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14865 story

神経は電気ではなく音を使う? 48

ストーリー by kazekiri
難しいよー 部門より

Anonymous Coward 曰く、

Slashdot本家の記事になっているのだが、 CBC.CAの記事によれば、デンマークのCopenhagen Universityの研究者らが、神経において電気でインパルスが伝わるという認識は間違いであり、音波の伝搬によって伝わるという主張を行っているらしい。記事での主張によれば、熱力学的な法則から神経に沿って刺激が伝達する際に電気が熱を発生させなければならないが、そのような熱も発生しないことは実験によってわかるとのこと。さらに、神経膜が温度差で液体から固体まで変わることができるオリーブ油に類似した材料でできており、音が弱らないで正しく伝搬できるということらしい。全くの門外漢なのでよく分からないが、solitonと呼ばれるものがキモのようだ。

このあたりこのあたりに関係論文があるようだが、どうもCBCの記事とは違うような。CBCの記事がちょっと曲解してるようであるが、神経での伝搬においてsolitonという粒子のように振る舞う波が、波形が安定していて形も変わらずに速度を保って伝播してゆくということだと思う。違うかな?

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  • 海の不思議 (スコア:4, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年03月12日 13時10分 (#1124628)
    海は脳と同等の知性を持った巨大な活動体と言えるだろう。
    神経電波に相当する海中の情報伝播は、イルカが発する音声が担っている。
    つまり、情報はイルカに乗って海中を伝播しているのである。

    ま、お察しの通り、「海のソリトン」というオチなんだけども。
  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 12時59分 (#1124621)
    英語論文を読むだけの力が無いので的外れな可能性もありますが。

    何か勘違いしてるんじゃないでしょうか?

    神経における電気信号の伝達って言うのは、電線が電気を通すようにスーっと流れるものじゃありません。
    ある神経細胞が興奮すると、ミエリンという絶縁体を挟んだ隣の神経細胞がびっくりして興奮するんです。
    で、次々に伝搬していくと。
    (電気生理苦手なので詳しくは忘れましたが)

    この理論だと、抵抗的な要素があまり無いように思えますが、はてさて。

    # って書いたら先越されてた……
    • この伝言ゲームの間違いは,(CBCとは言ってもカナダの)ニュースサイトが
      ソリトンを音と言い始めたところから始まっているようですね.
      本家のこのコメント [slashdot.org]が参考になるのですが,
      電位差が起こることを否定する論文ではなく,生体膜が融解して元に戻る
      状態変化をすることで信号を伝達し,この反応がソリトンを起こしている
      ことで減衰せずに長距離を運ぶことが出来ているという説明のようです.
      アナロジーとして言えば,電気で物理的な振動を起こして音を出すように,
      音の振動で電気が発生するような相互的な関係があることを示しているので
      あり,このモデルであれば様々な条件で起きる麻酔効果をうまく説明でき
      るということだそうです.
      --
      kaho
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 13時57分 (#1124664)
        元ACです。
        やっぱ英語を勉強しなきゃなあと思う今日この頃。

        kaho氏のご説明を元に話を進めたいと思いますが、
        それでもやはりこのKopenhagen Univ.の論文はあまりにぶっ飛びすぎていると思うんですよ。
        (世界の革新的な発見の多くが、こうしたぶっ飛んだ着想から生まれていることは承知しています)

        まず、電気信号説を否定するための最大の壁となりそうなのが、イオンチャネルやイオントランスポーターの存在かと思います。
        各種イオンを選択的/非選択的に細胞内外へ移動させますが、これによって電気信号(インパルス)が生じます。

        で、イオンチャネルやトランスポーターの存在を前提にした説は腐るほどあって、実用化されています。

        例えばニューロンレベルではCl-/K+イオンチャネル共役受容体の作動薬が精神系の薬物としてありますが、
        これを投与するとチャネルが開き、神経細胞が過分極して興奮しにくくなり、鎮静効果を与えます。
        電気的な状態と精神的な作用が一致している例です。
        (チャネルに対して作用することは、チャネルを特異的に発現(クローニング)させたニューロンに対する
         パッチクランプ法で説明できます)

        また、チャネル自体の存在も電子顕微鏡やX線結晶解析法、およびDNAから読み取られた配列などによって
        実際の姿が詳細に分かりつつあります。
        (チャネルがどうやって選択性を持つのか、などは今現在ホットなトピックスとして研究されています)

        いずれにせよ、信号伝達にイオンチャネル=電気が能動的に振る舞っていることが分かります。
        電気信号説を否定して他のものを持ってくるには、これら全部ひっくり返すか、内包するだけの理論が必要なわけで、
        それはちょっとあり得ないのではないかなあ、と思うんです。
        親コメント
        • 私もこの分野は21世紀になってからは追いかけていないので不明を認識しつつ(でも議論として面白くさせるため彼らの立場に立つことにして(笑))話を進めますが,

          それでもやはりこのKopenhagen Univ.の論文はあまりにぶっ飛びすぎていると思うんですよ。

          いえいえ,筆者らはこういった喧騒を嫌ってわざわざ

          Moreover, it is to be emphasized that thermodynamics is not inimical to microscopic (e.g.,
          ion-channel) descriptions of the same phenomena. (Biophys J)
          (超訳:別にイオンチャンネル説に喧嘩売ってるわけじゃないですぅ)

          とまで言っていて,例えば麻酔が動物の種に関わらず効く(タンパク質をターゲットとするなら種間で差がありそうなのに)といった現象に対して,タンパク質の方からだけではなくて脂質の物性から考えるモデルも(ある種の麻酔が効く機構の説明に)必要じゃないか,と言っているわけです.

          筆者らはそこまで言っていないかもしれませんが,イオンチャンネルによって発生した電位差をエネルギーとして膜の相変化が起こり,ミエリン鞘の中間地点までソリトンによって運ばれてきた信号を関知したら電位差を起こして増幅してまた末端まで伝える,という経路もあり得ると私は理解しています.
          またこの段階では電気信号のみによって伝えられる神経信号の存在も否定しておらず,生体が使用する神経のうちどちらが重要か,あるいはどのような比率で使われているのか,といったことまでは踏み込んでいませんので,電気信号説の否定は今のところなされていません.
          --
          kaho
          親コメント
          • SQUIDである程度神経活動がわかることを考えると、実態としての電流も
            流れているんじゃないでしょうか?
            親コメント
          • うーん、説としてはアリかもしれないけど、麻酔薬は膜の物性を変えることによりイオンチャネルの活性に影響を及ぼしているんじゃないのかなぁ。膜の物性と膜蛋白の活性とには密接な関係があるでしょうから(具体的にこれこれのチャネルでどうなのか、とかは知りませんが)。

            >麻酔が動物の種に関わらず効く(タンパク質をターゲットとするなら種間で差がありそうなのに)

            ってだけじゃあちょっと弱いですよね。膜自体には種でそんなに差がある訳じゃないですから、例えば膜の厚さや流動性なんかがちょっと変われば膜蛋白全体に非特異的に影響しそうですし。

            親コメント
          • 最初はよくあるトンデモ学説かと思ったのですが、そう考えるなら説として面白そうですね。
            懐疑的な視点を撤回します。

            同時に、伝言ゲームがいかに良くないものかということも分かりました。
            物事について議論するときは、原文をしっかりと読まなきゃ駄目ですね。
            (言い訳がましくなってしまいますが、最近トピックのタイトルが不適切なことが多くありませんか?)

            疑問なのは、ソリトンにより運ばれた信号を隣の細胞がどういう機構で感知するのか、でしょうか。
            電気刺激だと明快なモデルがあるのですが、このあたりに説得力のあるデータを持ってこれるかが
            鍵なのかなあ、と個人的には思ったりもします。
        • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 14時31分 (#1124677)
          >イオンチャネルやイオントランスポーターの存在

          関連論文流し読みした程度だけど、イオン濃度の差が直接的に電位の差として働くのではなく、
          膜のゾル-ゲルの自由エネルギーの差に影響を与え、それによって力学的特性が制御されている
          可能性を指摘してるみたいなんで、イオン濃度が存在したりそれによって制御される機構の
          存在は今回の例の反例には直接はならない。各部位の自由エネルギー等も含め定量的に議論する
          のなら別だけれども。
          親コメント
        • イオンチャンネルからカルシウム取り込んで励起した
          神経細胞体の状態が、神経線維末端のシナプス部まで
          どうやって運ばれるか、っていう話でないかい?

          で、その伝達が細胞膜の状態変化によるソリトン(のような
          もの。隣接する部分と相互作用する、基底状態に戻ろう
          とする系なら波動的動作するから)であるのではないか
          という話だと思うので、イオンチャンネル説に対立する
          概念じゃないんでないかなあ。。。
      • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 14時33分 (#1124680)
        なるほど、麻酔の作用機序と関連させた研究ですか。

        学生時代にNatureかなにかのReviewで麻酔の分子レベルでの作用機序がいまだに謎だという話を読んで
        ちょっと驚いた記憶があります(薬なんてそんなものらしいですが)。はるか昔、それこそ百年以上前から
        麻酔薬の効果とその化合物の疎水性には正の相関があることは知られているそうで(Meyer-Overton法則)、
        それで麻酔薬は細胞膜(脂質からなる)に溶け込んで、細胞膜の物性を変えることで効果をあらわすのでは?
        なんていう説があるそうですね。そのあたりの関連の研究なんでしょうか?

        余談ですが、CBCの記事中にオリーブオイルなんていう言葉が出てきますが、その麻酔薬の疎水性を
        はかる古典的手段が水とオリーブオイルの2層分配だったような気が……密閉できる容器に水とオリーブ油を
        いれて、そこに麻酔薬をまぜ、ドレッシングのようにふってけんだくさせて、再び分離した水とオリーブ油の
        を分け、それぞれに溶けた麻酔薬の量をもとめるとか、そういうの。オリーブ油にとけやすい化合物ほど
        麻酔の効果が強いと。

        参考になるっぽいリンク [nitech.ac.jp]
        記憶があいまいで適当なのでAC
        親コメント
  • つまり (スコア:3, おもしろおかしい)

    by Lurch (10536) on 2007年03月12日 13時03分 (#1124622)
    電話ではなくて、糸電話だったと?
    --

    ------------
    惑星ケイロンまであと何マイル?
  • 熱? (スコア:2, 参考になる)

    by flutist (16098) on 2007年03月12日 12時53分 (#1124614)
    音の方がよほど熱を生じそうな気もするけどなぁ。
    tarosukeさんの言うように、神経繊維を電線みたいに電流が流れるわけでもないし。
    • by Anonymous Coward
      まぁ、流れていたら感電とも言う。
      • Re:熱? (スコア:2, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2007年03月12日 15時19分 (#1124699)
        それがッ、バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノンだ!
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          じゃぁ、ウォーケンが使うのはソリトンでんな?
  • by bikeman (14466) on 2007年03月12日 14時51分 (#1124687)
    ブルーバックスからちょうど良い本が出ていました。

    生体電気信号とはなにか [amazon.co.jp]

    すごくいい本です。
  • そもそも伝達に電気が...というのからして違う。伝達するのは状態であって電流じゃないし、電流だとしても流れるのは神経の内外方向であって長手方向じゃないし。
  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 12時52分 (#1124613)
    一本一本独立しているのでしょうかね。
    他の繋がっていたら何処を刺激したか脳は認識出来ないわけですから
    バラバラである事はある程度予想はつきますが
    本数が相当数あるように思えどういう仕組みで伝達されているか謎なんですよね
    そもそも事故で神経を切断しても繋げば繋がる仕組みも
    かなりよく出来ていると思います。

    通信回線なら切れたファイバーを適当に繋げると
    細かい配線も繋がるような感じですからね。

    #体で信号の入出力につかえそうな場所ってないのでしょうかね?
    • TAG付いてるんじゃね?

      なーんて冗談はさておき、
      心電図とるやつとか、
      脳波とるやつとかは
      出力にはなりませんか?

      入力はカエルの実験みたいに筋肉に直接(笑
      親コメント
    • そもそも事故で神経を切断しても繋げば繋がる仕組みも
      かなりよく出来ていると思います。

      脊髄より上位の、いわゆる中枢神経を縫合する術を人類はまだ持っていません。
      脊髄より下位を総じて末梢神経と呼びますが、上肢切断後の末梢神経縫合等においてもは神経繊維レベルでは正しく縫合する技術はまだありません。

      /.的に分かりやすく比喩すると、
      USBの延長ケーブルの束が結束部分で切れているのを、それぞれ何のデバイスか確認せずにとりあえず全部繋いでガムテープでくるむぐらいのガサツさが末梢神経縫合にはあります。

      末梢神経縫合後は、神経筋再教育という癒着後の神経構造に合わせて末梢の筋を動かすように中枢の伝達方式を切り替えるリハビリが必須です。

      くっつけてすぐ馴染むのはDIO様とエシディシさんぐらいです。
      --
      Youthの半分はバファリンでできています。
      親コメント
    • 電線みたいな、単に導通性があるだけの素材ってわけじゃないですからね。
      一カ所が刺激を受けたからと言って全体に電圧がかかるとかいう話ではないのです。

      ・神経繊維は端末部分(シナプス)において一方向性がある
      ・ニューロンは多数の入力 (1or0 * n) を総合して1つの出力 (1or0) を発生する、ちょっとした石みたいなもの
      親コメント
  • by shoji12 (14093) on 2007年03月12日 13時47分 (#1124656)
    電気-絶縁体
    熱-断熱材
    音-遮音壁
    細胞を絶縁体で包むより、遮音壁で包むほうが難しいと思うのは私だけ?
    ドラエモンの空気砲を見て作りたくなった私より。
    細胞の共振周波数の空気弾で即気絶だぞ。
  • by SteppingWind (2654) on 2007年03月12日 15時14分 (#1124696)

    今後は毒電波ならぬ毒音波を受信しちゃう人が出てくるんでしょうね. あるいはマイナスソリトンで神経をリラックスとか.

  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 12時45分 (#1124607)
    音波のソリトンだから間違いでもないのでは??

    斜め読みだけど、編集者追記の参考論文2つ目の4ページ目に「Solitons. We now consider 1D sound propagation along a cylindrical membrane with coordinate x.」って仮定のもとでソリトン解を求めているにょ?
  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 17時46分 (#1124759)
    やっぱコレ [konami.jp]しか…

    #AC進出につきACで
  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 19時07分 (#1124783)
    つまり、麻酔効果を持つ音があるということですね。

    ・・・
    手術室にて

    麻酔技師「はい、ヘッドホン掛けますね、音が流れてきたらすーっと麻酔が効きますから」
    患者「ああ、最新の麻酔技術なんですね」
    ガチャ
    ヘッドホン「ボゲー~~~~~~~~~~~~~~~~(by 藤子・F・不二雄)」
    患者「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
    麻酔技師「麻酔完了です」

    この理論の先の技術として
    ペインクリニックに生かされるのか、ということに主に興味があります。
    一番に思いついたのは、電気刺激による鎮痛が、音波によっても出来るようになるのかな?
    ということです。
    全然門外漢なのですが、個人的に神経の研究が進むことを切望しています・・・
  • by Anonymous Coward on 2007年03月12日 19時59分 (#1124803)
    「温度差で液体から固体まで変わることができる」ってどういう意味?
    • >「温度差で液体から固体まで変わることができる」ってどういう意味?

      「温度差で水から氷まで変わることができる」
      って書けば分かりやすいかい?

      液体は冷やせば固体になって
      固体をあっためれば液体になるんですよ。
      # だいたいにおいて
      • そういう場合は普通「温度差で」とは言わずに「温度で」と言うと思うが。
        #温度差で、なら、水と氷の例でいえば「基準点の温度が十分低ければ水は冷やしても
        #凍らない」というようなときにしか使えんぞ。
typodupeerror

弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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