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「はやぶさ」、復路の第1期軌道変換完了 47

ストーリー by yosuke
予定通り 部門より

ultra_hawk_1 曰く

宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部(ISAS)サイトのトピックス『「はやぶさ」復路第1期軌道変換を完了!」』(イオンエンジン担当・國中教授)によると、小惑星探査機「はやぶさ」の、小惑星イトカワからの帰路の軌道変換作業の第1期が終了したそうだ。
4月25日の帰還開始宣言前後から、イオンスラスタ1台とリアクションホイール1台で軌道変更を行ってきたが、目的通りの軌道に入ったことが確認されたため、10/18にイオンエンジン停止、10/24にリアクションホイールを停止した。今後はしばらくの間スピン安定モードに入り、太陽を指向する(発電量を最大にする)ため、太陽輻射圧を用いたスピン軸制御を行うとの事。
この状態のまま2009年2月まで保ち、そこから再びイオンスラスタとリアクションホイールを起動し、2010年6月の地球帰還を目指すとの事。しばらくは「便りのないのはよい便り」という状態になりそうだ。
今までのイオンエンジンの作動時間はのべ31,000時間、軌道変換量1,700m/sだそうで、4月時点での作動時間から計算すると、今回の軌道変更で3800時間ほど使用した事になる。Dスラスタのみ使用していた場合、Dスラスタの作動時間は14,900時間となり、設計寿命の14,000時間を越えている。しかし、Dスラスタはまだ順調であるようだし、他のスラスタも「まったく使用できない」とは限らない。キセノンもあまっているようなので、なんとか帰ってきてほしい。
結語の、

地球帰還までに必要な軌道変換量は、たったの400m/sです。
に、國中教授の「何とか研究を完成させたい」という思いが感じられる。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by SS1 (6823) on 2007年10月30日 20時49分 (#1242089) ホームページ 日記
    ちかごろ,はやぶさ記事ではなるべくほめるようにしてるんですが・・・ なんかもう「子ほめ」な感じになってます。

    現状のはやぶさがどうやって3軸制御を確立してるかの話は,國中教授が,メルマガ [isas.jaxa.jp]で書いてるんですが,これがすごい・・・ すごい,というより,組み込みソフト屋さんとしてみると,「もうムチャクチャ」としか感じられないことをやってます。

    1.本来の制御系(H∞系のはず)が,かけらも残ってない。
    2.通常は無視する要素であるリアクションホイールのジャイロ効果を制御に利用してる。
    3.やはり無視する要素の,太陽輻射を制御系に取り込んでいる。
    4.以下同・・・

    で,この3番でスラスタが推進軸(スラスタと重心を結ぶ線)に対して発生させるロール成分をキャンセルしようってんですから,いい悪いというより,共通点のある制御系って思いつけません。あえていうなら,自転車を手放し運転しながら雨の中でかざした傘を使って制御する,みたいなもんでしょうか。

    よい意味で,國中教授は「ドジっ子はやぶさ」の育ての親なわけですが,ちかごろはネタにしようにも極端すぎて,まんま「プーねこ」の極端なキャラになっちゃうんで,もうちょっとふつーにできないもんかと。
    --
    斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
    • by STT (32350) on 2007年10月31日 1時41分 (#1242233)
      リンク先のメルマガを見るまで知らなかったのですがイオンエンジンは
      向きを変えることが出来たんですね。
      キセノンガスで姿勢制御していたころの消費量と行きで使った消費量から、
      帰りにキセノンガスで姿勢制御しながら同じだけ使うとしたら足りないん
      じゃないかと素人ながら思ってました。
      こんな機能というか裏わざというか、努力があるとは、感動しました。

      # こんなこともあろうかと、イオンエンジンは首振りできるようになっていた?
      親コメント
      • by SS1 (6823) on 2007年11月01日 18時09分 (#1243290) ホームページ 日記
        # こんなこともあろうかと、イオンエンジンは首振りできるようになっていた?

        イオンエンジンのジンバルは,微妙な推力の個体差やスラスタ燃料消費にともなう重心の移動をキャンセルさせるためのもののようです。だから,打ち上げロケットのジンバルみたいな積極的な姿勢制御のためのものではないんだろう,と理解してます。ただ,それでも複数のイオンエンジンの同時稼動時に発生するロール力は,どうしても残るはずなので,そのためもあって,現状は一基だけの稼動にしてるみたいですね。

        キセノンガスの姿勢制御は,偶然か?

        これは一度相模原に出かけて,はやぶさの熱構造モデルを見てきていただくのが一番ですが。キセノンガスの中和器は,はやぶさの4基のイオンエンジンの脇にちっちゃいポストが立ってて,その先に中和器がついてます。これが,ラジアル状に並んでて,まるで最初から,はやぶさの姿勢制御をするために用意していたようにも思わせる,唸らせるつくりになっています。

        もちろん,中和器のラジアル配置には,ちゃんとした工学的な理由があるでしょうけれども,これは,はっきりいって偶然だろうと思います。たとえば中和器が生ガスを噴く能力があるのも,「中和器の寄生トルクを精密測定する」というような,実証実験のために用意された機能にみえるので,総合すると偶然と呼ぶのが相応しいと思います。

        ただ,それ前の段階として通信が回復するために,スピン安定がしっかり造りこまれていたことなどは,きちんと準備した結果であるわけで,工学的には偶然と必然の併せワザというところでしょう。
        --
        斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
        親コメント
    • 逆に解説されればされるほど、そんなになってまで制御可能とする関係者に拍手。
      このミッションは正確に記録されるべきだと思いました。

      これでちゃんとはやぶさが帰って来た日には…
      もう、オカエリナサイと言う以外の賛辞は思いつきません。
    • > まんま「プーねこ」の極端なキャラになっちゃうんで,

      頭の中で「プーねこ」+「はやぶさ」が始まってしまったので、
      誰か冬コミに間に合わせて下さい。
  • by Anonymous Coward on 2007年10月30日 9時30分 (#1241688)
    読売はすぐに記事を消すから全文引用

    上空180キロというこれまでにない低い高度を回る新型の観測衛星の開発に、宇宙航空研究
    開発機構(立川敬二理事長)が乗り出すことが27日わかった。超低高度なら、高倍率のカメラを
    搭載しなくても、地表や気象の観測が可能になり、大幅なコスト削減につながる。宇宙機構は
    既に特別チームを設置、3年後の打ち上げをめざしている。

     新衛星は、太陽電池を側面にはりつけた形で、長さ約3メートル、重さ400~600キロの
    小型。衛星は通常、高度500~1000キロを回り、推力は持たないのが一般的。ロケットで
    打ち上げた勢いで、慣性飛行を続ける。

     高度180キロでは、わずかな大気の抵抗があり、普通の衛星だと推力を失い、2~3日で
    地球の大気圏(高度約100キロ内)に突入する。新衛星はこの課題に対し通常のロケット
    エンジンの10倍の性能を持つ「イオンエンジン」を搭載して高度を維持し、3年以上も周回
    できるという。

     イオンエンジンは、小惑星探査機「はやぶさ」でも高性能が実証された宇宙機構の独自技術。
    超低高度なら小型カメラでも十分機能する。また、レーダーを搭載すれば、少ない電力で高い
    解像度を持つ観測衛星になるという。

     費用は搭載機器にもよるが、コストは従来の衛星の3分の1~5分の1に抑えられると宇宙
    機構ではみている。3種類の大型センサーを搭載した観測衛星「だいち」は550億円の開発
    費がかかっている。

     日本の衛星は高度600キロ以上を周回。国際宇宙ステーションでも330~480キロ程度。
    来年、欧州宇宙機関が高度250キロを回る衛星を打ち上げる予定だが、宇宙機構の新衛星は、
    それをしのぐことになる。
    -----------------------------------------------------
    というわけで、イオンエンジン関連名目は新たな偵察衛星に予算を取られたようです。
    いや、まぁ必要な技術だから反対ではないんですが。
  • by Takeshima (20459) on 2007年10月30日 22時34分 (#1242133)
    2007年4月25日発表 [isas.jaxa.jp]
    スラスタA: 待機
    スラスタB: 9,600時間
    スラスタC: 6,500時間
    スラスタD: 11,100時間

    2007年8月16日発表 [www.jaxa.jp](これ以後はスラスタC1基での運用)
    スラスタA: 待機
    スラスタB: 約9,500時間
    スラスタC: 約7,000時間
    スラスタD: 約13,500時間
    合計:   約30,000時間

    今回の発表での合計稼働時間が約 31,000 時間とのことですので、現状はだいたい
    スラスタA: 待機
    スラスタB: 約9,500時間(9,500 時間強)
    スラスタC: 約8,000時間
    スラスタD: 約13,500時間
    のようです。設計寿命はかろうじてまだ超えていないと思われます。
    --
    Someday, somehow, gonna make it alright but not right now.
  • 一瞬、「はやぶさ」って、フリーゲージトレインに変わったのか?…と、勘違いしてしまった…
    --

    /* Kachou Utumi
    I'm Not Rich... */
  • 大正製薬直送のリポD [air-nifty.com]飲んでがんばれ
    --
    _ to boldly go where no man has gone before!
  • はやぶさを回収しに行くミッションっていうのもおもしろそうに思うんですが。
    地球重力圏をいったん脱して遠くへ行って、そこにあるものを拾って帰ってくるというのは、今後宇宙の資源利用などの面で有効活用できるノウハウが得られるんじゃないんでしょうか。
    特段の観測機なんかを保たなければ、わりと小さな宇宙機で実現できそうですし。
    テストケースとしてはやぶさを利用すれば、距離は適当だし、大きさ重さは解ってるしで失敗する可能性を最低にできる気がします。

    って私が思うぐらいですから先生方はとっくに検討して提案してるんでしょうけど。
    • はやぶさをテストケースに使うなんて言うなっ!(泣
      親コメント
    • >はやぶさを回収しに行くミッションっていうのもおもしろそうに思うんですが。

      ひじょーに面白いとは思うのですが、
      「コッチに向かって飛んでいる弾丸Aに向かって弾丸Bを発射して、弾丸Aを壊さないように回収する」って事ですよね?
      ひじょーに難しそうじゃない?
      お互いに秒速*kmのスピードで飛んでいるので…。

      しかもイトカワはそれなりの大きさがあったんだけど、はやぶさはそれの何分の一??
      でっかいイトカワにすら軟着陸(?)できたかどうかも怪しいのに、軽量化しまくった軟弱な宇宙船捕まえるのって…。

      ……でも、「誰かやってくれないかなぁ?」と妄想してしまうのはSFの見過ぎ?
      アルマゲドンとかパスカルシティーとか…。
      --
      ---- ばくさん!@一応IT土方
      親コメント
    • とりあえずこの辺 [srad.jp]でも読み返してくれ。

      > 特段の観測機なんかを保たなければ、わりと小さな宇宙機で実現できそう

      なんて甘っちょろいもんじゃない。回収以外の全てを捨てても非常に大掛かりなものにならざるを得ない。
      • なにも取りに行った機体ごと帰ってくる必要はないわけだし、

        むこうへいってはやぶさを蹴飛ばす役
        こっちで受け止めて地球周回軌道に入れる役
        なんとか無事地表にもってくる役

        って分業しておけばそれぞれ別の再利用可能なノウハウになりそうな気がします。

        コストについては、回収ノウハウを高く売る営業努力次第じゃないんでしょうか。
        地球外部からの資源輸入を可能にする技術ですし、成功すれば儲からないわけがないと思うんですが。
        親コメント
        • 過去に何度も議論されているので今更書きませんが、
          その各要素それぞれが難易度の高い技術を要します。
          それが可能な国力を宇宙開発に裂けるくらいなら、
          はやぶさそのものがこれほどの綱渡りなんか繰り返していません。

          仮にはやぶさが行動不能となっても機体が消えてなくなるわけではないので、
          数十年かけて回収にもチャレンジするというなら悪くないかもしれませんが、
          現状のはやぶさミッションを放棄してまでチャレンジできるような目標ではありません。
    • 小型のアステロイドと接触してサンプルを採取するミッションをもう一度やるのと難易度的にどう違うのか分りません
    • >地球重力圏をいったん脱して遠くへ行って、そこにあるものを拾って帰ってくる

      というのは、今現在はやぶさが実行中のミッションなんですが。

      イトカワのサンプルを持っているのに軌道変更に失敗した、
      もしくは大気圏突入用カプセルの分離に失敗した、というような状況なら
      回収案を検討する価値はあるのかもしれませんが、
      現状では他のことに予算を回した方が得られるノウハウは多いと思います。
      • by wakatonoo2 (30019) on 2007年10月30日 23時53分 (#1242179) 日記
        >もしくは大気圏突入用カプセルの分離に失敗した、というような状況なら
        >回収案を検討する価値はあるのかもしれませんが、

        ちょっとオフトピ気味ですが、
        現在のはやぶさだと一番うまく行った場合でも、
        大気圏突入用カプセルの分離に失敗しようが成功しようが、
        はやぶさは地球に突っ込みますよ。

        カプセルは燃えないそうですが、
        はやぶさはたぶん燃え尽きる・・はずなんだが、
        それを証明するのが一苦労とのこと。
        (証明しないと回収地であるオーストラリアの検疫で
         問題になるとか)

        いつかのロフトプラスワンのロケット祭りで
        その話題がでていました。
        一般の人はまさかそんなこと知らんだろうな。
        はやぶさの健気さが儚げさに感じて
        少し物悲しくなりました。
        無事帰ってくるといいですね
        親コメント
  • by wakatonoo2 (30019) on 2007年10月30日 10時20分 (#1241717) 日記
    どこにリンク張るか迷ったのですが、ルートにします。
    slashdottedされないといいのですけど・・
    松浦晋也のL/D [air-nifty.com]
    これまでのミッションの価値
    「はやぶさ2」に注目する理由
    はやぶさ2に向けて、最後のお願い
    「はやぶさ2」を巡る状況(2007/10/11)
    ・宇宙科学の予算が切られる理由
    ・宇宙科学を厚遇している気分になる事情
    ・なぜ、月探査WG? 「惑星」はどこにいったのか?
    ・いいわけとしての「かぐや2」
    ・20年前のデジャヴ
    ・せっかくの芽生えを潰すのか
    当時探査時の未知のものを見ていくという不思議な感覚を
    はやぶさ2でもう一度感じたいですね
  • by Anonymous Coward on 2007年10月30日 13時01分 (#1241806)
    「はかぶさ」に見えて「おぉ、懐かしいな」とか思ったのは俺だけでいい
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一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

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