パスワードを忘れた? アカウント作成
27543 story

実験室で大腸菌の進化を観察 33

ストーリー by Acanthopanax
目の前の進化 部門より

capra 曰く、

進化生物学者のRichard Lenski氏は20年前に1つの大腸菌(Escherichia coli)から12のコロニーを培養し、その後44,000世代に渡り観察し続けてきましたが、その一部が大幅な進化を遂げたのが観察されました(PNAS掲載論文要旨NewScientist記事本家/.記事より)。12の各集団で観察された変化はおおむね共通でしたが、31,500世代目あたりで1つの集団の大腸菌が、培地に含まれるクエン酸塩を代謝する形質(Cit+)を進化させました。クエン酸塩を利用できないという特徴は大腸菌を他の細菌から識別するのに使われる形質の1つであり、大腸菌の種の境界と通常考えられているものを超えたと言えるそうです。Lenski氏はその後、500世代毎に冷凍保存しておいた大腸菌をそれぞれ培養し、同じ進化が再現できるのかを実験したところ、最初にCit+が発生した元の集団の、20,000世代目以降の大腸菌からのみCit+の形質が発生するということを突き止めました。Lenski氏と研究チームは現在その20,000世代目あたりで起きた変化と、そこからどのようにCit+の形質が発生したかの解明を試みているとのことです。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2008年06月12日 21時31分 (#1362446)
    これについてコメントしてるっぽいブログ
    http://transact.seesaa.net/article/100181426.html [seesaa.net]
  • by Anonymous Coward on 2008年06月13日 0時18分 (#1362540)
    PNASの論文をざっと斜め読みしてみました。

    この論文のような「もともと持っていない能力を獲得した」なんて場合には、Contamination(外部からの別の菌の混入)ではないことをDNA fingerprintingなどを用いて慎重に検討しないといけないはずですが、そういうデータもないし、テキストにもそのような確認をしたと書かれてませんね。

    実際に、この数十年の実験の間に、何度もコンタミを経験したようですが(「コンタミした場合にはfrozen stockに戻った」との記述がある)、なぜこの論文のケースがコンタミでないと判断したのか、明確に説明されていません。

    そういった部分が弱いから(ここ10年ばかり玉石混淆の「石」がどんどん増えてる)PNASなんでしょうけど。
    これが本当(だとcommunityに信じられてる)なら、間違いなくNatureやScienceですよ。

    それとこの論文は「Inaugural Article」=新規アカデミー会員の紹介のための論文なので、通常の論文とはちょっと扱いが別なような。
    • by Anonymous Coward on 2008年06月13日 5時39分 (#1362602)
      PNASという雑誌については、まぁ悲しいことに言われるとおりでしょう。欧米ってコネ社会です。もちろんnature・Scienceとの差だって量的なものでしょうが。

      ただ私は専門外ですが、この仕事は(1)ゲノム解析が終わってないのでearly report的なもの、(2)再試験は容易でない、という2点から、はなからnatureとかには出してないのかもと勝手に思いました(ところで、出したかどうか明記するようにしたら面白いですね)。再試験が難しいものを、communityだって簡単に受け入れられませんよね。というか、言ってしまえば、一例報告でしかないし。

      あとまぁ本当に一般論として、即座にコミュニティから受け入れられる論文など長期的な視点からはつまらないという見方もできるんで、一応名のある人が「もしかしたら本当かも」と思うレベルの博打的な仕事が載っていると思って読める、それがPNASの存在意義かな?
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        実験全体の追試は困難ですが、もともとの菌株とCit+の個体のゲノム配列を比較するなんて簡単ですよ。
        大腸菌程度のゲノムサイズなら、数週間で決定出来ます。
    • by Anonymous Coward
      進化生物学者の研究は科学ではなく全てゴミ。
      進化生物学者のゴミ研究は科学を壊し脳を壊し人を壊す。
      進化生物学者の実験研究論文掲載を全面禁止すべきだ。

      という事ですね。わかります。
      • 結論の付け方が早とちり過ぎってだけで、IDを展開するのに有意な研究ばかりですから。

        進化論者でなくても、生物種の多様性を生み出す「集団内における遺伝子頻度の変化」 [srad.jp]が起きていることは認めています。ただ無作為によるそのような積み重ねで、たとえば古代の魚のヒレっぽいものが現代の人間の手に変化したと信じられないだけでして。

        で、今回の研究(タレコミ)では「大腸菌の種の境界と考えているものを超えたこと」が評価されていますが、どんな研究者が境界の線引きをしたのか、誰がこのストーリーを採用したのかを考えれば自ずと導き出したい結論が分かるもの。

        地球外文明にしろ中間形態の化石にしろ、落ちていないパーツ(証拠)を必死に探す努力を評価する余裕くらいはもちましょう。
        --
        モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
        • by Anonymous Coward on 2008年06月13日 7時21分 (#1362622)
          単なるネタの荒らしなのか本気なのか判じかねますが一応突っ込んでおきますと。

          今回のケースでは同一サンプルから分裂した12の「子」をそれぞれに分離し同一条件下で44000世代にわたって培養しています。つまり「もし進化が予め仕込まれたものであるなら、12ブランチすべてが一斉に進化するはず」なんですが実際にはそのうち1ブランチしか進化しなかった。従って「進化はあくまで偶発的である」ことが証明されます。

          また
          >どんな研究者が境界の線引きをしたのか
          とありますが、新種としての線引きがどこにあるかは問題ではなく根本的に性質の違う能力を獲得したこと自体が進化と言えるというだけの話です。

          ついでにコンタミの可能性について。
          少なくとも今回の論文ではそこまで発表がないようですが、サンプルは冷凍保存されていますから事後にもその辺のチェックは可能なものと。
          まあ検証未済の状態で結論を出すのは些か早計に過ぎるかも知れませんが。
          親コメント
    • by Anonymous Coward
      大腸菌て他の菌の特徴?性質?を取り込むんでしたっけ?
      病原性大腸菌0-157も、そんな感じでベロ毒素を生産するようになったとかなんとか…

      人づてに聞いたうろ覚えなんですが
      • by Anonymous Coward on 2008年06月13日 5時16分 (#1362601)
        >大腸菌て他の菌の特徴?性質?を取り込むんでしたっけ?

        DNA(遺伝子)を取り込みます。
        大腸菌の場合には、大腸菌同士でDNAをやりとりする仕組みすら持っていますが、それとは別に、死滅したほかの生物の残骸であるDNAを取り込む可能性があると考えられています。
        大腸菌だけでなく、自然界においておそらくすべての微生物がほかの生物の遺伝子を取り込む可能性があると考えられてます。
        もちろん証明されている例はまだまだ少ないですが。

        >病原性大腸菌0-157も、そんな感じでベロ毒素を生産するようになったとかなんとか…

        バクテリオファージ(バクテリアに感染するウイルス)が別の病原バクテリアから運んだみたいですね。
        バクテリオファージの中には、宿主特異性が広いのがいますから。
        また、バクテリオファージの中には宿主のDNA配列を切り取ってしまうやつもいますし。
        親コメント
  • by YOUsuke (6796) on 2008年06月12日 21時16分 (#1362436) ホームページ 日記
    人力遺伝的アルゴリズム?
    ログ取りが大変そうだ。

    --
    妖精哲学の三信
    「だらしねぇ」という戒めの心、「歪みねぇ」という賛美の心、「仕方ない」という許容の心
    • Re:んー (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2008年06月12日 21時25分 (#1362442)
      スパゲッティモンスターが書いた仕様書さえあれば…。

      #実際のところ、IDってどの程度まで進化を認めないんだろうか?
      親コメント
      • by manmos (29892) on 2009年10月21日 19時29分 (#1658001) 日記

        > #実際のところ、IDってどの程度まで進化を認めないんだろうか?

        IDな人は「進化」自体は認めてて、ただ、それを「見えざる知性」がコントロールしてるってことです。

        創造論だと「種」が変わることを認めてない。
        でも、彼らの基本は
        「わしゃぁ、猿(人によっては有色人種を含む)から進化したなんて嫌じゃぁ」
        なので、人間付近の「種」を細かく分けることには熱心でも、細菌なんかは全部同じ種であると考えている人もいるわけです。

        親コメント
  • by phenix (31258) on 2008年06月12日 21時24分 (#1362441)
    > 最初にCit+が発生した元の集団の、20,000世代目以降の大腸菌からのみCit+の形質が発生するということを突き止めました。
    Cit+の発生とCit+の形質の発生ってちがいますのん?
    • Re:よくわからん (スコア:3, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2008年06月12日 21時44分 (#1362456)
      >Cit+の発生とCit+の形質の発生ってちがいますのん?

      同じだよん

      Cit+が発生する「以前」から、その系統の20K世代以降に、他の系統とは違う、何か遺伝的な変化が起きていて、それがCit+の獲得に必要だったらしいってこと。
      それが何か判れば、バクテリアが全く新しい遺伝子を獲得するのが、どういう進化過程を経ているのかが解明できるかもね。

      親コメント
      • by phenix (31258) on 2008年06月12日 21時57分 (#1362461)
        理解した。
        発生したところの11.5K世代前からレジュームしたら発生することがあるけど、
        11K世代以前からレジュームしたんんじゃ発生しなかったよ
        ってことですね。
        サンクス。
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年06月13日 3時17分 (#1362589)
          >発生したところの11.5K世代前からレジュームしたら発生することがあるけど、
          >11K世代以前からレジュームしたんんじゃ発生しなかったよ

          その理解で十分でしょう。実はちょっと違うんだけど、それは僕の前のコメントがミスリーディングだったせい。

          二行目の11k世代以前(第19.5世代目)からレジュームしたら発生しないかどうかは確認されてないので、正確には、「少なくとも」11.5k世代前(第20k世代目)には、この系統で何か変化が起きていた、と書くべきでした。ごめんちゃい。

          同じ第20k世代でも別の系統からはレジュームできないので、できる系統とできない系統それぞれいくつかの世代について、(安くなったんだから)片っ端からゲノム配列決定できれば面白いなぁ。時系列でゲノム変化の過程が観測できるなんて、想像しただけでご飯三杯はいけるよ。うらやましい。
          親コメント
          • 同じ第20k世代でも別の系統からはレジュームできないので、できる系統とできない系統それぞれいくつかの世代について、(安くなったんだから)片っ端からゲノム配列決定できれば面白いなぁ。
            論文ではやる予定だと述べていますね.ディスカッション(7904ページ)に

            To find the relevant mutations, we will perform whole-genome resequencing
            と書かれていますので.
            今回のような場合長めの挿入/欠失や逆位もあるかもしれないので最近の大量シークエンシング用の機械は使いにくいと思いますが,コンタミであるかないかの最終的な判断や系統樹の作成には是非必要な検証だと思います.
            --
            kaho
            親コメント
    • Re:よくわからん (スコア:2, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2008年06月12日 22時14分 (#1362473)
      そもそも「Cit+」ってのが「クエン酸をエネルギー源として利用できる」という遺伝的形質を指す表記なんで。

      まぁCit+という形質を獲得した菌株を「Cit+」とだけ略記することもあったりするんで、そこらへんはあんまりこだわんなくてもいいかな、と。
      親コメント
    • Cit+の発生とCit+の形質の発生ってちがいますのん?

      「『Ctrl+の』発生」と空目してコンビネーションキーイベントのことかと思いましたorz

  • by WATT (7709) on 2008年06月13日 0時11分 (#1362539) 日記
    僕のおなかの中でかれこれ長く飼っている大腸菌も、今頃は新しい何かを身につけている可能性が高い。

    ということでいいんだろうか…。
  • 進まない (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年06月13日 3時46分 (#1362592)
    大腸菌でさえ進化しているのに俺たちときたら・・・
  • by Anonymous Coward on 2008年06月12日 21時00分 (#1362429)
    20年の間に進化できたんだろうか
  • by Anonymous Coward on 2008年06月12日 22時54分 (#1362504)
    ソースキボンヌ
typodupeerror

クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人

読み込み中...