携帯メールの手順を頼りに腕の切断手術を成功させた医師 45
ストーリー by GetSet
あるAnonymous Coward 曰く、
「国境なき医師団」としてコンゴ民主共和国にいた英国人医師が、携帯メールの指示を頼りに、執刀したことのない腕の切断手術を成功させた。(参考:CNN.co.jpの記事 / 本家/.記事)
コンゴに滞在していたデイビッド・ノット医師のもとに先月、肩から15cmを残して腕がちぎれてしまった患者が運びこまれてきた。ノット医師の専門は血液関連の分野だったが、患者はきちんとした切断手術を行わなければ余命2~3日というところだったため、切断手術の経験が豊富な英国の同僚医師にメールを送り手術の指示を仰いだ。同僚医師は手術の手順をメールに10段階に分けて説明し、それを基にノット医師は手術を執刀、無事成功させたとのこと。
手術は鎖骨や肩甲骨を取り除く必要もある複雑なもので、大量の出血も伴うこともあり、通常の場合術後には集中治療室でのケアも必要となる。ノット医師には簡単な手術設備と500ccの輸血しかなかったが、それでも手術を成功させ、集中治療室はないため術後は患者の横に控えて処置を施したとのこと。その後患者は無事回復したそうだ。
なんだかブラックジャックに出てきそうな話だが、500ccの輸血しかない中で手術を成功させられたのは、やはり血液分野の専門医だったからだろうか。
素晴らしい (スコア:2, 参考になる)
血液専門ということは白血病などが専門ですから,手術と手術後の管理には,手術同様不慣れだった可能性が高いですが,それもクリアしたということですね.その辺りの専門は麻酔科医ですね.
Re:素晴らしい (スコア:4, 参考になる)
BBCの元記事によれば医師は "vascular surgeon" だったとあります。そのおかげで太い血管の処置が適切にできたとも。
"I don't think that someone that wasn't a vascular surgeon would have been able to deal with the large blood vessels involved."
指示を送った医師とは何度も一緒に手術をしていたので、テキストだけでも指示はよくわかったと。
"I knew exactly what my colleague meant because we have operated together many times."
元記事もそんなに長い記事じゃないですが、タレコミの要約だけ読むよりはまだ状況が多少は良くわかりますよ。
Re:素晴らしい (スコア:5, 興味深い)
彼は「血管外科医」であり、それこそお腹の大動脈を置換したり再建したりするような、途方もない手術を普通にやってる科です。かつ、彼は国境無き医師団の一員としての経験も多く、外傷を救命するシチュエーションにおいて彼の専門知識を存分に発揮しまくってたようです。原文 [bbc.co.uk]を見る限り、彼本人も、こういう状況に出くわした場合の対応について元々それなりの自信があってコンゴにいたと思われます。
それでも、普段見ない部位の手術というのはそれだけでも難しいです。「凄すぎてあり得ない非常識な成功」かと思ったら、「とても凄い成功」だったということ。
とりあえず血管を結紮し、血を止め、壊死や感染した肉を切り取って、皮膚で覆ってしまえば、「救命手術」としてはOKなので、そういう意味では彼には十分な技術が元々あったんでしょうし、仮に日本の血管外科医が国内の僻地でこの患者に出会ったとしても、そのくらいでいいなら出来ると思うのですが、
今の日本なら、「しわが残り美容的に問題」とか「棘上筋腱の切断部位が教科書に書いてあるより2cm内側過ぎた」とか「幻肢痛が残った」とか「本当に切断する必要はあったのか」とかで平然と訴えられて医師生命が終わったりしますから、やっぱり、見るからに出血している血管だけなんとなく処理して、ヘリコプターを呼ぶのが、国内の血管外科医の普通の対応だと思います。
A vascular surgeon, not a hematologist (スコア:0)
> 「手術なんてまったくやったことないはずで、普通に考えると殺人行為だ」と驚けるのですが、
一応、「骨髄採取術」だけはやるので、他の内科医よりは全身麻酔の手術に入る機会が多いかも知れません。
もちろん amputation なんてあり得ませんが。
# よく間違って報道されていますが、「骨髄移植術」の方は手術じゃなくただの点滴です。
Re:素晴らしい (スコア:3, すばらしい洞察)
1.英国の医師が適切な指示をしたこと
2.コンゴの医師がそれに従って専門外の難手術を遂行したこと
なわけですが、もうひとつ
0.コンゴの医師が正確で十分な情報を英国の医師へ伝えたこと
がなければ成立しませんよね。
その点でも
>何度も一緒に手術をしていた
のが功を奏したんだろうな、と素人ながらに思いました。
うじゃうじゃ
血管外科医でしたか (スコア:1)
やはり,なるべく原文をチェックしないといけませんね.
Re:素晴らしい (スコア:2, 参考になる)
日本だと (スコア:2, 興味深い)
訴えられて、医師の人生が狂うというのに、大きな違いがありますね。
各種認識のズレ (スコア:2, すばらしい洞察)
「医者だって人間なんだし、何回か失敗せんと上手くならん。
その失敗が自分の治療であっても次につながるためには必要だ」
とン十年前から言ってた&それを聞いて育ったので、
なんというか、医者にそれほどの期待はしてない部分があったり・・・
大学病院=研究機関のイメージが強いので、最先端の治療が出来る、という
メリットばかりを伝える報道は、なんかモニョモニョするものがあるですよ。
ぶっちゃけ、医者にかかったら、死んでもともと、助かってラッキーと思っているのは
少数派なのかなぁ・・・?
一寸先は闇なんで、それくらいの覚悟は常にしとかないと、と思うです。
Re: (スコア:0)
というか、俺が赤ん坊だった頃の話、うちの親からよく聞くんだがな、肺炎で死にそうになった事あったんだって。
某医院でレントゲン撮ってもらったところ、真っ黒で、もう覚悟決めにゃあかん言われて。
それでも諦めきれない気持ちで居た所、なんだかタクシーの運ちゃんに名医と言われた所を紹介されたら、そこで治ったんだと。
でも、その医者さんも、若い頃は死人を出しちゃったりして、その家の玄関まで謝りに言った事もあったらしい。
「人殺し!」とかいわれてな。
そういった経験を噛み締めて、名医と言われるまでになったんだろうなぁ。
医者だって、普通の人なんだから、学校の子供と同じで、優等生だって成績の悪い子だっているだろ?
成績の悪い子だって、何かのきっかけで成績がよくなる事もあるんだし、成績が悪いからと言って裁判にひっぱりだす必要は無いと思うんだよなぁ。
まぁ、患者さんの方としては、成績の悪い医者さんにかかっちまわないようにしたいとは思うのは解るんだが。
Re: (スコア:0)
このケースとほぼ同じ状況(僻地にいて専門外だけど急患で外に医者いない)なら
日本でも問題にならない。その時点でのベストを尽くしてると認められる。
たらい回しにされて死んだりするケースは、高度な医療を受けられる設備が周囲にあっても
人材や受け入れ態勢が不足していて突発的な急患に関して病院側の都合がつかないケースだよね。
なまじ高度医療が受けられる大都市にいて、ハコモノだけ作って中の人を育てなかった結果だから。
医療費削減のために本当は必要な所まで無理に削って数字を合わせるから死者が出る。
甘過ぎ (スコア:5, 興味深い)
あれは「僻地で自分以外の医師がいない」に、かなり相当する事例です。
担当の先生はその時点でベストを尽くされて、
その処置の内容は後付的判断をしても90点以上はありそうな内容でした。
結果はご承知の通り、担当の先生は病院から連れ出され手錠をかけられて
警察車両に連れて行かれるところをマスコミから報道され、刑事裁判に掛けられた訳です。
専門領域でこれですよ?無罪にはなりましたが、「日本でも問題にならない」と言えるでしょうか?
この事例だって、八戸市立市民病院のガス壊疽判決みたいに
太い糸で縫合したからガス壊疽が起きたんだ、
狭窄部位から心臓側に5cm上流に生じていた血栓のせいで血流が悪くなって、
ガス壊疽の発症及び重篤化に至った事実が認められる!なんて専門医でも
言われるんですから、日本でやったら何を言われるか分からないと考えてます。
ちなみに「専門外だけど急患で外に医者いない」ですけど、
奈良県立五條病院のシートベルト未着用事故心タンポナーデ訴訟で
脳神経外科部長が心嚢穿刺を適切にできなかったことが過失とされていますので、
専門外なんて言い訳は裁判所で役に立ちませんよ。
Re:甘過ぎ (スコア:2, 参考になる)
ちょっと気になったので。
奈良の事件では「救急指定病院には常時、救急担当医の中には救命救急の専門家が居なければならない」という言い方で賠償判決が言い渡されています (救急の黄昏 - 新小児科医のつぶやき [hatena.ne.jp])。これは救急病院等を定める省令 [e-gov.go.jp]1条1号にある規定をむりやり引っ張ってきた所為ではあります (これを満たすことと十分な医療行為が行われたかどうかに直接の関係はないでしょう) が、少なくともこのストーリーや#1469018の人の想定するような、不十分な医療水準しか望めない場合のたとえとして出すのはちょっと違うのではないかと思います。
このような事例を日本国内で想定するなら、やはり航空機内での救急を引き合いに出したほうが適切ではないかと思います。不十分な医療設備しかなく、専門外であるかも知れない場合に、医療関係者の「善意」を踏みにじらず、防衛的な消極的行動をとらずに済むような体制をどうすべきかは昔からよく問題にされているわけですし。
# このあたりよくご存じない方はWikipediaの「善きサマリア人の法」の項 [wikipedia.org]およびそこからリンクされているリソースを。
Re:甘過ぎ (スコア:1)
「僻地にいて専門外だけど急患で外に医者いない」のと、
「救急指定はされていても専門外の当直で急患で他に医者いない」のと
そんなに違う状況とも思えませんでしたので例えとして使用しました。
救急指定されていてもすべての領域において24時間十分な医療水準
(裁判所が言う水準です。そしてその水準は時と共に変遷し相対的なものでもあります。)
を望める病院なんて日本に存在するかどうか疑問です。
心破裂に伴う心タンポナーデを診断したところで、心嚢穿刺を行っても救命できないなんて
十分あり得る訳ですが、日本で求められる水準とは
「適切に診断・治療をしていれば救命できた確率が極めて高い」
ですから、多くの病院では不十分な医療水準しか望めないと思います。
Good Samaritan's Law の例えの方が良いという意見には同意しますが、
漠然としすぎていて使いにくい(訴求力がないといいますか...)
例えじゃないでしょうか?私の文才がないだけかもしれませんけど。
Re: (スコア:0, すばらしい洞察)
たぶんコンゴの国民はそこまで贅沢ではないので問題になるはずもないでしょうね。
Re: (スコア:0)
何十年も仕事を続けてミスがゼロなんて、俺には絶対にありえないと思ったし。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
そのようになればいいんですが・・・
日本だとドクターヘリを呼ぶべきだったとかなんとかいわれて、
医師がたたかれるパターンになりそう。
Re:日本だと (スコア:1)
もちろん、そうなるでしょう。
叩くだけなら素人でも馬鹿でも出来ますからね。
現場を知っていたら叩くなんて事は出来ないんでしょうが、大半の人間は現場を知らんし、知りたくもないでしょうから。
Re:日本だと (スコア:2, すばらしい洞察)
「素人で馬鹿」ってマスコミのことかーーー!(納得)
Re: (スコア:0)
私は全く医療関係者ではありませんが、「知りたくもない」などとは思っていません。
たらい回しの件では最初はマスコミを鵜呑みにしてしまいましたが、その後、医者のブログなどを興味深く読んで現場の事情を理解しました。
貴方の書き込みはいつも上から目線が鼻につきますね。
Re:日本だと (スコア:1)
だから「大半の人間は」って書いてあるのでは。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
> その後、医者のブログなどを興味深く読んで現場の事情を理解しました。
マスコミでなくマスメディアのことを言いたいのだとして、
きちんとマスメディアも現状を報道していますから、
あなたが一部の情報を鵜呑みにしてしまった且つ自分の中で勝手に情報を置き換えて認識していただけでしょ。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
> 医師がたたかれるパターンになりそう。
ドクターヘリを呼ぶべきだと医師を叩くバカはほっとけば。
ってか、そんなに簡単にドクターヘリ飛ばないから。
怪我の理由は何だろう? (スコア:1)
多いのですが、テキストによる指示だけで手術を成功させたなんて
技術の優れた医師だと思います。
けど、患者の怪我の理由はなんなんでしょうね。
農業機械に巻き込まれたのか、地雷を踏んだのか。
Re:怪我の理由は何だろう? (スコア:2, 参考になる)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7761994.stm [bbc.co.uk]
カバに噛まれたようにも見えるし、銃撃戦の中で彼が目撃されたとかいう情報もあるし、といったところ。
…本人も全然覚えてないのかな。
Re:怪我の理由は何だろう? (スコア:1)
10段階までに術法を親切丁寧に分け、専門外の先生が成功できるテキストを書くことができた医師もすごいと思います。
<<<OFFTOPICS
余談ですが、初心者向けのプログラミングやシステムの参考書・教本(と名乗っているもの)の文章とか解りづらかったりしますね。
明らかに図頼みといった感じの文章で、その割に図が「ある程度わかっている人向け」になってるテキストとか、どうしろって思いますよ
#結局 初心者でもわかる── や ●●日で覚える──を読破するよりも、
初級(!=初心)者向けの本の 巻頭の「基礎の基礎」「第0章」「始める前に~~とは」のまとめ数ページのほうが理解しやすかったりします。
OFFTOPICS;
[注意]コメント主は大変叩かれ弱い性質です。優しく接してあげて下さい
~おもしろおかしい以外に興味はありません~
Re:怪我の理由は何だろう? (スコア:3, 興味深い)
さすがに一般的な解剖の本とか程度は、その病院に置いてあったはずと思います。
ないわけがないので。
個人的には、素人にもよく分かる親切丁寧な手順書を即興で書いてアドバイスした、
というのは、ちょっとイメージと違います。
どっちかというと、達人同士のみに通じ合える「秘伝の書・奥義書」のイメージ。
喩え話としては、お互いに優れた情報科学者であると認めあった同士が、
「巡回セールスマン問題を遺伝的アルゴリズムで近似的に解くための10手順」とか、
「WEP暗号を効率的にクラックする10手順」とか、
なんかそのレベルの問題に対するヒントを、下手すると2人以外の誰にも理解できないような
大雑把な「10行メモ」で、以心伝心でやりあった、という感じに
考えるのが、感覚としては正しいような気がします。
「キモはここだ、後はお前なら適当にやればできる、頑張れ」的な。
そう考えないと、切断手術を10手順にまとめるには複雑すぎるので。
すごいけど (スコア:0)
Re: (スコア:0)
マンガの方の医龍にあります。 (スコア:0)
つまり、 (スコア:0)
日本の医師は、 (スコア:0)
既にできあがった処置をするだけの仕事して、あとは生活をエンジョイするのが実状。
それで収入もあるし社会的地位もあし、あえて冒険をするなどというのはちょっと…
# 絶対ACで!
Re:日本の医師は、 (スコア:3, 参考になる)
手術の緻密さとか器用さや、生死の瀬戸際で発揮する粘り強さに関して言えば、
各種マンガ的なあの発想で泥臭く育てられてきた日本の個々の医師の技能は、
非常に高いレベルだと思います。
欧米の方が遥かにビジネスライクです(かつ、収入も余暇も多いです)。
受験勉強の成績と、手術の上手さは、むしろ正に相関すると思います、というか、
新しいことを学んで技術を高め続けないと生き残れない度合いは、
少なくともIT業界には負けてないと思います。
ただ、某BJのように、銃創や外傷や戦争での傷を、限られた設備や路上とかの修羅場で
治療するのに強い人、ということをなんとなく想定されているのなら、
そんなのに秀でた人が国内に少ないということには同意せざるを得ません。
まあそれは日本の医師が受験馬鹿だからというより、単に日本が恵まれているからでしょう。
非専門医でも足や腕の切断術をたくさん経験できるような国は確かに結構あると思いますし、
だからこそこのイギリスの医師もコンゴなんかに行ってたんでしょうし。
Re:日本の医師は、 (スコア:1, おもしろおかしい)
> 既にできあがった処置をするだけの仕事して、あとは生活をエンジョイするのが実状。
> それで収入もあるし社会的地位もあし、あえて冒険をするなどというのはちょっと…
↑妄想しずぎ。(笑
Re: (スコア:0)
一番まじめだったからたいして切れ者でもないけど推薦で医学部行って
みんなに“ホントに彼女が医者になるのかよ”といわれてた人も
15年経った今では頼れる医者の気概とオーラが出ています。
でも、直接かかったこと無いから技術はどうだかわからないけどね。
収入と社会的地位は工学博士の自分より上だけど、その分激務なので
不公平感はあまり持っていません。
ガッツがあって、激務に立ち向かえる才能があっても保守的な行動を
せざるを得ない仕組みは何とかするべきだと思います。
Re: (スコア:0)
医者の知人曰く「時給換算したら吉野家のバイト以下」だそうです。
開業医は少し違うっぽいけどね。
Re: (スコア:0)
数年前「医者を減らせ」ってねじ込んだのは開業医の団体だったっけ?
そりゃ、ライバルが少ない方が儲かるわなあ。
一番すごいのは (スコア:0)
ノット「お前の説明分かりやすすぎワロタwwww」
Re: (スコア:0)
Re:あれれぇ (スコア:2, 参考になる)
事故か何かで腕がちぎれたけど、ちぎれた箇所から壊疽をおこした。
そのため、壊疽を起こした部分をさらに切断しないといけなくなったということでしょう。
よく分からないけど鎖骨や肩胛骨を取り除いたとあるので、肩関節あたりまで切ったのかな?
Re:あれれぇ (スコア:1, 参考になる)
元のBBCのニュース http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7761994.stm [bbc.co.uk] が詳しいです。
* 患者は腕が「途中で」ちぎれている状態。
* 行われた手術は「肩甲胸郭間切断(フォークォーター切漸)」。
これらをそれぞれ「腕がちぎれて」「腕の切断」としてしまったのでわかりづらいのだと。