない,などというほどの引力はありません.

    通常磁石というと個々のスピンは小さくとも,スピン間の強い強磁性相互作用
    でスピンが固く結びつくことで実効的に大きなスピン(=磁場に対し強く応答)
    となっているわけですが,この系ではスピン間にはほとんど相互作用はあり
    ませんから,磁気応答はどうやっても大きくなりません.
    ですのでこのままではちょっと使えないかと.
    #まあ,発表している浜口研の方々もその辺は重々承知しているわけですが.
    #なのであの報道はまあちょっと・・・(苦笑)

    もっと高スピンの複核錯体でもつかえればまだ・・・でもそうすると融点
    高くて液体にならんのですよねえ.
    • by simon (1336) on 2004年11月10日 11時15分 (#650467)
      >なにせその力が弱い.

      残念、こういうこと [uec.ac.jp]して遊ぼう [impress.co.jp]と思ってたのに・・・
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2004年11月09日 23時52分 (#650249)
    NHKのニュースでもやっていましたが、酸素がマイナス180度で、磁石にくっつくと言う方が、衝撃でした。
    • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年11月10日 0時00分 (#650259) 日記
      物理,化学系の人だと結構知ってます.
      O_2は縮退した2つの反結合性軌道に電子が一つずつ入る(かつ3重項状態が
      安定となる)ので,S=1のスピンを持った分子となります.
      とはいえ,液窒とか汲んでると液酸が雫としてぽたぽた落ちてくるのですが,
      そこに磁石を近づけて軌跡が曲がるのを初めて見たときには(わかっていても)
      やっぱり感動しますが.
      親コメント
      • 化学苦手な人なんで↑の phason さんの説明は全然判らないんですが
        なんか SF な感じの sense of wonder な感じがいいですね。

        #きっと判ったら楽しいんだろうなぁ。
        親コメント
        • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年11月10日 0時26分 (#650275) 日記
          蛇足のような気もしますが,まあ磁石の基礎理論にも近いんで簡単に説明させて
          いただこうかなあなんて.
          注:以下の説明では結構いろいろ端折ってます.また,酸素原子固有の性質
          ではなく,酸素分子中の酸素原子の性質を使っている場合もあります.
          簡略化のため,一部不正確な表現もあります.

          酸素原子には,原子と原子の結合に使える軌道が3本あり,結合に使える電子
          が4個います.
          その軌道とは,px,py,pzで,それぞれ直行する3方向を向いています.
          #以下,2個の酸素原子を結ぶ軸をz軸に取ります.
          http://ja.wikipedia.org/wiki/P%E8%BB%8C%E9%81%93
          ここで軌道というのは,電子を入れておける箱,というか状態で,一つの軌道
          には電子が2個まで入れます.電子は小さな磁石のようなもので,必ず上(↑)
          か下(↓)のどちらかを向いています.同じ軌道に2個電子が入る場合は,
          必ず上と下がペアになって(↑↓)入らないといけません.

          さて,酸素分子では酸素原子が2個ありますから,それぞれの軌道を使って
          結合を作ります.
          二つのpz(二個の酸素分子を直接結んでいる軌道)からは,軌道の重なりが
          大きいのでエネルギーの凄く低い軌道(σ)と凄く高い軌道(σ*)が,同様に
          酸素原子を結ぶ軸に直行しているpx同士(お互いちょっとしか重ならない)
          からはエネルギーのちょっと低い軌道(π)とちょっと高い軌道(π*),同様に
          py2個からもπとπ*が出来ます.

          酸素分子の電子8個はエネルギーの低いところから詰まっていこうとします
          から,まずσが↑と↓で埋められます.次にエネルギーが低いのは二つある
          π(πxとπy)で,それぞれ↑↓,↑↓で埋まります.これら3つの軌道は,いわば
          電子のもつ磁石が逆向きに全部入っているので,磁性には一切関与しません.

          残る電子は2つ.ここで次にエネルギーの低いのはπx*とπy*です.
          片方の軌道に電子二個詰めると,電子間の反発でエネルギーが高くなって
          しまいます.
          やっぱり同じ電荷をもつ反発するもの同士は遠くに置こう,ということで
          πx*に↑,πy*に↑が入った状態が酸素分子です.
          #省略しますが,異なる軌道に入っている電子はスピンの向きをそろえた方が
          #エネルギーが低くなります.

          トータルでは,酸素の電子状態は
          σ(↑↓)πz(↑↓)πx(↑↓)πy(↑↓)πx*(↑)πy*(↑),
          磁性だけ見れば↑↑,と,電子2個分の磁性をもちます.

          これがわかればNO(酸化窒素)やN2(窒素)の磁性も楽々.
          NはOより電子が1つ少ないですから,NOの電子は
          σ(↑↓)πz(↑↓)πx(↑↓)πy(↑↓)πx*(↑)
          だから電子1つ分の磁性を持ちます.N2はさらにもう一個減らして
          σ(↑↓)πz(↑↓)πx(↑↓)πy(↑↓)
          で磁性は無いわけです.
          親コメント
          • by RX-178 (2626) on 2004年11月10日 9時17分 (#650400)
            言いたいことは分かりましたが、
            言ってることは分かりませんでした。

            地球上の酸素がなくならないのは地磁気にくっつけられてるため
            新しい仮説だな
            親コメント
            • by Anonymous Coward on 2004年11月10日 9時39分 (#650409)
              素人にそれっぽく説明しようとしたのでわかりにくくなってしまった

              パターンですな、元スレ。磁性の元がなんであるか説明されてない。

              以下、ぶっちゃけすぎなので結構てきとーですが、

              関係者はご了承下さい。

              1) 電子っていうのは、"スピン"っていう性質を持ってます

                    とりあえず電子が自転しているとういイメージでよいです。

              2) 電子がくるくる回るので、電磁石のように磁性を持ちます。

                    "くるくる回る"というのは、電子の自転と電子の公転(軌道)二つあります。

              3) 電子のスピンは ↑(up-spin) と ↓(don-spin) と二つあります

                    まぁ、磁石の N極とS極程度に思ってくれればよいです

              4) 物質には電子が必ずあります。

                    つまり、本質的にはあらゆる物質には磁石になる性質を内包しています

              5) ↑(up-spin) と ↓(don-spin) の総和がどうなっているかで、磁石になるか

                    ならないか、強い磁石か弱い磁石か決まります。

              6) スピンの配列の仕方は、その物質内でエネルギーが低い(安定)になるように

                    並びます。

              7) 物質内で、スピンがすべて揃った状態が、強磁性状態です。

                    バラバラなのが、常磁性状態です。

                    でも、常磁性状態でも磁性に寄与するスピンはありますので

                    磁場を加えたり、冷やしたりするとスピンが揃って磁性を持ちます。

                    磁性に寄与するスピンというか電子がない場合は、磁場をかけても

                    冷やしても、普通、磁性を持つことはないです。

              # なんか、話が混ざってしまってというか飛んでしまってかなり、

              # おかしい説明だけど、スピンっていう性質と磁性っていう部分

              # が物理や化学の人じゃないとまったくわからないとおもうので。

              # こういう話も、だれかがしないとまずいんじゃないかと。

              つうか、あんたはわかっているだろう(笑)>親スレ
              親コメント
              • by rizel (19817) on 2004年11月12日 15時17分 (#651484)
                なかなか良い説明だとは思うんですが、もっといい加減にしてみるテスト。
                物質中の原子を取り巻く電子に注目します。

                1)電子はそれぞれ男か女である。(かつ性転換可能(ぉ)

                2)基本的に2こで男女ペアとなりペア席に入るのですが、要領が悪くて男同士、女同士になってしまうと、ペア席に入れずあぶれます。
                要領の良し悪しは物質によります。(ここが特性)
                共学の高校の理系クラスで男子が多くて、文系で女子が多いようなものです。

                3)あぶれたものがみんな男or女だったら磁石。磁石以外なら、あぶれたものは相手を見つけるために男になったり女になったりふらふらします。
                同じ例だと文系は女子が多いから文系にみんなで行ったら逆に男子が増えすぎて意味ないジャンといって戻ってきたりとかそういう感じ?(笑)

                4)外から女(男)が寄ってきたときに異性になって一斉に群がれば常磁性体(磁石にくっつく)。
                逆に同姓になって反発すれば反磁性体(磁石から離れる)。
                磁性体でない場合は外から来たやつには無関心です。

                5)外から来た女(男)が去っても未練たらしくそのままだと強磁性体。

                で、ここまでを置いておいて。

                酸素の場合は2)のところであぶれが出ていて、4)で異性になって群がるパターンになります。

                #余計わかんねー(笑)
                親コメント
    • by rizel (19817) on 2004年11月12日 15時06分 (#651482)
      大学の講義で液体酸素を入れた容器を吊り下げて、磁石を近づけると引き寄せられる、というのをやったという話がありますね。

      割と有名。
      親コメント
  • 詳しい説明 (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2004年11月10日 16時08分 (#650621)
    東大理学部のプレスリリース [u-tokyo.ac.jp]です。
    連続写真や用語解説などもあるので、よかったらどうぞ。

    # モロに関係者なので AC。
  • by auge (19016) on 2004年11月09日 23時31分 (#650235)
    正直言って良かったのかどうかは不明ですけれど
    日本人としてその気持ちが嬉しいです。
    • by Anonymous Coward on 2004年11月10日 12時09分 (#650494)
      特許を申請しないというのは古く,かつ非合理な考え方です.
      税金で賄われている国立大なのだから特許を取得すべきです.

      たとえ発明者の判断で無償公開するとしても特許は取得すべきです.
      そうしなければ基本技術は無償でも,周辺特許を押さえられてしまって結局は特定の企業の食い物にされてしまう恐れがあります. それを避けるためには特許を取った上で,ライセンスを受けた会社が保有する周辺特許も無償公開させるという条件をつけて無償供与するべきでしょう. 

      特許を取らなければ,それだけで誰にでも自分の発明した技術を使ってもらえるし,それで(税金を使っている)研究者の役割を果たしたと考えるのはもはや間違いだと思います.
      親コメント
  • by dash0225 (21674) on 2004年11月09日 23時37分 (#650240)
    液晶の代りに使えないですかね?
    使えるとしても、磁石を近付けたらいけないという 使いづらさが再来するだけか?
    • Re:液晶の代り (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2004年11月09日 23時46分 (#650244)
      >液晶の代りに使えないですかね

      意味がない気がする。
      液晶は電極さえ作れば制御できるけど
      磁性体ならコイルを作らないと動かせない。
      微小電極以下のコイルの方が難しいし
      そもそも隣の画素に影響が出てしまう。
      何か違った事とに使った方が無難と思ったのでAC

      #スライムに混ぜるんだ。その方が遊べる。
      #まちがいない
      親コメント
    • by yohata (11299) on 2004年11月09日 23時49分 (#650245)
      CRT使っているようなもんだと思えば、たいして問題ないんじゃないかと。
      親コメント
    • 磁力が非常に弱いんで無理です.
      無理でなくとも,普通の磁性流体使った方が何ぼましかと.
      #一般的(物理的)には磁石と呼ばない物質ですので.

      通常の磁石に比べて,引力は数桁落ちます.この液体に磁石を近づけても,
      自重を支えることすら出来ないと思います.
      親コメント
      • by junnohta (10945) on 2004年11月10日 0時56分 (#650296)
        > この液体に磁石を近づけても,
        > 自重を支えることすら出来ないと思います.

        タレコミのリンク先の写真を見ると磁石を近づけたときに
        液面が傾いているようですが...。
        その程度では「自重を支える」とはいえないということ?
        親コメント
        • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年11月10日 1時21分 (#650309) 日記
          これはあくまでも他の(混ざらない)液体と組み合わせているためです.
          例えば比重のほぼ同じな二種類の液体A,Bがあったとしましょう.
          Bの方だけが磁石に弱いながらもつく場合,磁石でBをAの上に浮かせること
          も,逆に沈めることも出来ます.でもこれ,実際にはほとんど力がかかって
          ないんですよね.結局はAとBの拮抗しているバランスをほんのちょっとの力で
          傾けただけ.

          写真に載っているものも,比重が結構近くなるような組み合わせでやっています.
          #いや,何せ現地で見せてもらったんで.

          ですから,このイオン性液体だけを瓶に入れ磁石を近づけても,壁面を
          磁力で登ってきたりはしないのですよ.
          親コメント
          • by junnohta (10945) on 2004年11月10日 10時16分 (#650432)
            丁寧な説明ありがとうございます。理解できました。

            逆にいえば、比重が近くて混ざらない液体を使えば
            見た目に面白そうなことがいろいろできるってことですね。
            そういえば、その手のビジュアルは王様のアイディアに
            けっこうありそうです。
            親コメント
          • by uxi (5376) on 2004年11月10日 14時14分 (#650570)
            > ですから,このイオン性液体だけを瓶に入れ磁石を近づけても,
            > 壁面を磁力で登ってきたりはしないのですよ

            磁石の側を強くしてやれば可能では?
            例えば、超伝導磁石クラスの。

            薬の誘導に使えるかもとかいうコメントがありましたが、
            もしその状態でMRIに入ったら、、、((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
            --
            uxi
            親コメント
      • by dash0225 (21674) on 2004年11月10日 15時06分 (#650589)
        そうなんですか。
        配向とかどうなっているのかなと思っていたんですが、 逆によわいと言うことで微視的にも液体であると 言えるんですかね?
        磁場をかけると光学的に何か変わりそうな予感が するのですけど、どんな物なんでしょうか? 何か染料てきな基を付けたら色が変わったりしたら面白いな と思います。
        液晶よりも相当反応速度が速そうですし。
        親コメント
        • >微視的にも液体であると言えるんですかね?

          この辺を分光等で調べたいと言ってました.
          浜口研は分光系の研究室で,本来磁性はやっていないようなところです.
          ですからやっている方々の興味も微視的な構造にあるようでした.

          >磁場をかけると光学的に何か変わりそうな予感が

          これはちょっと(少なくとも今のところは)無理な気がします.
          普通磁場で光学効果が出る場合は主に
          1.構造が変わる
          2.磁化の小さい領域で磁化に比例して変わる磁気光学効果
          があります.
          今回の場合は,微視的には物体のスピンが小さすぎるので熱揺らぎに
          勝てず構造はほとんど変わらないでしょうし,磁化自体も非常に小さい
          ので光学効果は期待できないんではないかと.
          親コメント
  • by lunatic_sparc (15416) on 2004年11月10日 0時06分 (#650266)
    すんません。一つだけ質問。

    > 最初から磁石に引かれる性質を想定してイオン液体を合成したとされている

    これは発見なんでしょうか。それとも発明?
    • by yellow tadpole (7084) on 2004年11月10日 0時46分 (#650288) 日記
      意図して実現できたんだから発明でしょうね。
      --
      〜◍
      親コメント
    • Re:素朴な疑問 (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年11月10日 1時53分 (#650327)
      発明とは新たなものを作り出す事です。
      発見とは既存だが知られていない物を見つける事です。
      発明と呼ぶのなら、それが今まで存在していなかった事を証明せねばなりません。

      インチキ臭い話はともかく、通常は発見と呼ばれます。
      そこには少なからず、科学に対する畏れがあるような気がしますね。
      親コメント
  • T2を思い出してしまったのはきっと自分だけではないはず。

    常温で安定した磁性液体の登場であの映画のように
    自由に形を変えられるロボットなどが現実となる日も近いのかも。
    特許を取らなかったのはサイバーダイン社のように
    破壊されることを恐れたためか?
  • by SteppingWind (2654) on 2004年11月10日 12時34分 (#650513)

    ってことで紹介されているリンク先なんですが, このタイプの磁性流体ってシーリング材なんかでもよく使われていますよね. でも, これって強磁性粉末(固体)を凝集しないように加工したコロイド溶液ですから液体でも, まして金属イオンでもないと思うのですが.

    まあ煙を気体と言っちゃうぐらいには液体なんですけど.

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