本家/.の記事(Merck Created Phony Peer-Review Medical Journal)より。「Australasian Journal of Bone and Joint Medicine」という、自称ピア・レビュー(査読)付きジャーナルがある。骨や関節の医療に関する医学の専門学術論文誌のように聞こえるが、なんとこれは、世界的な医薬品メーカーとして知られるメルク(Merck)社が、自社の製品に都合の良いデータを発表して箔をつけるためにわざわざ設立したもの。実質的に査読は存在しなかったそうだ。
元のThe Scientistの記事(Merck published fake journal)は登録者しか読めないが、The American Journal of Bioethicsのブログblog.bioethics.netに出たSummar Johnson博士による記事(Merck Makes Phony Peer-Review Journal )によれば、この論文誌「Australasian~」はメルクが論文出版社として著名なエルゼビア(Elsevier)社に料金を払って発行してもらっている。しかし医学文献のオンラインデータベースであるMEDLINEには出ておらず、もちろんウェブサイトも存在しない。しかし権威あるエルゼビアから出ているということで、普通の医者はそのまま信じてしまうだろうとJohnson博士は警告している。
査読のプロセスはと言えば、このジャーナルの「名誉アドバイザリー・ボード」のメンバーだったオーストラリアのリューマチ学者、Peter Brooks氏によると、「一本の論文も査読したことはない」そうだ。また、Chemistry BlogのMitch Andre Garcia氏は実際にこの論文誌を読み、第二号の63%がメルクにとって都合の良い記事であることを見いだした(Merck Faked a Research Journal (.PDFs Available))。メルクは事実上この雑誌を自社薬品の宣伝のためのツールとして使っており、「専門誌Australasian Journal of Bone and Joint Medicineで発表された通り、当社のFosamaxは他の同種の医薬品の効果を上回っています…」などと宣伝していたらしい。
もちろん、「まともな」論文誌でも査読がきちんと機能しているかどうかは怪しいものではあるが、ここまで大がかりなイカサマをやったのはメルクが初めてではないか。