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DNAは電流を通す、超ミクロの電子デバイスに道 25

ストーリー by kazekiri
DNA電線 部門より

papa-pahoo 曰く、

朝日新聞の記事によると、DNAの中を電流が流れることを、大阪大産業科学研究所の真嶋哲朗教授ら研究グループが突き止め、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表したとのこと(PNAS: Single-molecule observation of DNA charge transfer)。 研究グループは、実験によって、DNAの二本鎖の間にまたがっている塩基を伝わって電流が流れることを初めて確認した。
DNAの2本の鎖がつくる2重らせんの幅は、わずか2ナノメートル。これを利用してナノサイズの電線ができれば、半導体など超ミクロの電子デバイスの作製につながるという。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • つまり (スコア:4, すばらしい洞察)

    by mission_if_possible (11120) on 2007年06月28日 23時55分 (#1181872) 日記
    ツイストペアケーブルだと思ってたら単芯ケーブルだったということですね。
    • Re:つまり (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2007年06月29日 12時44分 (#1182200)
      > ツイストペアケーブルだと思ってたら単芯ケーブルだった

      オレの人生は単芯ケーブル、ペアだとか、ましてやツイストなんて関係ない。
      親コメント
  • 導線長が2nmってだけで (スコア:2, すばらしい洞察)

    by repd (34314) on 2007年06月29日 0時32分 (#1181900)
    プロセスルールの微細さを示す~nmっていうのは、トランジスタのゲート長の長さなので 今回の発見とは直接関係無いのでは?
  • コイル (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年06月28日 23時43分 (#1181864)
    コイルだけで回路を組むのはちょっと難しいと思うんだけど、 まかないようにする技術もあるんでしょうか?
  • by MG42 (30424) on 2007年06月28日 23時58分 (#1181875) 日記

    まさか、あれほど半導体の縮小で「ムーアの法則」(この場合、回路の集積率が18ヶ月ごとに二倍になる)が危ぶまれていたのに、一気に解決してしまうわけですね。調べたところ現在出荷されているもののプロセスがだいたい25nmくらいらしいので、今回の2nmだと大幅に縮小できることになります。

    これを使ったらどんなCPUが作れるのか、非常に楽しみです。

    # シングルコア使いでもID。

    --
    All your base are belong to us
    • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2007年06月29日 0時50分 (#1181910) 日記
      とりあえず,このコメントでの誤解と思われる部分の訂正やその他の状況など.

      1. 他の方も書かれていますが,単に直径が小さい配線という意味ではカーボンナノチューブ
      の方が細くなります.
      #条件にもよりますが,1nm以下の径のものは普通に作れます.
      ですから,今回の論文の主旨は,「DNAが電気を流した」という点ではありません.
      単に電気を流すだけなら,カーボンナノチューブやπ共役系分子の方が抵抗は低いですし,
      キャリアの移動も速くなりますし.

      2. DNAが電気を流すことは(論文中でも書かれているとおり)かなり昔から既知の事実で,
      それ自体は新しい発見でも何でもありません.今回の論文の面白いところは,キャリアの
      移動が,DNAの片側に紫外光によりDNAを酸化してキャリアを注入する部分,反対側に蛍光を
      発する部分をつけるだけで容易く検出できた,という点にあります.
      #UVによりキャリア発生,キャリアが移動して蛍光体部でブリーチング,という過程により
      #蛍光が消失.これによりDNAのミューテーションの検出に使えるのでは?と著者は提案して
      #います.
      で,キャリアの移動が塩基対の並びによりだいぶ違う(すでにSTMなどによるプロービング
      でも報告済み),塩基対のミスマッチ(たとえば一か所だけA-Gが組んでしまっているなど)
      があるとキャリアの移動がとんでもなく阻害されるため,塩基対形成が重要だということ
      (初,か?)などが報告されています.

      3. ボトムアップ(原子・分子を積み上げて微細なデバイスを作る)のナノの世界で問題に
      なっているのは,配線の細さではありません.いかにして望んだ場所を配線でつなぐか,
      です.トップダウンなら,順次リソグラフィで削って,デポしてやれば好きな構造を作れます.
      ボトムアップでは,トランジスタやら配線やらは腐るほど開発されていますが,それらを
      望んだ順序に,望んだ位置で繋ぐ技術がありません.
      #1次元ならDNAの塩基配列で何とか並べられるかも,というところにはいますが,2次元,
      #3次元となると事実上お手上げです.こちらも非二重らせん構造をとらせたDNAで何とか
      #ならんか?と言う人もいますが,実際にはまだまだです.

      まあ実用どうこうよりむしろ,DNAの電気伝導に関する基礎研究として面白いかなあと
      思います.DNAの電気伝導の歴史って,

      金属並に電気を流した!
       ↓
      塩基対の重なりを通して電荷が非局在化してるからじゃね!?
       ↓
      俺測ったけどそんなには流れなかった!(以後二派がいろいろ論文発表)
       ↓
      金属並によく流れたと思っていたのは表面吸着した水を介した伝導による誤解っぽい

      と言うように,結構議論も続いていてホットな研究対象です.
      そういう流れの一つとして非常に面白いのですが,即座に応用の可能性が,と言うもの
      ではないので.
      親コメント
      • by kamesan (23069) on 2007年06月29日 2時01分 (#1181941) 日記
        おおむね同感ですが、今回の発表では、顕微鏡で発光点を個別に観察したことによって、単分子としての DNA を測定することができた点が「初めて」なのではないかと思います。結論についてはほぼ既報の内容の再確認かと思います。塩基対のミスマッチが電荷の移動を阻害することも過去に報告例があります。

        > まあ実用どうこうよりむしろ,DNAの電気伝導に関する基礎研究として面白いかなあと思います
        という点も同感ですね。DNA の伝導特性についての報告はそれこそ、絶縁体から、半導体、金属、超伝導まで多岐に渡っていまして、今日でこそグアニンを経由してのそれなりの電荷の移動は疑いないという流れになってきていますが、それでも塩基対の配列によって電荷の輸送効率はかなり変化するようでして、まだまだ興味は尽きない話題です。

        DNA を電子回路の素材として使えないかという点については、phason さんが仰られていますように、望む場所に配置する手段がない以上、小さい素材があるというだけではどうにもなりません。もともと DNA の電気伝導の研究については、分子エレクトロニクスという方向もさることながら、生体中の DNA の損傷に電荷の移動が関連しているのではないかという話から、DNA 分子内における電荷の振舞いを調べることによって DNA の損傷を抑制する方法を開発できないかといった動機もあります。今回の発表も、電子デバイスに向けた一歩というよりは、DNA についての基礎研究の成果の一つということになるでしょうね。

        親コメント
        • >単分子としての DNA を測定することができた点

          単分子,と言うだけならSPM類での観測も単分子と言えるのではないでしょうか?
          ……とここまで書いて,それだと針との相互作用による効果とかがあり得るんだなあと納得.

          >生体中の DNA の損傷に電荷の移動が関連しているのではないかという話

          専門外なので知りませんでした.
          面白そうですので,もしよろしければreferenceを挙げていただけませんでしょうか?
          親コメント
          • by kamesan (23069) on 2007年06月29日 6時58分 (#1181984) 日記
            すいません、深く考えずに適当なことを書いてしまいました。確かに単に、
            > 単分子としての DNA を測定することができた点が「初めて」
            と言ってしまうと言いすぎですね。電流を直接測定している事例なら、STM のようなプローブによるものだけでなく、ナノギャップに DNA を落として測定をしている事例もあったと思います。DNA を受光分子と蛍光分子で修飾しての光学評価を行なう実験を、単分子に区切って観察できる形で行なって、きちんと確認したというのが今回の発表の意義になるでしょうか。

            DNA の損傷については、実は自分も生物方面は専門でなかったりしましてどのあたりが良い例になるのかわからないのですが、例えば
            D. B. Hall et al., Nature, 382, 731 (1996)
            などいかがでしょうか。

            あとは、レビュー系の記事なら大抵、序論でその手の話に言及があるかと思います。例えば、
            R. G. Endres et al., Rev. Mod. Phys., 76, 195 (2004)
            G. B. Schuster and U. Landman, Top. Corr. Chem., 236, 139 (2004)
            など。

            今回話題になっている論文(タレコミ文からリンクされている論文)で参照されている Barton のグループの論文(Reference 2, 3)も関連論文になるかと思います。これらから参照されている論文をたどっていけば、関連する化学方面の論文はたくさん見つかると思います。

            親コメント
      • タレコミ人です。
        専門的ながら、ポイントを箇条書きで整理していただき、
        ありがとうございます。とても勉強になりました。
        これほどのコメントが付くとは思ってもみませんでした。

        日本の新聞の引用の方が関心を呼びそうなので、
        煽り気味のタレコミをしたことを反省しています。
        今後のタレコミの振り返り材料にしていきたいと思います。
        親コメント
      • カーボンナノチューブを例に記事のタイトルに文句を言った者です。
        こういったことに全く無知なので、教えていただきたいのです。

        >DNAが電気を流すことは(論文中でも書かれているとおり)かなり昔から既知の事実で

        これは DNA 単体、つまり真空中の DNA 以外がない状態での伝導性が以前から確認されているということでしょうか。
        • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 11時08分 (#1182126)
          >真空中の DNA 以外がない状態での伝導性が以前から確認されているということでしょうか

          確認されています。普通にSTM/AFMやらナノギャップ電極やらを使って、1本のDNAの伝導度という
          のは相当数が測られています。どの塩基の組とか配列が流しやすいだの配列による整流作用がどう
          だの、いろいろありますし、いくつかは今回の論文でも引かれています。
          #ただ伝導性って言っても、金属並みに良く流すとかそういうわけではありませんが。
          親コメント
    • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 2時04分 (#1181944)
      PCの場合、現在の主流は65nmでは?
      25nmなんて3世代先。(65nm→45nm→32nm→22nm)
      ゲート長のこととしても、現在のゲート長は35nm。
      25nmになるのは今年末(Intelの場合)の45nm世代からです。

      ちなみに研究レベルではNECが5nmのトランジスタを発表してた気がします。
      親コメント
    • 温度が上がると生焼けになっちゃうのかな?
      夏場は足が速いとか。
  • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 0時37分 (#1181901)
    これぐらいのオーダーでの分子デバイスってのは 既に実現の可能性は理論的に否定されてたはずでは…
    • もしソースがありましたら教えていただけるとありがたいのですが.

      ・「このぐらいのオーダー」と言うのはどのぐらいでしょうか?
      ・「理論的に否定された」という部分をできたら詳しく……

      いえ,分子サイズでの電子のコントロール自体は例があるので,どういったものが否定されたのか
      気になったもので.
      #まあ確かに,「調べてみたら分子挟んでないギャップ電極だけでも整流作用出ちゃいました」とか
      #なっちゃったりする愉快な分野ではありますが.
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2007年06月28日 23時59分 (#1181876)
    カーボンナノチューブは導体だし、半導体もすでに作成されている。カーボンナノチューブのトランジスタもすでにつくられていますが。
  • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 1時31分 (#1181932)
    常識じゃないんですか?
    そもそも構造からして、電荷の偏りが見られるし...

    そういうレベルの話じゃないのかな?
    #一応AC
    • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 4時36分 (#1181963)
      上の方のコメントで出ているように、原理までは解明されていなかったということでしょうね。

      PNASの論文のタイトルからしたらSNPの検出への応用がメインぽいですが、研究費取るための大義名分 (=電子デバイスへの応用とかの話) に踊らされすぎじゃないでしょうか。

      それよりも記事の書き方が気になります。
      「超ミクロ」とか「電流通る」は日本語としてどうなのかと…。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 9時29分 (#1182044)
    「頭痛が痛い」「犯罪を犯す」「腹を切って切腹」etc.みたいな気がするなぁ(結構普通に使ってるけど)。
    • by Anonymous Coward
      業界では「電流が流れる」と「電圧がかかる」って言いますね。 トートロジーだと解っていてもよい言い方がないので仕方なく 使っているって感じでしょうか?
  • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 9時40分 (#1182053)
    これによって、新たにコンピュータ上でないウイルスによる脅威が生まれたわけです
  • by Anonymous Coward on 2007年06月29日 11時12分 (#1182131)
    電流を流して、癌化したところだけをピンポイントで「感電死」させるのかと思った私が浅はかでした。
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192.168.0.1は、私が使っている IPアドレスですので勝手に使わないでください --- ある通りすがり

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