富士通研究所、LSI内の電源変動をリアルタイム観測する技術を開発

Anonymous Coward 曰く、

富士通研究所が、世界で初めてLSI内の電源変動をリアルタイムに直接観測する技術を開発したらしい。 LSIの消費電力を抑えるには、電源電圧をできるだけ低下させる技術がますます重要になるが、一方で回路動作に伴ってLSI内の電源電圧には変動が生じる。そのため、LSI内部の電源電圧の動きをリアルタイムに観測することが重要となるらしい。 今回開発の技術は、LSIの電圧変動ではピークが下限電圧を下回る場合が特に問題になること、またピークの発生頻度は低いという特徴があることを 踏まえた実時間サンプリング手法によるものとのことである。

データの低減によって、実時間サンプリング手法を実LSI上に実装できた、というのがポイントのよう。

トランジェントレコーディング

[sameshima (10060)]

入力部分に前回のサンプル値との比較回路をつけて、
前サンプル値との差が、ある程度以上になったら現在時刻と電圧を
記録することで、計測データ量を減らす方法だと思います。
この方法は20～年前にメモリが高価だった頃に半導体テスタや
ロジックアナライザのデジタルもので少ないメモリで長時間記録を
する場合（データ変化が少ないことが条件）に採用されてましたが、
特許が切れて使えるようになったのか、対象が違うからそもそも
問題ないんですかね？

Re:トランジェントレコーディング

[Anonymous Coward]

フローというか手法的には似ているもののようですが、
今回の発表の肝はどうやら「電源電圧変動センサーの開発」にあるようです。

センサーを開発してチップに適用しました、というのが発表の流れのようです。

この「電源電圧変動センサー」なるものがどうすごいのかは、
ISSCCの発表を聞けばわかると言うことなのでしょう。たぶん。

量子コンピュータを観測したら

[Anonymous Coward]

計算結果が変わったりして。

暗号解読に応用？

[Anonymous Coward]

cf. 電力解析攻撃 [wikipedia.org]。

Re:暗号解読に応用？

[Anonymous Coward]

次世代DVDの暗号解読 [gigazine.net]や、以前スラドでも
話題になったSonyのFelicaの暗号解読 [srad.jp]も
この手ではないかと思いました。

Felicaの時は「カードの表面をぺりぺりと剥がしたら（モールドされた）
ICチップが露出したので耐タンパ性が弱いという主張」とか書かれて
一蹴されていましたが…。

このピークって谷のこと?

[Anonymous Coward]

LSIの電圧変動では、ピークが下限電圧を下回る場合が特に問題になります。またピークの発生頻度は低いという特徴もあります。

ピークとプレスリリースにもタレ込みにも書いてあるけれど、谷のことですよね?。ピークが下限を下回る=常時は下限値より下にある、かと一瞬戸惑ったんだけれど、こういう言い回しって普通なんですか?。普通だとしたらどの分野で?。なんか不自然に思うんだけれどな〜。

Re:このピークって谷のこと?

[de-code-cos (32573)]

えーっと、半導体関係の評価をする人間の間では普通につかう表現だと思います。
信号の振幅のことを、Peak-to-Peakと言います。

確かに、言われてみると変な表現だと思いますが、指摘されるまで気がつかなかった。(^^;

Re:このピークって谷のこと?

[Anonymous Coward]

「立ち下がり」みたいな表現を普通にしてる奴らだしな。
（一々falling edgeとか下降エッジとか言っても嫌味が通じないし）

Re:このピークって谷のこと?

[Anonymous Coward]

わたしが学校で習ったときには、
実効値の反対語のようなイメージでしたが。

Re:このピークって谷のこと?

[Anonymous Coward]

たしかに不自然だと思います．
せめて
「(電圧変動の)(低い方向の)ピークが下限電圧を下回る場合」
と単語を補えばいいかなぁと思います．

あと，タレコミ最後の
「データの低減によって、実時間サンプリング手法を実LSI上に実装できた、」
という文章は意味不明です．
kazekiriさん，富士通研究所のプレスリリースをちゃんと読んでください!!

Re:このピークって谷のこと?

[Anonymous Coward]

「(電圧変動の)(低い方向の)ピークが下限電圧を下回る場合」

この解釈であっているとは思うのですが、
LSI内部の電圧降下は、瞬間消費電流が一番大きいとき（電流のピーク時）が一番大きいので、
もう少しだけわかりやすく書くとこうなります。

「（瞬間電流が）ピーク（となる時の内部電圧）が下限電圧を下回る場合」

微妙な違いですが。

測定精度はどのくらいだろう？

[shoji12 (14093)]

ＡＤ変換器を使用しているなら、基準電圧源を持っていると思うが、
その安定度はどのくらいなんだろう？
そもそも電源電圧が変動することを前提に使用しているわけだから、０．１％くらいか？
そうするとＡＤ変換器の分解能は９ビットくらいか？
リアルタイムで測定してその結果を何に反映しているか判らないから、こんな議論をしても意味ないか。
しかし、ＬＳＩ内部で電源電圧の分布が存在するという情報は、高安定度を要求される回路設計には役立つな。

Re:測定精度はどのくらいだろう？

[de-code-cos (32573)]

> そもそも電源電圧が変動することを前提に使用してい
観測する電源と別電源にすればよいはなしですよね。

Re:測定精度はどのくらいだろう？

[glasstic (32934)]

アナログ回路等で、高い安定度が要求される場合には、
そもそも電圧降下（IRドロップ）が起きないように設計します。
デジタル回路だと、実装上の問題でIRドロップを防げない場合が多いので、
結構昔から問題になっています。
シミュレーション上での解析ツールは、既に普通に使われていますね。

なんに使うかというと、シミュレーションと同様にタイミング検証とか
動作補償ではないでしょうか。

Re:測定精度はどのくらいだろう？

[kan143 (24887)]

基準電圧は素直に考えたらバンドギャップで作ってるのかな

必要な精度は回路の組み方にもよるでしょ、ADCのbit数もまた然り

例えば1.8V±0.1Vと言う電源規格があったとして
下限の1.7Vを下回るかどうかを測定するのに0.0Vまで測定できる必要は無いわけで

電源の安定度

[power (11625)]

LSIにおける電源の安定度を高くする、ということを最終目標にしていると考えた場合、電源の安定度が高くなった結果として(該当LSIが)ノイズに対して強くなる、という気がします。
実際のところLSIで自身の放射ノイズが多いものや、ノイズに対する耐性が弱いものなどは、電源/GNDの弱いものが多いです。
この辺のメカニズム含めて実証できれば、論文一つ書けるんじゃないですかね。
今回の技術は、そのための布石なのかも知れません。