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医療

仮想内視鏡検査で大腸ガンを発見 29

ストーリー by hayakawa
負担が減るのは大歓迎 部門より

hide.jikyll 曰く

米国放射線学会議(ACRIN)が仮想内視鏡検査による大腸ガン検出手法に関する研究結果をNew England Journal of Medicine(NEJM)にて発表しました(NEJM掲載のABSTRACTACRIN PROTOCOL 6664「The National CT Colonography Trial」研究結果に関するQ&A(docファイル))。

簡単に言うと、腹部のCTスキャン画像を基に大腸の3Dモデルを構築し、その中をフライスルーしながらポリープなどの腸内の異変を見つけるというもので、今回の研究ではその有効性が確認されたとのことです。実際の内視鏡検査に比べ患者への負担(食事制限など)が少なく、受け入れられやすい、事故も発生しにくくなるということでなかなか有望そうです。

健康診断で大腸ガンの疑いが見つかるとお次は内視鏡検査と相場が決まっていますが、そのうち内視鏡を突っ込まれずに済むようになるかもしれません。

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  • by Anonymous Coward on 2008年09月22日 11時57分 (#1424047)
    だいたい年に1度検査を受けています

    1.3日前からイチゴやゴマなど残渣物が残らないように硬いものを控えます。
    2.前日夜8時くらいから固形物の摂取禁止
    3.水と下剤を飲みます。この下剤自体はまずくない味です
    4.一度トイレに行って就寝
    5.起きたらトイレに行った後、病院へ
    6.病院で経口腸管洗浄剤を2リットル以上飲みます。最初の1リットル位で便意が出て、だいたい10回位トイレに行くと最後はほぼ透明な水が出てきます。約2時間位掛かります
    7.ブスコパンを筋肉注射
    8.あそこにキシロカインを塗ってファイバーをつっこみます
    9.先生により不快だったり、早かったり遅かったりします。上手な先生がやると楽なんですけどね。大腸を蛇腹状にして折りたたんだ状態で通すのがコツらしいです。麻酔をしているわけでもないので、先生と話しながら、液晶テレビで大腸の中を見ながらの検査です。
    10.終了した日はアルコール厳禁です。
    というわけで、けっこう時間・精神的・肉体的に大変なので、特に経口腸管洗浄剤は何度もトイレに行くので苦痛です。自宅ならまだ良いのですが・・・
    しかし、宿便がどうとか気になる人は一度やってみればと、思います。透明な水が肛門から出てくるのは結構衝撃的です。
  • CT colonography (スコア:5, 参考になる)

    by mik_naruto (26947) on 2008年09月22日 14時00分 (#1424119)
    一応そのようなCT撮像技術や病変の画像診断なんかを専門にしています。これは正式名称を CT colonography という検査です。が、正直言って微妙な検査だと思っています。

    腸を空っぽにする必要があるので、食事制限とか下剤内服とかは内視鏡と大して変わらないはずです(少々は違うみたいな書き方ですが、自分の認識だとほとんど変わらないはず)。
    カメラで見ればポリープか大便か、なんてすぐ分かりますが、所詮0.5mm程度の空間解像度で色も付かないCTでは、ガンと大便とニンジンやトウモロコシの区別すら付かず、むしろ大腸を空っぽにする重要性はより大きいと思います。

    ブスコパンなどの筋肉注射は内視鏡と同様に必要になります。
    また、大腸を空気で拡張させる必要がありますので、お尻にキシロカインを塗ってチューブをつっこむ過程もあります(奥までは入れずに直腸にとどめますが)。
    痛みは内視鏡より遥かに楽ですが、空気を入れるので全く痛くないこともないです。
    腹部のCTは結構X線の被曝も多めです。

    そこまでやってポリープを見つけたところで、内視鏡であればそのまま組織を取って顕微鏡的に悪性かどうか調べるとか、場合によってはそのままポリープを切除して治療まで終わらせてしまう等が可能ですが、CTでいざ何かを見つけたら、結局内視鏡を使わないと何も手出しは出来ず、二度手間です。

    ただ単に腸にバリウムを入れてX線で単純に撮影するバリウム造影検査の方が、複雑な演算が要らない分、空間解像度には優れていたりします。
    そこまで頑張った3D再構成をしなくても、普通にCTで断面像を撮るだけで、大きな癌であれば見えます。術前検査としてどこの病院でもこれはやってます。

    欧米人は日本と比較して肥満が多くて腸が長いため、内視鏡が困難な人が多いです。内視鏡での検査や治療の技術は欧米よりも日本でもの凄く発達しており、日本には内視鏡が上手な医師が沢山います。

    そんなわけで、CT colonographyは、日本ではあまり見向きされていません。
    CT装置にそういうソフトウェアだけなら入っている、という病院はあると思いますが、日本で探すとやや苦労するかもしれません。検診だけならともかく、精査や術前検査の目的ではまったく内視鏡に勝てません。

    今後は内視鏡と比較してCTの方が検診においてもメリットが高いという統計的証拠を集めていく段階が必要となっていきますが、体格や技術的に明らかに内視鏡に不利な要素がある欧米であってすら、厳しいんじゃないかなあ。

    当分は、性能に劣る検査であってもとにかく内視鏡が怖い、という人向けかと。

    (てか、この論文って感度だけ90%あるよと喜んでますが、実際には特異度の方が知りたいと思う人は多いはず)
    • Re:CT colonography (スコア:2, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2008年09月23日 0時49分 (#1424496)
      >欧米人は日本と比較して肥満が多くて腸が長いため
      秀逸なコメントだけに、間違いの指摘ご容赦ください。

      腸の長さは欧米人のほうが短いです。これは肉食中心のため消化の必要が少ないためといわれています。
      日本人等アジア人は欧米人よりも腸が長いです、これは消化に必要な時間が長いもの、食物繊維の摂取量と関係があるといわれています。
      ぐぐる先生でしらべたら、日本人の腸の長さ(小腸と大腸の合計)は約9.2mで、欧米人はというと約7mだそうです。
      腸の長いアジア人が欧米的な食生活に短時間で切り替わったらどうなるかという点については。予想される通りの推移になっているみたいです。参考に部位別癌の時系列推移のリンクを張っておきます。
      癌以外にも潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病等の疾患が、ここ20年で若い人を中心に激増しています。食生活の変化と関係が無いとは個人的には思えません。
      UCになってしまってからは、魚!米!味噌!野菜(生野菜を避け温野菜、コーンは消化できないのでパス)!そしてヨーグルトと乳酸菌は心がけて摂取し、肉は極力食べないようにしています。
      そうすると、時々食べる肉がすごくおいしく頂けます、なんでもプラス思考!と割り切り、仕事も同僚の冷たい視線も顧みず、残業はほどほどで帰る等、ストレスバランとポジティブな思考に変える事、アルコールは断ち、内服薬(ペンタサ)だけで4年間UCを再燃せずにおります。
      まぁそれでも仕事をしてればストレスがたまらない事なんて無いので、ストレス発散方法を色々試し、ストレス耐性を強化するのではなく、出来るだけ作らない、貯めない、ストレスをいなすやり方が必要かと思います。
      元コメ趣旨ついては同感です。内視鏡であれば、ポリープ切除がその場で出来ますし、組織を採取して、悪性か良性かの判定が後で出来ます。CTでは二度手間になるので意味がありません。

      1点気になるのは、CT colonographyで小腸も検査できないの?って点です。ファイバーが使えない暗黒大陸の小腸でこそ発揮されるべきなんじゃないかなと思うのですが、でも空気を入れる前処理が必要ということであれば期待薄なのでしょうか。
      被爆量や面倒な前処理が必要なCTよりも、カプセル型カメラのほうがはるかに負担少ないし!って事でしょうか?
      大腸もカプセルカメラですむようになりませんかね。。是非そのような幸せな検査が出来る日が来ることをお待ちしております。

      主な部位別癌死亡率の推移 [ttcn.ne.jp]
      ※大腸がんの伸び率にご注目ください。肺がんに関しては過去の社会的な不の遺産(労働衛生条件が劣悪であった。粉塵・アスベスト・大気汚染等?)や禁煙率低下により今後は低くなるんでは?と言うか低くなってくれ!そんな私は喫煙者。胃がんが減っているのは低塩食生活の浸透やピロリ菌保有者が下水道状態の悪かった40代以上の保菌者数の割合が多い事と関連があるようです。30代での保有者はかなり少ないようですし、現在は簡単にピロリ菌の保有有無および除菌が出来ますのでピロリ菌の除菌は胃がん死にはインパクトがあったのかと
      以上UCと一生お付き合い予定の素人のお話です
      親コメント
      • Re:CT colonography (スコア:2, 参考になる)

        by mik_naruto (26947) on 2008年09月23日 18時28分 (#1424802)
        すみません腸の長さについては完全に勘違いでした。ご指摘ありがとうございます。

        CTで小腸疾患の件ですが、しっかりした腸炎とか、例えば2cmを超えるような腫瘍は、見る人が見ればCT単独で存在診断くらいは可能です。が、それ以上細かい診断は、仰る通り、現時点で小腸に空気を入れる安全な手段がないので難しい面が多いです。
        ポリープは5mmとかの結節を作るのでまだしも見えますが、UCやクローン病の診断に重要な縦走潰瘍やらの特徴的な所見は、細かすぎて今のCTでまず描出できず、直接小腸造影(0.1mmの解像度がある)に頼ることになります。
        カプセルは有望だとは思っていますし、あれはゆっくり広まるんじゃないでしょうか。
        親コメント
  • ポリープが見つかれば、少なくとも内視鏡が必要ですし、 単なるスクリーニングだったら、 CTは大げさな気がします。 確かに大腸の内視鏡検査は気が進まないですけどね。
    • 先日、心CTを受けましたけど楽でしたよー
      事前の準備はほとんど必要なし。造影剤注入されて撮影して終り。日帰りです。

      カテーテル挿入しての検査・術式も進歩して、患者の負担は少なくなっているとはいえ、
      単なるスクリーニングとしては大げさすぎます。(異常があったら即処置できるメリットがあるとしても)

      このコメントでは比較対象に問題がある気もしますが、患者の負担が少なくなることは良いことだと思います。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        長期間の下痢があり、念のためCTを取りました。
        大腸(上行結腸)に炎症があるかも知れないなあとは言われました。
        確定するには内視鏡の検査(他コメントにあるように準備が大変)を受けないと駄目なようです。

        盲腸(虫垂炎)のときに一度CTを撮っているので、さほど抵抗はありませんでした。
        最初に撮るときはアレルギーの確認とか造影剤の点滴の違和感(皮膚がかゆくなったりする)
        は大変かも知れません。

        CTで済めば楽なのになあと思いますが、現状CTを撮っても炎症の確定までいかないのは、表示処理
        能力や画像精度の問題なのでしょうか。

        あと胃の検査についても細くなったり鼻から楽に入るようになったとはいえ、同様に内視鏡を入れず
        に済む可能性があると思います。
        内視鏡によるピロリ菌感染なんかも問題になっているので、入れずに済めばそのほうがいいでしょう。
        • by mik_naruto (26947) on 2008年09月22日 14時09分 (#1424123)
          CTで腸に炎症があると、大腸の壁が厚くなっている、とか、大腸の周囲の脂肪が濁って見える、
          といった所見が現れます。ただしこれらは中等度以上の炎症で現れる所見です。
          強い炎症であれば一目で間違いなく炎症だと確信できますが、
          軽い炎症性の腸疾患を全部見つけ出すのは、今後も流石に厳しいんじゃないかと。色が付かない検査の宿命です。

          胃については、バリウム検査が結構な精度があり、昔から確固たる地位を築いてますので、
          検診目的だけで「胃CT」は、実際、大げさすぎるかなーと思います。
          CTにも、肝転移とかリンパ節転移を見つけ出したり、手術時に問題となる血管の走行を見つけ出したり、
          といった重要な役割はあるので、術前には撮られますけどね。
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            痛いときに痛い検査を受けるのはかなり苦痛ですよね。
            胃が痛いのに胃カメラとか。

            検診でCTはおおげさですが、症状があるのに検査目的で突っ込まれるのは
            患者としては大変です。

            痛いか死ぬかといわれたら我慢するしかないのですけど。
          • by Anonymous Coward
            >色が付かない検査の宿命です。
            技術が進めば、細胞レベルでの再構成も出来るんですかね?
            仮想顕微鏡で細胞のチェックとか出来ないものだろうか?
            あるいは、がん細胞を一つ一つスキャンとか。
            • by Anonymous Coward on 2008年09月22日 21時58分 (#1424410)
              X線CTの空間解像度は、もう長い間、0.5mm弱のまま全く変わっていません。
              物理屋ではないのでよく知りませんが、X線そのものの性質に起因する限界らしく、単にコンピュータが良くなるとか機械・光学系が精密になるといった話ではなく、原理的なブレイクスルーが必要なはずです。

              空間解像度ではなく、S/N比の方は、当てる線量を上げればそれだけ向上するのですが、生きた人間に当てる以上、これも限界があります。

              ただし、生身の人間に当てなくて良いということなら中性子CTとか色々ありますし、工学レベルでは、1個1個の細胞は無理でも、肺胞とか毛細血管といったレベルの再構成は可能になっているようです。人間用に製品化される話は全然聞きませんけど。
              親コメント
        • 内視鏡だと、細胞を取ってくる以外に、表面の色、染色したあとの色、細かい凹凸、出血のしやすさなどの情報が得られます。
          これらの情報によって消化器疾患の分類や進達度が決まっていて、画像診断の情報と総合して診断されます。
          6,7年前に内視鏡の解像度は「メガピクセル」になったといわれて、傍目にきれいな画像だなあと思っていましたが
          いまではもっと解像度があがっていてもおかしくないなぁ…

          親コメント
  • > そのうち内視鏡を突っ込まれずに済むようになるかもしれません。

    ナニな趣味の実践に造詣の深い私の友人の一人は職場の検診の結果、内視鏡検査が決まったとき、「公費でやってもらえるなんて!」 とwktkだったと言っていた。
    まぁ、彼は残念がるかもしれない。

  • by Anonymous Coward on 2008年09月22日 11時52分 (#1424041)
    バーチャル人体、構築!
    #アンドロノートとバーチャルブレインはまだかな?
  • by Anonymous Coward on 2008年09月22日 11時57分 (#1424046)
    なんてタイムリな話題なんでしょう。
    来週、私、内視鏡検査予定しているんです。
    その下準備も大変。朝から2リットルの下剤を飲まなければならない。
    CTで写真とる場合は、そういった準備は不要なのでしょうか。
    やはり洗浄は必要な気がしますが。
    CTだと被爆もありますし、コストも内視鏡よりかかりそう。
    やはり特殊ケースにしか適用されないのではないでしょうか。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月22日 13時29分 (#1424097)
    外側も見た目を再構成できるって事ですね.....
    • by mik_naruto (26947) on 2008年09月22日 14時18分 (#1424127)
      できます。

      皮膚と空気との境界を使って3Dレンダリングすると、
      まさにデスマスクっぽいものが得られます。
      まあ直接肉眼で見れば分かるので臨床医の役には大して立ちませんが。

      http://intage.exblog.jp/ [exblog.jp]

      ↑こんな感じのサイトがあります。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        元ACの心配事はおそらく腹回りとか下周りとか
      • by Anonymous Coward
        >まあ直接肉眼で見れば分かるので臨床医の役には大して立ちませんが。

        決して臨床医を想定しているわけではないと思う・・・・
typodupeerror

目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない -- Eric Raymond

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