脊椎損傷治療の切り札は家庭にもあるあの品 3
ストーリー by yoosee
生まれかわれるクスリ 部門より
生まれかわれるクスリ 部門より
KAMUI 曰く、 "河北新報の記事に依ると保湿剤や乳化剤として化粧品などにも含まれる化合物・ポリエチレングリコール(PEG)を脊髄を損傷した犬の治療に用いる事で下肢の麻痺がかなりの割合で回復した事をパデュー大学の研究者が発表した (ニュースリリース: Purdue research offers hope for canine, human spinal injuries)
脊椎損傷で後ろ脚が麻痺して 72時間以内の犬に対して,手術やステロイド投与など通常の治療に加えて患部に PEG を注射したところ,68%が 2ヵ月以内に歩ける様になり,最終的には 75%が正常な生活を取り戻したという。なお,この PEG注射の開始以前に通常の治療を行って同じ程度までに回復した犬は全体の 25%に過ぎず,大きな差が見られる。
神経細胞がダメージを受けた場合,細胞膜が弱まり破壊に至る。更に死滅した細胞から放出される化学物質が周囲の神経細胞に対する「自殺信号」として働く為,結果として神経は連鎖的に破壊される事になり,障害が拡大するという。PEG はこの初期段階で細胞膜の修復に干渉して回復を助けると考えられている様だ。人への応用が期待されるが,残念ながら当分先の話になるだろうとの事。
・・・クリストファー・リーブが生きていたらどうコメントしただろう?"
組み合わせれば光が見える? (スコア:2, 参考になる)
動物実験での結果がそのまま人間で有効なわけでは無いそうですが、今年初めには、ナノ繊維を足場にしてネズミの脊髄神経の再生をさせる事に成功した [srad.jp]という事が伝えられてもいましたので、このような実験結果が報道されると、いくつかの手法を組み合わせる事によってより治癒の可能性が増すのかな、と素人目には思えました。
脊髄損傷は、日本でも年間5000人~6000人が新たに障害を受けているそうです。最近では慶応大医学部で、成人の鼻粘膜細胞を使った治療法 [yomiuri.co.jp]の開発が始まった事も報道されていました。中国での、人体実験のような治療(?)にさえも、渡航する人がいるというのが現状ですので、「有効な方向性」が見えてくるだけでも心強い気がします。
Re:組み合わせれば光が見える? (スコア:1)
>「EphA4」という障害部位に瘢痕組織を 形成する分子の働きを阻害する事によって回復しや
>すくなる、 という論文が発表されていました。
つまらない突っ込みですが,Neuroscienceですね.(笑)
そのEphA4というのはまさにサイエンスセクションの隣のストーリーの毛根を増やすタンパク質を発見 [slashdot.jp]
で言っているエフリンリガンドで,ある種のシンクロニシティでしょうか.
Ephrinは骨形成や神経形成に広く関与するホルモンなので投与するにしても阻害するにしても
副作用が必ずあり,治療に用いるには適切なコントロールが必要になるはずです.
単純にいうと,神経をとるか髪をとるかの二択とか・・・
PEGは細胞生物学の実験では細胞融合をおこすために使ったりするので細胞膜を修復といわれると
ちょっと「おや?」という気もするのですが,手軽に毒性もなく粘性をコントロールするのに使わ
れたり,遺伝子治療などで薬品の担体に用いられますので恐らく投与した試薬の寿命をコントロール
したり免疫細胞の動作に影響を与えたりといった作用を通じてのものだと思います.
kaho
すーすーしそう (スコア:1)
その結果アポトーシス誘発物質の発生を抑制するってことか.
PEGってウェットティッシュとか保湿剤に入ってるやつだよね.
やなぎ
字面じゃなく論旨を読もう。モデレートはそれからだ